追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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 翌朝。ルカが目を覚ますとすでに昼前になっていた。基本的に朝早く起きる事が多い彼にしては珍しい。体に疲れが溜まっていた事と、昨夜眠れなかった事が原因だろう。

「あれ…?」

 ベッドで上体を起こし周囲を見回す。アレクシアと少女は部屋にいない。どこに行ったのだろうか――そう思ったちょうどその時、部屋の扉が開かれた。アレクシアと少女が姿を現す。

「ああ、ルカ君。起きたんだね」

「すみません、こんな時間まで寝ちゃって…」

「いや、構わないよ。疲れが溜まっていただろうしね。それに――」

 と、アレクシアは後ろにいる少女を振り返る。そして、二人で頷き合った。

「昨日はすまなかったね。さっき彼女とも話をしたのだが、やはり二人して抱き着くなど君に寝苦しい思いをさせてしまったのではないかと反省しているよ」

「わたしもつい興奮しちゃって…その、耳元でハァハァ言ってて、きっと煩かったですよね…ごめんなさい」

 アレクシアがすまさそうに眉尻を下げ、少女も反省したようにしょんぼりと肩を落とす。

「そ、そんな事気にしないでください!確かにちょっとびっくりして寝付くのに時間がかかっちゃいましたけど、えっと、その…」

 ルカは頬を僅かに赤く染めながら、言葉を続ける。

「い、嫌じゃなかった…ですから。その、アレクシアさんやお姉さんと一緒に寝れて…嬉しかった…です」

 その言葉は偽りではない。恥ずかしくはあったが、同時に心地よさも感じていた。ルカは天涯孤独の身である。さらに言えば、長年所属していたパーティを追放されてからそれ程時間も経っていない。そんな自分に寄り添って眠ってくれる人がいるというのは、嬉しい事だ。

「そうか…それなら良かった…」

 アレクシアはほっと胸を撫で下ろす。

「ただ、えっと、その…もし部屋が空いたら、別々のベッドで寝た方がいいとは…思います。やっぱり、その方が落ち着けるでしょうから…」

 とルカは付け加えた。嬉しいのは嬉しいが、それはそれとしてやはり気恥ずかしさもあるのだ。

「そうですねえ…ルカ君と毎日一緒に寝てたら、いつかわたしも暴走しちゃいそうですし…」

 少女はそんな不穏な言葉を呟く。暴走とはいったいどういう意味なのか。それを問おうとしたが、なんだか恐ろしい話を聞かされそうなのでルカは話題を変える事にした。

「そ、そういえば、お二人はどこに出かけていたんですか?」

 その言葉に少女は、

「よくぞ聞いてくれました!」

 と目を輝かせた。

「実はアレクシアさんに案内してもらって、市場に出かけてたんです!いやあ、見た事のない物が沢山あって面白かったです」

「市場の見学に行ってたんですね」

 ルカはにっこりと微笑む。彼も市場を見て回るのは好きだ。新鮮な食べ物。そしてそれを買い求める人々の活気。見ているだけで心が浮き立ってくる。

「はい、最初は見学だけのつもりだったんですけど…実は良いものを見つけまして。アレクシアさんにお金を出してもらって、それを買って来たんです」

「いいもの、ですか?」

「そうです、昨晩のお詫びと言っては何ですが、ルカ君に素晴らしいジャパニーズフードを馳走してあげましょう!」

「ジャパニーズフード…?」
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