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24話 蘇る鋼の竜
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まだ暖かさを残す巨大な頭が、俺達の前に転がって血を流している。
鱗という鎧に覆われた巨体は、もう動くことはなく地面に体を落としている。
「どうにか倒せたな。これで卵を――」
「まって……」
ルーレルはもう動かなくなった飛青竜を見ながら、俺の言葉を遮った。
その目からは緊張が伝わってくる。
俺も飛青竜の方に目をやるが、全く動く気配がない。
これだけ血が流れているし、たとえまだ生きていたとしても回復は不可能なはずだ。
ルーレルはそれを理解しているはずだ。
しかし、それでも警戒する目を向けるのを止めようとしない。
「こいつはもう死んでるだろ?」
「うん……」
「じゃあ何をそんな警戒してるんだ?」
「この竜は……ただの魔獣じゃない……」
「それってどういうことだよ……!」
「飛青竜は……死蘇獣……」
死蘇獣だと……!
いやでも、まさかそんなわけがない。
飛青竜スリースンが死蘇獣だなんて、そんな調査結果は出されてないぞ!
この国の騎士達や科学者、生物学者達が何年もかけて危険が大きいとされる魔獣や魔物の研究を行った。
それには死蘇獣だなんて書かれていなかったし、それにもし本当に死蘇獣だとしたら倒せるわけがない……!
でも……もしかしたらルーレルの勘違いの可能性もある。
だが、俺の微かな希望は一瞬にして打ち砕かれた。
「おいおい……嘘だろ……」
力尽きて倒れていた巨体は、まだ残っている足で立ち上がっていき、失った足は徐々に形を戻し再生していった。
それだけではない。
再生していったのは足だけでなく、俺が斬り落とした翼も再生していき、さらには頭まで再生していった。
もうどうしようもない。
再生を妨げたって蘇ってしまうのだから、俺たちが先に疲れ果ててしまうだけ。
ここで1番いい策は、ただ逃げることだ。
圧倒的な力を誇る3大神なら、この場をどうにか出来たかもしれない。
だが、今この場にいるのは俺とルーレルの2人。
さらに相手は死蘇獣クラリラ……!
勝つ可能性は限りなくゼロに等しい。
それに……グラの話通りなら、反射の神や闇の神のように消滅してしまうらしい。
つまりそれは、神にとっての死。
神は不死などではない。
ていうことは、この場にいたらルーレルも消滅してしまう可能性がある。
そうなったら俺は……!
「ルーレル! 逃げ……あれ?」
まじか……何やってんだよ!?
なんとルーレルは、完全に再生し終わった飛青竜に近づいて行っていたのだ。
それも、剣を握ることなくだ。
俺はすぐにルーレルの前に出て、飛青竜の向かって剣を構える。
「何やってんだよ! 近づいたら危険――」
「大丈夫……」
ゆっくりとした口調で俺にそう言い、ルーレルは前を指さした。
その指は、飛青竜の顔に向かられて伸ばされている。
ルーレルが何が言いたいのか全く分からなかったが、飛青竜の顔を見て理解した。
「こいつ……戦う気がないのか……?」
「そう……それに……」
そこで言葉を切ると、それに合わせるかのように飛青竜は頭を姿勢を低くして、俺たちと大体同じ目線まで下げた。
敵意がないと表しているのだろうか。
でも、相手は魔獣だぞ?
「もしかしたら、俺達を油断させる罠かもしれない」
「いいえ。罠などではございません」
「そんなの信じれる……か……え……? 喋……た?」
「はい。私は長い間生きたこともあり、人間の言語を理解できるようになりました」
魔獣が人の言葉を……?
そんなことって……ありえるのか……?
全く予想外な出来事に、俺の脳内は混乱状態だ。
「え、えぇ……」
「飛青竜は喋る……それでいい……」
「絶対良くないだろ……」
飛青竜は姿勢を上げることなく、ずっと低くしたままでいる。
なんかそれも気の毒だ。
「別にそんな姿勢続けなくていいよ」
「ありがとうございます」
さっきまでのあの凶暴さは、一体どこにいったんだ?
まぁ、落ち着いてくれたなら、それはそれでいいけど……。
「あなた方に1つお願いがあるのですが」
「お願い?」
「はい。私を――」
俺はその願いに、自分の耳を疑った。
鱗という鎧に覆われた巨体は、もう動くことはなく地面に体を落としている。
「どうにか倒せたな。これで卵を――」
「まって……」
ルーレルはもう動かなくなった飛青竜を見ながら、俺の言葉を遮った。
その目からは緊張が伝わってくる。
俺も飛青竜の方に目をやるが、全く動く気配がない。
これだけ血が流れているし、たとえまだ生きていたとしても回復は不可能なはずだ。
ルーレルはそれを理解しているはずだ。
しかし、それでも警戒する目を向けるのを止めようとしない。
「こいつはもう死んでるだろ?」
「うん……」
「じゃあ何をそんな警戒してるんだ?」
「この竜は……ただの魔獣じゃない……」
「それってどういうことだよ……!」
「飛青竜は……死蘇獣……」
死蘇獣だと……!
いやでも、まさかそんなわけがない。
飛青竜スリースンが死蘇獣だなんて、そんな調査結果は出されてないぞ!
この国の騎士達や科学者、生物学者達が何年もかけて危険が大きいとされる魔獣や魔物の研究を行った。
それには死蘇獣だなんて書かれていなかったし、それにもし本当に死蘇獣だとしたら倒せるわけがない……!
でも……もしかしたらルーレルの勘違いの可能性もある。
だが、俺の微かな希望は一瞬にして打ち砕かれた。
「おいおい……嘘だろ……」
力尽きて倒れていた巨体は、まだ残っている足で立ち上がっていき、失った足は徐々に形を戻し再生していった。
それだけではない。
再生していったのは足だけでなく、俺が斬り落とした翼も再生していき、さらには頭まで再生していった。
もうどうしようもない。
再生を妨げたって蘇ってしまうのだから、俺たちが先に疲れ果ててしまうだけ。
ここで1番いい策は、ただ逃げることだ。
圧倒的な力を誇る3大神なら、この場をどうにか出来たかもしれない。
だが、今この場にいるのは俺とルーレルの2人。
さらに相手は死蘇獣クラリラ……!
勝つ可能性は限りなくゼロに等しい。
それに……グラの話通りなら、反射の神や闇の神のように消滅してしまうらしい。
つまりそれは、神にとっての死。
神は不死などではない。
ていうことは、この場にいたらルーレルも消滅してしまう可能性がある。
そうなったら俺は……!
「ルーレル! 逃げ……あれ?」
まじか……何やってんだよ!?
なんとルーレルは、完全に再生し終わった飛青竜に近づいて行っていたのだ。
それも、剣を握ることなくだ。
俺はすぐにルーレルの前に出て、飛青竜の向かって剣を構える。
「何やってんだよ! 近づいたら危険――」
「大丈夫……」
ゆっくりとした口調で俺にそう言い、ルーレルは前を指さした。
その指は、飛青竜の顔に向かられて伸ばされている。
ルーレルが何が言いたいのか全く分からなかったが、飛青竜の顔を見て理解した。
「こいつ……戦う気がないのか……?」
「そう……それに……」
そこで言葉を切ると、それに合わせるかのように飛青竜は頭を姿勢を低くして、俺たちと大体同じ目線まで下げた。
敵意がないと表しているのだろうか。
でも、相手は魔獣だぞ?
「もしかしたら、俺達を油断させる罠かもしれない」
「いいえ。罠などではございません」
「そんなの信じれる……か……え……? 喋……た?」
「はい。私は長い間生きたこともあり、人間の言語を理解できるようになりました」
魔獣が人の言葉を……?
そんなことって……ありえるのか……?
全く予想外な出来事に、俺の脳内は混乱状態だ。
「え、えぇ……」
「飛青竜は喋る……それでいい……」
「絶対良くないだろ……」
飛青竜は姿勢を上げることなく、ずっと低くしたままでいる。
なんかそれも気の毒だ。
「別にそんな姿勢続けなくていいよ」
「ありがとうございます」
さっきまでのあの凶暴さは、一体どこにいったんだ?
まぁ、落ち着いてくれたなら、それはそれでいいけど……。
「あなた方に1つお願いがあるのですが」
「お願い?」
「はい。私を――」
俺はその願いに、自分の耳を疑った。
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