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1章 学園編
九話
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「お前……何を知っている?」
目の前にいる十貫の王の春日《かすが》ハジメは、俺にそんなことを聞く。春日先輩が俺の表情から読み取ったことは少し意外だった。しかし、考えた俺は、結局俺の知っていることすべてを教えることを決意する。
「これは……ある組織のシンボルです」
その言葉を聞いた春日先輩はニヤリとしており、その他の俺の同級生や先生方は何の話をしているんだろう?といった表情で俺たちの会話を聞いている。
「あの組織か?」
俺の正体を知っていると話していた春日先輩。俺が言った言葉の次に言ったこの言葉により、本当に俺の正体を知っているという確信に至った。
「はい。あの組織は危険すぎます。今の俺……いや、先生方、十貫の王でも完全に抑えきれるかどうか」
俺はそう言った。俺が指している危ない組織というのは俺が昔アスファルト時代に戦った組織のことだ。この組織は強いというのはもちろんだが、他にも危ない実験などを繰り返しているらしい。
「なるほどな……そんな伝説と戦えるなんて楽しみだね」
ニコニコしている。俺は特にこいつを戦いに出したくなかった。そのために全て話したのだが、逆効果だった。
「はぁ……やめといたほうがいいと思いますけど」
俺は一応そう言っておく。しかし、こんな言葉一つで止めるほどこいつは大人ではないだろう。
「止めませんよ。俺はそういう強い奴を倒すためにこの十貫の王になったんですから!」
予想通り、春日先輩はやめる気はないらしい。しかも、強い奴と戦いたいから強くなったって……本当にガキだなと俺は思った。
「まぁ……十貫の王に俺は何も言う権限はないっすけど」
俺は伝説として残った。しかし、それは過去の産物であって、現在ではない。現在、この場所……世界を守っているのは十貫の王なのだ。
「どこにいるかわかる?」
そんなことを俺に聞いてくるが知るはずもない。昔のアジトは知っていても今同じところにいるとは考えにくい。
「わかりませんね。しかし、今現在はこの街にいるでしょうね」
この学園を襲うということは何かしらのメリットがあるということだ。しかし、この学園を襲うということはそれ以上にデメリットも生じる。俺にはそいつらの意図を読み取ることはできない。
「そう……ですね。1人、わかりそうな人がいますけど……。しかし、そいつも行方不明なもので」
俺の仲間は強者揃いだ。しかし、この何年も会っていないし、どこにいるかもわからない状況なのだ。
「じゃあ……様子を見るとしましょうか」
春日先輩は意外にも落ち着いた答えを出していた。今ここで混乱して、そいつを探したところですぐに逃げられるのは目に見えている。
「そうっすね。俺はもう授業に戻ることにします」
俺は、今まだ授業中だということを思い出した。しかし、もう時間も時間だ。今から実技塔に戻ったところですぐに教室に戻ることになる。しかも、賢一郎先生は事件についてまだ調べるらしく俺たちは実技塔に戻ることをせずに教室に戻ることにした。
「悠一。その組織ってそんなに強いの?」
そんなことを聞いてくる。涼はまだ新入生なので大した成績も残していない。しかし、編入試験の成績は相当良かったらしい。
「ん……。強いよ。もしかしたら十貫の王よりも」
俺はそういった。しかし、俺が今まであった十貫の王はこの学園にいる生徒会長と春日先輩だけだ。それだけでは十貫の王がどこまで強いのかわからない。
「あれ……?そう言えば春日先輩って十貫の王なのにどうして生徒会入んなかったのかな?」
そんなことが気になった。生徒会は強いし、この学園内で特別な権力をもっている。入る気なら春日先輩だって入れたはずなのだ。
「知らないの?」
隣にいた涼がそんなことを言ってくる。俺よりもこの学園に詳しい涼のことだ。何か知っているのだろう。
「あの先輩は権力なんて興味ないで有名なんだよ」
俺は納得した。それなら別に生徒会に入る意味がない。というか、十貫の王は世界で権力をもっている。学園内で権力を示さなくても逆らう人などいないだろう。
そんなこんなで教室に戻った俺たち。そして、俺は、今日の授業全てを終えたということで住む場所に向かった。
目の前にいる十貫の王の春日《かすが》ハジメは、俺にそんなことを聞く。春日先輩が俺の表情から読み取ったことは少し意外だった。しかし、考えた俺は、結局俺の知っていることすべてを教えることを決意する。
「これは……ある組織のシンボルです」
その言葉を聞いた春日先輩はニヤリとしており、その他の俺の同級生や先生方は何の話をしているんだろう?といった表情で俺たちの会話を聞いている。
「あの組織か?」
俺の正体を知っていると話していた春日先輩。俺が言った言葉の次に言ったこの言葉により、本当に俺の正体を知っているという確信に至った。
「はい。あの組織は危険すぎます。今の俺……いや、先生方、十貫の王でも完全に抑えきれるかどうか」
俺はそう言った。俺が指している危ない組織というのは俺が昔アスファルト時代に戦った組織のことだ。この組織は強いというのはもちろんだが、他にも危ない実験などを繰り返しているらしい。
「なるほどな……そんな伝説と戦えるなんて楽しみだね」
ニコニコしている。俺は特にこいつを戦いに出したくなかった。そのために全て話したのだが、逆効果だった。
「はぁ……やめといたほうがいいと思いますけど」
俺は一応そう言っておく。しかし、こんな言葉一つで止めるほどこいつは大人ではないだろう。
「止めませんよ。俺はそういう強い奴を倒すためにこの十貫の王になったんですから!」
予想通り、春日先輩はやめる気はないらしい。しかも、強い奴と戦いたいから強くなったって……本当にガキだなと俺は思った。
「まぁ……十貫の王に俺は何も言う権限はないっすけど」
俺は伝説として残った。しかし、それは過去の産物であって、現在ではない。現在、この場所……世界を守っているのは十貫の王なのだ。
「どこにいるかわかる?」
そんなことを俺に聞いてくるが知るはずもない。昔のアジトは知っていても今同じところにいるとは考えにくい。
「わかりませんね。しかし、今現在はこの街にいるでしょうね」
この学園を襲うということは何かしらのメリットがあるということだ。しかし、この学園を襲うということはそれ以上にデメリットも生じる。俺にはそいつらの意図を読み取ることはできない。
「そう……ですね。1人、わかりそうな人がいますけど……。しかし、そいつも行方不明なもので」
俺の仲間は強者揃いだ。しかし、この何年も会っていないし、どこにいるかもわからない状況なのだ。
「じゃあ……様子を見るとしましょうか」
春日先輩は意外にも落ち着いた答えを出していた。今ここで混乱して、そいつを探したところですぐに逃げられるのは目に見えている。
「そうっすね。俺はもう授業に戻ることにします」
俺は、今まだ授業中だということを思い出した。しかし、もう時間も時間だ。今から実技塔に戻ったところですぐに教室に戻ることになる。しかも、賢一郎先生は事件についてまだ調べるらしく俺たちは実技塔に戻ることをせずに教室に戻ることにした。
「悠一。その組織ってそんなに強いの?」
そんなことを聞いてくる。涼はまだ新入生なので大した成績も残していない。しかし、編入試験の成績は相当良かったらしい。
「ん……。強いよ。もしかしたら十貫の王よりも」
俺はそういった。しかし、俺が今まであった十貫の王はこの学園にいる生徒会長と春日先輩だけだ。それだけでは十貫の王がどこまで強いのかわからない。
「あれ……?そう言えば春日先輩って十貫の王なのにどうして生徒会入んなかったのかな?」
そんなことが気になった。生徒会は強いし、この学園内で特別な権力をもっている。入る気なら春日先輩だって入れたはずなのだ。
「知らないの?」
隣にいた涼がそんなことを言ってくる。俺よりもこの学園に詳しい涼のことだ。何か知っているのだろう。
「あの先輩は権力なんて興味ないで有名なんだよ」
俺は納得した。それなら別に生徒会に入る意味がない。というか、十貫の王は世界で権力をもっている。学園内で権力を示さなくても逆らう人などいないだろう。
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