最強聖剣使いが魔王と手を組むのはダメですか?〜俺は魔王と手を組んで、お前らがしたことを後悔させてやるからな〜

東雲ハヤブサ

文字の大きさ
20 / 33

20話 真実が明かされる時

しおりを挟む
 「クリムさんはどんなスキルを持っているんですか?」
  
 不死鳥を使うのをやめたラーシェは、何かを期待するような目を向けて、そう質問してくる。
 だけど参ったな。
 俺はスキルを持っていないんだよ。
 聖剣の力の光之王と魔王で戦ってきたわけで、スキルを使用したことは一度もない。
 まず、使いたくても出来ないし。

 「スキル持ってないだよ俺」
 「そうなんですか。ちょっと意外です」
 「聖剣に好かれても、スキルには好かれなかったんだね」

 うるさいやつだな。
 もう一回腕を切断してやろうか。
 いや、笑顔を浮かべるその顔を首から切断してやる。

 「ここからだと《笑うピエロ》の本部まで少し距離が短くなりましたが、このまま歩いていきますか? それとも、一旦王都に戻って馬車を借りてもいいですし」
 「本部って王都にあるんじゃないのか?」
 「いえ、王都の隣の街にあります。王都に移動させようとしましたが、念のためにやめておきました。最悪逃げてない可能性もあったので」
 「そういうことか」
 「それで、どうやって移動するの?」 
 「せっかくここまで歩いてきたんだし、このまま行っちゃいたい」
 「では、歩いていきましょう」

 そうして俺達は、本部へ向かう為に足を進めた。




 「クリムさんは、どうして隣国の国王様を殺してしまったのですか? 何か特別な理由があったのだと思いますが」
  
 ラーシェは突然話を振ってきて、俺がまだ話していなかったことを聞いてきた。
 確かに気になるだろうな。
 だけど、その前に俺も一つ気になることがある。

 「俺がその質問に答える前に、一つ聞いておきたいことがある。俺が聖剣使いでとミラノが魔族だと知りながら、家に招き入れた理由はなんだ?」
 
 さっき聞きはしたのだが、《笑うピエロ》の話や聖剣の話をしたせいで、結局聞けずに終わってしまった。
 ラーシェは俺への質問で、どうして隣国の国王を殺したのかと聞いてきた。
 つまり、この子は俺が本当は殺していないということを知らないのだ。
 そうなれば、ラーシェにとって俺は魔族と手を組む殺人鬼である。
 それにも関わらず、家に招き入れて、漏れたら自分自身が処刑されてしまうかもしれないような情報を教えてきた。
 もし、俺がラーシェの立場だったら絶対に家に入れないし、騎士に報告をしに行く。
 だが、俺の横にいる人物はそれをしなかった。

 「確かにまだ話していませんでしたね。今の質問に単刀直入に答えるなら、クリムさん。貴方には《笑うピエロ》へ加わってほしいのです」
 「俺が? なんで?」
 「私達は、約二ヵ月後にヴァラグシア王国の王都に侵攻を開始します」
 「だから、俺が戦力として必要だと」
 「その通りです。それで、国を追われる身となったクリムさんなら、必ず協力してくれるのではと思いまして」

 そういうことか。
 ようやく謎が解けた。
 簡単に言ってしまえば、「犯罪者だから新しい犯罪行為くらい手伝ってくれるよね?」ってことだろ。
 
 「王都に侵攻するっていうことは、ヴァラグシア王国も《堕天使》と関係していたのか?」
 「はい。それが判明したのはつい最近のことでした。あの組織と関連のある国を徹底的につぶしていったのですが、《堕天使》が完全に消滅することはありませんでした。私たちはその原因を突き止めるために総力を挙げて調べ上げ、たどりついたのが、ヴァラグシア王国でした」 
 
 あの国王は一体どんな取引を行っていたんだ。
 《堕天使》は、殺人、略奪、人身売買、違法奴隷売買など、ありとあらゆる犯罪に手を染めていると聞く。
 そして、最終的にたどり着いたのがこの国だったということは、それだけ重要な取引相手だったに違いない。
 そう考えていた時、黙っていたミラノが口を開いた。

 「《堕天使》って奴隷売買とかしてたりするの?」

 通常の口調とは違い、落ち着いていて真剣さが感じ取れた。
 それにラーシェも気付いたのか、一回頷いてその質問に答えた。

 「はい。良く行われています」
 「その中に、魔族とかって入ってるかな」
 「《堕天使》は種族を問わず人身売買を行っています。人間は勿論、魔族や獣人族、地底族などその他の種族も取引されています」
 「……そう。教えてくれてありがとう。話を止めちゃってごめんね」

 なんだ?
 今のミラノからは、微かな怒りが感じられる。
 まだ出会って少しの時間しか経過していないが、それでもこんな暗い雰囲気を出すなんて思いもしていなかった。
 昔何かあったのか?
 ……だけど、まあいいか。
 所詮俺達は利害が一致しているから手を組んでいるだけで会って、「これからずっとよろしく」なんていう仲間になった訳ではない。
 そんな関係は俺が気にすることではない。

 「話の続きですが、ヴァラグシア王国はほかのどの国よりも一番《堕天使》と関わりが深かったです。恐らく、国王も認知しているはずです」
 「……国王が?」
 「はい。調べてみたところそこそこ前から繋がりがあるようでしたし」
 
 俺はそれを聞いて、あることが脳裏に走った。
 
 「それって具体的にいつからか分かるか?」
 「日付までは資料を見ないと思い出せませんが、約三年程前からだったと思います」
 「はっ……やっぱりそういうことか」
 「何か心当たりでも?」

 今の話のおかげで、俺の中で色々結びついていった。
 そして結果的に、一つの答えにたどり着いた。

 「ヴァラグシア王国が取引を始めたのは約三年前からだったよな」
 「それが何か?」
 「あの男が王の座に座ったのも約三年前からだった」
 「え……!? ということはつまり」
 「ああ、国王が認知しているとかの話どころではなく、

 だからだ。
 だから、俺の父様は殺されたんだ。
 多分だが、父様はあの男が《堕天使》と取引をしていたことに気が付いた。
 そして、それを止めようと行動を起こそうとした時、毒を盛られて殺されたんだ。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...