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30 大乱闘
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第七話 大乱闘
城門が内側から、ぎい……と軋む音を立てて開いた。
黒屍人のうなりが、門の裂け目へ吸い寄せられるように低くなる。
その暗い口から、まず飛び出してきたのは村井左門だった。
槍を構え、顔を土色にしている。
背後には館林の家臣たち。
動揺を隠しきれぬまま、なだれ出る。
「外が……これほどとは……!」
左門の声が掠れる。
門前の黒い海に、彼らは一歩で呑まれそうになり、足を止めた。
――その視線の正面。
黒屍人の屍の山の中に、
ひとり、旅笠の若侍が立っていた。
灰に濡れた羽織。 細身の身体。
血も泥も、刃の切っ先で払っただけのように何事もない顔。
霧島清十郎。
左門が息を呑む間もなく
「……なんだ、あいつは」
門の内側から、獣みたいなうなり声が響いた。
武蔵だ。
大股で出てくる。目が笑っていない。
戦の匂いに引かれた猛犬の目だ。
「おいおいおい……
外でこんな派手に遊んでる奴がいるってのに、俺らを呼ばねぇとはどういう了見だァ?」
その隣で、お蘭が目を見開く。
「……一人で、ここまで削ったの?」
清十郎の足元、黒屍人は折れた枝みたいに積み上がっている。
門前の広場が、彼ひとりの戦場だった証だ。
遅れて、鉄之介と金之助が姿を現す。
まず目に飛び込んだのは――清十郎の背と、その周囲の屍の量だった。
「……は?」
鉄之介が素で固まる。
「誰だよ、あれ」
「……剣客か」
金之助が低く言う。
広場の空気の裂け方が、ただ者じゃない。
そして最後に、門の影からゆっくりと、青い杖の老人が出てきた。
虚舟。
のっそり、のっそりと歩きながら、目だけが清十郎を捉える。
――その瞬間だった。
虚舟の青い杖が、勝手に脈を打った。
どくん。
さっきまで“待機の柵”みたいに整っていた黒屍人が、一斉に顔を上げる。
虚舟自身が考えるより先に、
身体の奥の未が“外の異物”へ反射したのだ。
「……おお?」
虚舟が小さく声を漏らした、その一拍で。
黒屍人の群れが、柵から“牙”へ変わった。
動きが違う。
待機命令の黒屍人は“形”だった。
押し寄せても鈍く、目の焦点も揺れていた。
だが、いまの黒屍人は――
攻めの命を受けた獣の群れだ。
足が速い。
腕が伸びる。
腐った喉が裂けるほど吠え、城門へ向けて一気に崩れ落ちた。
「っ……!?」
清十郎が柄を握り直すより早く、黒い波が襲いかかる。
清十郎だけじゃない。
左門、武蔵、お蘭、鉄之介、金之助。
門前に並ぶ全員へ、無差別の牙が降り注いだ。
「……ちっ、来たか!」
左門が槍を振るい、突いた先で黒屍人の喉を裂く。
だが一体落ちても二体が前へ。
押し返す槍の柄が、骨と腐肉でぬるりと滑る。
「殿の前で――!」
左門が歯を食いしばる。
武蔵は笑った。
「ははっ、いいねぇ!
やっと“本気の群れ”だ!」
大鉞が振り抜かれる。
ぶおん!
重い風圧と一緒に、黒屍人が三体まとめて宙へ舞う。
胴が千切れ、足が回転し、
黒い血が花火みたいに散る。
武蔵は血の雨の中で、嬉しそうに腕を鳴らした。
「来いよ、もっとだァ!」
お蘭は一歩引き、
細い刃をすべらせる。
ひゅっ、ひゅっ。
武蔵の暴力が“面”だとすれば、
お蘭の刃は“点”。 目、喉、関節。
黒屍人の“動く要”だけが抜かれ、
群れの勢いが、糸を切られた凧みたいに崩れる。
「……数は多いけど、目が単純だね」
声は涼しい。
涼しいのに、刃は冷たく笑っている。
鉄之介は、肩の大槌を前へ振り下ろした。
「どけぇぇぇぇッ!!」
どんッ!!
地面が沈む。
石畳が割れる。
黒屍人の列が“壁ごと”爆ぜる。
骨が砕け、肉が泥みたいに潰れ、広場に黒い波紋が広がった。
鉄之介は鼻息を荒くしながら笑う。
「おいおい、なんだよこれ!
城の前が祭りじゃねぇか!」
金之助は、槍も刀も抜かないまま、
拳を固く握った。
黒屍人が迫る。
胸の奥が、どくんと鳴る。
辰の鼓動が、血と同じ速さで回り始める。
金之助が踏み込む。
素手のまま、拳を突き出す。
ばきんッ!!
黒屍人の胸骨が、岩を叩いたように割れた。
腐肉が内側から弾け、一体が吹き飛ぶ。
金之助は目を見開き、自分の拳を一瞬だけ見る。
――力が、また深くなっている。
「……っ!」
次の拳。
次の踏み込み。
辰の熱が、身体の底から噴き上がり、黒屍人の群れに白い割れ目を作っていく。
そして――清十郎。
清十郎は波を避けない。
波の“芯”へ踏み込む。
しゃん。
抜き打ちが雨の筋みたいに走り、黒屍人の列が、音より先に崩れる。
速い。
正確。
そして軽い。
黒屍人が腕を振り上げる前に、腱が断たれて落ちる。
喉が鳴る前に、首の継ぎ目に線が入る。
群れの勢いを“切り裂く”のではなく、“ほどく”ように解体していく。
その剣が、広場に“空気の道”を作った。
「……なんだ、あの剣」
鉄之介が半笑いで呟く。
重い自分の槌とは逆の世界だ。
なのに威力は同じ、いやそれ以上。
清十郎の刃がひとつ閃くたび、黒屍人の“密度”が薄くなる。
秩序のない大乱闘の中で、清十郎の剣だけが、妙に静かな秩序を持っていた。
混戦の中心で、虚舟は立ち尽くしていた。
青い杖が脈を打つ。
黒屍人が暴れる。
虚舟の眉がわずかに動く。
「……が、がは……これは……」
未の珠が、勝手に“狩りの場”を作った。
虚舟の意思より先に、
“器が集った場”を嗅ぎ取ってしまったのだ。
黒屍人はさらに加速する。
牙が増える。
数が押し寄せ、
広場が黒い渦になる。
だが、渦の中にいる者たちの目は――光っていた。
左門は、槍を突き、引き、背後を守るために前へ出る。
武蔵は笑いながら群れを薙ぎ、お蘭は冷たい点で潮目を変え、鉄之介は大槌で地面ごと波を砕き、金之助は辰の熱で“芯”を穿ち、清十郎は静かな雨の剣で群れを解体する。
それぞれの強さが、
同じ戦場でぶつかり合うと、広場はまるで――火花の上がる嵐になった。
黒屍人の群れが、生きた壁みたいに押し寄せる。
「来いよ!」
「抜かせるな!」
「ぶっ潰す!」
叫びと斬撃と粉砕が交差し、灰の空に、黒い血の霧が舞う。
館林城の門前で、世界の理屈が一瞬だけ壊れた。
そこにあるのはただ――強者たちが本能のまま、戦に身を投じる光景だった。
第八話 清十郎の迷い
虚舟が、すっと一歩前へ出た。
青い杖が、夜の芯みたいに鈍く光る。
その光が一拍脈を打った瞬間、
どくん。
門前を埋めていた黒屍人の動きが、まるで糸を切られた人形のように、ぴたりと止まった。
腕も、喉も、足も。
うなり声さえ、喉の奥で凍りつく。
広場に残ったのは、刃の雫が落ちる音と、荒い息だけだった。
「……もうよい」
虚舟が静かに言った。
戦場の熱を一枚ずつ冷ましていくような声。
「おぬしらの強さは分かった。
期待通りじゃ」
武蔵が大太刀を肩に乗せたまま、にやりと笑う。
「へぇ。
終わりかい、じじい?」
お蘭は刃を拭い、息を整えながら虚舟を見た。
左門は槍先を下げないまま、眉を寄せる。
鉄之介が、血と灰を頬に付けたまま怒鳴った。
「おめえ、俺らを試したのか?」
虚舟は首を振る。
その動きだけが妙に悠然としていた。
「そうではない」
青い杖が、ゆっくりと清十郎の方を向く。
「……あの男を試した」
清十郎は旅笠の奥で目を細めた。
刀は抜かない。
だが柄から手を離しもしない。
虚舟の笑みが、ひとつ深くなる。
「間違いない。
そなたも器じゃ」
「……器?」
金之助が息を吐くように呟いた。
鉄之介が一歩踏み出す。
「まさか……」
金之助が虚舟を見据える。
「器って、どういう意味だ。
……寅の珠か?」
鉄之介が即座に噛みつく。
「器が増えるってことかよ、じじい。
寅の珠の器ってことか?」
虚舟は、肯定も否定もせずに、ただ低く言った。
「そうじゃ」
そして、鉄之介の懐――巾着の位置へ、視線を滑らせる。
「おぬしが隠し持つ、その珠じゃ」
鉄之介の顔が強張る。
「……知ってたか、じじい」
「珠の匂いは隠せぬ」
虚舟の声は淡々としている。
淡々としているのに、背筋の奥へ冷たく刺さる。
「辰の器がここにおる。
寅の珠がここにある。
そして、寅の器が現れた」
武蔵が面白がって口笛を吹いた。
「へぇ……
今の剣、そんなに“当たり”かよ」
清十郎は虚舟を見返す。
涼しい目の奥に、噛みつく前の獣みたいな静けさが宿っていた。
「……俺の剣を、勝手に決めるな」
「決めたのは儂ではない」
虚舟は杖を軽く鳴らす。
「珠が決めた」
その言葉に、広場の空気がひやりと落ちた。
虚舟の口が、ひとつ、古い名を吐く。
「……双子の珠」
金之助の胸の奥が、
理由の分からぬまま どくん と鳴った。
寅の巾着も、鉄之介の手の中で微かに震える。
清十郎はその震えに気づいたのか、
旅笠の陰で、ほんの僅かに目を細くした。
虚舟は、まるでその反応を確かめるように、にたりとも笑わず、淡々と続ける。
「寅は“猛き器”を求める。
辰は“深き器”を選ぶ。
――両方が揃う刻、珠は惹かれ合う」
鉄之介が歯噛みする。
「……ふざけんな。
器だの双子だの、好き勝手ぬかしやがって」
「好き勝手ではない」
虚舟の目が細く光る。
「流れじゃ。
流れに抗えば、命が割れる」
左門が低く言う。
「……この男をどうするつもりだ、虚舟」
虚舟は清十郎から視線を外さず、静かに答えた。
「どうするも何も、
寅の器は――ここで斬るか、ここで守るかの二つに一つじゃ」
清十郎の柄を握る指が、わずかに締まった。
金之助が一歩前へ出る。
「……この人を、俺たちに引き渡すと言うのか」
虚舟はふっと笑う。
「引き渡すは言わぬ。
だが――
寅の器が目の前にいるのだ、何もせぬなぞ、愚の骨頂」
その言葉だけで、門前の戦の熱が、別の形へ変質し始めた。
清十郎の刃はまだ鞘の中。
だが――広場の全員が、次の一太刀がどこへ向くかを本能で測り始めていた。
清十郎は、旅笠の陰で眉を寄せたまま動けずにいた。
――珠。
――器。
――引き渡す?
何ひとつ、言葉が腹へ落ちてこない。
「……なんだ、これは」
呟きが乾いた。
この場にいる連中は、黒屍人を相手にする“戦いの理”を知っている。
それどころか、黒屍人の“理屈の外側”にまで手を伸ばしている。
さっきまで、城を囲っていた黒屍人が、あの老人の杖ひとつで止まった。
止まった?
いや、凍ったと言ったほうが近い。
あれは人の力じゃない。
清十郎は、本能的に一歩だけ重心を引く。
敵なのか、味方なのか。
誰が誰に刃を向けるのか。
その前提すら、ここでは曖昧だった。
ただ一つ、確かなことがある。
――危険だ。
この場そのものが、黒屍人の海よりも、もっと深い危険を孕んでいる。
清十郎はゆっくりと周囲を見渡した。
槍を構えた男――左門。
背中で守る癖のある、前に出る武者だ。
大太刀を肩に乗せて笑っている男――武蔵。
人の形をしているが、あれは“戦の獣”だ。
涼しい目で刃を拭う女――お蘭。
さっきの戦で見えたのは、点で潮目を変える冷たい技。
大槌を担ぐ荒武者――鉄之介。
あの一撃は、群れの“面”を砕く暴力。
素手で黒屍人を吹き飛ばした若武者――金之助。
技でも力でもない、別の熱を身体に宿している。
そして、青い杖の老人――虚舟。
黒屍人の群れを“命令で止めた”男。
あの力の正体は分からない。
だが分からないほど、恐ろしい。
清十郎の喉が小さく鳴った。
――この連中、全員“強い”。
黒屍人相手の強さじゃない。
人間同士で殺し合っても生き残る強さだ。
自分の剣に自信はある。
古河で鍛え、血をくぐり抜け、ここまで来た。
正面から一対一なら、負ける気はしない。
だが――
清十郎は、頭の中で一瞬、刃の軌道を走らせてみる。
左門の槍を捌き、武蔵の大太刀の間合いを外し、お蘭の点の刃を読んで躱し、鉄之介の大槌の衝撃を逃がし、金之助の拳の熱を受け流し、その上で虚舟の“何か”に備える。
――無理だ。
いや、理屈で無理と判断した瞬間、背中の皮膚がぞわりと粟立った。
勝てるかどうか。
そんな計算の前に、この場はすでに“殺し合いの円”になりかけている。
清十郎は、柄に添えた指をわずかに締めた。
逃げるべきか。
ここで刃を抜けば、自分は“寅の器”だか何だか知らないが、この連中の狙いの中心に立たされる。
意味も分からないまま、
術の渦へ引きずり込まれる。
けれど、逃げればどうなる。
黒屍人が止まっているのは、あの老人の手の内。
老人の気が変われば――
また城下は黒い海に戻る。
それを見て見ぬふりして去るのか。
自分は、そういう剣を持ってきたのか。
清十郎は、ひとつ息を吸った。
胸の奥が、戦の熱ではない別のものに引かれて、ちくりと震える。
――わからない。
――だが、ここは決して“通りすがりの場”ではない。
目の前の男たちが自分を見る目は、
獲物か仲間か、そのどちらかを量っている。
そして老人の目は、
初めから答えを知っている目だ。
清十郎の頭の中で、選択肢がぶつかり合う。
逃げるか。
斬るか。
残るか。
旅笠の陰で、迷いが刃の表面を曇らせる。
清十郎は一歩だけ下がり、それを分からせないように膝を柔らかくした。
いつでも跳べる。
いつでも抜ける。
いつでも逃げられる。
そう構えたまま、清十郎は――
この異様な連中の次の出方を、必死で読もうとしていた。
清十郎の迷いは、刃の根元で断ち切られた。
――考えても仕方がない。
珠だの器だの、分からぬ言葉でこの場を縛ろうとする連中。
敵か味方かも定かでない。
それでも黒屍人は目の前にいて、城下はまだ死の中にある。
ならばやることは一つだ。
全員、斬り捨ててでも前へ進む。
黒屍人を駆逐する、そのためにここへ来た。
それだけは、どの言葉よりも確かだった。
清十郎は一度だけ深く息を吸い、古河藩の道場の土の匂いを思い出す。
父は藩の剣術指南役だった。
竹の匂い、汗の匂い、打ち合いの音。
幼い頃から剣を仕込まれた。
泣けばもう一度振らされた。
息が切れれば、足さばきからやり直しさせられた。
父はよく言った。
――お前の剣は抜ける。
――女であることが惜しい、と。
だが清十郎は、女であることを一度も不利だと思ったことがなかった。
男か女かなんて、剣の前では小さな差にすぎない。
その差で刃が鈍るなら、最初から剣を握らない。
身なりが男なのは、無理をしているからではない。
ただ、男の格好のほうが剣が振りやすい。
女装の袖や裾は、足と刃の邪魔になる。
それだけの理由だった。
――だから、今も迷いはない。
清十郎の指が柄を締めた。
血と灰の風が、旅笠の縁を叩く。
相手の強さは、肌で分かる。
だがそんなことを数えても仕方がない。
勝つために、まず割る。
清十郎の視線が、最初の獲物を捉えた。
門前に立つ大男――武蔵。
あれは剣の質が違う。
面で押し潰す獣。
まずあれを落とせば、戦の軸がぶれる。
次に、奥で静かに刃を拭いている女――お蘭。
点で潮目を変える手合いは、背に回されると厄介だ。
武蔵を崩した勢いのまま、あの女を屠る。
そこまで考えた瞬間、清十郎の身体はもう動いていた。
ずん。
灰を蹴る音がひとつ。
清十郎は武蔵へ向かって突進した。
細い影が、戦場の中心へ真っ直ぐ飛び込む。
風が遅れて追いかける。
旅笠の下で、涼しい目が獣の光を帯びた。
城門が内側から、ぎい……と軋む音を立てて開いた。
黒屍人のうなりが、門の裂け目へ吸い寄せられるように低くなる。
その暗い口から、まず飛び出してきたのは村井左門だった。
槍を構え、顔を土色にしている。
背後には館林の家臣たち。
動揺を隠しきれぬまま、なだれ出る。
「外が……これほどとは……!」
左門の声が掠れる。
門前の黒い海に、彼らは一歩で呑まれそうになり、足を止めた。
――その視線の正面。
黒屍人の屍の山の中に、
ひとり、旅笠の若侍が立っていた。
灰に濡れた羽織。 細身の身体。
血も泥も、刃の切っ先で払っただけのように何事もない顔。
霧島清十郎。
左門が息を呑む間もなく
「……なんだ、あいつは」
門の内側から、獣みたいなうなり声が響いた。
武蔵だ。
大股で出てくる。目が笑っていない。
戦の匂いに引かれた猛犬の目だ。
「おいおいおい……
外でこんな派手に遊んでる奴がいるってのに、俺らを呼ばねぇとはどういう了見だァ?」
その隣で、お蘭が目を見開く。
「……一人で、ここまで削ったの?」
清十郎の足元、黒屍人は折れた枝みたいに積み上がっている。
門前の広場が、彼ひとりの戦場だった証だ。
遅れて、鉄之介と金之助が姿を現す。
まず目に飛び込んだのは――清十郎の背と、その周囲の屍の量だった。
「……は?」
鉄之介が素で固まる。
「誰だよ、あれ」
「……剣客か」
金之助が低く言う。
広場の空気の裂け方が、ただ者じゃない。
そして最後に、門の影からゆっくりと、青い杖の老人が出てきた。
虚舟。
のっそり、のっそりと歩きながら、目だけが清十郎を捉える。
――その瞬間だった。
虚舟の青い杖が、勝手に脈を打った。
どくん。
さっきまで“待機の柵”みたいに整っていた黒屍人が、一斉に顔を上げる。
虚舟自身が考えるより先に、
身体の奥の未が“外の異物”へ反射したのだ。
「……おお?」
虚舟が小さく声を漏らした、その一拍で。
黒屍人の群れが、柵から“牙”へ変わった。
動きが違う。
待機命令の黒屍人は“形”だった。
押し寄せても鈍く、目の焦点も揺れていた。
だが、いまの黒屍人は――
攻めの命を受けた獣の群れだ。
足が速い。
腕が伸びる。
腐った喉が裂けるほど吠え、城門へ向けて一気に崩れ落ちた。
「っ……!?」
清十郎が柄を握り直すより早く、黒い波が襲いかかる。
清十郎だけじゃない。
左門、武蔵、お蘭、鉄之介、金之助。
門前に並ぶ全員へ、無差別の牙が降り注いだ。
「……ちっ、来たか!」
左門が槍を振るい、突いた先で黒屍人の喉を裂く。
だが一体落ちても二体が前へ。
押し返す槍の柄が、骨と腐肉でぬるりと滑る。
「殿の前で――!」
左門が歯を食いしばる。
武蔵は笑った。
「ははっ、いいねぇ!
やっと“本気の群れ”だ!」
大鉞が振り抜かれる。
ぶおん!
重い風圧と一緒に、黒屍人が三体まとめて宙へ舞う。
胴が千切れ、足が回転し、
黒い血が花火みたいに散る。
武蔵は血の雨の中で、嬉しそうに腕を鳴らした。
「来いよ、もっとだァ!」
お蘭は一歩引き、
細い刃をすべらせる。
ひゅっ、ひゅっ。
武蔵の暴力が“面”だとすれば、
お蘭の刃は“点”。 目、喉、関節。
黒屍人の“動く要”だけが抜かれ、
群れの勢いが、糸を切られた凧みたいに崩れる。
「……数は多いけど、目が単純だね」
声は涼しい。
涼しいのに、刃は冷たく笑っている。
鉄之介は、肩の大槌を前へ振り下ろした。
「どけぇぇぇぇッ!!」
どんッ!!
地面が沈む。
石畳が割れる。
黒屍人の列が“壁ごと”爆ぜる。
骨が砕け、肉が泥みたいに潰れ、広場に黒い波紋が広がった。
鉄之介は鼻息を荒くしながら笑う。
「おいおい、なんだよこれ!
城の前が祭りじゃねぇか!」
金之助は、槍も刀も抜かないまま、
拳を固く握った。
黒屍人が迫る。
胸の奥が、どくんと鳴る。
辰の鼓動が、血と同じ速さで回り始める。
金之助が踏み込む。
素手のまま、拳を突き出す。
ばきんッ!!
黒屍人の胸骨が、岩を叩いたように割れた。
腐肉が内側から弾け、一体が吹き飛ぶ。
金之助は目を見開き、自分の拳を一瞬だけ見る。
――力が、また深くなっている。
「……っ!」
次の拳。
次の踏み込み。
辰の熱が、身体の底から噴き上がり、黒屍人の群れに白い割れ目を作っていく。
そして――清十郎。
清十郎は波を避けない。
波の“芯”へ踏み込む。
しゃん。
抜き打ちが雨の筋みたいに走り、黒屍人の列が、音より先に崩れる。
速い。
正確。
そして軽い。
黒屍人が腕を振り上げる前に、腱が断たれて落ちる。
喉が鳴る前に、首の継ぎ目に線が入る。
群れの勢いを“切り裂く”のではなく、“ほどく”ように解体していく。
その剣が、広場に“空気の道”を作った。
「……なんだ、あの剣」
鉄之介が半笑いで呟く。
重い自分の槌とは逆の世界だ。
なのに威力は同じ、いやそれ以上。
清十郎の刃がひとつ閃くたび、黒屍人の“密度”が薄くなる。
秩序のない大乱闘の中で、清十郎の剣だけが、妙に静かな秩序を持っていた。
混戦の中心で、虚舟は立ち尽くしていた。
青い杖が脈を打つ。
黒屍人が暴れる。
虚舟の眉がわずかに動く。
「……が、がは……これは……」
未の珠が、勝手に“狩りの場”を作った。
虚舟の意思より先に、
“器が集った場”を嗅ぎ取ってしまったのだ。
黒屍人はさらに加速する。
牙が増える。
数が押し寄せ、
広場が黒い渦になる。
だが、渦の中にいる者たちの目は――光っていた。
左門は、槍を突き、引き、背後を守るために前へ出る。
武蔵は笑いながら群れを薙ぎ、お蘭は冷たい点で潮目を変え、鉄之介は大槌で地面ごと波を砕き、金之助は辰の熱で“芯”を穿ち、清十郎は静かな雨の剣で群れを解体する。
それぞれの強さが、
同じ戦場でぶつかり合うと、広場はまるで――火花の上がる嵐になった。
黒屍人の群れが、生きた壁みたいに押し寄せる。
「来いよ!」
「抜かせるな!」
「ぶっ潰す!」
叫びと斬撃と粉砕が交差し、灰の空に、黒い血の霧が舞う。
館林城の門前で、世界の理屈が一瞬だけ壊れた。
そこにあるのはただ――強者たちが本能のまま、戦に身を投じる光景だった。
第八話 清十郎の迷い
虚舟が、すっと一歩前へ出た。
青い杖が、夜の芯みたいに鈍く光る。
その光が一拍脈を打った瞬間、
どくん。
門前を埋めていた黒屍人の動きが、まるで糸を切られた人形のように、ぴたりと止まった。
腕も、喉も、足も。
うなり声さえ、喉の奥で凍りつく。
広場に残ったのは、刃の雫が落ちる音と、荒い息だけだった。
「……もうよい」
虚舟が静かに言った。
戦場の熱を一枚ずつ冷ましていくような声。
「おぬしらの強さは分かった。
期待通りじゃ」
武蔵が大太刀を肩に乗せたまま、にやりと笑う。
「へぇ。
終わりかい、じじい?」
お蘭は刃を拭い、息を整えながら虚舟を見た。
左門は槍先を下げないまま、眉を寄せる。
鉄之介が、血と灰を頬に付けたまま怒鳴った。
「おめえ、俺らを試したのか?」
虚舟は首を振る。
その動きだけが妙に悠然としていた。
「そうではない」
青い杖が、ゆっくりと清十郎の方を向く。
「……あの男を試した」
清十郎は旅笠の奥で目を細めた。
刀は抜かない。
だが柄から手を離しもしない。
虚舟の笑みが、ひとつ深くなる。
「間違いない。
そなたも器じゃ」
「……器?」
金之助が息を吐くように呟いた。
鉄之介が一歩踏み出す。
「まさか……」
金之助が虚舟を見据える。
「器って、どういう意味だ。
……寅の珠か?」
鉄之介が即座に噛みつく。
「器が増えるってことかよ、じじい。
寅の珠の器ってことか?」
虚舟は、肯定も否定もせずに、ただ低く言った。
「そうじゃ」
そして、鉄之介の懐――巾着の位置へ、視線を滑らせる。
「おぬしが隠し持つ、その珠じゃ」
鉄之介の顔が強張る。
「……知ってたか、じじい」
「珠の匂いは隠せぬ」
虚舟の声は淡々としている。
淡々としているのに、背筋の奥へ冷たく刺さる。
「辰の器がここにおる。
寅の珠がここにある。
そして、寅の器が現れた」
武蔵が面白がって口笛を吹いた。
「へぇ……
今の剣、そんなに“当たり”かよ」
清十郎は虚舟を見返す。
涼しい目の奥に、噛みつく前の獣みたいな静けさが宿っていた。
「……俺の剣を、勝手に決めるな」
「決めたのは儂ではない」
虚舟は杖を軽く鳴らす。
「珠が決めた」
その言葉に、広場の空気がひやりと落ちた。
虚舟の口が、ひとつ、古い名を吐く。
「……双子の珠」
金之助の胸の奥が、
理由の分からぬまま どくん と鳴った。
寅の巾着も、鉄之介の手の中で微かに震える。
清十郎はその震えに気づいたのか、
旅笠の陰で、ほんの僅かに目を細くした。
虚舟は、まるでその反応を確かめるように、にたりとも笑わず、淡々と続ける。
「寅は“猛き器”を求める。
辰は“深き器”を選ぶ。
――両方が揃う刻、珠は惹かれ合う」
鉄之介が歯噛みする。
「……ふざけんな。
器だの双子だの、好き勝手ぬかしやがって」
「好き勝手ではない」
虚舟の目が細く光る。
「流れじゃ。
流れに抗えば、命が割れる」
左門が低く言う。
「……この男をどうするつもりだ、虚舟」
虚舟は清十郎から視線を外さず、静かに答えた。
「どうするも何も、
寅の器は――ここで斬るか、ここで守るかの二つに一つじゃ」
清十郎の柄を握る指が、わずかに締まった。
金之助が一歩前へ出る。
「……この人を、俺たちに引き渡すと言うのか」
虚舟はふっと笑う。
「引き渡すは言わぬ。
だが――
寅の器が目の前にいるのだ、何もせぬなぞ、愚の骨頂」
その言葉だけで、門前の戦の熱が、別の形へ変質し始めた。
清十郎の刃はまだ鞘の中。
だが――広場の全員が、次の一太刀がどこへ向くかを本能で測り始めていた。
清十郎は、旅笠の陰で眉を寄せたまま動けずにいた。
――珠。
――器。
――引き渡す?
何ひとつ、言葉が腹へ落ちてこない。
「……なんだ、これは」
呟きが乾いた。
この場にいる連中は、黒屍人を相手にする“戦いの理”を知っている。
それどころか、黒屍人の“理屈の外側”にまで手を伸ばしている。
さっきまで、城を囲っていた黒屍人が、あの老人の杖ひとつで止まった。
止まった?
いや、凍ったと言ったほうが近い。
あれは人の力じゃない。
清十郎は、本能的に一歩だけ重心を引く。
敵なのか、味方なのか。
誰が誰に刃を向けるのか。
その前提すら、ここでは曖昧だった。
ただ一つ、確かなことがある。
――危険だ。
この場そのものが、黒屍人の海よりも、もっと深い危険を孕んでいる。
清十郎はゆっくりと周囲を見渡した。
槍を構えた男――左門。
背中で守る癖のある、前に出る武者だ。
大太刀を肩に乗せて笑っている男――武蔵。
人の形をしているが、あれは“戦の獣”だ。
涼しい目で刃を拭う女――お蘭。
さっきの戦で見えたのは、点で潮目を変える冷たい技。
大槌を担ぐ荒武者――鉄之介。
あの一撃は、群れの“面”を砕く暴力。
素手で黒屍人を吹き飛ばした若武者――金之助。
技でも力でもない、別の熱を身体に宿している。
そして、青い杖の老人――虚舟。
黒屍人の群れを“命令で止めた”男。
あの力の正体は分からない。
だが分からないほど、恐ろしい。
清十郎の喉が小さく鳴った。
――この連中、全員“強い”。
黒屍人相手の強さじゃない。
人間同士で殺し合っても生き残る強さだ。
自分の剣に自信はある。
古河で鍛え、血をくぐり抜け、ここまで来た。
正面から一対一なら、負ける気はしない。
だが――
清十郎は、頭の中で一瞬、刃の軌道を走らせてみる。
左門の槍を捌き、武蔵の大太刀の間合いを外し、お蘭の点の刃を読んで躱し、鉄之介の大槌の衝撃を逃がし、金之助の拳の熱を受け流し、その上で虚舟の“何か”に備える。
――無理だ。
いや、理屈で無理と判断した瞬間、背中の皮膚がぞわりと粟立った。
勝てるかどうか。
そんな計算の前に、この場はすでに“殺し合いの円”になりかけている。
清十郎は、柄に添えた指をわずかに締めた。
逃げるべきか。
ここで刃を抜けば、自分は“寅の器”だか何だか知らないが、この連中の狙いの中心に立たされる。
意味も分からないまま、
術の渦へ引きずり込まれる。
けれど、逃げればどうなる。
黒屍人が止まっているのは、あの老人の手の内。
老人の気が変われば――
また城下は黒い海に戻る。
それを見て見ぬふりして去るのか。
自分は、そういう剣を持ってきたのか。
清十郎は、ひとつ息を吸った。
胸の奥が、戦の熱ではない別のものに引かれて、ちくりと震える。
――わからない。
――だが、ここは決して“通りすがりの場”ではない。
目の前の男たちが自分を見る目は、
獲物か仲間か、そのどちらかを量っている。
そして老人の目は、
初めから答えを知っている目だ。
清十郎の頭の中で、選択肢がぶつかり合う。
逃げるか。
斬るか。
残るか。
旅笠の陰で、迷いが刃の表面を曇らせる。
清十郎は一歩だけ下がり、それを分からせないように膝を柔らかくした。
いつでも跳べる。
いつでも抜ける。
いつでも逃げられる。
そう構えたまま、清十郎は――
この異様な連中の次の出方を、必死で読もうとしていた。
清十郎の迷いは、刃の根元で断ち切られた。
――考えても仕方がない。
珠だの器だの、分からぬ言葉でこの場を縛ろうとする連中。
敵か味方かも定かでない。
それでも黒屍人は目の前にいて、城下はまだ死の中にある。
ならばやることは一つだ。
全員、斬り捨ててでも前へ進む。
黒屍人を駆逐する、そのためにここへ来た。
それだけは、どの言葉よりも確かだった。
清十郎は一度だけ深く息を吸い、古河藩の道場の土の匂いを思い出す。
父は藩の剣術指南役だった。
竹の匂い、汗の匂い、打ち合いの音。
幼い頃から剣を仕込まれた。
泣けばもう一度振らされた。
息が切れれば、足さばきからやり直しさせられた。
父はよく言った。
――お前の剣は抜ける。
――女であることが惜しい、と。
だが清十郎は、女であることを一度も不利だと思ったことがなかった。
男か女かなんて、剣の前では小さな差にすぎない。
その差で刃が鈍るなら、最初から剣を握らない。
身なりが男なのは、無理をしているからではない。
ただ、男の格好のほうが剣が振りやすい。
女装の袖や裾は、足と刃の邪魔になる。
それだけの理由だった。
――だから、今も迷いはない。
清十郎の指が柄を締めた。
血と灰の風が、旅笠の縁を叩く。
相手の強さは、肌で分かる。
だがそんなことを数えても仕方がない。
勝つために、まず割る。
清十郎の視線が、最初の獲物を捉えた。
門前に立つ大男――武蔵。
あれは剣の質が違う。
面で押し潰す獣。
まずあれを落とせば、戦の軸がぶれる。
次に、奥で静かに刃を拭いている女――お蘭。
点で潮目を変える手合いは、背に回されると厄介だ。
武蔵を崩した勢いのまま、あの女を屠る。
そこまで考えた瞬間、清十郎の身体はもう動いていた。
ずん。
灰を蹴る音がひとつ。
清十郎は武蔵へ向かって突進した。
細い影が、戦場の中心へ真っ直ぐ飛び込む。
風が遅れて追いかける。
旅笠の下で、涼しい目が獣の光を帯びた。
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