きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

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人生って分からないことだらけ

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さっきはヤバかった。

赤ちゃんならこれから明るい未来がやってくるって思うじゃないか。
俺が考えていたことは甘かったようだ。

そうだよな。
核家族化の今、子育ては大変になってきている。
仕事や家事との両立なんて、この時代にできる訳がない。
幸せに生きられる子なんて、ほんの一握りだろう。
あのまま死んでたら、俺はまたここに来なくちゃならない羽目になっていた。
いや、死ぬとも限らないか。
母親だけ逝って自分は生き残って、でもあの父親とでは幸せなんてまず有り得ない。

那智和彦。
俺はマジで幸せ者だったと思い知らされたわけだ。


このドア心臓に悪い。
生きてるわけじゃないけど。
だからみんな、一喜一憂しながらここを出入りしているわけか。
よ~く分かった。

まだ魂ビビりまくってるぜ。


一息着いたところで、俺は懲りずに第二のドアを開ける事にした。
もちろん、もう一回人間で。

赤ちゃんとくれば、今度は爺さんってとこかな。
爺さんならまだ喋れるし、いいかもしれない。
ベース弾きまくってやるぜ!

俺はもう一度念ずる。

「人間に生まれ変わりたい!」

2828号室のドアを開けた‼︎


………。


なぁ…


普通

赤ん坊とくれば元気な爺さん想像するじゃん?


…なんで婆さん???


そー言えば男か女か、どっちに生まれ変わるかなんて「ご縁」のヤツ言ってなかったなぁ~?
今更だけど~!
体験だけどぉ~!

で?

なんでベッドの上~?
ベースだよ、ベース!
ベッドじゃないんですけど?

「はい、お待たせ~。オシッコ変えましょうね~」
20代くらいの男性が声を掛けてきた。

オシッコ?
別に俺はしたくないけど?

男性はカーテンもせずに俺のズボンを手荒に脱がせ、何やらゴゾゴゾ下を構っている。
ま、まさか⁉︎

オ…オシメか‼︎

俺は婆さんになってるだけでなく
寝たきり状態か⁉︎

「何すぅ~ダァ」
(何をするんだ)

あ?声が出た。

「オシメ変えるからね~。あ?ウンチが出てた!汚っ!手についたよ~」

どうやらここは老人の施設のようだ。
こいつ、汚いとはなんて言い草だ。

ウンチ?
俺はウンチが出たのも分からないのか?

手を出そうとすると パシっと叩かれた。
「痛!」
「手を出したらダメ!」
若者に強く叱られた。

換気もせず、布団も適当に掛けて出て行ってしまう。
叩かれたところが青くなってきた。
これ虐待だろ。

ナースコールはないのか?
キョロキョロしてみるが見当たらない。

お?

あった!
あったが、手の届かない場所に置いてある。
押させないつもりか?

今何時だ?
朝か?昼か?それとも夜か?
腹が空いた。
いつがご飯だ。

これも人生か?
俺は元気で転生できるとしか想像していなかった。
でもこれじゃあ、人生の終末じゃないか。
このあと死んで、またここに戻って来る…

結局 人間てヤツは、生から死の繰り返しをしていると そう言いたいんだな。

身体が痒い。
風呂も入りたいのに入れない。
このままじゃ生き地獄だ…。

「お昼ご飯ですよ~」
今度は60代ぐらいの女性がご飯を持って来た。
今は昼だとようやく分かった。

「さっきなぁ…」
俺は青あざを作られた事をチクってやろうと声を出そうとした。

ら、
「はい食べて!」
「むごごごご」
口の中に、一気に食べ物を入れられた!

「ゴホゴホッ!」
咽せたじゃねーか‼︎
「慌てて食べるからよ~。ちゃんと噛んで。はい、飲んで!」

も…もういい(汗)

違う意味で死にそうだ!

「はい、もう一口!」


「あーもう‼︎戻りたい!」
やってらんね~‼︎
「戻りたい!戻りたい‼︎」


…気がついたらまたドアの外にいた
口の中にまだ何か入っているような気がする。

生きながらえても元気で自立とは限らないってか?
こりゃ人間になりたいなんて、簡単には言えない気がしてきたぞ。

もう一回人間試してみるか?
今度くらい違うものに…

いやいや 
ちょっと他にしておこう。

3種類に絞れって言ってたから、何か別のものに転生してみておかないと。

俺は今まで本当にいい人生を送っていたようで、また同じように生きられると思っていたのになぁ…。
人間ってほんと大変。









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