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SAGE

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序章

pt14

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俺はセージにマジギレされると思っていたが、予想は見事に外れた。
まるで「これ、真剣ゼミでやった事ある」みたいなセリフを吐いてきやがった。
しかも、ちょーーーマジなトーンで。

いや、ある意味助かったのかもしれない。
例えばこの話を叉市や哲平にしたところで、「ざけてんのかっ!」って一喝されてもおかしくないレベルだ。
バイト先の人に話したら、気が狂ったと思われるかもしれなかった。
ましてや家族になんて言ったら、「すぐに帰ってこい」なんて言われかねない。

しかしこのセージという男。深夜アニメと同じ次元で会話を始めようとしていやがる。
もしかして、ふざけてるのか?
逆に俺をおちょくろうとしているのか?
セージよ、これは深夜アニメリアルタイム実況のオフ会じゃ無いんだぞ。
俺がセージに対して疑心暗鬼になっているところに、彼はさらに話を続けてくる。

「ちなみにそのループは何回繰り返した?」
「え?えっと、、、確か3回かな?」
「なるほど。俺が知る限りのケースでは、一番最悪なので15498回ループしたはずだ」
「は!?」
「ちなみに。アークは自分がループしていることに気がついてたんだよね?」
「まぁ。そうだね」
「つまり、記憶は残されていると・・・。となると、このパターンは。何か明確な発動条件があるな」

なになになに!!!???
なんなの!?
妙に頼もしいんですけどこの男!
っていうか、俺がループしていることに対してなんの疑いもないわけ?
それってどういう人間よ!?
俺はこんなとんでもねぇ男とバンドを組んでいたのか!

「は、発動条件?」
「そう。俺が知る限り、なんかテキトーに叫んで思いっきりジャンプしてみたり、電子レンジを改造してからメールしてみたり」
「え?電子レンジが何?」
「とにかく。様々なパターンがあるが、きっとアークにもそういった何かがあるはずだ。もっと細かく思い出してみてくれ、昨日の行動を」
「うーーーん。はっ。確か、ギターを奏でたらピンポンが鳴ってたはずだ!」
「それだ!多分それだ!きっとアークがギターを弾くと時間が戻るんだ!よし!ちょっとやってみて!」

は!?
何をいってるんだこいつは!
完全に人ごとで楽しんでるな!
超常現象に巻き込まれることの怖さを全くわかってねぇ!

「いや、ちょっとそれは。。。マジで怖いんだけど。」
「アーク。これはやってみないと確認もできないんだ。この話が本当ならもう一度アークと俺はこれについて話さないといけない。確かにめんどくさいかもしれないんだけど、そこは頑張って欲しい。」

「いや、俺が嫌がってる理由はめんどくさいからとかじゃなくて・・・」って言おうと思ったが、このセージという男はいつも話の軸が微妙にずれているところがある。
その軸を動かすことは、地球の自転軸を変えるが如くに難しい。
もしやこの男、実はそこまでこの話を信じてないな。
まぁ仕方のないことか。。。

つまりこれも宇宙の采配なのだろう。
俺は諦めてギターを手に取った。

「よし。今から弾くから。弾くからね!」
「どうぞどうぞ」

ドクン
ドクン

8:22

俺は緊張しながらCコードに手を添えた。
そして。

ジャーン

・・・。
・・・。

・・・・・・・・・。

「アーク。どんな感じ?」

あれ?

俺のスマホから出るセージの声が虚しく響き渡り、わずかに残る美しいCの音色と混ざり合った。
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