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SAGE

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序章

pt13

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ピロピロりんー
ピロピロりんー

「もしもし、セージ?おはよう」
「おぉ、おはようがざいます。なんかあったの?」
「ああ。ちょっと・・・困ったことっていうか。ヤバイことっていうか・・・」
「うん?なんだ?珍しいなぁー君がそんなに困ってるなんて」

あ、先に言っておくけど、セージはメンバーに対してこの距離感で話すから。
別に変じゃないんだよ。
ただのオタクなんだよ。

「なんて言ったらいいかわからないんだよな。あまりに突然で、突拍子もない出来事だったから。俺自身も未だに信じられない事なんだよ。」
「へーー。またどっかの社長さんとお友達になっったとか?世界屈指のギタリストとお友達になったとか?」
「いや。それすらも生ぬるく思えるほどに非常事態だ。・・・。」
「ん?」
「落ち着いて聞いてくれ。今から言うことはマジだから。」
「わかってるよ。何が起きたんだよ?」
「昨日、ZOZOの荷物を何回も受け取ったんだ。。。」
「ん!?ってことは!うっかり何個も注文しちゃって借金まみれってことか!」

リアクション早っ!

「いや違う。何度も同じように届いたんだよ。」
「え!?ってことは!物が違うからって断ってんのに、ドライバーさんが嫌がらせするように何度も届けに来たってことか!それは本社にクレーム入れるレベルだぞ!」

・・・。
ちがう。違うんだよセージ。
俺の説明にも問題あるかもな・・・。
同じメンバーであっても、ここまですれ違うことがあるんだな。
でも今回の件は仕方がない。
人知を超えた現象だからな。

「・・・。どうしたアーク?黙り込んじゃって」
「いや。今考えていたんだ。昨日起きたことをきちんと伝えるにはどうしたらいいかってことを」
「そうかぁー、俺の予想違ったかぁー」

セージは連想ゲームかなんかのように楽しんでるみたいだ。
もちろん俺は必至だ。

「セージ。これから昨日起きたことをありのままに話すぜ。俺は昨日バイトから帰った後、ZOZOの再配達を受け取った。で、ギターを弾いていたらまたインターホンが鳴ったんだ。で、出たらまたZOZOの再配達だった。しかも時計を見たら、時間が戻ってたんだ。」
「・・・。」

・・・。
返事がない。
ダメか。
狂ってると思われたかもな。
冷やかしてると思われたかもな。
もしかしたら、怒ってるかもしれない。
俺の声のトーンはいたってマジだったはずだ。
それも相まってドン引きしたかもしれないな・・・。

「なるほど。それ、深夜アニメで見た事あるぞ」
「ふぇ?なに?セージくん?」

俺が今年一番の間抜け声を出した瞬間だった。
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