追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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一回戦第八試合

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 一回戦第八試合。このトーナメントの出場者、最後の二名が試合場に姿を現す。

 漆黒のローブに身を包み、フードで顔を覆った人物。シルヴィ・ローズ。一見しただけでは男か女か不明だが、その名前からして女性だと思われる。

 対するは禿頭スキンヘッドの男。ドンズ程ではないが、筋肉質で長身だ。身の丈は2m近くあるだろう。囚人服を着せられ、手には枷をはめられている。彼の名はデドモンド・リマ。元盗賊団員で、現在は死刑囚だ。

 デドモンドが姿を現した瞬間、会場にブーイングが起きる。最初は数人によるものだったが、たちまち会場中に波及し観客席はブーイングの嵐となる。

 安鶴沙が周囲を見回しながら口を開く。

「…す、凄い嫌われてますね…デドモンドって人…」

「まあ、死刑囚だからね。ルカ君と一回戦で戦った男…ザビノ・リデロもティネンじゃ有名なチンピラだったけど、はっきり言ってデドモンドは格が違うんだよねえ。ティネンのみならずこの周囲一帯を荒らし回り住民を震えあがらせた盗賊さ。奪った金は億単位、手にかけた人間の数も両手の指じゃ数え切れないだろうさぁ」

 レームが言った。

「そ、そんな凶悪な人なんですか…。でも、なんでそんな人がこのトーナメントに…?」

「まーあ、恩赦目当てだろうねえ。王族が来るようなトーナメントで優勝すると、恩赦がもらえて釈放されたりするからねえ」

「ええ!?こんな凶悪な人でも…!?」

「デドモンドは、凶悪なだけじゃあない。それなりに頭も回るのさぁ。盗賊団員時代の情報源を使って、ここティネンの領主…ボドウィット伯爵に対して何か有利になるような事もやってんじゃないかなぁ。そういった裏工作の結果のトーナメント出じょう――と、自分は読んでるねぇ」

「むう…明らかな悪人なのに…裏取引で釈放ですか…」

 安鶴沙は納得がいかない様子だ。

「ま、釈放が決まった訳じゃあないけどねぇ。どっちみち、優勝できなきゃ恩赦ももらえないんだからさ」
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