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第三章 新旧パーティ逆転
襲撃
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「「「いってきまーす!」」」
「いってらしゃい!」
ヤマトはいつも通り、町の正門でトリニティスイーツの三人を送り出すと、きびすを返した。
いつも通り彼女らが戦っている間、消費するであろうアイテムの調達や情報収集をするつもりだ。
商業区への近道をすべく、人気の少ない裏通りを歩いていると、ピー助が呼びかけるように鳴き、ヤマトの肩から飛んだ。
「クエェッ!」
「ん? どうしたのピー助?」
空中で滞空し、背後をにらみつけているピー助の視線を追うと、そこにはフードを深々とかぶって素顔を隠した、全身黒ずくめの三人組がいた。
彼らはヤマトを見据え、ゆっくりと歩いている。
ヤマトは緊張に頬を強張らせ後ずさると、すぐさまきびすを返し脱兎のごとく走りだした。
「追えっ!」
ドスのきいた声が響き、謎の三人組が追って来る。
「くっ!」
必死に走るが、通行人が少ないため助けは期待できない。
それに、すれ違う人々は厄介ごとに巻き込まれたくないというように、目をそらしている。
「クエッ!」
ピー助が弾丸のごとく飛び出し、追手へ突撃するも、「邪魔だっ、どけぇ!」と腕で叩き飛ばされ地面を転がった。
「ピー助! くそぉ!」
ヤマトは悲痛に顔を歪めるが、ただ逃げることしかできない。
とはいえ、普段から運動不足の彼ではすぐに体力の限界がおとずれる。
息を切らしたヤマトは、人気のない路地裏へと追い込まれていた。
ここなら人に見つかる可能性が低く、肩にも相棒がおらず、絶体絶命だ。
「――ようやく観念したか、ザコがよ」
「その声、まさか……」
「ふっ、気付いたか?」
三人組がフードをとると、その正体を明かした。
「マキシリオン、ライダ、スノウ!?」
「よぉ、調子はどうだ?」
「い、いったいなんのつもりだ!?」
「おいおい、警戒すんなよ。これでも長い間仲間だったじゃねぇか」
「不本意ではありましたけどね」
スノウはそう言って背の弓をつかむ。
同時に、ライダとマキシリオンもそれぞれ、大剣と片手剣を抜いた。
張り詰める緊張感にヤマトは後ずさる。
「……マ、マヤさんはどうした?」
「あぁ? あいつは自分からパーティーを出て行ったさ」
「そうか」
彼女が関わっていないと知り、ヤマトはホッと胸をなでおろすが、ライダはそんな余裕そうな態度にいらだちの声を上げた。
「相変わらずムカつく奴だなぁ」
「まぁ落ち着けよライダ。こいつもマヤも、しょせんはただの無能なんだ。腹を立てるまでもねぇ」
「マヤさんが無能?」
「そうですわ。彼女、あなたほどの役にも立たなかったんですから。おかげさまで、苦労させられましたわよ」
「ふざけるな……」
ヤマトの脳裏に、マヤの寂しそうな表情がよみがる。
ふつふつと怒りの感情が芽生え、拳を強く握った。
「あぁ? なんか文句あんのか!?」
「マヤさんは確かに結果を出せなかったのかもしれない。でもそれは君たちのせいだ。それが分かってても、彼女は一生懸命役に立とうと頑張っていたはずだ。そんなの、少し話しただけの僕でも分かる」
「なに言ってんだ、コイツ」
「なぁリーダー、もういいんじゃないのか?」
「えぇ、さっさと痛めつけて、貯めこんでいる資金を出させましょう」
スノウが弓に矢をつがえてヤマトへ向け、マキシリオンとライダは武器を構えて駆け出す。
逃げ場はなく、対抗する武器も持たず、どうあがいても勝ち目はない。
しかしヤマトは動じず、まっすぐに彼らを見据えていた。
「いってらしゃい!」
ヤマトはいつも通り、町の正門でトリニティスイーツの三人を送り出すと、きびすを返した。
いつも通り彼女らが戦っている間、消費するであろうアイテムの調達や情報収集をするつもりだ。
商業区への近道をすべく、人気の少ない裏通りを歩いていると、ピー助が呼びかけるように鳴き、ヤマトの肩から飛んだ。
「クエェッ!」
「ん? どうしたのピー助?」
空中で滞空し、背後をにらみつけているピー助の視線を追うと、そこにはフードを深々とかぶって素顔を隠した、全身黒ずくめの三人組がいた。
彼らはヤマトを見据え、ゆっくりと歩いている。
ヤマトは緊張に頬を強張らせ後ずさると、すぐさまきびすを返し脱兎のごとく走りだした。
「追えっ!」
ドスのきいた声が響き、謎の三人組が追って来る。
「くっ!」
必死に走るが、通行人が少ないため助けは期待できない。
それに、すれ違う人々は厄介ごとに巻き込まれたくないというように、目をそらしている。
「クエッ!」
ピー助が弾丸のごとく飛び出し、追手へ突撃するも、「邪魔だっ、どけぇ!」と腕で叩き飛ばされ地面を転がった。
「ピー助! くそぉ!」
ヤマトは悲痛に顔を歪めるが、ただ逃げることしかできない。
とはいえ、普段から運動不足の彼ではすぐに体力の限界がおとずれる。
息を切らしたヤマトは、人気のない路地裏へと追い込まれていた。
ここなら人に見つかる可能性が低く、肩にも相棒がおらず、絶体絶命だ。
「――ようやく観念したか、ザコがよ」
「その声、まさか……」
「ふっ、気付いたか?」
三人組がフードをとると、その正体を明かした。
「マキシリオン、ライダ、スノウ!?」
「よぉ、調子はどうだ?」
「い、いったいなんのつもりだ!?」
「おいおい、警戒すんなよ。これでも長い間仲間だったじゃねぇか」
「不本意ではありましたけどね」
スノウはそう言って背の弓をつかむ。
同時に、ライダとマキシリオンもそれぞれ、大剣と片手剣を抜いた。
張り詰める緊張感にヤマトは後ずさる。
「……マ、マヤさんはどうした?」
「あぁ? あいつは自分からパーティーを出て行ったさ」
「そうか」
彼女が関わっていないと知り、ヤマトはホッと胸をなでおろすが、ライダはそんな余裕そうな態度にいらだちの声を上げた。
「相変わらずムカつく奴だなぁ」
「まぁ落ち着けよライダ。こいつもマヤも、しょせんはただの無能なんだ。腹を立てるまでもねぇ」
「マヤさんが無能?」
「そうですわ。彼女、あなたほどの役にも立たなかったんですから。おかげさまで、苦労させられましたわよ」
「ふざけるな……」
ヤマトの脳裏に、マヤの寂しそうな表情がよみがる。
ふつふつと怒りの感情が芽生え、拳を強く握った。
「あぁ? なんか文句あんのか!?」
「マヤさんは確かに結果を出せなかったのかもしれない。でもそれは君たちのせいだ。それが分かってても、彼女は一生懸命役に立とうと頑張っていたはずだ。そんなの、少し話しただけの僕でも分かる」
「なに言ってんだ、コイツ」
「なぁリーダー、もういいんじゃないのか?」
「えぇ、さっさと痛めつけて、貯めこんでいる資金を出させましょう」
スノウが弓に矢をつがえてヤマトへ向け、マキシリオンとライダは武器を構えて駆け出す。
逃げ場はなく、対抗する武器も持たず、どうあがいても勝ち目はない。
しかしヤマトは動じず、まっすぐに彼らを見据えていた。
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