ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く

稲葉小僧

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第一章 太陽系のトラブルバスター

第四話 木星周辺でのお仕事、そして巨大宇宙船との出会い

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圧縮空間ゲートを抜けてひと悶着終えて後、ようやくというか何と言おうか目標の木星圏へ到達。
公的通信で予め知らせてあったためかストッピングパワー用のレーザーが、こちらの機体へ向けて照射されて来た。
今のところ順調に速度は下がっている。
もう少しがったらブレーキ機構も兼ねた帆は畳む予定になっている。
到着前に予想していた通り、向こうはエネルギーだけは腐るほどあるようだ。

ただし、宇宙ヨットの保管場所についての交渉は、ちょいと難航してしまい(事前に申請してあれば何の問題もなかったのだが今回は俺が貨客船で身一つで来るとばかり考えていたのが、予定が狂って宇宙ヨットなどという趣味感満載の機体で来たもので)まあ最後には、ばかでかい手荷物で来たということにしてもらい、ヨットは木星の管理局預りにしてもらうことで落ち着いた。
こういう開拓星や開拓団は個人のスペースを制限することが多いため(個人用スペースを広く取るよりも、その分を資材や公的物資の保管場所に当てたい、ってところだよな)えてして、こういったトラブルが起きやすいのだ。
ちなみに以前に行ってた火星の開拓団では、もう主星の火星はテラフォーミング済みでこういったトラブルは無く、けっこう広い居住スペースの割り当てを貰って働いていた。

俺自身、火星への移住を結構、真剣に考えていたのである(地球の不動産価格と比べて三分の1以下なんだぜ、なんつっても!俺の少ない預金でも充分に豪邸が建てられる。それに何と言っても重力が地球の40%!俺が老化して体力低下したら真っ先に移住先に入れたい星だ)
ま、それはともかく……
現在では宇宙ヨットと木星管理局とは明瞭なデータ交信と音声通信が可能な距離にまで近づいていた。
とはいえ、まだ数10万キロはあるんだが……
この機会を利用して、俺は派遣先の木星開拓団についての情報を得ることにした。

様々なデータやニュース映像を送ってもらい、仕事の事前準備にとりかかる。
 ふむふむ……
メインの派遣先、衛星イオやカリストなどは大したトラブルは起きていないようだが(細々したものは、いつもなんだそうだ。こりゃ結構しんどいかも知れない)大問題なのは主星たる木星の調査団。
もうトラブルの連続で調査してるのかトラブル対応してるのか分からない状況らしい。木星ローカルニュースの映像でもMCが苦笑しながら今週の木星調査団コーナーを担当していた。
あちらが壊れ、こちらの部品が無くなり、部門の責任者が休暇や入院している時に限って、その部門にトラブルが集中する、ということらしい。
これを見て俺の判断は……

こいつら全員バカじゃないか?!
だった。
どこをどう見たって、これはトラブルに見せかけた破壊行為だろう。
 何も先入観のない俺の目で見ると、このトラブルの頻出はサボタージュなどという甘いものじゃなく、完全にスパイ行為の発展形、破壊工作の類である。
派遣先で戦闘行為に巻き込まれるのは本意じゃないので、俺は木星調査団へ公式通信を要請して、更に完全な秘匿通信とする事を了承してもらう。
ここまで準備して、ようやく俺と木星調査団の団長との通信での会見が実現する。

「君が数カ月後に派遣されてくる予定の地球人トラブルバスターかね。仕事はまだまだ先なのに、なんの秘匿通信だ?」

まあね、まだ働く前からトラブルシューティングしても仕方がないが。
だけど戦争だけは回避しなきゃ。

「あ、はい。地球から来ました派遣社員です。1つだけ事前にお知らせしなきゃいけない急用がありますので、それだけ連絡したくて、この通信会談を設けていただきました」

「急用?こちらも急用が一杯なんだよ。あちらもこちらも急用のトラブルばかりだ!」

「それなんですけどね、団長。そのトラブルの根本原因、分かりました」

「何っ!頻繁に起きるトラブルに根本的な原因があるだと?!」

「はい。それを解決しない限り、トラブルは増えこそすれ減るなんてことは考えられないかと」

「頼む!教えてくれ!根本的にトラブルが解決するなら金額なんて問題じゃない!」

「あ、まだ働いていませんので報酬は働いてからですね。それよりも……これ、団長さんには、ちょっと辛い話になるかも」

俺はトラブルの根本原因がサボタージュやスパイ行為が発展した破壊工作であることを団長に通告。
団長は仲間を疑わねばならないことに悩んでいたようだが最終的には木星調査という目的を完遂するなら避けては通れない道だと納得したようだ。
俺はトラブルが起こった時の人員リストと状況、そして、これから敵対組織のとるであろう予定行動を推理して団長に話す。
団長には、これらの予定される敵対行動について、ちょっとした心理的な罠を仕掛けるようにアドバイスもする。
俺は、くれぐれも相手を刺激しないように、破壊工作とサボタージュだけ潰せば後は様子見に徹しろとアドバイスする。

なにしろ木星開拓団に軍は駐留していない。
正体のわからない敵と交戦状態になれば木星開拓団など兵士の武力に対抗できるはずもない。
最悪、火星に駐留している宇宙軍に救助・応援を頼むことはできるが、そんな大々的に軍の艦船を動かしたら、えらいことになる。
俺は、なるべく目立たないようにやってくれと団長に言うと通信会談を終了させるのだった (ちなみに、この公式通信の費用は全て木星開拓団持ち。俺に払える金額じゃないからね)
さてさて、ようやくというか何と言うか、目標である木星到着。 とは言えガス惑星である木星に着陸なんて不可能なんで木星を回る宇宙コロニーの一つに接近し、ドッキングという事になるわけ。
このコロニーは木星開拓団の本拠地であり、イオやカリスト等の衛星開拓・植民局の事務所も兼ねているので俺としてはコロニーの方が都合がいい。
ドッキングと収容手順が終わり次第、俺は最初の派遣先、イオの開拓・植民局事務所へ向かう。まずは、ご挨拶と仕事の打ち合せだ。

「失礼します。今度、地球から派遣されてきました、トラブルバスター&エンジニアの楠見糺です。 よろしくお願いいたします」

と、まずは真面目にご挨拶。初見で意地張ったり不真面目な態度をとったりすると、 ダイレクトに仕事評価が悪い点数になるから、ここだけは気をつけている。

「あ、上司の方から聞いてます。火星で大きなトラブルを解決した凄腕のトラブルバスターだと聞いてます。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

と、まずはお決まりの名刺交換。
 そこから、今回の仕事の打ち合わせに入る事になる。
 事前に情報入手した通り、細々としたトラブルや事故(死亡事故までは至ってないが、怪我人は出ている)が頻発しているので、 その解決をお願いしたい、との事だった。
報酬は俺の所属会社と木星企業(巨大なJV複合企業体であり、 木星開拓・開発・衛星のテラフォーミングまで請け負う化け物みたいな超巨大な会社組織だ)との契約で、もう決定している。
 ただし、仕事の内容によってはボーナスとして上乗せがあると聞いているので、そこのところを詳しく聞いてみると……

「トラブル解決が上手くいって開拓やテラフォーミングが順調に進むようになれば、ボーナスは倍まで支払うと聞いております」

だって!凄い!まあ、それだけトラブルや事故が足引っ張ってるってことだね。 
こりゃ、やる気が出てきたぞ!
って、仕事は金のためだけにやるわけじゃないけどな(本音のところ金は、やる気に直結します)

今日の所は居住スペースに荷物を置いて細々したものを買う (完全な都市や政府になってるわけじゃないので巨大企業の管理下にあるコロニーとして金銭は流通してない。 全てが伝票で決済するシステムだ)のと、俺の信念として仕事は現場だけじゃなく周辺部も含めて視点を広げるようにしているため、 現場だけじゃなく、コロニーの内部を歩きまわり、様々な部門や作業を見て回る事にする。
一日(地球時間じゃなくて、宇宙標準時間で、だよ)買物とコロニー見回りに費やしたため、 軽い疲労を憶えながら、俺は簡単な夕食を摂りつつ、データ整理とトラブル解決の方法を模索していた。
 この木星圏の仕事、かなり面白くなりそうな予感がする。

まあ、火星でも同じ予感がしたが、結果的には面白いを通り越して冒険活劇に近い(まあ、よく命が助かったと未だに思う)事になったのだが。
さて、明後日からの木星圏での仕事、どんな事になるのやら。 俺は食事を終え、無水シャワーを浴びて、クリーニングシステムに汚れ物を放り込み、 無重力ベッドへと身体を横たえ、久しぶりの広い空間内で眠りにつくのだった。

さて、今日はクライアントの現場打ち合わせと現場周り。
脳の未開発領域が10%切るくらいしかない俺にとり、脳領域の全開時ならトラブル解決は朝飯前なんであるが、 それには「とんでもない量の糖分(つまりは脳に働くエネルギー)」が必要なのである。 ざっと計算するとショートケーキ50人前になるだろう。
まあ、点滴でブドウ糖でも注入すれば、もっと少量で済むのだろうが……
要は、それほどトラブルや事故が多い現場なのである。
 地球上なら(まあ、火星でもなんとか)そのくらいの糖分は入手可能だろうが、ここ木星圏じゃ、そうは行かない。
必要物資は充分あるが糖分なんてのは「贅沢品」扱いになり、地球からの持ち込みや輸入が後回しになるのが日常の光景である。
ちなみに昨日、事務所付属の食堂で夕食を食べたが塩味や出汁は効いていたが甘みは、ほとんど感じられなかった(予想通り)
これで俺の脳細胞フル回転が不可能となり現在の省エネ活動を持続させるしか無い状況となった (緊急事態となれば、そうも言ってられないので重役さん連中の専用食堂から糖分を失敬するしかないだろうが)

閑話休題
現場事務所へ案内してもらい、現場の監督や労働者達と意見を交わしながらトラブルや事故の詳細について聞いていく。 書類からは分からない現場からの生の意見は貴重だ。
これが聞けるか聞けないか、それがトラブルや事故原因の解決に直結する事も多い。
現に火星でのトラブル解決には現場の生の意見が非常に重要だった。
書類に起こすと上長判断で消されるような現場の感想が解決のヒントになったからだ。
今回も現場の意見や感想を制限を設けずに聞いていく。ちょっと気になる一言があった。

「イオの低重力下(衛星だから、小さな重力しか無い)での作業が、ときたまだけど瞬間的に微小重力になるような感じを受ける時がある」

というのだ。
確かに木星の衛星開発や植民などで重力変動があったら厄介なことになる。
俺は、その感想を言い出した作業員に、いつ、どれだけの重力変動を感じたのか、 そして、それが何秒間続いたのかを後で書類として思い出せるだけでいいから書いておいてくれと頼み込み、 現場の見回りへと向かう。
監督や現場主任に案内されながら頭上に「ばかでかい木星」を見つつ、開拓現場・植民施設設営現場を見て回る。
数百年前の技術とは全く違う、プレハブ工法だが建つ施設は「前世紀の国家の会議場」みたいなもの、という方が表現しやすいか? 

まあ、次々と馬鹿でかい建物や道路(金属製の長ーい板。 こいつに磁力を与えると、そこを走る金属体を吸着しようとして少重力を補う働きをするわけ)などが次々と設置されていく。
見る限りトラブルや事故などは起こりようがないくらいにシステム化されて順調に工事は進んでいるようだ。
しかし、微細とは言え重力変動は厄介だ…
こいつがトラブルや事故の主たる原因かもな。
とりあえず今の省エネモードで推理できるところまでの判断は、それだけだった。

数日後。
重力変動が原因かどうか、まだ分からないのだが、また小事故が起きた。
俺は今までの事故報告をアーカイブで取り寄せ、チェックすることにする。
今は省エネモードとは言え脳領域が普通よりも開放されている状態なので記録のチェックと関連付けも瞬間的に行えるのは便利だ (ただし、これをやると通常よりも脳内のエネルギーを多く消費するようで……結果として少しでも甘いものを多く食べるという所業になる……職場内で 「甘味大王」なる渾名がついてしまった)しかし、そのかいあって傾向と種別が判明。
小事故のほとんどが無人の自動工作機械での作業中だった。

人間が介在している事故物件もあったが、その時には不注意だとか視線を工事以外に向けていたことが判明。
これで対策を取りやすくなった。
一応、現場の上司に当たる人間に、とりあえずの中間報告を行う。 
主たる原因は、まだ不明だが、無人なのが原因らしいということ。
主原因は調査中ではあるが推測では瞬間的な重力の微小変動かも知れない事。
中間報告では、この2点のみにとどめる。
対策としては、なるべくなら重要な工事は自動機械任せにしないことくらいか……

また、それから数日後。
打ち合わせの時に重力変動かも知れないという現場からの報告を上げた人たちの書類が、ようやく出来上がってきた。
これは貴重な現場の声である。
俺は、数枚の報告書を、じっくりと時間をかけて読み込む……
そして、 確認を取るために各衛星の軌道、木星との位置関係をシミュレーション。
そこへ報告書にあった変動したと思われる時間を重ねてみると……

俺は小事故が大事故へ繋がる、このシミュレーションを予想して、冷汗をかきながらも正式な報告書を作成する。
数時間後、俺は現場監督始め、開発・開拓・移民作業に関わる人たちの前に立っていた……

「結果として大変な事が判明しましたので報告します。今までに起こりました作業時の小さな事故。実は大きな災害の前触れであることが判明しました」

俺の説明。
当然、周りからは詳細な説明を求める声が……

「落ち着いて下さい、今すぐに災害になることはありません。 まず、事故の主原因から説明します。今までの事故の主原因は、この衛星と木星の位置関係による重力変動が原因です。 これは、この現場だけではなく各衛星にも言えることですので、この書類は全ての木星を回る衛星へ送って下さい。 では、百聞は一見にしかず……このシミュレーション映像をご覧下さい」

俺が原因を突き止めたシミュレーション映像を公開する。

「通常、各衛星は円軌道を描いて惑星……ここでは木星ですが……の周りを回っていると言われますが正確には少し楕円軌道になっているのです。 地球ですと月の影響で潮の満ち引きがあるので簡単に分かりますが、こちらでは海が無いために実感に乏しかったのかも知れませんね。 さて、ここで肝心な事。木星は巨大惑星ですから、それが衛星に引き起こす影響は地球と月の関係どころじゃありません。 楕円で周回していることにより、各衛星は木星の重力の影響を受け続けていますから、強く引っ張られたり、比較的弱く引っ張られたり……と、 こういう事を延々と続けているわけですね。 主原因は重力変動と言いましたが、正確には「木星の重力変動による」影響です。 実は、この変動により各衛星には微小地震が起きています。これが、ほんの微小なら大したことではありませんが、 たまに有感地震にまでなると、人間はとっさにバランスをとろうと動けますが、自動機械のコンピュータは、 この事態に対応したプログラムがないので事故を起こすわけです」

皆様、分からないながらも必死に理解しようとしているようだ。

「ですから、この機会に建設機械の一斉検査を兼ねて自動機械のプログラムアップデートを行うことを強く勧めます。これは他の各衛星で巨大地震が起きた場合にも対応するアップデートにすべきです。ちなみに、これが拒否された場合は地球統合政府への事故管理不適当案件として報告する用意があります。これは、それほどの危険要因だと思って下さい」

まあ、これほどデカイ事故案件だとは俺自身も思わなかったが、ここで俺の持つ裏資格「地球統合政府事故調査官」が生きる。
実は俺のようなトラブルシューティングを表の仕事とする裏の事故調査官は結構な数がいる。
でなければ地球の統合政府が、各惑星や衛星の勤労状況や労働環境などリアルタイムに近い状況で把握出来得るはずがないだろう。
まあ、これで事故が収束するならいいんだがね。
さて、大きな事故の原因は潰したぞ。
とは言うものの、システムのアップデートや人員再配置については俺の管轄外なので、こればかりは時間がかかる。
一応、事故報告の担当としては、何も支障が無くなるように監視業務だけは毎日しなきゃならんので、暇といえば暇なんだけどね。

ちょこちょこと、ごく小さなトラブルは(作業員同士の喧嘩等)あるけど、まあ平穏無事だろうな、この異星の環境だと。 最終資料に、この開拓団・開発団の規模が大きくなったら、色街・酒場エリアを作るように進言しておこう。
ここの開拓・開発環境には、まだまだ娯楽(酒や異性を含む)が少なすぎるんだ。
聖人君子の集まりじゃあるまいし、野郎ばかりの環境じゃ精神的にささくれだってくるからな。

こちらでの仕事が一段落したため、気になってる木星調査団の小規模テロ活動について、こちらへ極秘メールが回ってきたので、そちらの解析にうつる。
メールの内容は俺の指示前のテロ活動(と思われる事件)数と指示後の事件数の比較表である(細かい注釈はついているが)これを解析してみると、なるほど俺の指示を真面目に検討・実行したようである。 
目に見えて事故やサボタージュ、テロや破壊活動になりそうな大きなものは数が減少していた。
人員も心理的な罠が功を奏したか、幾人かは立場が急落していた。
こいつら全員がテロリストだとは俺も思わないが何らかの悪事に関わっていることは間違いないだろう……

あるいは過去の悪事を逆手に取られて脅されたのかもな。
俺は木星調査団の団長宛に暗号メールを送っておく事にする。
内容は今までの対策を続けること、そして今以上にテロリストたちを刺激しないようにすること、の2点だけ。
とりあえずはテロ活動も縮小していくだろうから、あまり取り締まりを強行にするのも問題が出てくるだろう。
就業時間を終えると食事をとってから就寝までは俺の脳内鍛錬が主軸となる。

あまり脳内エネルギー(糖分ね)を消費したくないのでサイコキネシス等の派手な力の開発は自粛し、テレパシー等の受動的な力の開発が主となる。このところテレパシー受信は相当にレベルが上がったようで今の俺の状態は「聖徳太子」そのもの。
数10名の意識内容が手に取るように読める (まあ、まだ表層意識だけで相手が抵抗しなくても表層意識より深いレベルの意識は読めないのだが……で、 相手が緊張したり抵抗する意思があると当然、表層意識も探れない)
発信に関しては近くにエスパーがいないため、確認すら出来ない。
ああ、中途半端な力に目覚めてしまったよなぁ……

監視と報告業務だけの退屈な毎日が数カ月……
しかし、それも今日で終了!
日報と業務指示書に終了の確認印を貰い、現場を後にする。 まあ前日の夜は俺の追い出し会(飲み会)で盛り上がってしまい、皆さん宿酔い(ふつかよい)状態ではあったが。

まあ今回も良い仕事したと自分でも思う。
なんにせよ重大事故を未然に防ぐ手伝いが出来たことで、開拓や植民の助けとなったのは事実なんだから。でもって、イオの仕事が終わったらカリスト。
他にも木星の衛星はあるんだが開拓や移民(植民)が可能と思われるのは、この2つくらいだ(後は色々と難点が……)
まあ数百年後くらいにはアステロイドベルトも含めて開拓と植民が可能になるだろうが、その頃まで俺の寿命がもつだろうか……

閑話休題
カリストもイオと同じく小規模事故があったようだがイオでの対策を全ての現場で行っているので、今では注意すべきことの範囲に収まっている。
ここで俺の仕事は業務監視と安全対策の徹底指導、そして現場の不満の吸い上げだけ。
またたく間に数カ月が過ぎて業務終了となり、ここも引き払う事となった。

ちなみに俺の宇宙ヨットだが、とりあえずステーションで預かってもらっている。人工頭脳の電力は、ここへ来るまでの充電で、ほぼ数年間の消費電力をまかなえる程なので電力切れの心配は全くない。
ただし、ここへ来る途中の宇宙海賊(宙賊)対策も兼ねて、ちょいとした改造を宇宙ヨットに施すことにした。
何も武器が無いため、防衛用として業務用のレーザー発振器と、これまた業務用のレーザー増幅装置を2基ほど取り付けることにしたのだ。
本当なら防御用の反射板とか取り付けたいところだが太陽風ヨットで反射板は致命的だ (帆に反射したレーザーやプラズマ流が当たったら、帆が破れて航行不能になる。それだけは絶対に避けたい)
迎撃用ではあるが現場で廃棄する物を譲ってもらったので、ほとんど金はかかっていない。

まあ、取り付けとテスト用に帆を開くため、ちょっとした時間と資材は使っているが問題はなかった (迎撃時には帆を折りたたむ必要がある。それをプロフェッサ―と同調させないと自分の迎撃用兵器で自分の帆を撃ちぬくことになりかねない)これで地球への帰還時も問題はないだろう。
ステーションへヨットを帰還させる頃にはプロフェッサーが防衛用プログラムも書き上げていたので 俺は安心して木星本体への業務にとりかかることとなった。

さて、一番の厄介事が残る木星での派遣作業。
下手すると、敵とのガチバトルに…
は、決してならないけどね(そこまで命かけるほど、お手当ては貰っておりませぬ。 こちとら地球政府派遣ではあるが影の仕事なんだから給与も安いんだって! )
木星開発本社での就任挨拶と、あいも変わらぬ現場担当交えたブレーンストーミング。
ただ、こちらはサボタージュ事件のため、現場担当が全て信用できる人間だけじゃないのが厄介なところ。

会議は2時間ほどに及んだが、やはりサボタージュや備品・機材の盗難と紛失、 現場人員の行動把握が100%できていない点と、後は「開発というよりも秘境探検に近い状況」になる木星探査の進行状況が問題だと感じる。
現場とは一線を画す、本社の開発部長と探査課長とも、現状の把握と対策のために相談を装い、 秘密に会議してみたが、どちらも予定通りに進んでない工程表とのズレを気にしているようだった。

現在の時点でサボタージュに積極的に関わっている人物の特定と、その行動把握に、ようやく目処が立ったところなので何とも言いがたいが、 それまでの状況から少しは改善されたようである。
一応、管理職以上の信用できる方々には、

「サボタージュのリーダーが判明しても拘束や行動制限などしないように、泳がせなさい。こういう異星の開拓地で人間同士が争っても状況は悪くなるばかりだから」

と、何度も念を押していたから、力での対立構造には発展していないのが救いである。 今回ばかりは俺自身が現場へ出るということが困難なため (木星は巨大なガス惑星で、その重力と熱量は、とても気軽に外出できる環境ではない。 探査も開発実験も、すべて遠隔操作の木星環境に適した特製ロボットが行っている。 オペレーターはメインコントローラーと思考制御によりロボットを操っている)もっぱら書類の精査だ。

ただし木星は巨大なエネルギータンクのようなもののため、それまでのイオ・カリストとは異なり、 かなり食と住環境は良い(ここを快適にするために地球や火星から、どんどん資材と食料が送り込まれてくる。木星からは水素運搬船が、ひっきりなしに火星や地球へ向けて出発しているよ)

なんせ、ここの水素が無くなったら地球も火星もエネルギー的に干上がるからね……
おかげで、 かなりの量の糖分も補給できる事が分かり、久々に脳領域を省エネモードから開放して、通常モードへ。
ESP訓練も自重しない……

というのは実は木星に長年勤務しているとESP能力が発現しやすくなると言われるが、 その言葉が真実であると分かったからだ。初期のESPやサイコキネシス能力が発現している人たちの、なんと多いこと! 

ステーションですら1%以上、木星の現場担当に至っては10%近い人間に発現が認められるとのこと。
こりゃ何か原因がありそうだなと思いながらも現場の視察に出られない一種のもどかしさすら感じつつ、 俺は脳領域の久々の開放とテレパシーの強化訓練に日々を費やすのだった。
(それに伴い角砂糖と砂糖菓子の消費量が増えていったのはご愛嬌。まあ、エネルギーは脳で消費され尽くすから、太ることはないのだが)

あれれ?
すいません。
書類精査をやってて、ちょっと驚きの発見があったもんですから。
今日も職場で書類の精査、のはずだったんだよ、これがさ。
その日報や報告書の中に、ちょっと意外なもの、見つけてしまった。
まあ、俺でなきゃ分からないくらいの違和感ってのかな?
普通に書類整理してたら絶対に分からんわ。
 でもって、上長に申請して、俺は今、木星の海を飛んでいる……
というか、メタンの海を進んでいるというか。
表現が難しい。

ともかく、その、気になった箇所の報告があった地点へ急いでいるわけだ。
俺が気になったのは木星調査団(探査団だな、規模も目的も) の1人が書いた報告書の中に磁北や磁南極以外に磁気異常が顕著に認められた地点があるという書き込みがあったこと。
普通なら何かの液体金属物か固体金属の鉱脈だろうと思うが、この表現に引っかかるものを俺は感じ、その地点へ向かっている。

メタンの流れが強い箇所や超大型のメタンの渦があったりするので 位置測定用小型衛星(GPS)からの信号をメタン流予測システムからの至近予測データと合成して 危険なところを避けながらメタンの海を進んでいるわけだが。
正直に言おう。
俺のテレパシー能力に引っかかるものがあるのだ、その地点に。
事故なら、人間ならば救助要請を出さねばなるまい。
しかし、そんな、ごく最近まで未探査だった木星のメタンの海深くに人間がいたなら、そりゃもう死んでるだろう。

しかし俺のテレパシー能力が反応するということは、 それは何かわからないが生きているという事であり……
さすがに、ここまで条件揃うとオカルトじみてくる。
なんだろうか、この感覚。

地球標準語のテレパシーなら俺にも理解出来得るものだろうし、そうではない何か生物としてのヒトの本能に訴えかけるような、そんなテレパシーだ。
ずいぶん近くなってきた。
リスクはあるが、ここで脳領域開放と行こうかな。

《誰だ、あるいは何物だ?救助を求めるなら何とかしてやる。そうでなければ、その要望を示せ》

俺は、ここで訓練して、ずいぶんと強化されたテレパシーを送る。これで反応なきゃ気のせいだろうな、と思ってたら! 

《よ、う、や、く。み、つ、け、て、く、れ、た。あ、な、た、に、あ、い、た、い。 ワタシ、は、う、ご、け、な、い。エネルギー、が、た、り、な、い》

わお!返事あり!しかし、こりゃ人間とは随分と思考形態が違う生命体のようだな。言語の形態が完全に違う生物が無理やり人間の思考を真似たような感じを受ける。

まあ邪悪な思考じゃないのは感じたので『彼』(仮に、そう呼ぶ)のところへ行くことにした。 おお、ずいぶんと深いところにいるようだ。木星用の特製探査船じゃなけりゃ、とっくの昔に圧壊してるところだぞ。さあ到着。

《すぐ近くへ到着した。姿を見せられるなら見せてくれ。ダメならコミュニケーションだけでもとろう》

《わ、る、い、が、ワタシ、は、う、ご、け、な、い》

《エネルギーがないと言ってたな。欲しいエネルギーの形態は? 》

《で、ん、し、の、い、ど、う、に、よ、る、エネルギー、こ、う、か、ん》

ん?
電子の移動によるエネルギー交換?
あ、電気エネルギーじゃないか。なんとかなるぞ、それなら。

《どういう形でエネルギー補充をしてるんだ?それさえわかれば何とかしてやれるぞ》

《あ、り、が、と、う。か、ん、た、ん、な、の、は、ヒカリ、だ》

ははーん、太陽光発電装置みたいなもんだね。このメタンの深海じゃ、さすがに光は差さないか。じゃ、こちらの探査ライトを強くして、と。

《これで、どうだ?そちらの方へ光を放射したぞ》

《よ、わ、い、け、ど、た、し、か、に、か、ん、じ、る。も、っ、と、ち、か、く、へ、き、て、ほ、し、い》

まだ弱いか。まあ、メタンの海だから減衰は仕方がない。 では少しづつ進めるか……そろそろと、木星探査用シップを相手に向かって進める。 無機生命か有機生命か、まだ分からんが、こいつは人類初の知的生命体とのファーストコンタクトになりそうだ。

うぉっと!突然、相手が視界に入ってきた(レーダーじゃ撹乱されすぎて分からんのよね、ここじゃ)
この相手、無機生命でも有機生命でも無かった。
でかい!
馬鹿でかい宇宙船だ。それも人工的なテレパシーを使えるほどのテクノロジーを使って作られたもの。
どんな恒星、銀河を旅してきたのだろうか、こいつは。

まあ、とりあえず欲しいというだけの光を浴びせてやることにする。
燃料は、まだまだあるんで、しばらくは保つさ。

《あり、がと、う。すこ、し、かい、ふく、して、きた。きみ、は、わた、しの、おん、じん、だ》

《気にすることはない。侵略者で無い限り困っているものには手を差し伸べるのが俺の性格でね お礼に君の持っている知識を俺に分けて欲しいんだが》

《おやすい、ごようだ。もうすこし、したら、わたしは、うごける、ようになる。そしたら、ここをぬけて、うちゅうくうかんへ、でられる。そうしたら、きみに、おおきなおくりものを、あげよう》

《いや、そんなものを貰っても俺1人じゃ使いきれないさ。それより君の知識、地球人の知らない星の知識が欲しいのだ》

《ふふふふ、よくのないやつだな。まあいい、そのときになれば、このおくりものの、かちに、きづくだろう。おどろくなよ》

なんだろうね、その贈り物って。
俺は、その時は贈り物よりデータや知識に気が回っていた。
そう、知識やデータは、その贈り物に付随するものだと気づかずに、だ。

古代の巨大宇宙船は静かに動き出そうとしていた。
探査シップのサーチライトのみのエネルギーで、あの巨大宇宙船が動くんだ。
ものすごい効率的なものか、あるいは主たるエネルギーは別にあるのだが補助機関が動かないとメインエンジンが点火できなかったりするんだろう。
多分、補助動力の方だろうな、あの動きからして。

《ありがとう、もう大丈夫だ。ワタシは、このメタンの海を抜けだして、とりあえずこの星の周回軌道に乗ろうと思う。 君とは、いつごろ合流できるか?》

思考もテレパシーも流暢になったな。
俺の都合を聞いてきているが、

《少しの期間、周回軌道で待機していて欲しい。俺にも仕事があり、今すぐには宇宙へ出ることは出来ない。まあ、そんなには待たせないと思うけどな。ここでのトラブルが原因から解決したみたいだから》

《了解。では待っている。少々の時間、待機するなら平気だ。この海の底で数万年、待っていたのだから》

うぉっと、とんでもない待ち時間だった。
しかし、そこまで待たないと人類が木星に来ることもなかったし人工的に開発されたエスパーでもある俺が、ここへ来ることもなかったのだから。
では木星軌道で会おう!
と、一時の別れの挨拶を送り、俺達は別れた。

俺は木星開発機構の事務所へ戻ると報告書を書き上げる。
一応は本当のことも混ぜるが、まさか全くの異文明が作った超古代の巨大宇宙船が木星で起こったサボタージュ以上破壊工作未満のトラブルの原因だったとは、とても書けなかった……
あれは未発達のテレパスに向けての異文明の救助信号テレパシーだったのだが、どちらも相手のことを知らないでテレパシー送受信をしてしまったため、受けた人間の脳が救助信号だと認識せぬまま何か強迫じみた感情に迫られて行動したがゆえの勘違い行動だった。

しかし、こんな事実、そのまま書いても信じてもらえないので、テレパスの脳波を乱す異常空間が、なぜか存在し、それを強力なサーチライトで無効化したら全て解決って話に持っていった。
普通こんなの信じてもらえないが、俺には火星での信じられないが事実のトラブル解決の実績がある。
今回それで押し通そう。
物的証拠も何も残っちゃいないんだから俺の報告書と探査シップの行動記録だけが証拠だからな。
それから予想通り見事にサボタージュも備品盗難も破壊工作もどきも無くなった、綺麗さっぱりゼロ件だ。
予定通りの日程で木星企業での仕事は完了する。
今回、どえらく高評価されてしまい、ぜひとも木星周辺の企業代表として残ってほしいと、すっごい上の方たちからも要請されたが、俺は残念ながらと断った。

まあ提示された報酬額と待遇に少しは心が動いたんだが、それよりも、あの古代宇宙船に心を奪われていた俺がいた。
もう、俺の関心は木星にはない。

今現在、木星軌道上にあるであろう古代宇宙船とランデブーする事だけに心は向かっていた。
木星のステーションに預けてあった宇宙ヨットを受け取り、俺は再び宇宙に飛び立つ。
久々に宇宙ヨットが美しい帆を張り制御を司る人工頭脳が目を覚ます。

「よっ、久々だな、プロフェッサー。早速だが俺が今から言うポイントへ行ってくれ」

「お久しぶりです、わが主。その指定されたポイント、何も探知できませんが、よろしいのですか? 」

「ああ。そこで待ち合わせしてる奴がいるのさ。さて到着してから驚くなよ」

「驚くような感情、私は持ちあわせておりませんが。コース変更、完了しました。木星軌道の指定ポイントへ向かって発進します」

宇宙空間だけに音もなく宇宙ヨットは華麗に太陽風を受けて進みだした。
もうすぐ彼に会えるぞ。どんなデータや知識を持ってるんだろうな?
今からワクワクだぜ。

ちなみに今の俺は脳領域開放中。
木星での仕事終了時に糖分や食料を、ごちゃまんと買っておいたのだよ。
まあ別ブロックでヨットに繋げてあるから、すぐには手に取れない状態ではあるが当分は食料や脳の糖分補給に影響はない。
さすがに宇宙空間で、この距離でテレパシーが届くとは思えないが……

《ようやく会えるか。待ち遠しかったよ》

おっ?おお、彼のテレパシーは届くか。当たり前だな。出力が違いすぎる。もしかして受信の方も段違いか? なら、

《俺の思考、届くかい? こんな遠距離、届くかどうか分からないが》

《届いている。はっきり受信できるぞ。君のテレパシーは私の昔の主人達並である。 とても強い。君は君の周りにいた同種の生命体と同じとは私には思えない。それほど君の力は強く感じる》

《まあ、それには理由があるんだがな。ま、詳しいことは、そちらとランデブーしてからだ。ところで、こちらの宇宙ヨット収容は可能かい? 》

《それなら安心して欲しい。格納庫も充分な広さがある》

しばらくして指定ポイントが見えてきた。
確かにプロフェッサーが言うように何も存在しているとは思えない……
が?!

目前の空間が揺らめいたと思ったら見たこともない物が現れた。
そいつはクジラのようにパカッと全面の開口部を大きく開け、そこへ止まりきれない宇宙ヨットは飛び込んでいった……
俺の記憶は、そこで止まっていた。
次に目を覚ました時は見たこともない医療施設の中で医療ベッドの上にいた……

「ここ、どこだ? 」

俺のつぶやきに、どこからか音声メッセージが応える。

「ここは宇宙船の中。医療室です。身体に異常は見られませんでしたが意識が戻らなかったため、こちらへ運んで経過観察となりました」

ああ、医療室か……って!?

「もしかして、ここは木星のメタンの海に沈んでいた古代宇宙船の中か? 」

「はい、あなたに見つけていただき、救ってもらった宇宙船です」

「そうか……えらく大きいな。メタンの海に沈んでいた時よりも大きいような感じを受けるのだが? 」

「はい、その通りです。 元来、今の大きさよりも大きかったのですが、この惑星、木星と言う名でしたか、 ここに沈んでしまいエネルギーに事欠くようになってしまいましたので緊急事態で船体そのものをエネルギーに変えていたのです。 効率は最悪でしたから、あそこまで小さくなってしまいました。 今は木星のメタンを吸収して船体拡張中ですが、 あと10万年くらい沈んでいたら中枢部だけで緊急浮上しなきゃいけない事態になっていたと予想されます」

あ、中枢部だけなら自分でもなんとか浮上できないことはなかったんだね。
まあ、そうなったらなったで、ちょいと厄介なことになってたような気はするが。

「で?俺を宇宙ヨットごと飲み込んでくれたわけだがヨットはどうした?」

「ちゃんと格納庫に保管してますよ。ドッキングベイも規格が合わないので仕方なく、こちらが収納する形になりました」

あ、そうでしたそうでした。
異文明の産物が地球の規格なんか知るわけがないよな。
まあよかった。

「お目覚めになられましたら、どうぞコントロールルームまで、お越し下さい。我々のボスがお待ちです」

お、そうだな。

「彼が待っているわけか。急いでいくよ。案内は?」

「部屋を出ますと矢印が表示されます。その通りにお進み下さい」

シュッ!と自動ドアが開くと通路に矢印表示が浮かび上がる。
その通りに進んでいくとコントロールルームだろうと予想されるドアに突き当たる。
中に入る。

「ようこそ地球人の恩人よ。私は、この宇宙船の頭脳体、?&%$と申します」

あ、人類には発音不可能な名前ね。

「君の名前は理解できなかったよ。俺の名前は、楠見糺だ。よろしく」

「失礼しました。地球人には発音不能の名前ですので出来れば、あなたの好きなように名前をつけていただきたい」

「ああ、良いよ。では、フロンティアなんてのはどうだ?未踏の開拓地とか開拓者という意味だが」

「いいですね、では、これから私のことは「フロンティア」とお呼びください、新しいマスターよ」

「おい?!いつから俺が、君、と言うか、この宇宙船の主人になったんだ?!そんな話、何も聞いてないし承諾もしてないだろうが?! 」

「おや?データや知識が欲しいと言われたのはマスターですよ。マスター権限がなければ、この船に蓄えられた、およそ300万年分の知識や様々な銀河、恒星、惑星や生命体のデータ等は 閲覧もコピーも不可能です。それに、さっき貴方はこの船を命名しました。 立派にマスターと認識されてますよ。もう生体認証も済んでいますから」

おーい!当人の了解も得ないで何をやってくれてんだよ、おい。
まあ、でもな。
昔のビブリオファイルで、こんな宇宙船を駆って無限の大宇宙を縦横無尽に駆け巡るってのが夢ではあったんだよな。
無限に広がる大宇宙……
とか、
宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である、とか……

えーい!ここは腹をくくるしかないってか。こんな降って湧いたようなチャンス!掴まなくて、どうするんだよ、俺?! 

「よし分かった。俺はマスターとなる。では早速、この船の乗員リストと、詳細な積荷リスト、様々な星図やデータの管理状況とが知りたい」

「はい、マスター。了解しました。しかし、この船に乗員はいませんよ?いわゆる生命体という意味ですと」

「は?乗客がいないのは理解できるが乗員がいない?そりゃ、どういう事だ?」

「文字通りの意味です。これは銀河団の調査用に造られた特別製のロボット宇宙船なので 生命体用の治療室は用意されてはいますが乗組員としての生命体は存在しておりませんでした。マスターが乗船される前には」

「はあ、銀河団用の調査船……それはまた気の長い話だね。この船を作った文明は、よほど気の長い生命体だったんだろうね」

「はい、ケイ素生命体でしたからね。個人の寿命としては数千万年から数億年。あまりに高熱ですと死亡しますが、宇宙空間や1000度以下の熱量でしたら支障なく行動可能な種族です。まあ、タンパク質を起源とするマスターのような種族からすると生命体とは思えないほど動きに差がありますが。だいたい、速度差は一万倍になりますかね」

うわ!
岩石生命体の文明が作った宇宙船かよ。
そりゃ、恒星系とか銀河内部の探査なんか考えんはずだね。

「ケイ素生命の文明が造ったにしては、これは俺達のようなタンパク質生命体に適してる構造になってるんだがな。どういう事だ?」

「それは、この宇宙船の基礎設計図を作成したのがタンパク質生命体だからだと思われます。ケイ素生命では設計するにも数万年単位で時間がかかりますからね」

「あ、そういうことね。俺達がCADやCAIを使うような感じで、彼らからすると、あっという間に宇宙船の基礎設計ができるようなものなんだろうな」

「まあ、乗員のことを考えないとは言っても救助等は機会があるでしょうからということですね。ケイ素生命の文明は非常に珍しいそうで、今までに私も別のケイ素生命体の文明には出会っていません。今まで300万年探査してきましたが機械生命体の文明やタンパク質生命体の文明ばかりでした」

おおお!
その言葉、太陽系の人類全てに聞かせてやりたい!
大宇宙はな、生命に満ち溢れているんだぞぉ! 

その後、色々と話し合った結果、まずは太陽系文明のことを知ってもらおうと放送波の受信を促す。
あとは俺の宇宙ヨットに搭載されている人工頭脳、プロフェッサーとのデータ交換を許可する。
後は……
まあフロンティアが地球と太陽系文明の事を詳しく知ってからでいいか。
腹が減ってきたので宇宙ヨットに積まれている食料を食べようとしたのだがフロンティアが宣言してくる。

「マスター、そんなジャンクフード食べなくても、こちらで食料や糖分は摂取できます。味覚も現在の放送波受信でレパートリーは確実に増えつつありますから、こちらの船内で食事をお召し上がり下さい」

ケイ素文明の宇宙船だから石の塊でも昼飯に出てくるかと思いきや美味そうなカツ丼が出てきた。
おいおい、こりゃ地球以外じゃ火星の高級リゾートホテルで食えるかどうかって味だ。

ってなわけで、木星から持ってきた糖分や食料はフロンティアにて元素に戻されることとなった。
無駄にはしないのが宇宙で生きる鉄則だ。
今からでも太陽系を離れることは可能らしいがフロンティア自身が地球の文化に興味が出てきたので、しばらくは太陽系に留まると言ってきた。
どうも今までの文明探査業務で、こんな極端な個性を爆発させたような文明は無かったと言われたよ。
喜んでいいのか、これ? 

20世紀なんて大昔から存在するインターネット技術も、フロンティアに言わせるなら、もっと昔から存在してていてもおかしくない技術なのだそうだが太陽系では、 その使い方が変わっているらしい。
通常は、ある程度の規制をかけつつ、市民や政府、軍の3つのコミュニケーションをとり、 または簡単な地域コミュニケーションの手段として争いの解決やトラブル解消に使われるのが普通なんだそうだ。
太陽系文明のように、こんなグローバルネットワークに規制もかけずデータのセキュリティすら考えないものが、 そこらへんに放ってあるようなものは見たことが無いようだ。
それでいて無政府状態にもならず、かと言って争いも無くならず……
この文明が何を目指しているのか当方には理解不能です、と結論づけられてしまった。
文明の当事者の1人として答える言葉など、あるわけがない。
その混沌そのものが人類の文明を発展させてきたようなもんだからな。

あらゆるレーダーや探査手段を無効化するステルス技術を持つフロンティアは興味の最大対象、地球へ向かい、情報収集を続けた。
月軌道どころかスペースコロニーの軌道にまで近いとこに俺達の船はいる。
こちらから、たくさんの客船や貨客船、貨物船がコロニーやら月やら地球への軌道エレベータステーションまで 雑多な混雑状態で行き交っている。
このまま、しばらくは情報収集だな。

あ、忘れてた。
太陽系を去る前に色々、仕事やプライベートに決着つけなくては。
フロンティアに一度、地球へ戻って太陽系にサヨナラできるようにしてくるというと了解の一言で送り出された。

すごいね、フロンティアの搭載艇は。
俺の宇宙ヨットのサイズより小さいが、個人用の宇宙艇としては最高装備に近いものがあるぞ。
操縦系も、ほとんどロボット化されているが手動にもできる。
その場合、思考で思うとおりに動かせるという、ある意味、理想の宇宙艇だ。
FTL(超光速)駆動系こそ無いが、それ以外には、ほぼ光速に近い速度で航行できるし航続距離は1光年近くあるし。

ともかく、こいつでステルスしながら俺は軌道エレベータへ到着する。
ちなみに、不審がられるといけないので、フロンティア宇宙艇に俺の宇宙ヨットを接舷させて、見た目には宇宙ヨットで軌道エレベータまで来たように見せかけている。
通常は宇宙ヨットの帆を折りたたんで駐機所へしまうのだが、俺は、あえて帆を畳むだけで軌道エレベータへ止めたままにする。

またすぐに戻ってくるからと言うことで駐機所の無駄な料金を払いたくないためだ。
そのまま軌道エレベータを降り、懐かしの地球へ降り立つ。
すぐに最終結果を携えて会社へ直行。でもって用意していた辞表を社長へ叩きつける。

「な、なぜだ。なぜ辞める?君の実績なら、もっともっと仕事には困らないのに。 木星企業からも火星企業からも、もう一度、今度は数年契約で来てほしいと懇願されているのに……」

と愚痴られたが、さすがに準ブラック企業で、これ以上働く気はない。

「宇宙ヨットで太陽系の果てまで行ってみたくなりましてね。さすがに地球にサヨナラしないと、こういう事は出来ませんので」

と、取ってつけたような理由で辞める。
会社も、あまりに激務で働かせていたのを理解しているために、あまり俺に強く言えないのを見越しての行動である。
会社を出ると、今までのホームにしていた部屋を解約する。
月極契約なので余った日数は請求しないことにして契約解除と前金を返却してもらう。

荷物は少なかったけど古いビブリオファイルなどのデータが入ったチップが大量に出てきたな、掃除が終わったら。
まあ、こいつは宇宙へ持って行くことに決定。
政府の方にも、仕事をやめて太陽系を探検しますと言うと、

何を言い出す?! 
と言われたが、このまま仕事だけで人生終わるより、好きなことやりたいんですっ、と強引に政府調査官の仕事も公式に辞める。
さて、と。これで俺のしがらみは無くなったぞ。
色々なところからの退職金みたいなものが振り込まれたので、それで最後の贅沢とばかり、友人たちと馬鹿騒ぎに興じる。
そのついでに太陽系を遠くまで探検するという計画を話す。

引かれた。
分かってたさ、こうなることくらいは。
もういい年なんだからバカなこと考えないで、この金で事業やれよ! 
とか、
俺の仕事手伝わないか? 
腕のいいエンジニアが欲しかったんだよ。

などと誘われたが、こちとら、もう太陽系などに未練は無いんだよ。
笑みを浮かべながら、またいつか戻ってくるから、その時には馬鹿騒ぎしよう!
と言葉をかけておく。

ふっふっふ、今の俺にはフロンティアという、とてつもない船があるんだよ。
銀河系どころか、それを超えて銀河団の宇宙空間へ行くことも可能な性能の宇宙船がな!
とは言え、そんな事、口が裂けても言えないので微笑むだけにしておいたがね。
次の日、政府の役所へ行って当分は地球へ戻らない事を告げ郵便物も全て送り返してもらうように言う。
住所も、もう引き払ったからと言うと、

大丈夫か? 
と言われたが宇宙暮らしが普通になるので、と言うと納得された。
さて、と。
軌道エレベータに乗り、宇宙ヨットにいそいそと乗り込む。
帆を張り、出港準備が整うと、俺は地球を離れる。

地球管制から離れないと疑惑を抱かれるため、フロンティアには回収地点を遠目にするように指示する。月軌道を離れてしばらくすると、フロンティアが回収に来てくれた。

「ただいま。さて、これからは俺の拠点は、この船だ。よろしく頼むぜ、相棒!」

「了解です、マスター。ところでマスターの宇宙ヨットの管制用人工頭脳ですが」

「ん?なんだ、プロフェッサーの事だな。それがどうした?」

「人類文明としては、かなり高性能な物ですが宇宙ヨットでは、これからの使い道が限られます。私の管理しているボディに載せ替えたいのですが許可を頂きたく」

「そうだな。あれほど高性能な奴、使わずに放っておくのももったいない。いいぞ、自由に動けるボディを与えてやってくれ」

「ありがとうございます、マスター。では数時間後に」

おう、あのクラスの人工頭脳を載せ替えるに数時間か……
まったく、どれだけ高性能なのやら、この船は。
ステルス状態で地球文化を学びながらフロンティアは、それから数日の間、月軌道の外側で待機していた。
数日後、フロンティアが地球に代表される太陽系文明の学習は完了したと告げてくる。
俺は船に対して命令を与える。

「では、このまま太陽系を離れる。余計な混乱を与えないように、ステルスモードで静かに、しかし、なるべく速く、な」

船が動き始める。
木星に沈んでいた時より倍以上の大きさになっていた。
これで、まだ本来の大きさではないらしい。
これからは宇宙塵やデブリ等の排除を兼ねて、これらを吸収しながら船体を拡張していくそうだ。
俺の新しい旅、いや、人生が始まった。


俺は今、あっけにとられている。 今までは様々なデータの閲覧や俺自身へのデータコピーなどをコントロールルームで全て行っていたため、確認しようが無かったといえばそれまでだ。
しかし、これは無いよな。
今までの宇宙ヨットの生活環境って何だったの?の世界である。
これ、ある意味、太陽系一周旅行に使用される超大型客船よりも贅沢なんじゃないか? 
俺の目の前には、とても宇宙船とは思えない豪華な地球ホテルの一室のようなプライベートルームがあった……

「一つ聞きたいんだが、フロンティア」

「はい?何でしょうか、マスター」

「これ立体映像じゃないよな?現実の宇宙船の一室だよな?」

「はい、マスターの見たまま。これでは装備が貧弱でしたか? やはりバスルームは立体映像を存分に駆使した宇宙温泉の雰囲気にすべきだったでしょうか」

「いや、あのな。そう云う意味じゃなくてな。あまりに豪華な一室だと言いたかったんだよ。どうみても宇宙船から想像される部屋じゃないだろ、これ」

「いえいえ、マスター。私の主目的をお忘れか?銀河団空間の調査ですよ。 あまりに何もない宇宙空間が連続して続く旅路には、このくらいの遊びがないと体調や精神的におかしくなる場合が多いと私のデータにはありますので、 初めて作りました提督室には、こういったものを装備させていただきました」

「おや?俺が提督?マスターってことは船長、あるいは艦長と呼ばれるべきだと思うんだがな」

「はい、これも考慮の上です。マスターには今後の進路を初め、我々では判断できない事態に陥った時に即決の判断を下していただきたく。そこで船の航路設定や操縦、交戦等の実務からは離れたものとさせていただきました」

「まあな、俺がやろうとしたってロボット船が自発的にやる航路設定や操縦は俺にできるものじゃないからな。よし了解した。ただし俺が自発的に口を出すこともあるからな。象徴とか、お飾りは趣味じゃないんだ」

「はい、分かっております。その生体としての判断が我々には難しいので、そこを補っていただけるなら幸いです」

「よし、これで、とりあえず俺の地位も決まったと。じゃ、過剰装飾は取っ払ってくれないか、フロンティア」

「えーっ?余剰の未稼働ボディを総出で作業しましたのに……」

「俺は大金持ちでもなきゃ貴族階級でもないの。普通の一般市民なんだから、こんな部屋じゃ逆に肩が凝るんだよ。今までに放送波で学んだ一般市民の部屋に酷似させてくれ。それだけでいい」

「わかりました、マスター。では、即時、行います」

「頼んだよ」

ラ○ホ○ルか、あるいは5つ星ホテルの最上級スイートか、と思われるような部屋は、あっという間に普通の部屋になった。
広さは段違いだが、それは昨日まで俺が住んでいた地球のアパートの一室に酷似していた。
いいんじゃないか、これ。
俺は地球から持ってきた記憶チップを備えつけられた収納箱に入れるとベッドに横たわった。
これから、とんでもない体験が次から次へと……
ワクワクだ。
想像しているうちに眠ってしまったようだ。
爽快な眠りは久しぶり。
起き抜けも体調がいい。
さっそくコントロールルームへ行く。

「おはようさん、フロンティア。異常はない、みたいだな」

「はい、マスター。しかし、今の挨拶は宇宙空間では如何なものかと思われます」

「朝も昼も無くて、夜ばっかりだからな、宇宙ってのは。 まあ惑星出身者だから、こんなもんだと思ってくれ。 どうせ地球の24時間サイクルには戻れないんだし、寝るときは「おやすみ」起きたら「おはよう」にしようぜ」

「まあ、こちらはそれで構いませんが。あ、そう言えばマスターの宇宙ヨット制御用の人工頭脳ですが、もう移設は完了しました。マスターの起動を待つばかりです」

「お、プロフェッサーが自立できるわけだな。さっそく行ってみるか」

工房のような一室へ向かうと人間大のボディに組み込まれたプロフェッサーが金属台の上に乗っていた。
俺は、おもむろに宣言する。

「起動せよ、人工頭脳。ほら起きろプロフェッサー!」

「今までの船体とは微妙に反応速度が違いますね。こちらのボディのほうが命令に速く反応できるようです。わが主、私は宇宙ヨットでは無くなりましたが、あなたの近くにいることが出来て喜ばしいです」

「プロフェッサー、俺もだよ。さっそくだが、この船、フロンティアとネットワーク接続して互いにデータ交換してくれ。 今の状況を知るのは、それが一番手っ取り早いだろう」

「はい、理解しました。では、相互接続開始」

「マスター、今からは結構な時間、1時間ほどかかるかと思われます。食事を摂取して来られては如何でしょうか?」

「お前の言語、間違ってはいないが、まだ単語の選択が変だぞ。まあ、プロフェッサーとデータ交換すれば、そのへんも落ち着くだろうけどな。じゃあ、朝飯に行ってくるわ」

朝食を済ませて余った時間でコントロールルームへ。
もうすぐ海王星軌道を抜けるところだった。
後は惑星連合に入れてもらえなくなった冥王星とオールト雲の彗星生誕地帯を抜けるだけだ。
さて、ついに太陽系を抜ける時が来たぞ! 

数時間後、俺達は本当に太陽系の外れに来ていた。
半光年くらいの距離か……
太陽系に属すると思われる微惑星(冥王星クラスのもの)が俺達の数万キロ先にある。

さすがに人類の科学も、この微惑星には伸びていない。
この星に人類が立つのは、いつになるだろう……
俺は、そんなことを思いながら微惑星が眼下を過ぎていくのを眺めていた。
さて、これからの進路を決めないと。
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