追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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ティネン冒険者ギルド3

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「なんだか、レームちゃんの名前を聞いて驚いてるみたいでしたねぇ」

 と安鶴沙。ルカもその言葉に同意する。

「そうですね。いったいどうしたんでしょうか…。あ、そういえば…」

 と、ルカは今さらながらに気が付いた。

「レームさんのフルネームって知ってますか?」

 そう、彼はレームのフルネームをまだ知らなかった。そもそも、レームと会ったのはアレクシアと安鶴沙が最初。ルカはレームからきちんとした自己紹介を受けていない。

「フルネームですか?確か…」

 安鶴沙が答えようとしたその時、

「お待たせ致しました」

 と、身なりのいい初老の男性がルカ達の方へ近付いてきた。

わたくし、当冒険者ギルドの運営を任されておりますクレッチェルと申します」

「えっ…!」

 ルカは驚きの声を上げた。ギルドの運営を任されている…つまり支部長という事だ。ギルドの支部長は元冒険者、それもAランク以上の者が務める事になっている。Dランク冒険者でしかないルカに対して、わざわざ出向くなどというのは通常あり得ない。

「レーム様のお客様ですね、ささ、それではどうぞ。上階にご案内いたします」

 支部長・クレッチェルはそう言って歩き出した。ルカ達としてはついて行くしかない。彼に案内されたのは、建物の最上階…五階にある貴賓室だ。先日訪れたボドウィット伯爵の屋敷に比べれば劣るが、それでも豪華な調度品が取り揃えられている。通常は冒険者ギルドに対する重要人物をもてなすための部屋なのだろう。

(そんな所に、僕たちがいていいのかな…?)

 何かの間違いではないか…そんなルカの想いをよそに、

「レーム様は間もなくいらっしゃいます。しばしお待ちを」

 そう言ってクレッチェルは退出した。部屋に残されるルカ達三名。

「あの…アヅサさん」

「はい…?」

「さっきの話の続きなんですけど…レームさんの本名って…」

「あ、はい、そうでしたね。確か…レームエルヴェフォルク…だった気がします」

「ええっ…!」

 ルカは思わず席から立ち上がりかけた。

「ど、どうしたんですか?ルカ君…?」

 目を丸くする安鶴沙。

「もしかして、有名な人だった、とか…?」

「はい。僕の考えが正しいなら…おそらく…」

「も、もしやと思ってましたが…そうだったんですねぇ。わたし達と同じ、駆け出しの冒険者だと思ってたんですけど…だって、Gランク冒険者だって言ってましたから…」

「…」

 安鶴沙の言葉にルカは固まった。

「あれ?どうしたんですか?ルカ君?」

「…すみません、今まできちんと説明していませんでしたね」

 突然安鶴沙に対して謝罪するルカ。彼は、今まで色々と忙しく安鶴沙に対して冒険者に関する知識をきちんと教えていなかった事を反省していた。

「…?ど、どうしたんですか?いきなり…」

「冒険者のランクについて…改めて説明します」

「は、はい…」

「冒険者のランクは、下から数えてF・E・D・C・B・A…となります。さらにその上にSランクというものがあって…A以下は通常ランク、Sランク以上は特別ランクと呼ばれています。特別ランクの冒険者は数えるほどしかいません」

「ふむふむ。一番下がFで、そこからAまでが通常ランク…S以上が特別ランク、と。…って、あれ?それだとGランクっていうのは…?」

 Fより下だからなんとなく最も下位のランクだと思っていた安鶴沙。しかし、今の会話ではGランクなどという位階は存在しない事になる。

「SランクのSには、きちんとした意味があるんです。…分かりますか?」

「うーん…スペシャル、ですかねぇ?」

「いえ…」

 少年は首を振る。

「SランクのSは、シルバーの頭文字です」

「ああ、なるほどなるほど…シルバーだからSなんですねぇ。…え?という事は…その…Gランクって…」

 ここに来て安鶴沙もGランクが意味する所はいったい何なのか気が付いたようだ。

「はい」

 少年は頷く。

「Gランク冒険者というのは…Sランクを上回る特別位階。ゴールドランクの冒険者という意味です」
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