追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

残り五ヵ月12

「ぐあっ…！」

　エスキルの体は吹き飛ばされ、練兵場の壁に軽く叩きつけられた。

「エスキル様！」
「エスキルエルヴェフォルク様！大丈夫ですか！？」

　エスキルの取り巻き達が口々に叫ぶ。だが、エスキルはほんの僅かによろめいた後に体勢を立て直した。

「おお、さすがエスキル様！」
「よし…まだ勝負は決着していない」
「そうだ、人間種ヒューマンの小僧などにエスキル様が負ける訳が…」

　そんな風に騒ぐ取り巻き達を、エスキルは静かにたしなめた。

「やめよ。それ以上我に恥をかかせるな」

　そして、ふぅ…と小さく息を吐き、ルカに歩み寄る。

「最後に放った魔術…手加減したな、ルカ・ハークレイ」
「はい。あくまで試合…命の取り合いではないと思ったので」
「そうか」

　エスキルは肩を落とすと、ルカの前で片膝を突いた。剣士が相手を格上と認めた際に行う動作だ。

「我の負けだ。貴殿は…我よりも強い」