憤慨

ジョン・グレイディー

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第二十二章

天災を被った哀れ人は野蛮と化すのだ!

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 コ○ナ禍の真っ只中、我が国のトップが逃げた。これで、2人目だ…

 人類を襲う未曾有の危機、そんな一大事に雑魚がトップとなり、そして、舞い上がり、布マスクを配り、世界の運動会を開催し、感染を食い止めるどころか、爆発的な事態へと落としめた。

 世界の国々で、この危機に際し、2人も連続して、首相が舵取りを放棄する国などない…

 大丈夫!大丈夫!と愚策を敢行し、ワクチン頼み、商業主義のアメリカ向きに邁進した結果がこれだ…

 その方向性には私欲と富に満ち溢れた暗黒の海が広がっていたのに…

 コイツらは、そこに巨大な氷山の一角があるとも知らず、いや!、ある事を調べようともせず、周りの側近も誰も停めようともせず、暗黒の海原に船を国民を邁進させた…

 そして、氷山に船が乗り上げた。

 その時、既に感染者は1日2万5千人を超え、毎日50人以上の人々が死んでいく羽目となっていた。

 コイツらは、いつも宣っていた。

 コ○ナ禍の終焉を実現すると!

 国民が一体となって、この難局を乗り切ると!

 だが、コイツらは、嘘を付いていた。

 コイツらの終焉は、公言したものと違っていた。

 コ○ナの終焉ではなく、こいつらの終焉は、結局、政局であった。

 選挙であった…

 国民を乗せた船は、未だに暗黒の海の氷山に乗り上げたままだ…

 あの有名な豪華客船の悲劇と同じように、真っ先に船から降り、救命ボートに乗り込むのは、一般市民ではなく、富を持つ者、名声を得た者、そんな輩だ…

 どうも日本のトップは、国民よりも我が政党が大事のようだ。

 こんな輩では細菌ウィルスとは到底闘えない。

 天王山で逃げるくらいなら、初めから大将は引き受けるな!

 今逃げてどうする!

 一生後悔するぞ!

 お前らの人生は全て逃げに覆われる!

 歴史的愚名な者として名を残した2人の首相…

 愚策敢行、無能力者、保身の塊、有事逃亡者、等々、あらゆる書物に名を残すであろう。

 唯一の救いは、名を残した事だ。

 非難を浴びる主体となり得た事だ。

 方や、SNSでは、名を名乗らない、匿名有利な状況を満喫している雑魚が蔓延る。

 SNS…

 無名であった一市民の発信力が、同一性障害の被害者らを救済した、又、「アラブの春」を巻き起こした。

 誰もが映像によって発信し、正確な情報、事実を伝達した。

 これがSNSの功績だ!

 その一方、無名を盾に、ここぞとばかりに持論を叩き込む卑怯者が散見する。

 いつの時代も影の中でしか、呼吸をしない、姑息な餓鬼みたいな輩だ。

 餓鬼共は、SNSという確実な情報伝達を活用しているのではなく、無名を盾に敵を作らず、あわよくば無名の同志を連帯させ、怨恨を発信する。

 怨恨が事実かどうか、そんなものは関係ない。

 火事泥棒然り、ドサクサに紛れ、一丁前に持論を物申す、それだけのことだ…

 この小説アプリにもそれは適合する。

 感想を募るのは、良きも悪気も覚悟の上である。

 当然、匿名としての感想寄稿、それも承知している。

 ただ、過去の怨恨で、我が小説の土俵に土足で踏み込んで来る、無名の輩よ!

 貴様らだけは、俺は絶対に許さない!

 過去の怨恨を述べる場が違うだろーが!おい!貴様!場所が違うだろーが!

 無名であれば、無数の無名の友が付くと思うなよ、腰抜け野郎共!

 名を名乗らない卑怯は、必ず、罰せられる!

 デジタル文化を舐めるなよ!

 無名だから匿名だから、何でも物を申す、そんな、厚かましい時代は終わったんだよ!

 匿名は必ず特定される!

 これも、良くも悪くも、賞罰の対処となる!

 卑怯者!

 背後から撃つなよ。

 暗闇から斬り込むなよ。

 面と向かってかかってこい!

 以上!

 この小説アプリで、過去の怨恨により二度も執筆活動が頓挫しかけたよ。

 今度ばかりは許さない。
 
 目には目、歯には歯だ!

 小説の話は、熊本地震の所までだったな…
 
 2回目の巨大地震の夜明け…

 この夜明け程、神の創造に脅え、天物の公転たる営みを恨んだことはない。

 戦場の光景が曙光に照らされ始め、陽光が傷跡を無惨にも顕にした。

 ここ熊本市の中心部でも巨大なマンションがグッシャリ崩壊している…

 名城熊本城は、巨大なプラモデルであった事を明かすかのように、瓦、城壁が崩壊し、内蔵物である木の柱組を骸骨のように曝け出していた…

 俺は取り敢えず、会社に向かった。

 朝の6時頃だった。

 会社建物は、外から見ると崩壊しておらず、大丈夫そうであった。

 俺は外口から階段を登り、二階に入る外扉を開けた。

 驚いた。

 内部は無茶苦茶だった…

 天井から電灯が全て落下し、部屋中にその破片が散乱しており、火花もバチバチと鳴っていた。

 キャビネット、書棚は倒壊し、書類、ファイルは、その火花の下に飛び散り、いつ、火災が起きてもおかしくない状態であった。

 俺は外階段から3階に進んだ。

 扉は開かない。

 ノブを回し、渾身の力で開けよう引っ張るが、扉はびくともしない。

 俺はその外扉の上辺を見遣った。

 開かないはずだ…

 鋼鉄の扉の上辺が、その上のコンクリートと一緒に粘土細工のようにグンニャリと湾曲していた。

 俺は開けるのを諦めて、2階に戻ろうとした時、警備員が下から俺に怒鳴った!

「危ないです!崩壊しますから!
直ぐに降りてください!」と

 俺は慌てて、階段を下り降り、警備員に事情を聞いた。

「この会社建物もいつ崩壊してもおかしくないとのこと。危険建物として、直ぐに市が認定するとのこと。当分、建物内部には立ち入ることはできないとのこと。」であった。

 その後、会社の課長以上が駐車場に集まり、今後の行動について、確認を行った。

 仮施設として、比較的ダメージがなかった別棟の倉庫を利用することになった。

 後は何もできなかった…、何も決められなかった…、無力であった…

 電気も切れ、水も止まり、ガスも停止され、食料備蓄の階層にも侵入出来ず、電話も混線し繋がらず、メールも利用できない…

 これほどの無力さを痛感したことはなかった。

 国土交通省の指示があるまで会社建物から退避するよう本社から指示が届いたのは昼過ぎであった。

 会社活動は完全にストップした。

 支店長はなす術もなく、何回掛けても繋がらない電話を何回も何回も掛け直し、本社指示待ちの姿勢を醸し出すだけであった。

 次第に無力の民の塊は崩れだし、家に帰る者、市役所の配給に並びに行く者と、それぞれに散らばって行った。

 俺も社宅に帰ることにした。

 何も出来ない。

 巨大地震の後は、民間企業は何も動けない。

 行政活動、インフラ再整備、情報伝達の回復を待つしかなかった。

 社宅に戻り、家族に連絡を試みたが、やはり、電話回線は混線状態で繋がらない。

 仕方なく、ゴロゴロと雷のように響き渡る余震に怯えながら、部屋中に散乱した物を片付けたが、また、飛び散ると思い、途中で止めた…

 そして、煙草を確保にコンビニに向かった。

 するとコンビニには既に長蛇の列が出来ていた。

 午後6時に一定の食料品が配送されるとの貼り紙が貼られていた。

 まだ、午後2時を回った時であったが、俺は仕方なく、この列に加わった。

 誰も会話をしない。

 皆んな下を向いて、携帯を見ていた。

 俺も携帯を付け時間を潰そうとしたが、充電量が気になり、携帯を閉じた…

    午後5時、急にコンビニの中に灯りが付いた。

 1日で電気は復旧した。

 少しの安堵感が湧いてきた。

 俺は携帯を開け、家族に電話したが、電話回線は依然として混線状態であった。

 Yahooを開いてみた。

 繋がった。

 メール回線は大丈夫かと思った。

 LINE回線を使い、家族に無事である事をコメント送信した。

 既読がつき、家族グループに安堵のコメントが重ねて表示され出した。

 情報コメントも把握できた。

 電気復旧は24時間以内であったが、水道は1週間、ガスは1ヶ月かかるとのことであった。

 俺は取り敢えず、水とパン、そしてタバコを確保しようと思った。

 コンビニにトラックが到着した。

 品物が運び込まれた。

 店員がドアを開けた。

 客が雪崩れ込んだ。

 決して安全な状態ではない。

 誰が転倒してもおかしくない。

 誰もが危機迫っていた。

 店員が叫ぶ、「慌てないでください。慌てなくても大丈夫です。1人2品まででお買い求め願います!」と

 瞬く間に品物は消え失せていく。

 3品、4品も掴んでいる奴が居る。

 しかし、誰も咎めない。

 そんな咎める時間がもったいないのだ。

 俺も急いで、2リットルの天然水とタバコと食パン一斤を確保するのがやっとであった。

 金など払うか払わないか、あまり問題ではなく、品物を掴むか、掴まないかが問題であった。

 そこには、文明は無かった。

 野蛮でなければ、生き延びることができないと、一瞬、誰もが思ったことであった。

 俺はタバコをポケットに突っ込み、水とパンを握りしめ社宅に向かった。

 明らかに、初日の市役所から帰る時と、街の雰囲気が変化していた。

 余震の続く中、人通りが増えていた。

 すれ違う人が皆、俺の食料を一瞥したようにさえ、感じられた。

 その目は、盗賊のように殺気に満ちた感が伝わってきた。

 初日とは違う。

 皆、巨大地震の爪痕に愕然とし、そして、生の維持、死の来訪を感じていた。

 都市崩壊の24時間後…

 決して放映されず、後に語られることもない、野蛮へと変化しつつあった市民感情、市民行動を俺は経験した。

 その俺も、他の市民から見れば、間違いなく、野蛮な盗賊に見えたであろう…
 
 復興・復旧が美談されがちな被災地…

 それはマスメディアの操作に過ぎない!

 震度6強、震度7の連発を喰らった都市は、完全に崩壊し、その市民は、間違いなく死を恐れていたのだ!

 誰もが、その手で掴んだ水とパンを、人に奪われないよう握りしめ、警戒心を唸るように、身をかがめ、帰路を急いだ…

    これが平成28年4月17日午後6時過ぎの熊本市中央区の状態

 これが被災者の心理状態

 これが天災を被った哀れ人の姿

 これが事実であった!
 
 
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