追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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一回戦第七試合3

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 盾を構えるアルベルコがザイグアルフェに迫る。ガーヴァーン流中伝盾技、『盾突じゅんとつ』。

 対するザイグアルフェは逃げようとしない。いや…逃げられないと言った方が正確なのかもしれない。後ろは壁だ。彼は逃げる代わりに、弓での攻撃を試みた。

 アルベルコの盾は全身をカバーできる程の大きさではない。胴体は守れているが、顔までは覆う事はできていない。ザイグアルフェはそこを狙った。張り詰めた弓から矢が放たれる。

 練気プネウマの込められた矢が風がを空を切り、アルベルコの顔面に迫った。そして――盾によって弾かれた。ガーヴァーン流中伝盾技、『砦弾さいだん』。

(顔を狙ってくるって事は分かってたんだよ!)

 盾でカバーできていない部分を狙ってくるというのは予想通りだ。そして、予測できているのならば防御するのも容易い。アルベルコは勢いを止めず、ザイグアルフェに向かって前進する。再び矢をつがえ弓を構えるザイグアルフェ。

 その時、彼我の距離はすでに一足一刀。アルベルコはあと一歩踏み出せば剣を振り降ろす事が出来る。ザイグアルフェが矢を放つのであれば、これが最後のチャンスであろうと思われた。だが…ハーフエルフの弓使いは、矢をつがえたまま放とうとはしなかった。

(相打ち狙いか?)

 アルベルコは最後の一歩を跳ぶように踏み出して剣を振り上げた。

「終わりだ!」

 盾で顔を防御しつつ剣を振り降ろす。いや、振り降ろそうとした。その瞬間、剣を持った右腕に強烈な痛みと衝撃が走る。

「ぐっ…うぅ…!」

 アルベルコの右手から剣が落ちた。そして腕に目を向け…痛みの正体が何であったのかを知る。アルベルコの右手首は、矢によって貫かれていた。

「ま、まだ終わりじゃ…!」

 剣を持つ右腕が使えずともアルベルコには盾がある。ドンズがそうしたように盾で押しつぶしてしまえばいい。そう考え前へ進もうとしたアルベルコの足に、激痛が走った。ザイグアルフェの放った矢が、今度はアルベルコの足を貫いていた。

 アルベルコは、片足を地面に縫い付けられた姿勢でがっくりと膝を折った。

「…これ以上は戦えねえ。棄権する」

 一回戦第七試合 ミン山のザイグアルフェ・ウォーズリーvsアルベルコ・ドッツィオ…勝者、ヒミン山のザイグアルフェ
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