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1章 学園編
十話
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俺は、初めての授業も終わり、教室から出た。向かう場所は自分が住むことになっている部屋だ。この学園は例外以外全寮制。俺もその例外ではない。俺にもルームメイトがいるのだが、今日が初めてなのでまだ、会っていない。
「どこだ?」
俺は一人で寮がある施設にやってきた。何号室かはしっかりとプリントとして渡されていたので分かっている。しかし、部屋の数は多い。迷ってもおかしくないほどだ。
「鍵ください」
俺は玄関から入ると、すぐ目の前にはカウンターがあった。どこかの大きな会社みたいな作りだ。俺はそこに一度立ち寄り鍵を受け取ることにした。防犯対策として全ての鍵はここで管理されている。
「はい。こちらになります」
俺は、自分で何号室とかは言わずに持っていたプリントをそのカウンターにいた人に見せると笑顔とともに鍵を渡してくれた。
「2階か……」
俺の部屋は2階にある。男子寮と女子寮は別ということもありこの施設自体は3階までしかない。
「はぁ……疲れた」
今日色々あったかもしれないが学園生活というのは意外と疲れるものなのかもしれない。俺は、ゆっくりと階段を上った。
「ここかな……?」
部屋の扉に書いてある数字と俺が持っていたプリントの数字を交互に見て、見比べた。ここで、間違いないようだ。
「失礼……します」
この部屋も2人1組のはずだ。ということは、この部屋に人がいてもおかしくない。なので、しっかりと挨拶をしてから入ることにした。
「君が俺と一緒の部屋かいな?」
すると、奥から声が聞こえた。少しの訛りはあるもののしっかりとした発音で言っている。この人が俺と同じ部屋の人なのだろう。
「はい。悠一と言います」
俺は部屋の奥まで行くとそう言った。俺の目の前にいる少年の肌の色は俺みたいに白っぽくなく少し日に焼けた感じの色だった。
「俺は2年の西条。よろしゅうな」
俺は1年なので先輩だ。西条先輩は俺に向かってニコニコしている。怖い人じゃなくて俺はホッとしていた。
「編入生じゃろ?」
「はい……」
どうしてそんなことを聞くのか不思議に思っていた俺だが、しっかりと返事をすることにした。
「明日……町の案内してやるんよ」
この学園では編入生が同じ部屋になる時この学園、この町について案内をする決まりになっている。
「お願いします。先輩」
俺は先輩と呼んだ。それに腹を立てたのか一瞬にして不機嫌な顔になってしまった。どうして先輩と呼ばれたくないのだろう?
「集って呼んで」
俺にそう言ってくる。しかし、先輩はここで初めて俺に名前を名乗ったのだ。それなのに不機嫌になられても……と思う。
「わかりました。シュウさん」
「さんじゃないっ!せめて、"くん"にして」
「はぁ……わかりました。シュウくん。案内お願いします」
「分かったよ。俺が"明日"案内するよ」
俺はどうしてか明日という部分が引っかかった。そこで、俺は思い出した。
「明日は……すいません。いろいろな説明会が重なってまして」
そう、明日はこの学園に入ってから大切な説明会の日なのだ。シュウくんは少し残念そうな顔をしているため、行ってあげたいが休むことができない大切な用事なのだ。
「分かったよ。じゃあ、土曜日ね」
「はい!お願いします」
俺は丁寧に頭を下げてにこりと笑った。すると、シュウくんは少し顔が赤くなって照れているようだった。俺自身も意外と次の土曜日のことが待ち遠しかった。
「どこだ?」
俺は一人で寮がある施設にやってきた。何号室かはしっかりとプリントとして渡されていたので分かっている。しかし、部屋の数は多い。迷ってもおかしくないほどだ。
「鍵ください」
俺は玄関から入ると、すぐ目の前にはカウンターがあった。どこかの大きな会社みたいな作りだ。俺はそこに一度立ち寄り鍵を受け取ることにした。防犯対策として全ての鍵はここで管理されている。
「はい。こちらになります」
俺は、自分で何号室とかは言わずに持っていたプリントをそのカウンターにいた人に見せると笑顔とともに鍵を渡してくれた。
「2階か……」
俺の部屋は2階にある。男子寮と女子寮は別ということもありこの施設自体は3階までしかない。
「はぁ……疲れた」
今日色々あったかもしれないが学園生活というのは意外と疲れるものなのかもしれない。俺は、ゆっくりと階段を上った。
「ここかな……?」
部屋の扉に書いてある数字と俺が持っていたプリントの数字を交互に見て、見比べた。ここで、間違いないようだ。
「失礼……します」
この部屋も2人1組のはずだ。ということは、この部屋に人がいてもおかしくない。なので、しっかりと挨拶をしてから入ることにした。
「君が俺と一緒の部屋かいな?」
すると、奥から声が聞こえた。少しの訛りはあるもののしっかりとした発音で言っている。この人が俺と同じ部屋の人なのだろう。
「はい。悠一と言います」
俺は部屋の奥まで行くとそう言った。俺の目の前にいる少年の肌の色は俺みたいに白っぽくなく少し日に焼けた感じの色だった。
「俺は2年の西条。よろしゅうな」
俺は1年なので先輩だ。西条先輩は俺に向かってニコニコしている。怖い人じゃなくて俺はホッとしていた。
「編入生じゃろ?」
「はい……」
どうしてそんなことを聞くのか不思議に思っていた俺だが、しっかりと返事をすることにした。
「明日……町の案内してやるんよ」
この学園では編入生が同じ部屋になる時この学園、この町について案内をする決まりになっている。
「お願いします。先輩」
俺は先輩と呼んだ。それに腹を立てたのか一瞬にして不機嫌な顔になってしまった。どうして先輩と呼ばれたくないのだろう?
「集って呼んで」
俺にそう言ってくる。しかし、先輩はここで初めて俺に名前を名乗ったのだ。それなのに不機嫌になられても……と思う。
「わかりました。シュウさん」
「さんじゃないっ!せめて、"くん"にして」
「はぁ……わかりました。シュウくん。案内お願いします」
「分かったよ。俺が"明日"案内するよ」
俺はどうしてか明日という部分が引っかかった。そこで、俺は思い出した。
「明日は……すいません。いろいろな説明会が重なってまして」
そう、明日はこの学園に入ってから大切な説明会の日なのだ。シュウくんは少し残念そうな顔をしているため、行ってあげたいが休むことができない大切な用事なのだ。
「分かったよ。じゃあ、土曜日ね」
「はい!お願いします」
俺は丁寧に頭を下げてにこりと笑った。すると、シュウくんは少し顔が赤くなって照れているようだった。俺自身も意外と次の土曜日のことが待ち遠しかった。
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