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兄が亡くなって1週間が経った頃。
私は仕事も長くお休みがもらえていたので、実家の片付けなどを手伝っていた。
花もどんどん減ってきて、空になったスタンドが縁側の横に並ぶようになった。
100均でオアシスとゴミ箱を買ってきて、残った花を次々生ける。
おお~♪まるでお店で買った花籠のように立派じゃないか。
仏壇の前に置いてみる。
いい!すごくいい!
1人勝手に酔いしれる私。
花が減ったと言えど、このゴミ箱は左右に3つずつ、計6コあるのだ(照)
まだまだたっぷり残ってる。生けがいがあるなぁ。
専門学校の時にお花を習った事があるが、何流だったかすっかり忘れてしまった。
そう言えば死んだ兄も、なんたら流って生花やってて自慢してたっけな。
免状持ってたような気がする。
興味がある事は何でもやる多才な人だった。
だから戒名には『才』と言う字が入れられている。
いいなぁ。才能かぁ~。
私は…うーん…
なんて言葉を入れてもらえるだろう?
うーん…
どうでもいい事を考えながら 花の位置を整える。
葬儀後も、友だちや新聞で事情を知った人たちが、次々と実家を訪れた。
義姉は接待に忙しい。
胸中はとても切ないだろうな。
自分がその立場だったら 辛すぎて人と話なんて到底無理な気がする。
ああ見えて、義姉は芯の強い人なんだろう。
すぐ泣くけど。
用事を思い出して一旦家に戻る。
玄関を出て 石段を登り切った時の事だった。
実家から下の古い家に向かって1人の男性が歩いていた。
前にも述べたが、下の古い家は、バンドの練習場だった。
誰だろう。バンドの人?
ジーパンに黒い長袖のシャツ。腕は途中まで捲っていた。
左手はジーパンのポケットに、右手にはタバコを持っていた。
兄に似ている。
近づこうとすると、すーーーっと消えて行った。
そこには何となくタバコの残り香があった。
何これ?夢?幻⁉︎それとも現実⁉︎
鳥肌が立ったのを今でも覚えている。
急いで実家に行き、義姉に話した。
義姉は慌てて靴を履き、勢いよく玄関を飛び出して行った。
「待って!もういないよ」
なんて耳に入っちゃいない。
「何処にいたの?」
義姉はキョロキョロと兄の姿を探す。
「こっから下の家に向かってスーッと消えたんだよ」
今度は古い家に行く。
もちろん人影などない。
「いいなぁ。お兄ちゃん見えたんだね。いいなぁ」
泣き出す義姉。
「でもお兄かどうかわかんないよ?お兄が真っ黒なシャツ着てるなんて見た事ないし」
そう、兄は青とか白とかサーモンピンクとか、どちらかと言えば爽やか系の服が多かった。
黒なんて 見たことないなぁ?
義姉はさらに驚く。
「待って!黒いシャツ?」
「ウン。長袖の。腕まくりしてたよ」
「ちょっと待ってて!
またまた義姉は実家に向けて走り出し、2階に駆け上がって行った。
一体何やってんだ?
しばらくするとドタバタと駆け下りて来た。
その手には何と!『黒い長袖のシャツ』⁉︎
「これじゃないですか?」義姉が言う。
「ゲッ⁉︎どうしたのこれ」
確かにこれだ。
「お兄さんが亡くなる数日前に、これがいいって買ったんですよ!」
まだタグや値札が付いていて、袖も通していない新しいものだった。
「いつもなら青とか買うんだけど、珍しくこれがいいって。これ探してたんですかね?」
いや探してたって言うか、すでに着てたって言うか。
義姉はそれを持って仏壇に行き
「ごめんね、これ探してたんだね。ここ置いとくから」
と言いながら、綺麗にたたみ直して畳の上にそっと置いた。
こんな偶然ってあるのかな。
いやいやいや
ちょっと怖すぎるんですけど~(汗)
でもあのタバコの仕草、ポケットに突っ込んだ手。歩き方。
どう見ても兄だった。
「ギターの練習しに行きたかったんですかね?あそこにも食べ物置いとかなくちゃ!」
何だか義姉が生き生きして見えた。
「え?食べ物?やめときなさい!」
誰もいないとこに食べ物なんて、ネズミでも出て来たら困る(汗)
嬉しそうに冷蔵庫に向かう義姉を引き留める。
嬉しそう?
ああ、そうか。
兄が姿を現したのは
義姉に笑顔になって欲しかったから?
泣いてばかりいないで、少しは笑えって。
兄からの優しいメッセージだったんじゃないか?
きっとそうだ。
思い返すと私は怖くて笑えないので、
今度はもうちょっと別の方法での登場をしていただきたい(汗)
この時の黒いシャツが、また新たなヒントになっていたことに気がつくのは
もう少し先のことである。
私は仕事も長くお休みがもらえていたので、実家の片付けなどを手伝っていた。
花もどんどん減ってきて、空になったスタンドが縁側の横に並ぶようになった。
100均でオアシスとゴミ箱を買ってきて、残った花を次々生ける。
おお~♪まるでお店で買った花籠のように立派じゃないか。
仏壇の前に置いてみる。
いい!すごくいい!
1人勝手に酔いしれる私。
花が減ったと言えど、このゴミ箱は左右に3つずつ、計6コあるのだ(照)
まだまだたっぷり残ってる。生けがいがあるなぁ。
専門学校の時にお花を習った事があるが、何流だったかすっかり忘れてしまった。
そう言えば死んだ兄も、なんたら流って生花やってて自慢してたっけな。
免状持ってたような気がする。
興味がある事は何でもやる多才な人だった。
だから戒名には『才』と言う字が入れられている。
いいなぁ。才能かぁ~。
私は…うーん…
なんて言葉を入れてもらえるだろう?
うーん…
どうでもいい事を考えながら 花の位置を整える。
葬儀後も、友だちや新聞で事情を知った人たちが、次々と実家を訪れた。
義姉は接待に忙しい。
胸中はとても切ないだろうな。
自分がその立場だったら 辛すぎて人と話なんて到底無理な気がする。
ああ見えて、義姉は芯の強い人なんだろう。
すぐ泣くけど。
用事を思い出して一旦家に戻る。
玄関を出て 石段を登り切った時の事だった。
実家から下の古い家に向かって1人の男性が歩いていた。
前にも述べたが、下の古い家は、バンドの練習場だった。
誰だろう。バンドの人?
ジーパンに黒い長袖のシャツ。腕は途中まで捲っていた。
左手はジーパンのポケットに、右手にはタバコを持っていた。
兄に似ている。
近づこうとすると、すーーーっと消えて行った。
そこには何となくタバコの残り香があった。
何これ?夢?幻⁉︎それとも現実⁉︎
鳥肌が立ったのを今でも覚えている。
急いで実家に行き、義姉に話した。
義姉は慌てて靴を履き、勢いよく玄関を飛び出して行った。
「待って!もういないよ」
なんて耳に入っちゃいない。
「何処にいたの?」
義姉はキョロキョロと兄の姿を探す。
「こっから下の家に向かってスーッと消えたんだよ」
今度は古い家に行く。
もちろん人影などない。
「いいなぁ。お兄ちゃん見えたんだね。いいなぁ」
泣き出す義姉。
「でもお兄かどうかわかんないよ?お兄が真っ黒なシャツ着てるなんて見た事ないし」
そう、兄は青とか白とかサーモンピンクとか、どちらかと言えば爽やか系の服が多かった。
黒なんて 見たことないなぁ?
義姉はさらに驚く。
「待って!黒いシャツ?」
「ウン。長袖の。腕まくりしてたよ」
「ちょっと待ってて!
またまた義姉は実家に向けて走り出し、2階に駆け上がって行った。
一体何やってんだ?
しばらくするとドタバタと駆け下りて来た。
その手には何と!『黒い長袖のシャツ』⁉︎
「これじゃないですか?」義姉が言う。
「ゲッ⁉︎どうしたのこれ」
確かにこれだ。
「お兄さんが亡くなる数日前に、これがいいって買ったんですよ!」
まだタグや値札が付いていて、袖も通していない新しいものだった。
「いつもなら青とか買うんだけど、珍しくこれがいいって。これ探してたんですかね?」
いや探してたって言うか、すでに着てたって言うか。
義姉はそれを持って仏壇に行き
「ごめんね、これ探してたんだね。ここ置いとくから」
と言いながら、綺麗にたたみ直して畳の上にそっと置いた。
こんな偶然ってあるのかな。
いやいやいや
ちょっと怖すぎるんですけど~(汗)
でもあのタバコの仕草、ポケットに突っ込んだ手。歩き方。
どう見ても兄だった。
「ギターの練習しに行きたかったんですかね?あそこにも食べ物置いとかなくちゃ!」
何だか義姉が生き生きして見えた。
「え?食べ物?やめときなさい!」
誰もいないとこに食べ物なんて、ネズミでも出て来たら困る(汗)
嬉しそうに冷蔵庫に向かう義姉を引き留める。
嬉しそう?
ああ、そうか。
兄が姿を現したのは
義姉に笑顔になって欲しかったから?
泣いてばかりいないで、少しは笑えって。
兄からの優しいメッセージだったんじゃないか?
きっとそうだ。
思い返すと私は怖くて笑えないので、
今度はもうちょっと別の方法での登場をしていただきたい(汗)
この時の黒いシャツが、また新たなヒントになっていたことに気がつくのは
もう少し先のことである。
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