60 / 93
59話 救出
しおりを挟む
全く先が見えない闇の中を、しばらく歩いていると奥の方に明かりが見えた。
「あ!明かりだ!」
「そのようですわね。やっとこの暗闇から――」
「静かに!」
ロスカに静止をかけて、近くの岩に隠れるように指示を出した。
「おいおい!逃げるなよ!」
「そうだぜぇ。お前達が的になってくれないとゲームが始まらないんだからさぁ」
この声はファイアーウルフ達のではないよな。
ていうことは敵の声か……もしかして外の様子を知らないのか?
「やめてください!」
「ヒャハハ!お前たちが指示出来る立場だと思ってんのかぁ?ならより一層しつけをしてやらないとなぁ」
「でも殺しちまったらマッド様に怒られねぇか?」
「大丈夫だって。ファイアーウルフなんて腐るほどいるんだ。1匹殺したぐらいでバレやしねぇよ」
ここからでは何もわからず、敵を目視することはできない。
だけど、アイツらがフェイ達が命をかけて守ってきた者をいたぶって、悪意に塗れた顔を向けていることだけは、鮮明に脳裏に浮かぶ。
俺はアイツらを絶対に許さない。
フェイが守ってきたものは、俺が死んでも守りきる。
俺の頭の中では様々なものが駆け巡り、怒りで震える足を前へ動かした。
「一体仲間達に何を――リウス様?」
「ねぇちょっと、どこ行くの?」
俺が突然隠れるのをやめて、敵のいる場所に向かったことに驚いた表情を見せたあと、すぐさま戻るように促された。
だが俺は、足を止めることはしない。
「どこ行くって、助けに行くんだよ」
「おいおい、さっさと立ってくれよ。俺たちも早くゲームを始めたいんだよ」
「やめて……やめてください……」
「いいからさっさと――」
「ねえ、何やってんの?」
「おい邪魔するな……ってお前誰だ――」
俺の前に立つ兵士は、最後まで言うことが出来ずに心臓を貫かれて死んでいった。
もちろん、心臓を貫いたのは誰でもない俺だが。
「リウス様!」
「やったぁ! 俺たちを助けにきて下さったんだ!」
「もう死んじゃうかと思ったよぉ……」
ファイアーウルフ達は、俺の姿を見た途端に、この状況に絶望していた表情から、一気に明るい表情へと移り変わった。
「大丈夫ですか?」
血を流す兵士の隣に座り込んでいるファイアーウルフに、俺は声をかけた。
「本当に……本当にありがとうございます……!」
なんだ……これは……?
俺が声をかけたファイアーウルフの腕には、謎の文字が刻まれたリングがはめられていた。
他のファイアーウルフ達の腕も見てみると、同じようなリングがはめられていた。
「恐らく、このリングは魔獣弱体化を目的とされて作られたリングだろうな。しかしこれだけの数を用意するとは……相当な金を使っているようだな」
いつの間にか俺の隣に来ていたグーレは、目の前で座るファイアーウルフからリングを外すと、様々な方向から眺めて言った。
「そんなに簡単に外れるんだな」
「そんなわけあるか。私だから外すことが出来たのだ。私だからな」
そう言って、グーレはリングを木っ端微塵に握り潰した。
「おい! 大丈夫か! しっかりしろ!」
「残念だが、そいつは死んだよ。心臓を貫いたからな」
俺の腕は、金属のように硬い鋭利状に変化しており、心臓を貫いた兵士の血が滴れていた。
「貴様ぁ! 一体どこから入って来やがったぁ!」
「外の監視は何をしているんだ!」
「外の監視とかの前に、なんでこの場所が知られているんだ!」
「応援を呼んできます!」
「行ってみてもいいが……どうせ無駄だぞ」
「無駄なわけあるか!」
「なら実際に外に行って確かめてみるといい。もう誰も、生きている者は居ないだろうから」
「生きてない……だと……」
誰も生きていない、この言葉に相当ショックを受けてしまったのか、散々叫んでいたくせにいきなり頭を抱えて黙り込んでしまった。
まぁ、急に仲間が死んだって聞かされたらそうなるよな。
ていうか早くこいつらを片付けて救出を――
「貴様ら動くな! 動いたらこの女を殺すぞ」
「……」
そう叫び散らかして、兵士はある人物に剣を喉に当てていた。
「おい! さっさと武器を置いて跪け!」
「あーぁ……あいつ終わったな……」
「そうですわね……なんとも哀れな」
「あぁ……かわいそう……」
敵の兵士は人質を取ったことにより、余裕が出来たと思っているのか、口角を上げて何かを企む表情を見せた。
だが俺たちは何もピンチを感じていない。
何せ兵士が人質に取ったのは、誰しもが恐れる魔王なのだから。
「あ!明かりだ!」
「そのようですわね。やっとこの暗闇から――」
「静かに!」
ロスカに静止をかけて、近くの岩に隠れるように指示を出した。
「おいおい!逃げるなよ!」
「そうだぜぇ。お前達が的になってくれないとゲームが始まらないんだからさぁ」
この声はファイアーウルフ達のではないよな。
ていうことは敵の声か……もしかして外の様子を知らないのか?
「やめてください!」
「ヒャハハ!お前たちが指示出来る立場だと思ってんのかぁ?ならより一層しつけをしてやらないとなぁ」
「でも殺しちまったらマッド様に怒られねぇか?」
「大丈夫だって。ファイアーウルフなんて腐るほどいるんだ。1匹殺したぐらいでバレやしねぇよ」
ここからでは何もわからず、敵を目視することはできない。
だけど、アイツらがフェイ達が命をかけて守ってきた者をいたぶって、悪意に塗れた顔を向けていることだけは、鮮明に脳裏に浮かぶ。
俺はアイツらを絶対に許さない。
フェイが守ってきたものは、俺が死んでも守りきる。
俺の頭の中では様々なものが駆け巡り、怒りで震える足を前へ動かした。
「一体仲間達に何を――リウス様?」
「ねぇちょっと、どこ行くの?」
俺が突然隠れるのをやめて、敵のいる場所に向かったことに驚いた表情を見せたあと、すぐさま戻るように促された。
だが俺は、足を止めることはしない。
「どこ行くって、助けに行くんだよ」
「おいおい、さっさと立ってくれよ。俺たちも早くゲームを始めたいんだよ」
「やめて……やめてください……」
「いいからさっさと――」
「ねえ、何やってんの?」
「おい邪魔するな……ってお前誰だ――」
俺の前に立つ兵士は、最後まで言うことが出来ずに心臓を貫かれて死んでいった。
もちろん、心臓を貫いたのは誰でもない俺だが。
「リウス様!」
「やったぁ! 俺たちを助けにきて下さったんだ!」
「もう死んじゃうかと思ったよぉ……」
ファイアーウルフ達は、俺の姿を見た途端に、この状況に絶望していた表情から、一気に明るい表情へと移り変わった。
「大丈夫ですか?」
血を流す兵士の隣に座り込んでいるファイアーウルフに、俺は声をかけた。
「本当に……本当にありがとうございます……!」
なんだ……これは……?
俺が声をかけたファイアーウルフの腕には、謎の文字が刻まれたリングがはめられていた。
他のファイアーウルフ達の腕も見てみると、同じようなリングがはめられていた。
「恐らく、このリングは魔獣弱体化を目的とされて作られたリングだろうな。しかしこれだけの数を用意するとは……相当な金を使っているようだな」
いつの間にか俺の隣に来ていたグーレは、目の前で座るファイアーウルフからリングを外すと、様々な方向から眺めて言った。
「そんなに簡単に外れるんだな」
「そんなわけあるか。私だから外すことが出来たのだ。私だからな」
そう言って、グーレはリングを木っ端微塵に握り潰した。
「おい! 大丈夫か! しっかりしろ!」
「残念だが、そいつは死んだよ。心臓を貫いたからな」
俺の腕は、金属のように硬い鋭利状に変化しており、心臓を貫いた兵士の血が滴れていた。
「貴様ぁ! 一体どこから入って来やがったぁ!」
「外の監視は何をしているんだ!」
「外の監視とかの前に、なんでこの場所が知られているんだ!」
「応援を呼んできます!」
「行ってみてもいいが……どうせ無駄だぞ」
「無駄なわけあるか!」
「なら実際に外に行って確かめてみるといい。もう誰も、生きている者は居ないだろうから」
「生きてない……だと……」
誰も生きていない、この言葉に相当ショックを受けてしまったのか、散々叫んでいたくせにいきなり頭を抱えて黙り込んでしまった。
まぁ、急に仲間が死んだって聞かされたらそうなるよな。
ていうか早くこいつらを片付けて救出を――
「貴様ら動くな! 動いたらこの女を殺すぞ」
「……」
そう叫び散らかして、兵士はある人物に剣を喉に当てていた。
「おい! さっさと武器を置いて跪け!」
「あーぁ……あいつ終わったな……」
「そうですわね……なんとも哀れな」
「あぁ……かわいそう……」
敵の兵士は人質を取ったことにより、余裕が出来たと思っているのか、口角を上げて何かを企む表情を見せた。
だが俺たちは何もピンチを感じていない。
何せ兵士が人質に取ったのは、誰しもが恐れる魔王なのだから。
0
あなたにおすすめの小説
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる