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ウン万円はどこ行った?
しおりを挟む《実はこの章を書く前に
七日法事の出来事を書いて、今夜投稿予定まで設定したものがあった。
確実にしたのに、次に見たら全て消えていたと言う…
携帯も使っていたけど 閉じてもないのにそっちも消えていた。
なので慌てて明日の分を繰り上げている。
内容に 今すでに亡くなっている親戚の人の悪口を書いたからかな…。
悪口ってほどの事でもないが…。
載せるなって言う兄の『警告』だったのかしら?
ちょっと不可解な出来事だったので、覚えとして初めに書き残しておくことにした》
納骨の後、七日法事も無事終わり、嵐のような葬式から一夜が明けた。
今日もいい天気だ。
私は家のことを終わらせて、実家に向かう。
お仏壇に新しく兄の遺影が並んだ。
額がでかい。
しかもカラー。
バックがブルーで服が薄いピンク。
うーん。
やっぱり写真はカラーがいいね。
祖父は『戦死』
祖母は『事故死』
兄も『事故死』
『事故』…続いてんなぁ。
こんな偶然ってあるのかな。
あるなら誰かに教えて欲しい。
口にすると言霊になるから…と言われるけど どーしても気になって仕方ない。
…この次誰が?って感じの恐怖に 私は今でも怯えているので。
まだまだたくさんの花が残っていて、仏間は賑やかだ。
百合の匂いが結構きつい。
負けずに線香の匂いはもっときつい。
お寺に届いた花は、そこの大黒さん(だいこくさん:住職の奥さん)が、「参拝された方に分けますね」と言って全部引き受けてくださった。
ありがたい!
家の花も何とかしなくちゃな…と思いながら、少しずつ抜けたところに差し替えたりして台を空けていった。
「おはよー」とリビングに入る。
「昨日はお疲れ様」と母の返事。
少しは眠れたのかな?瞼は腫れているが 昨日よりも元気そうに見える。
父はテレビと睨めっこしていた。
兄が居なくなってから 初めてのんびりした朝だった。
義姉はと言えば…?
何やらゴソゴソと探し物をしているようだった。
「何か探してんの?」
声をかけてみる。
「うん。骨壺」
義姉はのんびりとした口調で答える。
は?骨壺⁈
「何で骨壺?」
思わず聞き返す。
「あれに思い出の品物とか入れようと思って。だけど見当たらないんだぁ」
え⁈あれに⁇
『骨壺』に思い出の品物入れちゃうの⁉︎
この人何考えてんの?
「青くて花もついてて綺麗だったでしょ?アパートに置くのにいいなと思って。どこにやったか知らない?」
いや、知らないし(汗)
※青い骨壺について詳しくは
「お葬式 なんて忙しいイベント」
の章をご覧ください
「みんなに聞いてみた?あ、最後に持ってたのは父じゃなかったっけ?」
納骨の時、骨壺を持っていたのも、お骨を入れたのも父だった。
なので当然父が知っているはず。
「それがね、お墓じゃないかって言われて見に行ったんだけど やっぱり無くて。誰か持って帰っちゃったのかなぁ?」
ウン万円の骨壺…(遠い目)
確かに高いし綺麗だった。
でも…だからって普通持って帰るかぁ~?
綺麗だからって
骨壺だヨォおおお⁈
骨入ってたんだヨォ~⁉︎
持って帰らないでしょ~⁉︎
しかもあんなに大きなもの、あったらすぐに分かるはず。
『持って帰る』の線は考えられない。
だとすると、やっぱり父しかいない。
もう一度父のところに行く。
「ねぇ、青い骨壺知らない?」
「だから墓じゃないかって言ってる!」
父はテレビのニュースに夢中で顔も向けずに返事する。
「でも無かったって義姉は言ってるよ?」
「探し方が悪いんじゃないか?もう知らん!」
父は面倒くさかったのかキレてしまい知らん顔をする。
「義姉が探してるんだよ。お墓のどこにやったの?」
もう一度尋ねると、意外な答えが返って来た。
「割ったよ」
「え⁉︎割ったの⁈」
「ウン、割った」
「なんで⁉︎」
「埋めるのに割っただけだ」
「え?埋めたの⁉︎」
「ウン、埋めた」
「何で?」
「何でって、そうするもんだからだ」
淡々とした会話が続く。
全く意味が分からん‼︎ってか通じない。
あぁ~そ~。
割ったんだぁ~?
んで埋めたんだぁ~?
へぇ~?
埋めちゃったんだね~?
割って埋めた⁉︎
埋めたのか~⁉︎
義姉に報告する。
「え!どこに?」
「やっぱりお墓だって」
義姉と一緒にお墓に向かう。
キョロキョロしてみるが見当たらない。
一体どこに埋めたんだぁ?
探しているとツツジの木の下に、色の変わった砂地があるのに気がつく。
「ここじゃない?」
掘り返してみると、青い陶器の破片が見える。
「あった!」
確かに!割れた骨壺がそこに埋めてあった。
「あったけど…本当に割れてますにゃ~」
私がふざけながら言う。
義姉は絶句。
私の頭の中はウン万円がヒラヒラと飛び交う。
仕方ないのでもう一度埋め直す。
そして父になぜ割って埋めたのか問いただした。
「墓に持って行ったものは、そこで使い切って持って帰ったらいけんのだ」
何ですと?
そう言えば、いつも墓参りに行くと お供えや線香は使い切って帰っていた。
それと同じってこと⁉︎
骨壺もぉ~⁇
父はそう教えられたのかな。
だとしたら文句が言えない。
「私が先に残して欲しいと言えばよかったですね」
ガッカリした様子で義姉が言う。
壊れちゃったものは仕方ない。
くっつけるわけにもいかない。
ウン万円の骨壺の使い道 どっちが正しかったんだろう?
まぁどっちでもいいや。
今でもお墓の片隅に、青い高級な骨壺は眠っている。
後に聞いた話だが
兄の四十九日の時に、この事件を和尚さんにお話ししたら
「ああ、それね?私がそうするようにお父さんに言ったの」
「は⁉︎」
義姉と私 唖然!
「だってね、念と言うか、取っておいたら悲しい思いがずっと残るでしょ?壊して土に戻すのが一番いいんです」
と、ケロッとして仰った。
何と 意外な事に犯人は和尚さんだった。
父もそうならそうと言えばいいのに⁉︎
和尚さん
あの骨壺…実はウン万円したんですよ……
心の中で呟く私。
『陶器は土に戻りますか?…』
私は聞き返す事はできなかった(笑)
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