自分軸で生きれたら

SYSY

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この頃から自分というものがよくわからなくなっていた。
先輩から、「こないだ言ってたあれ、やった?」と言われ、出来てなかった時、
「はい大丈夫です」と嘘をつく。そして後日やればいいや、という発想になっていた。
まぁ、嘘ってバレた後はもっと酷い仕打ちが待っている。当たり前だ。
しかし当時の俺は、出来ません、自分には無理ですと断った時に怒られるであろう恐怖心が先に勝ってしまいとっさに嘘をつき、逃げる。

嘘がバレた後の仕打ちは更に酷いものだと何故気づかなかったのだろう。
序章にも書いた、M子達に嘘をつき、893に売られそうになった時の事をすっかり忘れてしまった。
これが喉元過ぎれば熱さ忘れるという事だ。しかし、当時の俺には直近の恐怖が先立って、その事を思い出す余裕がなかった。

毎週、先輩や同い年や後輩達みんなで集まる集会的なものがあった。土曜日だ。
本当は週末になるにつれて気分が上がっていくものなのだが、俺は逆だった。毎週末、目の上が腫れるくらい殴られるのが常習化していたからだ。
殴られる理由はあった。俺の金のだらしなさ。あとはただの理不尽。そして先輩が大酒乱、というこの3つが主だ。

当時から金にはだらしのない俺だが、時間だけはきっちりしていた。集合20分前にはその場所にいる、迎えにいく時間は必ず守る。今思えばそれもポイント稼ぎだったのかもしれない。
その反面、前日飲みすぎて遅刻なんてしたもんなら、ボコボコにやられてしまう。そして自己嫌悪になっていく。

毎日Twitterで自己啓発のつぶやきを見ては現実逃避をし、どうしたら良いか答えの出ない悩みを抱えていた。

今もそうなのだが電話恐怖症。電話が来るとドキッとしてしまう。何かしてしまったのではないかという不安にかられる。
あとは特定の人が頭から離れない。それは過去にこの先輩もそう。

あの時先輩に言った事大丈夫だったかな、今度会った時怒られないかとかグルグルと負のサイクルが頭の中を駆け巡る。
この手の心配事って9割起こらないと言うが、当時は違った。
先輩とシラフの時に話して笑い話だったことも酒乱と化した先輩には笑えない。笑いは暴力になって返ってきた。

そんな毎日で、どうしたら良いのか、いっその事逃げたいと思っていた。
とある別の先輩は、「俺んとこに来い」と言ってくれた。
しかし、素直にその優しさにありがとうと言えなかった。もし先輩を裏切る様な事をしたら俺は殺されるんじゃないかという恐怖があった。

仕事も全く手に付かず退職。ニートの日々。先輩の顔色を窺っては、いかに期待に応えられるかに重きを置く生活になっていた。

そんな日々が続くと、自分はダメなやつだ、終わっていると悲観的になってくる。そんなコンディションだから当時の彼女にも浮気され別れを告げられる。
その事で先輩は付き合っていた彼女に激怒。
俺には「あんな女忘れろ。お前には俺ら仲間がいる」と言われたが何も信用できなかった。しかし、それがとても嬉しかった。

先輩が俺を庇ってくれた。

ってそう思ったのだ。


もう完全に飴と鞭に縋って生きてしまっている自分がいた。自己肯定など微塵もない。


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