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第十七章
月光の輝きに包まれて
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2月14日土曜日
今日、美咲は体調不良を理由に学校を休んだ。
体調不良というよりは、昨日のあの光景を見てからの動揺が続いており、頭の中が混乱して、一睡もできずにいた。
「…思い出したくない、中野さんを見つめる目、中野さを受け止めた腕と胸、美幸と呼んだ口、言葉、茂樹君じゃない、私の茂樹君じゃない…」
「…どうしてなの?、なんで、私を無視して、中野さんは無視しないのよ…、私が一体何をしたって言うの?、教えてくれないなんて狡いよ…」
「嫌だぁ、嫌だぁ、見たくなかった、見たくなかったよぅ~」
その時だった。美咲はここで初めて自分の置かれた立場を茂樹に置き換えてみた。
「…茂樹君、ずっと見てたんだよね…、私が吉川君と付き合ってるの….、ずっと、陰から見てたんだよね…、嫌だったろうなぁ…、嫌だよね!茂樹君!、私も嫌だもん!…」
美咲はそう感じ取ると、やっと心が落ち着き、深い眠りに落ちて行った。
(…そっちから追ってみて!俺がここで待ち構えてるからね。…)
(…わかった!行ったよぉ~、そっちに泳いで行った!…)
(…よし!、やったぁ!捕まえたよ!)
(…やったぁ!見せて、見せて!)
(…ほら、これだよ!逃すなよ!…)
(…本当だ、やったねぇ~、これなんていう魚なの?…)
(…ウグイだよ。腹が少し赤いだろう…)
(…うん、本当、お腹が赤い…)
(…あっ、お母さんだ…、また、明日ね…)
(…うん!、ここで待ってる…)
美咲は、あの夢で目を覚ました。
木漏れ日が窓から薄く入り込み、外の色がオレンジ色になっているのが見えた。
それが朝なのか、夕方なのか、美咲には分からなかった。
美咲は机の上の目覚まし時計を見た。
午後5時を回ったとこであった。
「…ここで、待ってる…か…」と美咲は一言呟き、服を着替え、母親に見つからないよう、そぉーと、階段を降り、外に出て、あの楠木に向かって走った。
美咲があの「100段」階段に着く頃には、急に日が落ち、辺りに夕闇が迫っていた。
美咲はいつもの癖で、後ろ向きに階段を上がって行った。
そして、楠木の辺りで、いつもの枝を見上げた。
茂樹がいた。
美咲はそっと向こうに側に回り、いつも茂樹が手を差し伸ばしてくれる位置で立ち止まり、下を向いた。
茂樹は美咲に気づいてないような素振りであったが、気づいていた。
美咲はいつものように、茂樹に声を掛けることができず、ずっと下を向いたままであった。
すると、なんとなく、茂樹が腕を伸ばしてくれた感じがし、顔を上げると、やはり、茂樹が腕を伸ばしていてくれた。
美咲は何も言わず、茂樹の腕を掴むと、いつものように、茂樹の力強い腕の力により、ヒョイと枝に乗せられた。
茂樹は何も言わず、また、寝転び、煙草を蒸し出した。
美咲は枝の上に来ても下を向いたままであった。
辺りは夕闇から宵闇に変わり、枯葉と枝の隙間から月の輝きが薄らと入ってきた。
突然、茂樹が口を開いた。
「チョコ、貰っただけだ。」と
「えっ、中野さんの告白、受け入れたのと違うの?…」
「違うよ。勝手に抱きついてきただけだ。」
「そっか…」
「美幸の考え方が俺と同じだったから、話を聞いただけだ。」
「うん…」
「俺はお前と違う。好きでもない奴と付き合ったりしない。」
「うん…」
「俺は何にも言わない、お前が吉川と付き合いたければ付き合えばいいし、それは俺が決めることではなく、お前が決めることだ。」
「茂樹君、私が吉川君と付き合っていたこと、怒ってるの?」
「さっきも言ったはずだ。それは、お前の勝手だ、俺には関係ない…」
「怒ってるじゃん…」
「怒ってない!」
「怒ってるよ!」
「俺ならそんなことしない!」
「うん…」
美咲は茂樹に抱きつき、こう言った。
「茂樹君、私、分かったの、昨日の中野さんと茂樹君を見てて、辛くて、辛くて…、
だけから、許して…」
美咲の目から涙が零れていた。
「なんで、吉川なんかと、デビルマンなんかと付き合ったんだよ!」
「まだ、怒ってるの?」
「怒ってない!聞いてるだけだ!」
「だから、誰でも良かったの、茂樹君には結婚する程好きな人がいると思って…、それが、まさか、私とは思わなかったの…」
「それで、デビルマンか!」
「たまたまなの、紫穂が吉川君のこと好きで、バスケの応援付き合わされて、それで、吉川君が勘違いして、私が吉川君のファンと勘違いして…」
「そして、デビルマンに付き合ってくれと言われて、付き合ったのか!」
「何度も説明したじゃん!軽い気持ちなのよ!
だって、茂樹君、私に言ってくれないでしょ!茂樹君、あんな怪我しないと、普通だったら、私に告白なんかしないでしょ!」
「するもんか!」
「茂樹君、もう、許して…、私も分かったの、一番好きな人が私以外の女子と付き合う辛さ…」
「俺ね、年明け前から、ずっと不眠症でね、寝れないと、変なことばかり考えてしまうんだ。」
「うん」
「特に一番嫌なこと、美咲と吉川の姿、そればっか頭の中に浮かんできて、クリスマスの思い出が吹っ飛んでしまってさ。」
「うん…」
「美咲の顔が思い出せなくなるんだよ」
美咲は感じた。
(…こんなに私のこと愛してくれてる。もっと、もっと、愛して欲しい…)と
「茂樹君、私を捕まえて、私を拘束して!私が動けないように縛って!」
「美咲…」
茂樹は感じた。
(…そうだ、明日、待ってる…だけでは、あの子は来ないんだ!
捕まえないと、魚のように美咲をこの手で捕まえないと、絶対、逃がさないよう、捕まえないと!…)
茂樹は美咲に言った。
「強く縛るからな。絶対、逃げないよう、俺の元から逃げないよう、強く、強く、縛るからな!」と
そして、美咲の華奢な身体を強く強く抱きしめた。
「もっと強く抱きしめて、もっと強く…、私を抱きしめて…」と美咲が身体を震わせなが茂樹に哀願した。
「もっと強く、もっと強く、絶対、離さないよ!」と茂樹は言い、美咲の唇を奪った。
美咲は茂樹に身を委ね、そして、茂樹の手を取り、自分の胸に押し当て、茂樹にさらに哀願した。
「愛して…、茂樹君、もっと、愛して…」
辺りは宵闇から闇夜に変わりつつも、その日は満月が綺麗に輝き、その透き通った純粋な月光が二人の愛の姿を優しく包み込んでいった…
今日、美咲は体調不良を理由に学校を休んだ。
体調不良というよりは、昨日のあの光景を見てからの動揺が続いており、頭の中が混乱して、一睡もできずにいた。
「…思い出したくない、中野さんを見つめる目、中野さを受け止めた腕と胸、美幸と呼んだ口、言葉、茂樹君じゃない、私の茂樹君じゃない…」
「…どうしてなの?、なんで、私を無視して、中野さんは無視しないのよ…、私が一体何をしたって言うの?、教えてくれないなんて狡いよ…」
「嫌だぁ、嫌だぁ、見たくなかった、見たくなかったよぅ~」
その時だった。美咲はここで初めて自分の置かれた立場を茂樹に置き換えてみた。
「…茂樹君、ずっと見てたんだよね…、私が吉川君と付き合ってるの….、ずっと、陰から見てたんだよね…、嫌だったろうなぁ…、嫌だよね!茂樹君!、私も嫌だもん!…」
美咲はそう感じ取ると、やっと心が落ち着き、深い眠りに落ちて行った。
(…そっちから追ってみて!俺がここで待ち構えてるからね。…)
(…わかった!行ったよぉ~、そっちに泳いで行った!…)
(…よし!、やったぁ!捕まえたよ!)
(…やったぁ!見せて、見せて!)
(…ほら、これだよ!逃すなよ!…)
(…本当だ、やったねぇ~、これなんていう魚なの?…)
(…ウグイだよ。腹が少し赤いだろう…)
(…うん、本当、お腹が赤い…)
(…あっ、お母さんだ…、また、明日ね…)
(…うん!、ここで待ってる…)
美咲は、あの夢で目を覚ました。
木漏れ日が窓から薄く入り込み、外の色がオレンジ色になっているのが見えた。
それが朝なのか、夕方なのか、美咲には分からなかった。
美咲は机の上の目覚まし時計を見た。
午後5時を回ったとこであった。
「…ここで、待ってる…か…」と美咲は一言呟き、服を着替え、母親に見つからないよう、そぉーと、階段を降り、外に出て、あの楠木に向かって走った。
美咲があの「100段」階段に着く頃には、急に日が落ち、辺りに夕闇が迫っていた。
美咲はいつもの癖で、後ろ向きに階段を上がって行った。
そして、楠木の辺りで、いつもの枝を見上げた。
茂樹がいた。
美咲はそっと向こうに側に回り、いつも茂樹が手を差し伸ばしてくれる位置で立ち止まり、下を向いた。
茂樹は美咲に気づいてないような素振りであったが、気づいていた。
美咲はいつものように、茂樹に声を掛けることができず、ずっと下を向いたままであった。
すると、なんとなく、茂樹が腕を伸ばしてくれた感じがし、顔を上げると、やはり、茂樹が腕を伸ばしていてくれた。
美咲は何も言わず、茂樹の腕を掴むと、いつものように、茂樹の力強い腕の力により、ヒョイと枝に乗せられた。
茂樹は何も言わず、また、寝転び、煙草を蒸し出した。
美咲は枝の上に来ても下を向いたままであった。
辺りは夕闇から宵闇に変わり、枯葉と枝の隙間から月の輝きが薄らと入ってきた。
突然、茂樹が口を開いた。
「チョコ、貰っただけだ。」と
「えっ、中野さんの告白、受け入れたのと違うの?…」
「違うよ。勝手に抱きついてきただけだ。」
「そっか…」
「美幸の考え方が俺と同じだったから、話を聞いただけだ。」
「うん…」
「俺はお前と違う。好きでもない奴と付き合ったりしない。」
「うん…」
「俺は何にも言わない、お前が吉川と付き合いたければ付き合えばいいし、それは俺が決めることではなく、お前が決めることだ。」
「茂樹君、私が吉川君と付き合っていたこと、怒ってるの?」
「さっきも言ったはずだ。それは、お前の勝手だ、俺には関係ない…」
「怒ってるじゃん…」
「怒ってない!」
「怒ってるよ!」
「俺ならそんなことしない!」
「うん…」
美咲は茂樹に抱きつき、こう言った。
「茂樹君、私、分かったの、昨日の中野さんと茂樹君を見てて、辛くて、辛くて…、
だけから、許して…」
美咲の目から涙が零れていた。
「なんで、吉川なんかと、デビルマンなんかと付き合ったんだよ!」
「まだ、怒ってるの?」
「怒ってない!聞いてるだけだ!」
「だから、誰でも良かったの、茂樹君には結婚する程好きな人がいると思って…、それが、まさか、私とは思わなかったの…」
「それで、デビルマンか!」
「たまたまなの、紫穂が吉川君のこと好きで、バスケの応援付き合わされて、それで、吉川君が勘違いして、私が吉川君のファンと勘違いして…」
「そして、デビルマンに付き合ってくれと言われて、付き合ったのか!」
「何度も説明したじゃん!軽い気持ちなのよ!
だって、茂樹君、私に言ってくれないでしょ!茂樹君、あんな怪我しないと、普通だったら、私に告白なんかしないでしょ!」
「するもんか!」
「茂樹君、もう、許して…、私も分かったの、一番好きな人が私以外の女子と付き合う辛さ…」
「俺ね、年明け前から、ずっと不眠症でね、寝れないと、変なことばかり考えてしまうんだ。」
「うん」
「特に一番嫌なこと、美咲と吉川の姿、そればっか頭の中に浮かんできて、クリスマスの思い出が吹っ飛んでしまってさ。」
「うん…」
「美咲の顔が思い出せなくなるんだよ」
美咲は感じた。
(…こんなに私のこと愛してくれてる。もっと、もっと、愛して欲しい…)と
「茂樹君、私を捕まえて、私を拘束して!私が動けないように縛って!」
「美咲…」
茂樹は感じた。
(…そうだ、明日、待ってる…だけでは、あの子は来ないんだ!
捕まえないと、魚のように美咲をこの手で捕まえないと、絶対、逃がさないよう、捕まえないと!…)
茂樹は美咲に言った。
「強く縛るからな。絶対、逃げないよう、俺の元から逃げないよう、強く、強く、縛るからな!」と
そして、美咲の華奢な身体を強く強く抱きしめた。
「もっと強く抱きしめて、もっと強く…、私を抱きしめて…」と美咲が身体を震わせなが茂樹に哀願した。
「もっと強く、もっと強く、絶対、離さないよ!」と茂樹は言い、美咲の唇を奪った。
美咲は茂樹に身を委ね、そして、茂樹の手を取り、自分の胸に押し当て、茂樹にさらに哀願した。
「愛して…、茂樹君、もっと、愛して…」
辺りは宵闇から闇夜に変わりつつも、その日は満月が綺麗に輝き、その透き通った純粋な月光が二人の愛の姿を優しく包み込んでいった…
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