最強聖剣使いが魔王と手を組むのはダメですか?〜俺は魔王と手を組んで、お前らがしたことを後悔させてやるからな〜

東雲ハヤブサ

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18話 終焉の悪魔

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 「私の兄は魔法を使うのが得意で、生まれつき魔力量が多いんですよ。それに――」
 「私も魔力量多いよ。ほら」

 いつの間にか皿にあったクッキーがすべて消えていて、その代わりにミラノは無詠唱で手のひらサイズの水球を浮かばせていた。
 俺達はこれを見てどう反応すればいいんだか。
 水球なんて水魔法の中でも詠唱も簡単な魔法だし、小さな子供この魔法を使って水をかけ合って遊んでいる光景をたまに見かける。
 だから、水球が作れるからってそんな――。

 直後、浮かんでいた水球がありえない速度で壁に向かって行き、石で作られているのにも関わらず、貫通して破壊してしまった。
 
 「おい何やってんだよっ!」
 「魔力が多いって証明したかったんだよ」
 「だからって人の家の壁を壊すなんてことするかよ!?」
 「大丈夫ですよクリムさん。あれくらいの穴、魔法を使えばすぐに直せますし」

 ラーシェは怒るどころか笑みを浮かべていて、土魔法の詠唱を始めた。

 「緑を生かし、美しい光を吸収する偉大なる大地よ。その命尽きるまで声明を照らせ。大地の癒しレファンドヒーリング

 詠唱が終わると、貫通して外が見えていた壁に細かい砂が集まり始めた。
 それは次第にさっきまで存在していた壁となっていき、何事もなかったかのように修復が完了した。

 「おお……。綺麗に直った」
 「小さいころよく土魔法を使っていたので慣れているんです」 
 「細かいところまで綺麗に……。そういえば、さっき何か言いかけてたよな」
 「えっとなんでしたっけ……。あ、思い出しました。悪魔のことについて話そうとしたんです」
 「悪魔?」
 「はい。悪魔は数えきれないほどいますが、その中でも頂点に立つ悪魔達を知っていますか?」

 悪魔か。
 しばらく聖剣使いとして生きてきたが、悪魔と戦ったこと一回もないんだよな。
 聖剣使いなんだから、悪魔には結構有効だとは思うが、実際のところどうなんだろうか
 そんな俺でも、多少なりとも有名な悪魔なら知っている。

 「《狂炎の悪魔》とか、《鮮血の悪魔》、あとは《漆黒の悪魔》だっけ?」
 「そうです。それ以外にも、《冷酷の悪魔》、《終焉の悪魔》、《破壊の悪魔》がいるんですけど、兄は《終焉の悪魔》と手を組んでいるんです」

 ん、え?
 手を組んでいるってどういうことだ?
 悪魔って普通人間の敵だよな?
 なのに手を組む?
 この兄妹は聖剣使いだったり、笑うピエロのボスだったり、挙句の果てに悪魔と手を組んでいたり。
 どれだけ凄い兄妹なんだ。

 「君のお兄ちゃん、悪魔と手を組んでるの? だったら私たちの仲間になってよ。凄い戦力になるよ」
 「ちょっとそれは話を飛ばしすぎだ。それで、ラーシェ。悪魔と手を組んでいるってどういうことだ?」
 「実は、兄は魔獣に襲われて死んでしまったんです」
 「え。それは……一人で大変だったな」
 「いえ、兄は生きてます」
 「はぁ?」

 死んでしまったのに生きてるって、何。
 もうここまで来たら、人間がどうのこうのって話じゃないだろ。
 学問的な問題だ。

 「混乱してしまうかもしれませんが、どうやら悪魔は死んだ人間にしか入り込むことが出来ないようです。それで、魔獣に襲われて死んでしまった兄ですが《終焉の悪魔》に目をつけられたらしく、兄の体の中で生きる代わりに蘇生させてやると話を持ち掛けられたらしいです」
 「それで承諾したと」
 「迷わなかったって言っていました。でも、悪魔なんて危険すぎると息を吹き返した兄に言ったのですが、その悪魔が結構協力的でして、国を滅ぼすことが出来たんです」

 道理で二人で滅ぼせれるわけだ。
 悪魔に取ったら、小さな国を一つ滅ぼすなんて簡単なことなんだろうな。

 「兄に最近聞いたのですが、《漆黒の悪魔》も誰かの中に入っているらしいですよ。ですが、その悪魔は竜牙の大陸にいるらしいですし、《終焉の悪魔》が味方でいる限り脅威ではないでしょう」

 そんなこと言っていると、案外すぐに現れるもんだぞ。
 言葉ってのは怖いからな。
 ある人を噂すれば、その人がどうしてだか目の前に現れるし。
 誰かを呼びたかったら、その人のことを噂すればいいって聞いたことがある。
 一回本当にやってみたが、実際に呼びたかった人が来てびっくりした。
 感動したが、それに加えて怖かったけどな。

 それにしても悪魔か。
 この目で見たことがないから分からないけど、相当強いんだろうな。
 一度会ってみたい。

 「今から時間空いてますか?」
 「空いてるけど、なんで?」
 「笑うピエロの本部へついて来てもらえませんか? 兄に会ってもらいたいんです」
 
 心の声が漏れているのか、こんな急に会えることになるとはな。
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