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第十六章
2月13日のバレンタイン
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2月13日金曜日、明日がバレンタインデーの土曜日だった。
「美咲、明日の午前中、授業どころじゃないよね!、皆んな、何処で渡すか作戦練ってるよ!」
「紫穂の彼氏は他校だから、どうすんの?」
「あのね、もう、私達、恋人同士だからさぁ~、告白などしないのよねぇ~、西洋のバレンタインと一緒!恋人同士でその日を祝うのさ!」
「凄いー!先、言ってるね!」
「うん!一緒に夕食して、また、映画だよ!」
「いいなぁ~、本当のバレンタインだよねぇ~」
(…私もそうしたかったなぁ~、あの楠木の上で…)
「ぶち開け、美咲、どうすんのさ? デビルマンにあげるの?、
最近、仲良いじゃん!」
「うん…、まぁねぇ~、吉川君しか、私に声掛けてくれないからなぁ~」
「なんか美咲、4月と同じこと言ってる!可笑しい~」
(…こんなはずじゃなかったんだけどね…)
今の美咲には、ほんの1か月前の茂樹とのクリスマスの想いが、幻又は夢のように感じられていた。
(…夢の中の少年は夢の中にしか居ないんだよ…)
「藤田、また、ボンヤリしてるぞ!好きな人のため、今日はチョコ作るんだろ、頑張らなくっちゃな!」
「好きな人…、居なくなっちゃったかも…」
「じゃぁ、好きな人、作ればいいじゃん!」
「吉川君…、優しいね。」
「俺も振られたばっかだからさ…、失恋話なら得意だぜ!」
「面白い~、その話、乗ったよ!」
「だろー、振られた人間しか分からない辛さ、あるからさ!」
「うん!」
(…そうだよね、どう考えても、茂樹君に振られたんだよね、私…、理由が分からないだけで、振られたことには間違いないんだよね…、だって、避けられてるもん!、嫌われてるもん!…)
「あっ、藤田!なんか、学食で人塊ができてるぜ!ガヤガヤ言ってる!見に行ってみよう!」
「うん!なんだろ~ね」
「あっ、やっぱ、堀内だよ!えっ、中野美幸!あいつ、何してんだ?」
「美咲、凄いことなってるよ!中野さんが茂樹君に告白するんだって!」
「えっ!…」
「バレンタイン、明日なのにね!
どうせ堀内、女嫌いだし、今日は『13日の金曜日』だぜ!中野、無理すんなよ!」
「中野さん、一回、茂樹君に振られたのにね…、諦めてなかったんだ…」
「どおりで、俺が振られた訳だ、堀内には敵わないからなぁ~」
昼休みの学食。学校内で一番目立つ場所であった。
どうだろう、その騒動を100人以上の野次馬達がざわざわと見守っていた。
茂樹は学食奥のボス席で飯を食っていた。
その茂樹の真横、右隣に中野美幸は、茂樹が食い終わるのを待つかのように、じっと下を向いて佇んでいた。
その2人以外、そのテーブルには誰も座ってなく、気を利かせた中野の友人が置いてあった食器やコップを綺麗に片付けていた。
まるで、今から恋愛ドラマの一幕が始まるかのように、周りの野次馬は固唾を飲んで見守っていた。
その野次馬の中に美咲もいた。
ヒロイン役を降ろされ、エキストラになったような気分がし、この時、既に美咲の心の中には、茂樹の恋人としての自覚は全く消え去り、純粋に単なる野次馬根性で見ていた。
茂樹が顔上げ、中野を見た。
茂樹が「消えろ!」、「向こうに行け!」と一喝するのを野次馬共は期待していたが、茂樹は何も言わなかった。
美幸(中野)が顔上げ、悲しいそうな表情で、茂樹の瞳を見つめた。
その時、茂樹の心の中に一瞬、インスピレーションが走った。
あの美少女の夢の感覚と違う、純愛と違う、茂樹が初めて経験する大人の恋の予感であった。
美幸は今にも泣きそうに瞳を濡らしながら、はっきりとこう言った。
「私、茂樹君に嫌われてもいい!このチョコ捨てられてもいい!
ただ、『好きです、愛してます。』と言いたいだけなの!」
茂樹は感じた。
(…中野は本当に俺のことを愛してる!こんな人集りの中、あんな告白、嘘でも言えないよ…、中野は本当に俺を必要にしてくれてる。中野は俺を裏切らない…)と
茂樹は徐に立ち上がり、美幸に言った。
「中野、お前、この前、俺から、あんな酷いこと言われたのに、なぜだ。」
「うん…、私、自分に嘘をつきたくないの…、自分の一番好きな人しか愛せないの…、皆んな、私のこの見掛けで誤解してるけど、私…、1年の時から茂樹君以外、好きになったことないの…、皆んな断ってきたの…、茂樹君に好かれなくてもいい、嫌われてもいい、私‥、自分に嘘を吐きたくない…、それだけなんだ…」
「美幸…」
「茂樹君、美幸って呼んでくれるの…」
「うん、美幸は俺を裏切らないよな…」
「うん!だって、茂樹君を裏切ることは、私自身を裏切ることになるもん!」
この美幸の言葉が、暗雲としていた茂樹の心の中に煌めきを与えた。
そして、茂樹は呟いた。
「一番好きな人を裏切らない」と
美幸はその茂樹の呟きを聞くと、自然と茂樹の胸の中に飛び込んで行った。
茂樹は美幸をしっかりと受け止めた。
野次馬共は、喝采を上げたいのをグッと堪え、予想外、いや、予想以上の恋物語に余韻を感じながら、そっと2人を残して一人一人立ち去って行った。
美咲は何も考えることができず、呆然としているところを吉川に「行こうぜ。」と囁かれ、肩を押されながら、茂樹と美幸を振り向くこともできず、目の当たりした事実を否定することもできず、時間が止まり、呼吸も止まったように、夢の中を歩いているように、歩いていた。
美咲は無感覚ではあったが、心の奥底に、茂樹が何故、自分から遠かったのか、知りたくもない赤い小さな熾りが燻り出すのを段々と感じていた。
(…一番好きな人を裏切らない…)
という茂樹の呟きが…
「美咲、明日の午前中、授業どころじゃないよね!、皆んな、何処で渡すか作戦練ってるよ!」
「紫穂の彼氏は他校だから、どうすんの?」
「あのね、もう、私達、恋人同士だからさぁ~、告白などしないのよねぇ~、西洋のバレンタインと一緒!恋人同士でその日を祝うのさ!」
「凄いー!先、言ってるね!」
「うん!一緒に夕食して、また、映画だよ!」
「いいなぁ~、本当のバレンタインだよねぇ~」
(…私もそうしたかったなぁ~、あの楠木の上で…)
「ぶち開け、美咲、どうすんのさ? デビルマンにあげるの?、
最近、仲良いじゃん!」
「うん…、まぁねぇ~、吉川君しか、私に声掛けてくれないからなぁ~」
「なんか美咲、4月と同じこと言ってる!可笑しい~」
(…こんなはずじゃなかったんだけどね…)
今の美咲には、ほんの1か月前の茂樹とのクリスマスの想いが、幻又は夢のように感じられていた。
(…夢の中の少年は夢の中にしか居ないんだよ…)
「藤田、また、ボンヤリしてるぞ!好きな人のため、今日はチョコ作るんだろ、頑張らなくっちゃな!」
「好きな人…、居なくなっちゃったかも…」
「じゃぁ、好きな人、作ればいいじゃん!」
「吉川君…、優しいね。」
「俺も振られたばっかだからさ…、失恋話なら得意だぜ!」
「面白い~、その話、乗ったよ!」
「だろー、振られた人間しか分からない辛さ、あるからさ!」
「うん!」
(…そうだよね、どう考えても、茂樹君に振られたんだよね、私…、理由が分からないだけで、振られたことには間違いないんだよね…、だって、避けられてるもん!、嫌われてるもん!…)
「あっ、藤田!なんか、学食で人塊ができてるぜ!ガヤガヤ言ってる!見に行ってみよう!」
「うん!なんだろ~ね」
「あっ、やっぱ、堀内だよ!えっ、中野美幸!あいつ、何してんだ?」
「美咲、凄いことなってるよ!中野さんが茂樹君に告白するんだって!」
「えっ!…」
「バレンタイン、明日なのにね!
どうせ堀内、女嫌いだし、今日は『13日の金曜日』だぜ!中野、無理すんなよ!」
「中野さん、一回、茂樹君に振られたのにね…、諦めてなかったんだ…」
「どおりで、俺が振られた訳だ、堀内には敵わないからなぁ~」
昼休みの学食。学校内で一番目立つ場所であった。
どうだろう、その騒動を100人以上の野次馬達がざわざわと見守っていた。
茂樹は学食奥のボス席で飯を食っていた。
その茂樹の真横、右隣に中野美幸は、茂樹が食い終わるのを待つかのように、じっと下を向いて佇んでいた。
その2人以外、そのテーブルには誰も座ってなく、気を利かせた中野の友人が置いてあった食器やコップを綺麗に片付けていた。
まるで、今から恋愛ドラマの一幕が始まるかのように、周りの野次馬は固唾を飲んで見守っていた。
その野次馬の中に美咲もいた。
ヒロイン役を降ろされ、エキストラになったような気分がし、この時、既に美咲の心の中には、茂樹の恋人としての自覚は全く消え去り、純粋に単なる野次馬根性で見ていた。
茂樹が顔上げ、中野を見た。
茂樹が「消えろ!」、「向こうに行け!」と一喝するのを野次馬共は期待していたが、茂樹は何も言わなかった。
美幸(中野)が顔上げ、悲しいそうな表情で、茂樹の瞳を見つめた。
その時、茂樹の心の中に一瞬、インスピレーションが走った。
あの美少女の夢の感覚と違う、純愛と違う、茂樹が初めて経験する大人の恋の予感であった。
美幸は今にも泣きそうに瞳を濡らしながら、はっきりとこう言った。
「私、茂樹君に嫌われてもいい!このチョコ捨てられてもいい!
ただ、『好きです、愛してます。』と言いたいだけなの!」
茂樹は感じた。
(…中野は本当に俺のことを愛してる!こんな人集りの中、あんな告白、嘘でも言えないよ…、中野は本当に俺を必要にしてくれてる。中野は俺を裏切らない…)と
茂樹は徐に立ち上がり、美幸に言った。
「中野、お前、この前、俺から、あんな酷いこと言われたのに、なぜだ。」
「うん…、私、自分に嘘をつきたくないの…、自分の一番好きな人しか愛せないの…、皆んな、私のこの見掛けで誤解してるけど、私…、1年の時から茂樹君以外、好きになったことないの…、皆んな断ってきたの…、茂樹君に好かれなくてもいい、嫌われてもいい、私‥、自分に嘘を吐きたくない…、それだけなんだ…」
「美幸…」
「茂樹君、美幸って呼んでくれるの…」
「うん、美幸は俺を裏切らないよな…」
「うん!だって、茂樹君を裏切ることは、私自身を裏切ることになるもん!」
この美幸の言葉が、暗雲としていた茂樹の心の中に煌めきを与えた。
そして、茂樹は呟いた。
「一番好きな人を裏切らない」と
美幸はその茂樹の呟きを聞くと、自然と茂樹の胸の中に飛び込んで行った。
茂樹は美幸をしっかりと受け止めた。
野次馬共は、喝采を上げたいのをグッと堪え、予想外、いや、予想以上の恋物語に余韻を感じながら、そっと2人を残して一人一人立ち去って行った。
美咲は何も考えることができず、呆然としているところを吉川に「行こうぜ。」と囁かれ、肩を押されながら、茂樹と美幸を振り向くこともできず、目の当たりした事実を否定することもできず、時間が止まり、呼吸も止まったように、夢の中を歩いているように、歩いていた。
美咲は無感覚ではあったが、心の奥底に、茂樹が何故、自分から遠かったのか、知りたくもない赤い小さな熾りが燻り出すのを段々と感じていた。
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