最強聖剣使いが魔王と手を組むのはダメですか?〜俺は魔王と手を組んで、お前らがしたことを後悔させてやるからな〜

東雲ハヤブサ

文字の大きさ
13 / 33

13話 厄介な少女

しおりを挟む
 おいおい、嘘だろ……。
 何だこの氷は。

 声からして、襲われていた少女が使ったことに間違いないが、この氷の量に流れ出てくる速さ。
 普通じゃない。
 とにかく、その少女がいるところに行かないと。
 
 「見えぬ力よ、全てを砕き破壊しろ。フルウェア」

 俺の身長の二倍はある氷に手を当てて、そう唱える。
 すると、少しずつ氷にヒビが入っていき砕け散った。

 だが、全ての氷を砕けたわけではない。

 細い道が全て氷で埋められてしまっているから、何度も風砕を使わないといけない。
 消費魔力量はそこまで多くないため特に問題はないが、出来るだけ温存したい。
 今から向かう場所にいる人物が、危険人物の可能性も否定できないからな。




  
 何度も何度も繰り返し、少しだけ広くなった道に出ると、そこには倒れた男達を見下ろす一人の少女がいた。
 その少女は、長い紫の髪を花の髪飾りで後ろで止めて、紺色のワンピースを着ている。
 この場にいることに大きな違和感を抱いてしまう。
 
 その少女には傷が一切なく、そのかわりに男達が血まみれになっていた。
 どうやら本当に、この少女は只者ではないようだ。

 「あなたも……この男達の仲間ですか?」

 俺がいることに気付いた少女は、睨むわけでも怯えるわけでもなく、ただ平然とした顔で質問してきた。

 「俺はその男達の仲間じゃない」
 「でも、仮面をつけて剣を握って、私の氷も砕いてきた。……危険そうだから、あなたも殺します」
 「ちょっと待てよ。確かに仮面とか付けて怪しいかもしれないけど――」
 「操られる者、暴れて支配するが良い。闇の人形ファレスギア

 さっきから魔法を連発しやがって。
 想像以上に厄介な人物に出会ってしまったな。

 そんなことを考えている間に、少女の前に全身闇で覆われた騎士が出現した。
 
 あれだけの氷を生成することができる魔力量を持っているということは、この創られた騎士もそこそこ強いはずだ。

 それでも、ミラノ達よりは強くないだろう。
 つまり、俺にとってこの騎士は、なんの脅威でもないということだ。

 「そんな……」

 俺に向かって振り下ろされた剣を難なく躱すと、騎士の腹に向けて風魔法を放った。
 体の中心に開けられた穴を再生することができずに、そのまま闇の騎士は崩れて消滅していった。

 風魔法で破壊することはできたが、並の冒険者だったら破壊することは不可能だったかもしれない。
 この国にこんな少女がいたとは、本当にびっくりだ。

 「あなた……何者ですか……?」

 少女は警戒した目を俺に向けながら、腕を前に上げた。
 さらに魔法を使うつもりらしい。
 だけど、これ以上戦っても何の意味もない。

 「それはこっちのセリフだ。どう考えても冒険者ではないのに、その魔力量や魔法の使い方。ただの少女ってわけではないよな?」

 俺は握っていた剣を腰に差して、手を上げた。
 戦う意思がないことを証明するためだ。

 少女は俺の行動を見て顔を顰めたが、俺の意思が伝わったのか腕を下げて肩の力を抜いた。
 それを確認して、俺も上げていた手を下に下げた。

 「あなたが何者か教えてくれたら、私のことを話します」

 そう来るか。
 でもそうだよな。
 全く知らない相手に、自分のことを教えようとは思わないからな。

 「わかった。教える」

 俺は目の部分に付けている仮面に手をかけ、そして外した。
 俺の顔を見ると、次第に少女の目は見開かれていった。

 「聖剣使い……」
 「そうだ。俺はこの国を追放された、聖剣使いだ」

 俺がした行動が、吉と出るか凶と出るか……。
 さぁ、どうなる。

 俺は誰かを呼ばれたりされるかと思い、身構えたがそれは全く無意味だった。
 なぜなら。
 
 「お前敵だなぁ! 私が殺してやる!」

 雪のように白い髪を靡かせ、口に果物を咥えながら、ミラノが上空から現れたのだから。

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...