11 / 16
2章 アースロアナ
11話 『記憶の鼓動』
しおりを挟む
「……ゼロス、じゃあ、俺はどうすればいいんだ?」
俺が少し涙を浮かばせながら言うとニコリとして答える。
「そうだね……。君は公には出来ない。お前を裏切り、お前をはめた奴を探し出せ。見つけた、その時がトモヒロの運命の時だ」
「えっ……?」
「詳しくは言うことが出来ないが、頑張ってくれ。俺の立場上、これ以上のサポートはすることが出来ない」
「あぁ……分かった。俺は自力でなんとかする」
「その調子だ。でも、まずはどこに行くんだ?」
「そうだな……まずは記憶を探す。そのためにはこの街にはいられない。別のところに行くよ」
「そうか……ごめんな」
「ゼロス、そんな悲しい顔すんなよ。感謝してんだからさ」
「そうか」
俺はこの部屋の扉に向かって歩き出す。
ここはゼロスが住んでいて、ゼロスのみが入ることを許されている場所。
そのため、安心だが、このままここに居座ることは出来ない。
俺はこの世界を追放されている。
扉を開け、ゼロスに向かって最後の言葉を放つ。
「ありがとうな。師匠」
俺はそう言いながら部屋を出て行った。
俺の服装にはフードが付いていた。
それを深くかぶり、顔を隠す。
ここはイグニドルとは違う。
バレるわけにはいかないのだ。
ステラが俺を襲ったのも俺が追放されたことと何か関係があるような気がする。
「はぁ……これからどうするかな」
ここでも、もちろん俺にはお金がない。
だからと言って、ゼロスに借りたりもらったりすることは出来なかった。
すると、俺が持っているバッグの中にみたこともないものがあることに気がつく。
「なんだ? これ?」
それは、日本で見たことがあるカードのようなものだった。
クレジットカードのようなもの。
そこには、俺の名前と銀行名のようなものが書いてある。
俺には手がかりが今のところ、これしかない。
その場所に向かうことにした。
この街は広い。
そして、俺はこの街の地形をそこまで詳しく知らない。
しかし、なぜだかその目的の場所がどこにあるかが見当がついた。
俺は真っ直ぐ、その場所へ向かう。
街には結界が張り巡らしてある。
そのため、この街ではモンスターが入り込むことが出来ない。
俺は安心感を持ちながら向かう。
久しぶりという感情は一向になかった。
それは、この街にずっと住んでいたゼロスの記憶が共有されたせいだろう。
俺の中にはゼロスの一部がある。
記憶も俺のとは言えないが、確実に俺が生きた証が記されている。
記憶があるからといってこの街に詳しくなったわけではない。
俺の記憶は俺の記憶であってゼロスの記憶は俺の記憶ではない。
頭で考えても必ずしもその答えが導き出されるとは限らないのだ。
自分が見たもの、感じたものなら感覚が覚えている。
しかし、頭で覚えているだけでは薄っすらしか思い出せないのだ。
そうこうしながら、しばらく歩いていると目的地に到着した。
俺はその建物を見上げて一言、
「でけーな」
その建物はビルのようになっていた。
ガラス張りで都市にありそうな大きな長方形の建物。
そこの玄関口には一つの看板が立てかけられていた。
『ギルドホール』
俺が手に持っているカードと同じということを確認する。
俺は驚きのあまり、突っ立っていたが、その建物に入ることにした。
街中にはサイレント音が鳴り響いている。
この音は日本と同じで昼のサイレンだろう。
となると、今は12時。
時間はあるように見えてあまりない。
日が暮れる前に宿を探さなければならない。
それと、このカードの意味についても早めに知っておきたい。
俺は速歩きになりながらそのギルドホールの建物の中に入っていく。
そこは、たくさんの人で溢れかえっていた。
俺が目視できる範囲ではカウンターが5つある。
そして、中を見渡していると俺が目的にしていた場所の看板が出ている。
俺はゆっくりと歩き、そこに向かう。
「すいません。このカードを使いたいんですが」
「こ、これはっ」
受付をしていた男性は俺のカードを見て驚きを隠せない様子だった。
「お前ら、連絡いたせ」
「は、はい」
受付の男性とその言葉を聞いた男性は動揺し、行動した。
そして、数分間、俺は待たされることになった。
数分後、俺の元に来たのはさっきの受付の男性でもその言葉を聞いた男性でもなかった。
その人数は俺が見る限り、五人だっただろう。
彼らは大きな声で俺以外の何かに言うかのように声を出す。
「我々はこのアースロアナを守る戦士。漆黒の鴉山騎士団だ」
そのギルドホールには俺以外のお客さんも同然ながら、いた。
その者たちみんな、彼らを見て動揺を隠せない。
しかし、唯一この状況を理解していない者がいた。
それはーーー
「……誰?」
記憶喪失になってしまっていた俺だった。
俺が少し涙を浮かばせながら言うとニコリとして答える。
「そうだね……。君は公には出来ない。お前を裏切り、お前をはめた奴を探し出せ。見つけた、その時がトモヒロの運命の時だ」
「えっ……?」
「詳しくは言うことが出来ないが、頑張ってくれ。俺の立場上、これ以上のサポートはすることが出来ない」
「あぁ……分かった。俺は自力でなんとかする」
「その調子だ。でも、まずはどこに行くんだ?」
「そうだな……まずは記憶を探す。そのためにはこの街にはいられない。別のところに行くよ」
「そうか……ごめんな」
「ゼロス、そんな悲しい顔すんなよ。感謝してんだからさ」
「そうか」
俺はこの部屋の扉に向かって歩き出す。
ここはゼロスが住んでいて、ゼロスのみが入ることを許されている場所。
そのため、安心だが、このままここに居座ることは出来ない。
俺はこの世界を追放されている。
扉を開け、ゼロスに向かって最後の言葉を放つ。
「ありがとうな。師匠」
俺はそう言いながら部屋を出て行った。
俺の服装にはフードが付いていた。
それを深くかぶり、顔を隠す。
ここはイグニドルとは違う。
バレるわけにはいかないのだ。
ステラが俺を襲ったのも俺が追放されたことと何か関係があるような気がする。
「はぁ……これからどうするかな」
ここでも、もちろん俺にはお金がない。
だからと言って、ゼロスに借りたりもらったりすることは出来なかった。
すると、俺が持っているバッグの中にみたこともないものがあることに気がつく。
「なんだ? これ?」
それは、日本で見たことがあるカードのようなものだった。
クレジットカードのようなもの。
そこには、俺の名前と銀行名のようなものが書いてある。
俺には手がかりが今のところ、これしかない。
その場所に向かうことにした。
この街は広い。
そして、俺はこの街の地形をそこまで詳しく知らない。
しかし、なぜだかその目的の場所がどこにあるかが見当がついた。
俺は真っ直ぐ、その場所へ向かう。
街には結界が張り巡らしてある。
そのため、この街ではモンスターが入り込むことが出来ない。
俺は安心感を持ちながら向かう。
久しぶりという感情は一向になかった。
それは、この街にずっと住んでいたゼロスの記憶が共有されたせいだろう。
俺の中にはゼロスの一部がある。
記憶も俺のとは言えないが、確実に俺が生きた証が記されている。
記憶があるからといってこの街に詳しくなったわけではない。
俺の記憶は俺の記憶であってゼロスの記憶は俺の記憶ではない。
頭で考えても必ずしもその答えが導き出されるとは限らないのだ。
自分が見たもの、感じたものなら感覚が覚えている。
しかし、頭で覚えているだけでは薄っすらしか思い出せないのだ。
そうこうしながら、しばらく歩いていると目的地に到着した。
俺はその建物を見上げて一言、
「でけーな」
その建物はビルのようになっていた。
ガラス張りで都市にありそうな大きな長方形の建物。
そこの玄関口には一つの看板が立てかけられていた。
『ギルドホール』
俺が手に持っているカードと同じということを確認する。
俺は驚きのあまり、突っ立っていたが、その建物に入ることにした。
街中にはサイレント音が鳴り響いている。
この音は日本と同じで昼のサイレンだろう。
となると、今は12時。
時間はあるように見えてあまりない。
日が暮れる前に宿を探さなければならない。
それと、このカードの意味についても早めに知っておきたい。
俺は速歩きになりながらそのギルドホールの建物の中に入っていく。
そこは、たくさんの人で溢れかえっていた。
俺が目視できる範囲ではカウンターが5つある。
そして、中を見渡していると俺が目的にしていた場所の看板が出ている。
俺はゆっくりと歩き、そこに向かう。
「すいません。このカードを使いたいんですが」
「こ、これはっ」
受付をしていた男性は俺のカードを見て驚きを隠せない様子だった。
「お前ら、連絡いたせ」
「は、はい」
受付の男性とその言葉を聞いた男性は動揺し、行動した。
そして、数分間、俺は待たされることになった。
数分後、俺の元に来たのはさっきの受付の男性でもその言葉を聞いた男性でもなかった。
その人数は俺が見る限り、五人だっただろう。
彼らは大きな声で俺以外の何かに言うかのように声を出す。
「我々はこのアースロアナを守る戦士。漆黒の鴉山騎士団だ」
そのギルドホールには俺以外のお客さんも同然ながら、いた。
その者たちみんな、彼らを見て動揺を隠せない。
しかし、唯一この状況を理解していない者がいた。
それはーーー
「……誰?」
記憶喪失になってしまっていた俺だった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる