瞬風雷刃の勇者 ~忘れた記憶~

ノイ

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2章 アースロアナ

11話 『記憶の鼓動』

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「……ゼロス、じゃあ、俺はどうすればいいんだ?」


俺が少し涙を浮かばせながら言うとニコリとして答える。


「そうだね……。君は公には出来ない。お前を裏切り、お前をはめた奴を探し出せ。見つけた、その時がトモヒロの運命の時だ」

「えっ……?」

「詳しくは言うことが出来ないが、頑張ってくれ。俺の立場上、これ以上のサポートはすることが出来ない」

「あぁ……分かった。俺は自力でなんとかする」

「その調子だ。でも、まずはどこに行くんだ?」

「そうだな……まずは記憶を探す。そのためにはこの街にはいられない。別のところに行くよ」

「そうか……ごめんな」

「ゼロス、そんな悲しい顔すんなよ。感謝してんだからさ」

「そうか」


俺はこの部屋の扉に向かって歩き出す。


ここはゼロスが住んでいて、ゼロスのみが入ることを許されている場所。


そのため、安心だが、このままここに居座ることは出来ない。


俺はこの世界を追放されている。


扉を開け、ゼロスに向かって最後の言葉を放つ。


「ありがとうな。師匠」


俺はそう言いながら部屋を出て行った。


俺の服装にはフードが付いていた。


それを深くかぶり、顔を隠す。


ここはイグニドルとは違う。


バレるわけにはいかないのだ。


ステラが俺を襲ったのも俺が追放されたことと何か関係があるような気がする。


「はぁ……これからどうするかな」


ここでも、もちろん俺にはお金がない。


だからと言って、ゼロスに借りたりもらったりすることは出来なかった。


すると、俺が持っているバッグの中にみたこともないものがあることに気がつく。


「なんだ? これ?」


それは、日本で見たことがあるカードのようなものだった。


クレジットカードのようなもの。


そこには、俺の名前と銀行名のようなものが書いてある。


俺には手がかりが今のところ、これしかない。


その場所に向かうことにした。


この街は広い。


そして、俺はこの街の地形をそこまで詳しく知らない。


しかし、なぜだかその目的の場所がどこにあるかが見当がついた。


俺は真っ直ぐ、その場所へ向かう。


街には結界が張り巡らしてある。


そのため、この街ではモンスターが入り込むことが出来ない。


俺は安心感を持ちながら向かう。


久しぶりという感情は一向になかった。


それは、この街にずっと住んでいたゼロスの記憶が共有されたせいだろう。


俺の中にはゼロスの一部がある。


記憶も俺のとは言えないが、確実に俺が生きた証が記されている。


記憶があるからといってこの街に詳しくなったわけではない。


俺の記憶は俺の記憶であってゼロスの記憶は俺の記憶ではない。


頭で考えても必ずしもその答えが導き出されるとは限らないのだ。


自分が見たもの、感じたものなら感覚が覚えている。


しかし、頭で覚えているだけでは薄っすらしか思い出せないのだ。


そうこうしながら、しばらく歩いていると目的地に到着した。


俺はその建物を見上げて一言、


「でけーな」


その建物はビルのようになっていた。


ガラス張りで都市にありそうな大きな長方形の建物。


そこの玄関口には一つの看板が立てかけられていた。


『ギルドホール』


俺が手に持っているカードと同じということを確認する。


俺は驚きのあまり、突っ立っていたが、その建物に入ることにした。


街中にはサイレント音が鳴り響いている。


この音は日本と同じで昼のサイレンだろう。


となると、今は12時。


時間はあるように見えてあまりない。


日が暮れる前に宿を探さなければならない。


それと、このカードの意味についても早めに知っておきたい。


俺は速歩きになりながらそのギルドホールの建物の中に入っていく。


そこは、たくさんの人で溢れかえっていた。


俺が目視できる範囲ではカウンターが5つある。


そして、中を見渡していると俺が目的にしていた場所の看板が出ている。


俺はゆっくりと歩き、そこに向かう。


「すいません。このカードを使いたいんですが」

「こ、これはっ」


受付をしていた男性は俺のカードを見て驚きを隠せない様子だった。


「お前ら、連絡いたせ」

「は、はい」


受付の男性とその言葉を聞いた男性は動揺し、行動した。


そして、数分間、俺は待たされることになった。


数分後、俺の元に来たのはさっきの受付の男性でもその言葉を聞いた男性でもなかった。


その人数は俺が見る限り、五人だっただろう。


彼らは大きな声で俺以外の何かに言うかのように声を出す。


「我々はこのアースロアナを守る戦士。漆黒の鴉山騎士団だ」


そのギルドホールには俺以外のお客さんも同然ながら、いた。


その者たちみんな、彼らを見て動揺を隠せない。


しかし、唯一この状況を理解していない者がいた。


それはーーー


「……誰?」


記憶喪失になってしまっていた俺だった。
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