世界樹の木ノ下で

天川閃人

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モンスター

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第二章 モンスター

 夜が明け、早朝からまた歩き旅である。暫
く行くと森があった。非常に薄暗く奇妙な森
であったが二人は物怖じもせず森に踏み入っ
た。更に暫く行くと、草むらから物陰がゴソ
ゴソいっているのがわかった。小動物かなに
かだろうと私はたかをくくっていたがそれは
違った。頭に角をはやしたパンサーのような
モンスターだった。私はナイフで威嚇しなが
ら退路を確保しようとしていた、エミリもナ
イフで威嚇しながらすきあらば逃げようとい
う姿勢だ。二人は必死になって生きようとし
ていた。
「ファン私がおとりになってる間にとどめを
刺して」
エミリがそう言うので、私は苦渋の決断でそ
うすることにした。エミリにおおいかぶさる
パンサー、そのすきを突いて私はパンサーの
喉笛を切った。
「イタタター」
「大丈夫かエミリ!」
「少し噛まれただけ、軽症よ」
「一応消毒だけしておこう」
あっと言う間のことに恐怖心さえ感じなかっ
た。ただ必死になっていた。治療を終え森を
進む。今どのへんなのだろう。地図なき旅で
あるからして、二人は段々と不安になってき
た。
「一応この森のどこかにあるはずなんだけど
ね」
「そう簡単じゃああないさ」
私は己を鼓舞するようにそう言った。暫くさ
んさんと生い茂る新緑を眺めつつ無言で歩い
ていると、二人の目の前に荘厳な風景が映し
出された。
「これが…世界樹」
「素晴らしい、なんて美しいんだ!」
二人は手を取り合って喜びあった。
「ねえファン、私がなぜ貴方を誘ったかわか
る?」
「なぜって血筋を求めてだろ?なんだよ今更
ははっ」
その瞬間エミリは私に抱きついて、
「好きだからよ」
と一言。その後、言葉はいらなかった。世界
初の世界樹発見のニュースは全世界に轟いた。
「これでまたひとつ謎をといたな」
私が言うとエミリは、
「まっ、一番の収穫はあんたなんだけどね」
といった。二人は笑い合って、世界樹の縁を
感じながら幸せになったのは言うまでもない。
                                        
                         
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