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最終章 逆襲の投資家
暴かれていく悪事
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――騎士の装備品購入のためにと、多額の予算を請求したパテン大臣だったが、実際に武器商会へ支払ったのはそのほんの一部に過ぎず、浮いた金は秘密裏に抜き取った。
つまり、武器商会からは実際の金額より遥かに高い見積もりを提出させ、その差額を自分のふところに納めたのだ――
さらにその翌日、また新たな噂が流れる。
――新通貨バブルが崩壊する前、ゴーン大臣は多くの雑貨店を抱える大商会に、新通貨レンゴクを取り扱うよう圧力をかけた。
エデンでのレンゴクの普及を加速させるためだ。
しかし商会は、国民がレンゴクによって商品を買い叩いたため、バブルの崩壊と共に破産寸前の窮地に追い込まれているという――
どれも政治家たちの信頼を失墜させるには十分すぎた。
スカール、パテン、ゴーンと続き、他の大臣とキグスでさえも、身の危険を感じ始めている。
さすがに放置してどうにかなる問題ではなく、すぐに緊急会議が開かれた。
「いったいどういうことなんだ!?」
オーキが興奮に鼻息を荒くし、スカール、パテン、ゴーンを順番に睨みつけた。
しかし彼らはなにも言えず、気まずそうに俯うつむいている。
キグスは慎重に言った。
「王様、どうか気をお鎮めください。ここまで立て続けに不祥事が起こるなどありえません。やはり、誰かが流しているデマでしょう」
「そうは言うが、実際にやりとりした商会がいるんだぞ。それに、証拠の数々も出ていると言うじゃないか! これをどう説明するんだ!?」
「ぎ、偽造でございます! 告発したという商会も、直に足を運びましたが、門前払いにあいました」
スカールが必死に訴える。
オーキがなにかを言おうとするが、キグスが割り込む。
「今、騎士団にこの情報を流した首謀者を探させているところです。これはもしかすると、ホロウ商会の腹いせかもしれません」
「なに? しかし商会長のリュウエンが新通貨を持ち込み、国内を混乱に陥れたのは間違いないのだろう?」
オーキは少しばかり焦りを覚えた。
もし、今投獄しているリュウエンが冤罪なのだとしたら、自分は罪のない人間を苦しめているということになる。
それは正義を貫くオーキだからこそ、なによりも恐ろしい事態だった。
「もちろんでございます。妄言などに惑わされてはなりません。これは、悪意ある者の策略なのですから」
キグスが落ち着いてそう言った直後、会議室に騎士が駆け込んできた。
その慌てた様子に、会議室が静まり返り一斉に視線を向ける。
先日と同じだ。
しかしオーキは、以前よりも遥かに嫌な予感がしていた。バクバクと暴れる心臓の鼓動を感じながら、騎士の報告を待つ。
「ごっ、ご報告します! エデン国民が一斉に武装蜂起し、この城へと押し寄せて来ました!」
「っ!?」
そのとき、オーキの中でなにかが崩れ落ちる音が響いた。
つまり、武器商会からは実際の金額より遥かに高い見積もりを提出させ、その差額を自分のふところに納めたのだ――
さらにその翌日、また新たな噂が流れる。
――新通貨バブルが崩壊する前、ゴーン大臣は多くの雑貨店を抱える大商会に、新通貨レンゴクを取り扱うよう圧力をかけた。
エデンでのレンゴクの普及を加速させるためだ。
しかし商会は、国民がレンゴクによって商品を買い叩いたため、バブルの崩壊と共に破産寸前の窮地に追い込まれているという――
どれも政治家たちの信頼を失墜させるには十分すぎた。
スカール、パテン、ゴーンと続き、他の大臣とキグスでさえも、身の危険を感じ始めている。
さすがに放置してどうにかなる問題ではなく、すぐに緊急会議が開かれた。
「いったいどういうことなんだ!?」
オーキが興奮に鼻息を荒くし、スカール、パテン、ゴーンを順番に睨みつけた。
しかし彼らはなにも言えず、気まずそうに俯うつむいている。
キグスは慎重に言った。
「王様、どうか気をお鎮めください。ここまで立て続けに不祥事が起こるなどありえません。やはり、誰かが流しているデマでしょう」
「そうは言うが、実際にやりとりした商会がいるんだぞ。それに、証拠の数々も出ていると言うじゃないか! これをどう説明するんだ!?」
「ぎ、偽造でございます! 告発したという商会も、直に足を運びましたが、門前払いにあいました」
スカールが必死に訴える。
オーキがなにかを言おうとするが、キグスが割り込む。
「今、騎士団にこの情報を流した首謀者を探させているところです。これはもしかすると、ホロウ商会の腹いせかもしれません」
「なに? しかし商会長のリュウエンが新通貨を持ち込み、国内を混乱に陥れたのは間違いないのだろう?」
オーキは少しばかり焦りを覚えた。
もし、今投獄しているリュウエンが冤罪なのだとしたら、自分は罪のない人間を苦しめているということになる。
それは正義を貫くオーキだからこそ、なによりも恐ろしい事態だった。
「もちろんでございます。妄言などに惑わされてはなりません。これは、悪意ある者の策略なのですから」
キグスが落ち着いてそう言った直後、会議室に騎士が駆け込んできた。
その慌てた様子に、会議室が静まり返り一斉に視線を向ける。
先日と同じだ。
しかしオーキは、以前よりも遥かに嫌な予感がしていた。バクバクと暴れる心臓の鼓動を感じながら、騎士の報告を待つ。
「ごっ、ご報告します! エデン国民が一斉に武装蜂起し、この城へと押し寄せて来ました!」
「っ!?」
そのとき、オーキの中でなにかが崩れ落ちる音が響いた。
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