追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

邪神の眠る地39

「お前の相手は俺だぜ、ルカ」

　剣を構えるゲオルク。ルカもまた、それに応じるように一歩前へと踏み出した。

　一方のエリュクスに対峙するのはアレクシア、安鶴沙、クラリスだ。少年は彼女達を見た後、エーレーンに視線を向ける。

「エーレーンさん、ザルメさんの保護と周囲の警戒をお願いします」

　剣を砕かれ、ローエングリンとの実力差を見せつけられたエーレーンはまともに戦えるような状況ではないと判断しそう告げた。アレクシア達については心配していない。彼女達の実力であれば、今のエリュクス相手であろうと遅れを取る事はないだろう。しかし一言だけ、

「気をつけてください」

　と言葉をかけた。3名は無言で頷き返す。その表情には、ルカに対する信頼の色が見てとれた。

「はっ…随分と信頼されてるみてえじゃねえか。ええ？ルカ」

　ゲオルクがルカに歩み寄る。

「俺に勝てると思ってんのか！？ああ！？」

「――分からない」

「ああ！？」

　少年の返答に、ゲオルクは眉をひそめる。

「いつだって、誰が相手だって…僕は、絶対に勝てるなんて思った事はないよ。ただ…全力で戦うだけだ」