普通の男子高校生である俺の日常は、どうやら美少女が絶対につきものらしいです。~どうやら現実は思ったよりも俺に優しいようでした~

サチ

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一学期編

第4話

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 四月某日。
 桜の花びらの大半が散り始め、青々とした葉が目立つようになってきた頃のこと。俺は正式にPhotoClubに入部してから、初めての活動の日が来た。
 入部したのは、一昨日の木曜日。つまり今日は土曜日なのである。まさか、初活動から休日出勤みたいな事になるとは。まぁ、それを分かった上での入部だったのだけど。
 今日の活動場所は、特に決めていなかったので学校の風景ということになった。華山曰く、狭い範囲に色んな景色があるから撮ってて楽しいとのこと。
  試しに一枚に、花壇に植えてある花を撮ってみる
 ちなみにカメラは家にあったのを勝手に拝借してきた。妹に何であるのかと聞いてみたら、俺と妹が小学生の時に運動会の時の写真が撮りたいがために両親が買ったそうだ。
 ちなみにお値段七万五千円。しっかり高かった。

「ふぅ、なかなか綺麗に撮れるもんだな」

 そう独り言を零すと、後ろから人の気配が近付いてきた。
 振り向いてみるとそれは、写真を撮る時に邪魔になるからと長い髪をポニーテールにした状態の華山だった。

「何を撮ってたんですか?」
「花だよ。まずは手に触れるぐらいの距離にある物の方が、練習にいいかと思って」

 空とかだと、どこからが空という扱いなのか分からないし。

「そう言う華山は何を撮ってたんだ?」

 聞いてみると、カメラに保存されている写真を見せてくれた。

「今日は雲を撮ってました。真っ白で綺麗だったから撮りたくなっちゃって」

 写真を見てみると、青い空に太陽の光を反射した雲がある。
さらによく見てみると、鳥も何羽か飛んでいた。

「なぁ、この鳥なんて名前だ?」

 気になったので華山に聞いてみる。
 だが、華山も知らなかったらしく小首を傾げている。

「すみません、私にも分からないです」
「いや、別にめちゃくちゃ知りたかった訳じゃないから良いけど」
「それなら良いんですけど」

 俺達は部活に特に関係ない話を、晴れた空の下でしばらく繰り広げていた。
 時刻は昼。
 もうそろそろ今日の活動は終わりかな?


✲✲✲


 本格的に始まった部活の初日を終えた。
 一度部室に戻った後、カメラをケースに入れてカバンにしまう。

「じゃあな」
「はい、また学校で」

 俺は華山に別れを告げて校門に向かう。
 校門に向かうまでに、必然的に体育館前を通る事になる。
 中からはバスケ部のバッシュの音がキュッキュッと鳴っていたり、バレー部のスパイクの音が響いてる。
 だが、俺はそれを気にもとめずに自販機のある方へと歩いて行く。するとそこに見覚えのある奴がいた。

「あれ?鏡坂じゃん!」

 灯崎だ。
 そういえば灯崎もバレー部だった。それなら今日もこいつ部活があるだろうしいてもおかしくないか。

「てか、なんでここにいるの?鏡坂今日なんかあったっけ?」

 そういえばこいつに俺が部活に入った事教えてなかったな。

「部活に入ったんだよ」
「へー、部活にね。えっ!?ぶ、部活に入ったの!?お前が!?」

 オーバー過ぎるくらいオーバーなリアクションを取る灯崎。

「また、なんで入ったの?」
「頼まれたんだよ」
「誰に」
「華山に」

 凄くテンポの良い受け答えをする。

「華山って、華山先生か?」

 先生?
 あぁ、そういや教師にも1人華山って名前の人いたな。

「先生の方じゃなくて、生徒の方の華山だよ」

 そう言うと、灯崎の顔がとんでもない衝撃を受けた様な顔になる。

「華山で生徒ってもしかして、あの美人で有名な華山有理か!?」
「あぁ、多分合ってる」
「まじかよ……」

 灯崎はそれはもう、世界の終わりかの様な顔してる。
 何がショックなんだか。

「お前が、あの美人と部活……はっ!お前の部活ってさ何人でしてるんだ?」

 まるで残り僅かな希望にかけているかのような目で、灯崎はこちらを見る。
 まぁ、そんな事も俺は特に気にせず指を二本立てた。

「華山と2人で部活してる。なんでも部員が足りないんだとよ」
「華山2人で部活……2人で。へー、2人ね……」

 灯崎はまた、あからさまに暗い顔になった。
 こいつは一体何に、絶望してるんだか。相変わらずよく分からん。

「ほら、ひとまずこれ飲め」

 落ち込んでいる灯崎に、俺は自販機で水を買いそれを手渡した。

「ありがと……」

 多分、部活でこいつも疲れてんだろう。水飲んで休めば正気に戻るさ。
 灯崎が水を飲んでいるのを見ていると、後ろから足音が近付いて声を掛けられる。

「まだ残ってたんですか?」

 声を掛けられた方を向いてみると、そこには先程別れを告げた華山がいた。

「ん?あぁ、こいつと偶然会ってな話してたんだよ」

 こいつと聞いて、華山は俺の影で屈んでいた灯崎を、俺の肩からひょこっと覗くように見る。

「この人がそのこいつですか?」
「そうだよ、この人がそのこいつだよ」

 そんな事を言ってると、灯崎がゲンナリした顔を上げながら話に割り込んできた。

「ねぇ、俺の扱い何か酷くない?」

 だがそう言った後、華山を見つけたらしく女子大好きな灯崎は、顔を一気に明るくした。
 こいつの美人見るだけでメンタル復活って何気に凄いよな。
 そんな、どーでもいい事、本当にどーでもいい事を考えていたら復活した灯崎が口を開いた。

「ねぇ華山さん、この後一緒にお茶しない?」

 指をパチンと鳴らして、いかにも「決まったぜ」、みたいな風貌で灯崎は立っている。
 だが華山はそんな灯崎を見た後、静かに俺の背に隠れる。
 そういや華山ってコミュ障だったな。

「ねぇ華山さん、何で鏡坂の後ろに隠れてんの?」

 疑問に思った灯崎がそう華山に聞く。
 だがコミュ障には、初対面のやつと普通に会話ができるわけもなく、俺の背中に隠れたまま何も言わない。

「あの、ねぇ華山さーん?」
「灯崎」

 必死に呼び続ける灯崎に俺は一言、こう言った。

「ん、何?」

 そう一言だけ。

「今日は、諦めろ」
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