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後悔先に立たず…
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俺たちが眠りから覚めると、辺りは西陽が差して暖かい。
日向ぼっこに丁度いい。
妹猫もウトウトしている。
物音がすれば一緒に逃げる。
隙間から覗いて警戒態勢。
そしてまた日向ぼっこの繰り返し。
猫って暇だ。
こうやって1日が終わっていく。
俺はこれからどうするかな。
俺だけなら何とでもなるが、妹猫も一緒となると、色々難しそうだ。
実家で2匹一緒に飼ってくれないかな。
夕方になって、妹の夫が帰って来た。
手には仔猫用のキャットフード‼︎
『人間のご飯じゃ身体に悪いからな』って
さすがよく分かっている‼︎
俺たちはまたご飯にあり付けた。
ややしっとり目だが、カリカリしてて歯応えがある。
うんまいにゃ‼︎
またまたお腹いっぱいになった。
母親がやって来て、何やら話を始めた。
なになに?
『可愛いけどどうするかな。『口』の付いてるものはもう飼いたくない。死んだ時が可哀想だから。保健所か町に頼んで何とかしてもらおう』
…にゃ…にゃんですとぉおおおお⁉︎
やっと転生してここまで辿り着いたのに、捕獲されて保健所行き⁉︎
冗談じゃない‼︎
かーちゃん!あんなに猫や犬可愛がってたじゃないか⁉︎
見損なったぜ‼︎
『もう人でも猫でも死ぬのを見るのは嫌だ。和彦だけで十分悲しい思いをした』
俺のことを言ってる。
俺が原因か?
俺が死んだから、だからもう嫌だって言いたいのか?
俺は落ち込んだ。
心底落ち込んだ。
せっかく生まれ変わって来たのに、自分のせいでこんな事に…。
全部俺のせいだ…。
「お兄ちゃん?どうしたにゃ?」
妹猫が心配している。
「大丈夫だよ。お前は心配するな。だけど、カゴを持った人が近付いて来たら、ちゃんと逃げるんだぞ。いいな⁉︎」
俺は妹猫に教え込んだ。
いつ捕獲にやって来るか分からない。
いつまでものんびりしていられない。
何か手を打たないと。
安住の地を見つけたと思ったのに、俺たちはまたまた警戒態勢を敷くことになった。
だけど、ご飯と水はちゃんと朝夕届けられ、時々牛乳も出してくれた。
なんだかんだ言いながら、母親は嬉しそうに俺たちを世話してくれる。
そのうち、俺たちに名前が付けられた。
妹猫は茶トラだから『チャチャ』
俺は…俺は黒いから
『クロ』…見た目そのまんまだ。
そう言えば、俺たちって名前がなかった。
猫猫って呼ばれるより、クロ!って呼ばれた方がなんか良い。
名前は大事だな。
チャチャは人間への警戒心が薄いためか?世話してくれる母親に慣れ始め、あっという間に足元でご飯を食べるようになった。
俺は辺りを見渡して チャチャが安全に食べ終わるのを確認してから食べに行った。
それをみた母親に『クロはビビリだ』と言われたが本当は違う‼︎
断じて違う‼︎
お兄ちゃんだから、俺は後から!
本当は早く食べたいけど。
猫の成長は思ったより早い。
俺たちは毎日そこで生活しているうちに、少しずつ大きくなって行った。
冬が近づいて来ているのか、時々木枯らしが吹いて寒かった。
だからと言って家に入れてくれる様子もなく、心配していた保健所がやって来る様子もなかった。
免れたか?
チラチラと雪が降り始めた頃、人間の【妹】の夫が、寒いだろうからと寝床を段ボールから発泡スチロールに変えて毛布を入れてくれた。
2匹入るのに丁度良い大きさ。
しかも入り口付きなので、外からの風が防げる。
あったかい。
「お兄ちゃんあったかいにゃ」
「うん。そうだにゃ」
俺たちは寄り添って冬を越した。
年が変わって春。
俺たちはすっかり大きくなった。
成猫より少し小さいぐらいかな。
でも木登りやかけっこしても、ここに来た時よりもずっと楽に動けるようになっていた。春になっても保健所は来ず、母親たちの世話も変わらない。
チャチャは実家の庭まで遊びに行くようになった。
俺は見張りのために後をついて…あくまで見張りのためだからな(汗)
懐かしの庭で一緒に遊んだ。
チャチャは玉転がしや猫じゃらしが気に入ったようで、木の実を転がして遊ぶ姿がとても可愛い。
俺はというと、母親が投げたおやつを立ってキャッチする芸を身につけ、それが大層ウケて何度も繰り返しして見せた。
幸せだなぁ。
食べて寝て遊んで。
自分たちで、あれこれ探して生きていく必要がない。
このまま保健所も来ず、母親たちを喜ばせながら生きていくのも悪くない。
その夜。
俺は妹猫と一緒に眠りについたのだが、よく見れば、妹も美猫に育った。
女の子なんだよな…。
そして俺は男。
チャチャのほっぺをツンツンしてみる。
「ニャゴニャゴ…」
寝ぼけてやがる。
可愛いなぁ…。
ゴクリ…。
「チャチャ‼︎」
俺はいきなりチャチャに飛びついた。
何故か無性にムラムラして来て、馬乗りになってしまった。
何やってんだ俺!
離れろ!
離れないと!
けど、離れられないぃいいいいい‼︎
春のせいと言えばそこまでだが、やってはいけないことを…その…。
…勢いでやってしまった。
兄妹なのに
兄妹なのに‼︎
俺は自分を抑えきれずに…一線を越えてしまった。
日向ぼっこに丁度いい。
妹猫もウトウトしている。
物音がすれば一緒に逃げる。
隙間から覗いて警戒態勢。
そしてまた日向ぼっこの繰り返し。
猫って暇だ。
こうやって1日が終わっていく。
俺はこれからどうするかな。
俺だけなら何とでもなるが、妹猫も一緒となると、色々難しそうだ。
実家で2匹一緒に飼ってくれないかな。
夕方になって、妹の夫が帰って来た。
手には仔猫用のキャットフード‼︎
『人間のご飯じゃ身体に悪いからな』って
さすがよく分かっている‼︎
俺たちはまたご飯にあり付けた。
ややしっとり目だが、カリカリしてて歯応えがある。
うんまいにゃ‼︎
またまたお腹いっぱいになった。
母親がやって来て、何やら話を始めた。
なになに?
『可愛いけどどうするかな。『口』の付いてるものはもう飼いたくない。死んだ時が可哀想だから。保健所か町に頼んで何とかしてもらおう』
…にゃ…にゃんですとぉおおおお⁉︎
やっと転生してここまで辿り着いたのに、捕獲されて保健所行き⁉︎
冗談じゃない‼︎
かーちゃん!あんなに猫や犬可愛がってたじゃないか⁉︎
見損なったぜ‼︎
『もう人でも猫でも死ぬのを見るのは嫌だ。和彦だけで十分悲しい思いをした』
俺のことを言ってる。
俺が原因か?
俺が死んだから、だからもう嫌だって言いたいのか?
俺は落ち込んだ。
心底落ち込んだ。
せっかく生まれ変わって来たのに、自分のせいでこんな事に…。
全部俺のせいだ…。
「お兄ちゃん?どうしたにゃ?」
妹猫が心配している。
「大丈夫だよ。お前は心配するな。だけど、カゴを持った人が近付いて来たら、ちゃんと逃げるんだぞ。いいな⁉︎」
俺は妹猫に教え込んだ。
いつ捕獲にやって来るか分からない。
いつまでものんびりしていられない。
何か手を打たないと。
安住の地を見つけたと思ったのに、俺たちはまたまた警戒態勢を敷くことになった。
だけど、ご飯と水はちゃんと朝夕届けられ、時々牛乳も出してくれた。
なんだかんだ言いながら、母親は嬉しそうに俺たちを世話してくれる。
そのうち、俺たちに名前が付けられた。
妹猫は茶トラだから『チャチャ』
俺は…俺は黒いから
『クロ』…見た目そのまんまだ。
そう言えば、俺たちって名前がなかった。
猫猫って呼ばれるより、クロ!って呼ばれた方がなんか良い。
名前は大事だな。
チャチャは人間への警戒心が薄いためか?世話してくれる母親に慣れ始め、あっという間に足元でご飯を食べるようになった。
俺は辺りを見渡して チャチャが安全に食べ終わるのを確認してから食べに行った。
それをみた母親に『クロはビビリだ』と言われたが本当は違う‼︎
断じて違う‼︎
お兄ちゃんだから、俺は後から!
本当は早く食べたいけど。
猫の成長は思ったより早い。
俺たちは毎日そこで生活しているうちに、少しずつ大きくなって行った。
冬が近づいて来ているのか、時々木枯らしが吹いて寒かった。
だからと言って家に入れてくれる様子もなく、心配していた保健所がやって来る様子もなかった。
免れたか?
チラチラと雪が降り始めた頃、人間の【妹】の夫が、寒いだろうからと寝床を段ボールから発泡スチロールに変えて毛布を入れてくれた。
2匹入るのに丁度良い大きさ。
しかも入り口付きなので、外からの風が防げる。
あったかい。
「お兄ちゃんあったかいにゃ」
「うん。そうだにゃ」
俺たちは寄り添って冬を越した。
年が変わって春。
俺たちはすっかり大きくなった。
成猫より少し小さいぐらいかな。
でも木登りやかけっこしても、ここに来た時よりもずっと楽に動けるようになっていた。春になっても保健所は来ず、母親たちの世話も変わらない。
チャチャは実家の庭まで遊びに行くようになった。
俺は見張りのために後をついて…あくまで見張りのためだからな(汗)
懐かしの庭で一緒に遊んだ。
チャチャは玉転がしや猫じゃらしが気に入ったようで、木の実を転がして遊ぶ姿がとても可愛い。
俺はというと、母親が投げたおやつを立ってキャッチする芸を身につけ、それが大層ウケて何度も繰り返しして見せた。
幸せだなぁ。
食べて寝て遊んで。
自分たちで、あれこれ探して生きていく必要がない。
このまま保健所も来ず、母親たちを喜ばせながら生きていくのも悪くない。
その夜。
俺は妹猫と一緒に眠りについたのだが、よく見れば、妹も美猫に育った。
女の子なんだよな…。
そして俺は男。
チャチャのほっぺをツンツンしてみる。
「ニャゴニャゴ…」
寝ぼけてやがる。
可愛いなぁ…。
ゴクリ…。
「チャチャ‼︎」
俺はいきなりチャチャに飛びついた。
何故か無性にムラムラして来て、馬乗りになってしまった。
何やってんだ俺!
離れろ!
離れないと!
けど、離れられないぃいいいいい‼︎
春のせいと言えばそこまでだが、やってはいけないことを…その…。
…勢いでやってしまった。
兄妹なのに
兄妹なのに‼︎
俺は自分を抑えきれずに…一線を越えてしまった。
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