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神木
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第一章 神木
幹の太さ以上に際立つ存在感。圧倒的神木。
世界の始まり、その木は7つの果実を実らせ
落としたという。私はしがないトレジャーハ
ンター、しかし今ひとつ成果が残せないでい
た。そんな中仲間のエミリがいい情報をくれ
た。この世界のどこかかに存在している、世
界樹の地図を手に入れたのだという。同行し
てくれないかとのことだったので、二つ返事
で了承し、世界樹を巡る旅が始まった。ハー
ムフェルンの駅から鈍行も乗り継いで遥か東
のセクネトの地までは列車旅だったが、ここ
からは延々と歩きだ。セクネトの北にはどこ
の国も管理を放棄した土地、通称死の大地が
広がっており、誰もそこに近付こうとはしな
かった。しかし今回エミリが手に入れた地図
にはしっかりと世界樹の位置はセクネトの北
つまり死の大地と刻まれていた。
「しかし、なにもないな」
私が言うと、エミリは
「なにもないのがいいとこなのよ」
と疲れを隠すように強がっていた。エミリは
将来有望な若手トレジャーハンターで、世界
の不思議とされる事象をすでに二つ解き明か
している。ベテラン実力派も一目おく存在な
のだ。そんなエミリが私に声をかけてきたの
には、とある理由があった。私は名をバンフ
ォーゲンという。バンフォーゲン家の血筋は
強運の血統とも呼ばれ、代々重宝されてきた。
おそらくエミリもそのことを知り私に声をか
けてきたんだとその時は思っていた。歩き続
けて六時間、今日はここまでにしようと、テ
ントを張って、夕食の準備を始めたエミリ。
こうやってみていると実に絵になるお嬢さん
だ。
「何をジロジロ見ているのよ」
私はハッとして、
「いや、なんだか絵になるお嬢さんだなと思
ってな」
と思ったことそのままを言った。
「何よそれ、子供扱いですか?」
と白々しく言ってはいるがエミリは頬を染め
ていた。
幹の太さ以上に際立つ存在感。圧倒的神木。
世界の始まり、その木は7つの果実を実らせ
落としたという。私はしがないトレジャーハ
ンター、しかし今ひとつ成果が残せないでい
た。そんな中仲間のエミリがいい情報をくれ
た。この世界のどこかかに存在している、世
界樹の地図を手に入れたのだという。同行し
てくれないかとのことだったので、二つ返事
で了承し、世界樹を巡る旅が始まった。ハー
ムフェルンの駅から鈍行も乗り継いで遥か東
のセクネトの地までは列車旅だったが、ここ
からは延々と歩きだ。セクネトの北にはどこ
の国も管理を放棄した土地、通称死の大地が
広がっており、誰もそこに近付こうとはしな
かった。しかし今回エミリが手に入れた地図
にはしっかりと世界樹の位置はセクネトの北
つまり死の大地と刻まれていた。
「しかし、なにもないな」
私が言うと、エミリは
「なにもないのがいいとこなのよ」
と疲れを隠すように強がっていた。エミリは
将来有望な若手トレジャーハンターで、世界
の不思議とされる事象をすでに二つ解き明か
している。ベテラン実力派も一目おく存在な
のだ。そんなエミリが私に声をかけてきたの
には、とある理由があった。私は名をバンフ
ォーゲンという。バンフォーゲン家の血筋は
強運の血統とも呼ばれ、代々重宝されてきた。
おそらくエミリもそのことを知り私に声をか
けてきたんだとその時は思っていた。歩き続
けて六時間、今日はここまでにしようと、テ
ントを張って、夕食の準備を始めたエミリ。
こうやってみていると実に絵になるお嬢さん
だ。
「何をジロジロ見ているのよ」
私はハッとして、
「いや、なんだか絵になるお嬢さんだなと思
ってな」
と思ったことそのままを言った。
「何よそれ、子供扱いですか?」
と白々しく言ってはいるがエミリは頬を染め
ていた。
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