追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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 ルカはこの時を待っていた。エスキルが最も強力な攻撃を繰り出すために練気プネウマを高める瞬間。その際に生じる一瞬の隙を。少年は、エスキルに向かって剣を振り下ろす。

「舐めるな!」

 エスキルはルカの剣を弾き飛ばす。例え隙を突かれようと、叡意剣士である。そう安々と攻撃を食らいはしない。だが、ルカはそれも織り込み済みだ。エスキルに対してすぐさま掌を向けた。

(まずい、これは…)

 魔術増強マジック・ブースト。それがルカの奥の手である事はエスキルも知っている。魔術増強マジック・ブーストを用いエリュクスを倒したという話は、すでに噂として耳にしていたのだ。

(だが、魔術発動の瞬間を見切る事が出来れば逆にこちらの好機!)

 魔術増強マジック・ブーストは大量の魔力を消費する。外してしまった場合、窮地に陥るのはルカの方だ。それ故、エスキルは少年の掌に意識を集中させた。魔術発動の瞬間を見切り、回避する事が出来ればもはや勝利を手にしたも同然だ。しかし…少年の掌からは魔術が発動される事はなかった。

 エスキルがルカの掌に集中したその瞬間、ルカは次なる技をすでに放っていた。それは、アルトゥース流剣術でなければ魔術でもない。

「がはっ…!」

 エスキルは、その左顎に強烈な衝撃を受けた。ルカの放った蹴りが――来島安鶴沙直伝の上段回し蹴りが炸裂したのだ。
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