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21:大爆発しました
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「せ、聖子さんっ!」
ドバババーッと音を立てて、泉の水がグラハムに降り注ぎ、咆哮とも呼べるほどの悲鳴が辺り一面に響き渡った。
あたりは紫色の水蒸気が立ち込め、悲鳴とともにグラハムだったものが転げ回った。右へ左へと転がるグラハムの横をすり抜け、聖子は盲滅法に走り回った。
幸い落下した時の怪我はない。万能薬だったのが良かったのか、イモリだからなのか、先ほど受けた傷はすでに完全に癒えて調子は抜群だ。ただ、巨体となったグラハムが転がるので、それに押し潰されれば、小さなイモリである聖子などプチっと潰されてお仕舞いだ。冴え渡る五感とフットワークを存分に活かしてアダムのいる方へと向かった……はずだった。
霧が晴れて、辺りを見渡せば聖子がいたのはなんと薬草畑だった。つまるところ、泉からかなり左寄りになり、グラハムとアダム達と聖子の位置は、三角点を作っていた。幸いグラハムは聖子の存在に気が付いていない。
いまだにシュウシュウと蒸気を上げる体は、皮膚のない筋肉模型のように赤黒い。筋が黒ずんで切れては新たに作り上げられ、どんどん人間の体格からかけ離れていく。
万能薬は効かなかったのだ。
グラハムはフシュー、フシューと鼻息荒く、ゴボゴボと喉の奥で唸り声をあげる。万能薬は体を治す薬として使われるはずだ。なのになぜ。
そこで聖子は新たな真実に気がついた。すでに人間ではない別物になろうとしていたグラハムの細胞の手助けをしてしまったのではないかと言うことに。
魔獣と化したグラハムはふんふんと匂いを嗅ぐ。地面に鼻をつけ、空中の匂いを嗅ぎ取る。アダムも、ハーナも動かなかった。聖子はぺろぺろと自分の目を舐め緊張をほぐし、視線だけでアダム達の立ち位置とグラハムの位置を確認する。
グラハムはくるりと後ろを振り返り、泉を睨みつけたかと思うと、ゴーっと火を吐いた。辺り一面は焼け野原になったが泉の水は変わらずそこに静かに佇んでいる。
あの火がゴーっと薬草畑に噴かれたら私、イモリの黒焼き間違いなし、と聖子はごくりと喉を鳴らす。泉の底に沈んでいれば命は助かったかもしれない。余計なことをしないで泉でじっとしているべきだった、と後悔するが、あの時はあの時でグラハムを助けられる可能性に賭けたのだ。
神殿で起こっていることに気がついた騎士や、王国の誰かが駆けつけてはくれないだろうか。いや、それでもあの火炎放射に立ち向かうのは無理かもしれない。戦車とか、火薬対策の軍人とかないのかしら。聖子は心臓が飛び出さんばかりに狼狽え、逃げ出したくなった。
聖子がここにいる限り、アダムは逃げることはしないと信じたい。わざわざ探しに来てくれたのだから、何か打つ手はあるのだろうか。まさか、グラハムがあんな魔獣になっているとは思いもよらないだろうから、騎士に任せるしかないのかもしれない。もし打つ手がないのだとしたら、とっととアダムに駆け寄ってここから逃げ出さなければ、あんな火炎を受けたらそのうち水魔法でも耐えがたくなるかもしれない。水がなければ万能薬も作れない聖子など、戦うには役に立たないのだ。
聖子は腹を決めて、そろそろと薬草畑の中を移動し始めた。葉を揺らさない様に気をつけて、静かに。そう思ったのだが、思った以上に難しい。万能薬を噴き上げた時の水が薬草畑にも届いていたのだ。
薬草が目に見えて育っていくのに気がついた時には、魔獣グラハムは瞳のない顔を畑に向けていた。ゴーっと再び火炎が上がる。聖子は「ぎゃーっ」と大慌てで薬草畑を走る。
「聖子さん!」
アダムがいち早く薬草畑に聖子がいることに気がつき、グラハムに向かって聖魔法を放った。咆哮が再び響き渡り、それがダメージを負わせたことがわかった。
魔獣は聖魔法に弱い。もし聖子が万能薬ではなく、泉の水で聖水を作っていたのだとしたらそれは魔獣となったグラハムに効いていたことだろう。だが、咄嗟の判断ができなかったのだ。聖子にとって聖水というのは、教会の神父が悪魔付きに使う様なイメージしかなかったからである。
「私が奴の気を引いている間に早くこちらへ!」
「アダムーっ!」
声のする方へ猛ダッシュをする聖子。急いでいるのに中々畑から出られず一直線に向かおうにも育ち始めた薬草が邪魔をする。ジグザグと薬草の茎や根をよけアダムへと走る聖子は、精霊の言う通りもう少しダイエットに励んでおけば良かったと後悔した。
まるで障害物競走をしたかのように、ぜい、はあと息を弾ませてようやく薬草畑から抜け出したところで、アダムと視線があった。
パッと安堵が顔に浮かび、気を逸らした一瞬に魔獣グラハムがアダムに向かって火を吐いた。
「アダム、避けてっ!」
ハーナが叫び、聖子は再びグラハムに目をやった。その火炎玉はスローモーションのように聖子の目に映り、通り過ぎ、アダムに命中する。
「あ」
火炎に包まれて吹っ飛んでいくアダムを、聖子は視線で追うしかなかった。
「あ」
ハーナが吹っ飛んだアダムを受け止め、水魔法で火を消し、結界を作った。
アダム。
ハーナに抱き抱えられたアダムは動かない。小さなバブルに包まれた二人を呆然と見守る聖子だったが、頭の中には事故で亡くなった過去の夫がダブって見えた。
聖子が夜勤の時だ。夫が交通事故で病院に運ばれてきた。息子達と一緒に家にいるはずだった夫がなぜ外出をしていたのか、その時はわからなかった。だが、衝突事故で胸を強打し、両足は潰れた車の間に挟まれて意識不明のまま息を引き取った。飲酒運転だった。その後、愛人がいただの、不倫をしていただのが発覚して大変だったことまで思い出した。
何がいけなかったのか。
聖子は仕事を続けたいといい、彼も賛成してくれた。子供が生まれても手に職を持つって大事だからと、笑ってくれた。夫婦って感じでいいよねって笑ってたのに。
なぜ、裏切ったのか。
聞きたくても、彼はもういない。聖子が何も気が付かないうちに死んでしまった。
バチが当たったのだ。不貞なんかするから。嘘つきで、優しすぎて、そして周りを傷つけた。
それでも、愛していた。
死んでほしくなんかなかった。たとえいずれドロドロの離婚劇になろうとも、話し合いたかった。ちゃんと問いただしたかった。お互い理解して、わかり合いたかったのだ。死んで逃げるなんて、許せない。二人の子供を父無し子にして。
聖子はずっと怒っていたのだ。
ずっと、ずっと怒っていた。
彼を助けられなかったことに対して。
ここでも、また。
私は誰も助けられない。
「私に何ができるっていうの…」
神様のばか。
人を見る目がなさすぎでしょう。神様のくせに。助けなさいよ。なんで人任せにするのよ。
「いい加減にしなさいよーーーーっっっ!!!」
聖子が叫んだ。誰に対しての怒りなのか、わからない。怒っているのか、悲しんでいるのか、それすらももうわからない。自分の中でぐるぐる渦巻いた感情が腹の底から湧き上がる。それはどんどん、どんどん膨れ上がって。
ーーーー爆発した。
* * *
グラハムの吐いた炎に包まれる瞬間、私は咄嗟に水膜を作り体を守ったが、不意をついた炎の勢いまで殺すことが出来ず、吹き飛んだ。その姿を見た聖子さんの顔が目に入った。キョロリとした大きな黒目がこれでもかというほどに大きく見開かれ、いつもの愛らしい驚いた顔に輪をかけている。
ハーナに受け止められて咄嗟に火は消えたが私の視線は聖子さんから離れなかった。聖子さんはぺろりと片方の瞳を舐めた。あれはきっと無意識のうちにやっているのだろう。緊張をしたり驚いたりするとよく目を舐めている。大きな瞳だから瞬きをしないでいると、乾いてしまうのだろう。そんな馬鹿なことを考えているうちに、ハーナが結界を作る。
「次が来るわよ、ボケっとしてないで!」
「あ、ああ。すまない。聖子さんが」
聖子さんが泉の中にいると思ったから、その目の前にいるグラハムに攻撃はできなかったが、聖子さんが薬草畑にいるというのなら話は別だ。泉が吹き上がった時はどうなることかと思ったが、あれは聖子さん独特の移動法なのろう。薬草に万能薬が大量にかかったせいで異常成長をしているが、そのうち森になったりしないだろうか。それはそれで精霊も喜びそうだが。
「まあいい。まずはアイツだ。残念だがグラハムはもう無理だ」
「仕方ないわ。自業自得よ」
「ハーナは聖子さんを守ってくれ。あとは私が始末をつける」
「わかったわぁ……ってちょっと待って、聖子が……!?」
慌てたハーナの言葉に視線を戻すと、聖子さんはじっと一点を見つめたまま、魔力を貯めているのがわかった。今までそんなことができるなんて聞いていない。何をするつもりだ。
聖子さんの体がみるみる内に大きくなり、腹のクリムゾン色がどんどん広がっていく。
「ちょ、ちょっとやばいわよ!暴走してるんじゃ……!」
まずいと思うと同時に立ち上がったが、真っ赤に染まった聖子さんから閃光が走り。
ハーナもろとも吹き飛ばされた。
ドバババーッと音を立てて、泉の水がグラハムに降り注ぎ、咆哮とも呼べるほどの悲鳴が辺り一面に響き渡った。
あたりは紫色の水蒸気が立ち込め、悲鳴とともにグラハムだったものが転げ回った。右へ左へと転がるグラハムの横をすり抜け、聖子は盲滅法に走り回った。
幸い落下した時の怪我はない。万能薬だったのが良かったのか、イモリだからなのか、先ほど受けた傷はすでに完全に癒えて調子は抜群だ。ただ、巨体となったグラハムが転がるので、それに押し潰されれば、小さなイモリである聖子などプチっと潰されてお仕舞いだ。冴え渡る五感とフットワークを存分に活かしてアダムのいる方へと向かった……はずだった。
霧が晴れて、辺りを見渡せば聖子がいたのはなんと薬草畑だった。つまるところ、泉からかなり左寄りになり、グラハムとアダム達と聖子の位置は、三角点を作っていた。幸いグラハムは聖子の存在に気が付いていない。
いまだにシュウシュウと蒸気を上げる体は、皮膚のない筋肉模型のように赤黒い。筋が黒ずんで切れては新たに作り上げられ、どんどん人間の体格からかけ離れていく。
万能薬は効かなかったのだ。
グラハムはフシュー、フシューと鼻息荒く、ゴボゴボと喉の奥で唸り声をあげる。万能薬は体を治す薬として使われるはずだ。なのになぜ。
そこで聖子は新たな真実に気がついた。すでに人間ではない別物になろうとしていたグラハムの細胞の手助けをしてしまったのではないかと言うことに。
魔獣と化したグラハムはふんふんと匂いを嗅ぐ。地面に鼻をつけ、空中の匂いを嗅ぎ取る。アダムも、ハーナも動かなかった。聖子はぺろぺろと自分の目を舐め緊張をほぐし、視線だけでアダム達の立ち位置とグラハムの位置を確認する。
グラハムはくるりと後ろを振り返り、泉を睨みつけたかと思うと、ゴーっと火を吐いた。辺り一面は焼け野原になったが泉の水は変わらずそこに静かに佇んでいる。
あの火がゴーっと薬草畑に噴かれたら私、イモリの黒焼き間違いなし、と聖子はごくりと喉を鳴らす。泉の底に沈んでいれば命は助かったかもしれない。余計なことをしないで泉でじっとしているべきだった、と後悔するが、あの時はあの時でグラハムを助けられる可能性に賭けたのだ。
神殿で起こっていることに気がついた騎士や、王国の誰かが駆けつけてはくれないだろうか。いや、それでもあの火炎放射に立ち向かうのは無理かもしれない。戦車とか、火薬対策の軍人とかないのかしら。聖子は心臓が飛び出さんばかりに狼狽え、逃げ出したくなった。
聖子がここにいる限り、アダムは逃げることはしないと信じたい。わざわざ探しに来てくれたのだから、何か打つ手はあるのだろうか。まさか、グラハムがあんな魔獣になっているとは思いもよらないだろうから、騎士に任せるしかないのかもしれない。もし打つ手がないのだとしたら、とっととアダムに駆け寄ってここから逃げ出さなければ、あんな火炎を受けたらそのうち水魔法でも耐えがたくなるかもしれない。水がなければ万能薬も作れない聖子など、戦うには役に立たないのだ。
聖子は腹を決めて、そろそろと薬草畑の中を移動し始めた。葉を揺らさない様に気をつけて、静かに。そう思ったのだが、思った以上に難しい。万能薬を噴き上げた時の水が薬草畑にも届いていたのだ。
薬草が目に見えて育っていくのに気がついた時には、魔獣グラハムは瞳のない顔を畑に向けていた。ゴーっと再び火炎が上がる。聖子は「ぎゃーっ」と大慌てで薬草畑を走る。
「聖子さん!」
アダムがいち早く薬草畑に聖子がいることに気がつき、グラハムに向かって聖魔法を放った。咆哮が再び響き渡り、それがダメージを負わせたことがわかった。
魔獣は聖魔法に弱い。もし聖子が万能薬ではなく、泉の水で聖水を作っていたのだとしたらそれは魔獣となったグラハムに効いていたことだろう。だが、咄嗟の判断ができなかったのだ。聖子にとって聖水というのは、教会の神父が悪魔付きに使う様なイメージしかなかったからである。
「私が奴の気を引いている間に早くこちらへ!」
「アダムーっ!」
声のする方へ猛ダッシュをする聖子。急いでいるのに中々畑から出られず一直線に向かおうにも育ち始めた薬草が邪魔をする。ジグザグと薬草の茎や根をよけアダムへと走る聖子は、精霊の言う通りもう少しダイエットに励んでおけば良かったと後悔した。
まるで障害物競走をしたかのように、ぜい、はあと息を弾ませてようやく薬草畑から抜け出したところで、アダムと視線があった。
パッと安堵が顔に浮かび、気を逸らした一瞬に魔獣グラハムがアダムに向かって火を吐いた。
「アダム、避けてっ!」
ハーナが叫び、聖子は再びグラハムに目をやった。その火炎玉はスローモーションのように聖子の目に映り、通り過ぎ、アダムに命中する。
「あ」
火炎に包まれて吹っ飛んでいくアダムを、聖子は視線で追うしかなかった。
「あ」
ハーナが吹っ飛んだアダムを受け止め、水魔法で火を消し、結界を作った。
アダム。
ハーナに抱き抱えられたアダムは動かない。小さなバブルに包まれた二人を呆然と見守る聖子だったが、頭の中には事故で亡くなった過去の夫がダブって見えた。
聖子が夜勤の時だ。夫が交通事故で病院に運ばれてきた。息子達と一緒に家にいるはずだった夫がなぜ外出をしていたのか、その時はわからなかった。だが、衝突事故で胸を強打し、両足は潰れた車の間に挟まれて意識不明のまま息を引き取った。飲酒運転だった。その後、愛人がいただの、不倫をしていただのが発覚して大変だったことまで思い出した。
何がいけなかったのか。
聖子は仕事を続けたいといい、彼も賛成してくれた。子供が生まれても手に職を持つって大事だからと、笑ってくれた。夫婦って感じでいいよねって笑ってたのに。
なぜ、裏切ったのか。
聞きたくても、彼はもういない。聖子が何も気が付かないうちに死んでしまった。
バチが当たったのだ。不貞なんかするから。嘘つきで、優しすぎて、そして周りを傷つけた。
それでも、愛していた。
死んでほしくなんかなかった。たとえいずれドロドロの離婚劇になろうとも、話し合いたかった。ちゃんと問いただしたかった。お互い理解して、わかり合いたかったのだ。死んで逃げるなんて、許せない。二人の子供を父無し子にして。
聖子はずっと怒っていたのだ。
ずっと、ずっと怒っていた。
彼を助けられなかったことに対して。
ここでも、また。
私は誰も助けられない。
「私に何ができるっていうの…」
神様のばか。
人を見る目がなさすぎでしょう。神様のくせに。助けなさいよ。なんで人任せにするのよ。
「いい加減にしなさいよーーーーっっっ!!!」
聖子が叫んだ。誰に対しての怒りなのか、わからない。怒っているのか、悲しんでいるのか、それすらももうわからない。自分の中でぐるぐる渦巻いた感情が腹の底から湧き上がる。それはどんどん、どんどん膨れ上がって。
ーーーー爆発した。
* * *
グラハムの吐いた炎に包まれる瞬間、私は咄嗟に水膜を作り体を守ったが、不意をついた炎の勢いまで殺すことが出来ず、吹き飛んだ。その姿を見た聖子さんの顔が目に入った。キョロリとした大きな黒目がこれでもかというほどに大きく見開かれ、いつもの愛らしい驚いた顔に輪をかけている。
ハーナに受け止められて咄嗟に火は消えたが私の視線は聖子さんから離れなかった。聖子さんはぺろりと片方の瞳を舐めた。あれはきっと無意識のうちにやっているのだろう。緊張をしたり驚いたりするとよく目を舐めている。大きな瞳だから瞬きをしないでいると、乾いてしまうのだろう。そんな馬鹿なことを考えているうちに、ハーナが結界を作る。
「次が来るわよ、ボケっとしてないで!」
「あ、ああ。すまない。聖子さんが」
聖子さんが泉の中にいると思ったから、その目の前にいるグラハムに攻撃はできなかったが、聖子さんが薬草畑にいるというのなら話は別だ。泉が吹き上がった時はどうなることかと思ったが、あれは聖子さん独特の移動法なのろう。薬草に万能薬が大量にかかったせいで異常成長をしているが、そのうち森になったりしないだろうか。それはそれで精霊も喜びそうだが。
「まあいい。まずはアイツだ。残念だがグラハムはもう無理だ」
「仕方ないわ。自業自得よ」
「ハーナは聖子さんを守ってくれ。あとは私が始末をつける」
「わかったわぁ……ってちょっと待って、聖子が……!?」
慌てたハーナの言葉に視線を戻すと、聖子さんはじっと一点を見つめたまま、魔力を貯めているのがわかった。今までそんなことができるなんて聞いていない。何をするつもりだ。
聖子さんの体がみるみる内に大きくなり、腹のクリムゾン色がどんどん広がっていく。
「ちょ、ちょっとやばいわよ!暴走してるんじゃ……!」
まずいと思うと同時に立ち上がったが、真っ赤に染まった聖子さんから閃光が走り。
ハーナもろとも吹き飛ばされた。
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