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ティネン出発3
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かつての仲間の口から出た予想外の言葉にルカがどう反応していいか戸惑っていると、
「おお、コリント。何をしている?」
と、身なりのいい中年男性が近付いてきた。
「ああ…義父上。昔馴染みに会ったのでつい声をかけちゃって。以前少し話したでしょう、僕が冒険者だった頃のメンバーです」
「ふむ…そうか」
義父上と呼ばれた男性はルカの身なりをジロジロと観察した。値踏みするかのような視線だ。コリントの義父という事は、彼がダンフォード男爵なのだろう。
「まあ昔の仲間だというなら挨拶くらいしても構わんが…付き合う人間は選べよ。お前は男爵家の跡取りなのだからな」
「はい、義父上。肝に銘じておきます。ところで出発はまだですか?せっかくティネンに着いたのにこんな所で足止めなんて…」
「もう少し待っていなさい。これから我々はボドウィット伯爵の屋敷にご挨拶に向かうのだ。長旅で泥だらけになった馬車のまま乗り込む訳にはいかんだろう。ここで泥を落として綺麗にしておかねばな」
もはやルカの事など眼中にないとばかりに二人で話をするコリントとその義父。そんな彼らの会話が耳に入ったのか、
「ん…今、ボドウィット伯爵の名前が聞こえたけれど…」
と、少し離れた場所でレームと会話をしていたアレクシアが近付いてきた。
「ルカ君、ボドウィット伯爵に何か伝え忘れた事でもあるのかい?」
ボドウィット伯爵――ティネンの領主であり、レオンゼーレと始めて会った時同席していた人物だ。
「あ、アレクシアさん。僕が用事があるんじゃなくてこの二人が…」
ルカがコリントと彼の義父に視線を向ける。
「ん…?この方達は?」
「僕の元パーティメンバーと、そのお義父さんのダンフォード男爵です」
「そうか、ルカ君の…。ん?ダンフォード男爵…?そうか、確か以前王宮で…」
そんな事を呟きながらアレクシアはコリント達の方へ歩み寄って行った。
「こんにちは、ダンフォード男爵」
何気ない素振りで挨拶をするアレクシア。そんな彼女にコリントは眉根を寄せる。
「おい、お前…なんだその口ぶりは」
「ん…?」
「どうやらルカの仲間みたいだが…なんだ!?その軽々しい口ぶりは。庶民の分際で義父上に気安く話しかけるんじゃない!お前のような冒険者風情、我がダンフォード男爵家の威光があれば簡単に叩き潰せるんだからな!――ね、義父上」
凄んで見せるコリント。だが、そんな彼の横で当のダンフォード男爵はワナワナと脚を振るわせていた。
「ち、義父上…?」
「ま、まさか…な、なぜこんな所に…で、で、で、殿下が…?」
「え…?」
「い、いや…ま、間違いない…ア、ア、アレクシア王女殿下…!?」
「おお、コリント。何をしている?」
と、身なりのいい中年男性が近付いてきた。
「ああ…義父上。昔馴染みに会ったのでつい声をかけちゃって。以前少し話したでしょう、僕が冒険者だった頃のメンバーです」
「ふむ…そうか」
義父上と呼ばれた男性はルカの身なりをジロジロと観察した。値踏みするかのような視線だ。コリントの義父という事は、彼がダンフォード男爵なのだろう。
「まあ昔の仲間だというなら挨拶くらいしても構わんが…付き合う人間は選べよ。お前は男爵家の跡取りなのだからな」
「はい、義父上。肝に銘じておきます。ところで出発はまだですか?せっかくティネンに着いたのにこんな所で足止めなんて…」
「もう少し待っていなさい。これから我々はボドウィット伯爵の屋敷にご挨拶に向かうのだ。長旅で泥だらけになった馬車のまま乗り込む訳にはいかんだろう。ここで泥を落として綺麗にしておかねばな」
もはやルカの事など眼中にないとばかりに二人で話をするコリントとその義父。そんな彼らの会話が耳に入ったのか、
「ん…今、ボドウィット伯爵の名前が聞こえたけれど…」
と、少し離れた場所でレームと会話をしていたアレクシアが近付いてきた。
「ルカ君、ボドウィット伯爵に何か伝え忘れた事でもあるのかい?」
ボドウィット伯爵――ティネンの領主であり、レオンゼーレと始めて会った時同席していた人物だ。
「あ、アレクシアさん。僕が用事があるんじゃなくてこの二人が…」
ルカがコリントと彼の義父に視線を向ける。
「ん…?この方達は?」
「僕の元パーティメンバーと、そのお義父さんのダンフォード男爵です」
「そうか、ルカ君の…。ん?ダンフォード男爵…?そうか、確か以前王宮で…」
そんな事を呟きながらアレクシアはコリント達の方へ歩み寄って行った。
「こんにちは、ダンフォード男爵」
何気ない素振りで挨拶をするアレクシア。そんな彼女にコリントは眉根を寄せる。
「おい、お前…なんだその口ぶりは」
「ん…?」
「どうやらルカの仲間みたいだが…なんだ!?その軽々しい口ぶりは。庶民の分際で義父上に気安く話しかけるんじゃない!お前のような冒険者風情、我がダンフォード男爵家の威光があれば簡単に叩き潰せるんだからな!――ね、義父上」
凄んで見せるコリント。だが、そんな彼の横で当のダンフォード男爵はワナワナと脚を振るわせていた。
「ち、義父上…?」
「ま、まさか…な、なぜこんな所に…で、で、で、殿下が…?」
「え…?」
「い、いや…ま、間違いない…ア、ア、アレクシア王女殿下…!?」
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