優しい夜のうた

びぅむ

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第6章 もう、負けない

殺人事件だ

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「……萌梨が熱を出して倒れて友達の家にいると聞いたから、その友達、渡部雪子さんの自宅に行ったんだ。そしたら、そこには萌梨が来た形跡なんて何もないじゃないか。だから、雪子さんを誘拐犯として訴えようかと思ったんだけど、それを言ったら、雪子さんが親切にここを教えてくれたんだよ。でもまさか……男二人に囲まれていたとは……。萌梨。ここで、本当はなにをしていたんだ?」

梶原は誰も口を挟む間もなく言い続けると、私は頭を横に振って、

「何も、ないわ!!」

と叫ぶと、先輩は唇を噛み締めながら、

「そういうあんたは……!!」

と言いかけると、坂井さんが慌てて先輩の腕を掴んで止めた。坂井さんは自分の名刺を梶原に渡すと、

「坂井です。偶然通りかかったので、うちに運びました。確かに軽率な行動でしたね。申し訳ありません」

と言って頭を下げると、梶原は眉をしかめながら坂井さんを見つめた。

坂井さんの名刺を見つめても、梶原は眉一つ動かさない。そして顔をあげて坂井さんを見ると、唇の端を微かに上げて微笑み、

「君は確か……祥子が亡くなった時に、調べにうちに来たことがあったかな」

と静かに言うと、坂井さんは微笑んで頷いた。

「覚えててくださったんですか?光栄です。その時、俺がなんて言ったか、覚えていますか?」

「…なんだったかな?」

梶原は微笑みながら首を傾げると、坂井さんは私の前に立ちはだかり、

「彼女は陥れられた。これは紛れも無く、殺人事件だ………とね」

と強く言い切ると、梶原は少し俯いて吹き出して笑った。

「相変わらずだね、君は…」

「必ず、真犯人を捕まえてみせますよ」

坂井さんは動揺することなく、まっすぐに梶原を見つめて言うと、梶原は一瞬だけ坂井さんを睨みつけた。私は緊張したまま、そんな二人を交互に見つめている。
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