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特訓9
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特訓開始から七日目。安鶴沙をもうひとりの師匠として迎え、ルカはますます身を入れて特訓に励む――予定だったのだが、今彼はアレクシア、安鶴沙と共にティネンの街の商業地区へと来ていた。その理由は、
「トーナメントの前に装備を整えておいた方がいい」
というアレクシアの助言に従ったためだ。
ルカの使用している剣は安物な上にかなりガタが来ている。ルカの手入れが行き届いているために問題なく使用できてきるが、万全を期すならば買い換えておくべきだろう――というのがアレクシアの判断だ。
一行は商業地区に数多くある武器屋、その一軒に足を踏み入れる。こじんまりとした店だったが、その中には武器がズラリと並べられていた。槍や弓もあるが、そのほとんどが剣だ。
「ふむ…雑剣、兵剣がほとんどだけれど、良い造りのものが多いね」
アレクシアが剣を眺めながら言った。
「雑剣?兵剣?」
アレクシアの言葉に安鶴沙が首を傾げる。それに対してルカが口を開いた。
「雑剣や兵剣というのは、剣の序列ですね。剣士の位階と同じく、剣にも序列があるんです。有名な刀工が打ったものかそうでないか、素材に希少な鉱物が含まれているかどうか…といった条件で格付けられます。下から、雑剣、兵剣、将剣、伯剣、王剣、皇剣、霊剣、熾剣…の順になります」
「なるほど…雑剣、兵剣、将剣、伯剣、王剣、皇剣、霊剣、熾剣…ん?剣士の方の位階とは違って8段階しかないんですか?」
「熾剣より上の剣、位階の最上位は固有の異名で呼ばれるんです。例えば剣聖アルトゥースの使用していた剣は『聖剣』、魔剣士メドレウトの使用していた剣は『魔剣』、といった感じですね。と言っても、そういった剣は伝説中の伝説。僕らが目にする機会はまずありません。冒険者で将剣を持っていれば一目置かれるくらいですから」
「ふむふむ…それじゃあ、万が一その伝説の剣を見つけたら一生遊んでくらせる値段で売れる…という訳ですね」
「え…う、売るんですか?」
「もちろん!わたしはRPGでレアアイテムをゲットしたら惜しみなくバンバン売るタイプの人間なので!」
「RPG、というのは何かよく分かりませんけど…万一聖剣を手に入れたとしても買い手が見つかるかどうか…」
「え?どうしてですか?凄い剣なのに買ってくれる人がいないんですか?」
「はい。凄い剣だからこそ、買い手が見つからない可能性が高いんです」
「…?」
何を言っているのかよく分からない、という様子の安鶴沙。
「えっとですね、例えば…」
ルカは自分の装備している剣を鞘ごと取り外す。
「僕のこの剣は雑剣ですけど、3万Krで買ったものです。雑剣の中では標準的な値段ですね」
「ふむふむ」
頷く安鶴沙。
「これが兵剣になると、標準的なもので30万Kr程になります」
「30万ですか…なかなかのお値段ですね」
現在、ルカ達の生活費は三人合わせて一月15万Kr程度。その二か月分となれば、どれ程の価値かという事は安鶴沙にも分かる。
「将剣で300万、伯剣で3千…という風に、剣の位階が上がっていくたびに剣の価値も一桁ずつ上昇していきます」
「というと、王剣は3億、皇剣は30億…って事ですか…?」
「このクラスになると、実際にお金で取り引きされる事は少ないみたいですね。屋敷と交換とか、城ひとつと交換とかそういう場合が多いんじゃないでしょうか」
「ひょええ…」
「そして霊剣クラスとなると広大な領地。熾剣クラスで一国と同等の価値があると言われています。まあ、実際に国と熾剣を交換したなんて話は聞きませんけど…少なくとも、そのくらいの価値があるとされているんです。それが聖剣レベルの最上位階となると…正直、どれ程の価値があるのか分かりません。売ろうとしても、買い手がそれに見合うだけのものを用意できないんです」
「トーナメントの前に装備を整えておいた方がいい」
というアレクシアの助言に従ったためだ。
ルカの使用している剣は安物な上にかなりガタが来ている。ルカの手入れが行き届いているために問題なく使用できてきるが、万全を期すならば買い換えておくべきだろう――というのがアレクシアの判断だ。
一行は商業地区に数多くある武器屋、その一軒に足を踏み入れる。こじんまりとした店だったが、その中には武器がズラリと並べられていた。槍や弓もあるが、そのほとんどが剣だ。
「ふむ…雑剣、兵剣がほとんどだけれど、良い造りのものが多いね」
アレクシアが剣を眺めながら言った。
「雑剣?兵剣?」
アレクシアの言葉に安鶴沙が首を傾げる。それに対してルカが口を開いた。
「雑剣や兵剣というのは、剣の序列ですね。剣士の位階と同じく、剣にも序列があるんです。有名な刀工が打ったものかそうでないか、素材に希少な鉱物が含まれているかどうか…といった条件で格付けられます。下から、雑剣、兵剣、将剣、伯剣、王剣、皇剣、霊剣、熾剣…の順になります」
「なるほど…雑剣、兵剣、将剣、伯剣、王剣、皇剣、霊剣、熾剣…ん?剣士の方の位階とは違って8段階しかないんですか?」
「熾剣より上の剣、位階の最上位は固有の異名で呼ばれるんです。例えば剣聖アルトゥースの使用していた剣は『聖剣』、魔剣士メドレウトの使用していた剣は『魔剣』、といった感じですね。と言っても、そういった剣は伝説中の伝説。僕らが目にする機会はまずありません。冒険者で将剣を持っていれば一目置かれるくらいですから」
「ふむふむ…それじゃあ、万が一その伝説の剣を見つけたら一生遊んでくらせる値段で売れる…という訳ですね」
「え…う、売るんですか?」
「もちろん!わたしはRPGでレアアイテムをゲットしたら惜しみなくバンバン売るタイプの人間なので!」
「RPG、というのは何かよく分かりませんけど…万一聖剣を手に入れたとしても買い手が見つかるかどうか…」
「え?どうしてですか?凄い剣なのに買ってくれる人がいないんですか?」
「はい。凄い剣だからこそ、買い手が見つからない可能性が高いんです」
「…?」
何を言っているのかよく分からない、という様子の安鶴沙。
「えっとですね、例えば…」
ルカは自分の装備している剣を鞘ごと取り外す。
「僕のこの剣は雑剣ですけど、3万Krで買ったものです。雑剣の中では標準的な値段ですね」
「ふむふむ」
頷く安鶴沙。
「これが兵剣になると、標準的なもので30万Kr程になります」
「30万ですか…なかなかのお値段ですね」
現在、ルカ達の生活費は三人合わせて一月15万Kr程度。その二か月分となれば、どれ程の価値かという事は安鶴沙にも分かる。
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