追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

ティネン冒険者ギルド2

「やっと…辿り着いた…」

　ルカがいるという噂を聞きつけるなり集まってきた大群衆。彼らをなんとか掻き分け冒険者ギルドに辿り着いた時には、レームと約束した時刻ギリギリになっていた。

「ふむ…ルフェールと比べて随分と大きな冒険者ギルドだね」

　アレクシアは冒険者ギルドの建物を見上げながら言った。

　ルフェール冒険者ギルドが二階建てであったのに比べ、ティネン冒険者ギルドは石造りの五階建て。敷地面積もルフェール冒険者ギルドの三倍以上はあるだろうか。

「そうですね。ルフェールは大きな街ですし…ティネンは修道騎士団の力が強くて、冒険者ギルドの力が弱い場所でしたから」

　そう説明しつつ、ルカは冒険者ギルドの扉を開けた。

　ティネン冒険者ギルドの一階は、奥に依頼受付のカウンター。手前には椅子と机が並び、冒険者達があれやこれやと相談を交わしている。やはりルフェールと比べ人も多く活気がある。

「こんにちは。どのようなご用件でしょうか」

　ルカ達がレームの姿を探しているとギルドのスタッフらしい女性に声をかけられた。

「こんにちは。人と待ち合わせているんですけど…」

　そう答えると、女性はにっこり微笑んだ。

「それでしたら冒険者の方同士の呼び出しも行っておりますよ。待ち合わせている方はなんというお名前で？」

「レームさんです。エルフの女性の方で…」

　その言葉を受け、女性の顔から笑顔がさっと消える。

「――申し訳ありません、あなた様の冒険者の腕輪を拝見しても？」

「はい、構いませんけど…」

　ルカは腕輪を差し出した。

「…ルカ・ハークレイ様ですね。すみません、そこの椅子にお掛けになって少々お待ください」

　そう告げると、女性は足早に立ち去って行った。

「なんだか…ちょっと普通じゃない雰囲気ですねぇ…？」

　首を傾げる安鶴沙。ルカとアレクシアも女性の態度に何やら不審なものを感じつつあった。