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1章 学園編
十五話
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「構えてっ!」
その言葉に反応するかのように俺と向かいにいるのはCランクの菅生《すごう》くん。俺の武器は剣。なので、鞘から抜き出し、片手で持っている。それに対して菅生くんの武器は弓矢らしい。
「始めっ!」
その合図で俺と菅生くんは一斉に走り出す。弓矢のいいところは遠距離なところ。そして、俺の武器は近距離の攻撃を得意とする。どちらとしても俺の方が不利なのは言うまでもない。
「はぁーーーーー!」
菅生くんは俺に向かって素早く矢を放ってくる。その威力はさすがといえるものだった。
「危なっ!」
俺はその矢を少し体勢を崩しながらも払いのけた。しかし、菅生くんは俺が体勢を崩したところをねらってまた、撃ってくる。
「はぁ………タイミングが絶妙ですな」
そう言いながら俺はアクロバティック的な行動に出た。菅生くんが放った矢は全部で5本。それを剣を使うことなく、全てギリギリのところで避けた。
「くっ………本当にFクラスか?」
そう思うのも無理はない。しかし、会場のみんなは気がついていない。俺の強さに。だって、もう数分経っている中で俺は一度も攻撃を繰り出していないのだから。
「そうだよ。落ちこぼれだからね」
俺は避けながらも菅生くんの矢を避け続ける。俺には菅生くんが何本の矢を持っているのかも知らない。しかし、菅生くんはもうすでに10本以上の矢を使っていた。どこにそんな量の矢を持っているのだろうか。
「くっ…………【アパシティー】」
菅生くんは俺との対決に勝負に出たようだ。その技は乱れ撃ちみたいなものでさっきとは比べ物にならない量の矢が俺の方へ飛んでくる。
「くっ…………これじゃ、近づけないな」
勝負に出ようと思っていた俺は菅生くんにアパシティーを使われたため、近づくことはできない。そのすべての矢を避けきるのが最善策だ。
「こ、これが………天才と凡人の違いなんだよ」
「へぇー。でもさ、天才っていう人ほど凡人以下だったりするんだよ」
「な、何をっ!」
すごい勢いで飛んでくる矢たち。会場は俺の負けという空気になっている。しかし、次の瞬間、そう考えている人たちは馬鹿らしくなるほどの高位テクニックを披露した。
「これ、全部避けきればいいんだろ?」
「は、はぁ?」
俺はそう言うと自ら矢に向かって走る。すると、その矢を一本ずつとは言わず、10本ずつくらいに叩き切る。すると、その技はすぐに消える。
「ど、どうして分かった」
「Bランクがそんなテクニックできるわけないからな」
「俺の完敗という………ことか?」
アパシティーの正体。それは乱れ撃ちでも何でもない。ただのコピー技。一本の矢を分身させているだけ。なので、その元の一本を叩き切ることができれば全ての矢は消滅する。
「では、これで最後だ」
「ぐっ………」
俺は勝負を決めるためにすごい勢いで菅生の前まで行く。その時だった。
ドッカーン
会場には爆発音が響いた。その音の方を観客と試合をしている俺たちや審判は一斉に見る。そこには煙がもくもくと上がっている。そして、その奥からは声が聞こえる。
「先輩。どうしてこんなところ狙うんすか?」
「それはだな、矢代。俺にもわからん」
「えぇー。あの方の指示なんすか?」
「あぁ……」
「じゃあ、しょうがないっすね」
その声の主は2人いる。しかも、その年齢は俺たちとそう変わらないらしい。しかし、一人は少年っぽく、もう一人は大人びているといった印象だった。
ここに爆発音を鳴らしながら乗り込んでくる。みんなは理解した。彼らはテロリストだと。
「ま、まさか………お前たち」
俺だけが理解していた。彼らが誰なのかやどうしてここに来たかということを。また、昔のような波乱な日々が始まる瞬間だった。
その言葉に反応するかのように俺と向かいにいるのはCランクの菅生《すごう》くん。俺の武器は剣。なので、鞘から抜き出し、片手で持っている。それに対して菅生くんの武器は弓矢らしい。
「始めっ!」
その合図で俺と菅生くんは一斉に走り出す。弓矢のいいところは遠距離なところ。そして、俺の武器は近距離の攻撃を得意とする。どちらとしても俺の方が不利なのは言うまでもない。
「はぁーーーーー!」
菅生くんは俺に向かって素早く矢を放ってくる。その威力はさすがといえるものだった。
「危なっ!」
俺はその矢を少し体勢を崩しながらも払いのけた。しかし、菅生くんは俺が体勢を崩したところをねらってまた、撃ってくる。
「はぁ………タイミングが絶妙ですな」
そう言いながら俺はアクロバティック的な行動に出た。菅生くんが放った矢は全部で5本。それを剣を使うことなく、全てギリギリのところで避けた。
「くっ………本当にFクラスか?」
そう思うのも無理はない。しかし、会場のみんなは気がついていない。俺の強さに。だって、もう数分経っている中で俺は一度も攻撃を繰り出していないのだから。
「そうだよ。落ちこぼれだからね」
俺は避けながらも菅生くんの矢を避け続ける。俺には菅生くんが何本の矢を持っているのかも知らない。しかし、菅生くんはもうすでに10本以上の矢を使っていた。どこにそんな量の矢を持っているのだろうか。
「くっ…………【アパシティー】」
菅生くんは俺との対決に勝負に出たようだ。その技は乱れ撃ちみたいなものでさっきとは比べ物にならない量の矢が俺の方へ飛んでくる。
「くっ…………これじゃ、近づけないな」
勝負に出ようと思っていた俺は菅生くんにアパシティーを使われたため、近づくことはできない。そのすべての矢を避けきるのが最善策だ。
「こ、これが………天才と凡人の違いなんだよ」
「へぇー。でもさ、天才っていう人ほど凡人以下だったりするんだよ」
「な、何をっ!」
すごい勢いで飛んでくる矢たち。会場は俺の負けという空気になっている。しかし、次の瞬間、そう考えている人たちは馬鹿らしくなるほどの高位テクニックを披露した。
「これ、全部避けきればいいんだろ?」
「は、はぁ?」
俺はそう言うと自ら矢に向かって走る。すると、その矢を一本ずつとは言わず、10本ずつくらいに叩き切る。すると、その技はすぐに消える。
「ど、どうして分かった」
「Bランクがそんなテクニックできるわけないからな」
「俺の完敗という………ことか?」
アパシティーの正体。それは乱れ撃ちでも何でもない。ただのコピー技。一本の矢を分身させているだけ。なので、その元の一本を叩き切ることができれば全ての矢は消滅する。
「では、これで最後だ」
「ぐっ………」
俺は勝負を決めるためにすごい勢いで菅生の前まで行く。その時だった。
ドッカーン
会場には爆発音が響いた。その音の方を観客と試合をしている俺たちや審判は一斉に見る。そこには煙がもくもくと上がっている。そして、その奥からは声が聞こえる。
「先輩。どうしてこんなところ狙うんすか?」
「それはだな、矢代。俺にもわからん」
「えぇー。あの方の指示なんすか?」
「あぁ……」
「じゃあ、しょうがないっすね」
その声の主は2人いる。しかも、その年齢は俺たちとそう変わらないらしい。しかし、一人は少年っぽく、もう一人は大人びているといった印象だった。
ここに爆発音を鳴らしながら乗り込んでくる。みんなは理解した。彼らはテロリストだと。
「ま、まさか………お前たち」
俺だけが理解していた。彼らが誰なのかやどうしてここに来たかということを。また、昔のような波乱な日々が始まる瞬間だった。
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