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第9章 母の選択
事故の真相
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美夜は僕だけを見ればいい。余計なことなど考えなければいいんだ。
でも、ある日、祥子に美夜を殴るとこを見られてしまった…。祥子は怒り、その場で離婚すると言い出したんだ。そこで、僕は美夜に『美夜を一番愛しているのは、この僕だ』と言ったんだ…。祥子は美夜を愛していないから、俺に美夜を売ったんだよ、って何度も教えてやった。すると、美夜は傷ついてわんわん泣きながら、僕にしがみついたよ。
そうさ。離婚なんかするものか。やっと手に入れたのに。
だけど祥子は、家を出ようと荷物をまとめていたらしい。出ていくなら、美夜を置いていくように言うと、祥子は逆上し、警察に訴えると言って聞かなかった。祥子はその頃、うちの会社にパートとして入っていたのは知っていたし。
その日、帰りにおそらく警察か裁判所に行く予定だったんだろう。僕たちは地下の駐車場の、僕の車で待ち合わせをした。僕は…離婚するなら、子供は渡すつもりもなかったし、役職も昇格したばかりなのに、問題を起こしたくなかった。…僕を愛していない祥子には、もう消えてもらうしかないと考えたんだ。
僕は、小沢の時と同じようにまた田中に殺人を依頼した。自分の車に細工をしてもらい、祥子を会社の駐車場に呼び出した。俺は祥子に車で待つように依頼した。あとは、祥子が自分でその車を使って出るように仕向けなくてはならない。駐車場の出口は人目につく。裏通りを選ぶよう仕組むには、自宅に向かわせること。だが祥子はあまり車を使わない。急いで出てこいと言ったところで、車を使うかは微妙だった。そこで僕は家に電話をして、美夜に、祥子の携帯に電話するように頼んだ。
『知らないおじさんが、家の外にいるの。美夜を見てる。怖いよ。すぐにここに来て』
と祥子に言うように頼むと、美夜はすぐに祥子に電話をしただろう。まぁ、美夜には、その願いを聞いてくれたら、二度と叩いたりしないって約束をしたからな。祥子はすぐに車を発進させると、スピードを上げて車道に飛び出した。だが、カーブを曲がり切れなくて対向車と激突し、車は大破。そう。……あの、事故だ……」
梶原はそう言いながら、私の髪を撫でた。
私はガクガクと震えが止まらない。
でも、ある日、祥子に美夜を殴るとこを見られてしまった…。祥子は怒り、その場で離婚すると言い出したんだ。そこで、僕は美夜に『美夜を一番愛しているのは、この僕だ』と言ったんだ…。祥子は美夜を愛していないから、俺に美夜を売ったんだよ、って何度も教えてやった。すると、美夜は傷ついてわんわん泣きながら、僕にしがみついたよ。
そうさ。離婚なんかするものか。やっと手に入れたのに。
だけど祥子は、家を出ようと荷物をまとめていたらしい。出ていくなら、美夜を置いていくように言うと、祥子は逆上し、警察に訴えると言って聞かなかった。祥子はその頃、うちの会社にパートとして入っていたのは知っていたし。
その日、帰りにおそらく警察か裁判所に行く予定だったんだろう。僕たちは地下の駐車場の、僕の車で待ち合わせをした。僕は…離婚するなら、子供は渡すつもりもなかったし、役職も昇格したばかりなのに、問題を起こしたくなかった。…僕を愛していない祥子には、もう消えてもらうしかないと考えたんだ。
僕は、小沢の時と同じようにまた田中に殺人を依頼した。自分の車に細工をしてもらい、祥子を会社の駐車場に呼び出した。俺は祥子に車で待つように依頼した。あとは、祥子が自分でその車を使って出るように仕向けなくてはならない。駐車場の出口は人目につく。裏通りを選ぶよう仕組むには、自宅に向かわせること。だが祥子はあまり車を使わない。急いで出てこいと言ったところで、車を使うかは微妙だった。そこで僕は家に電話をして、美夜に、祥子の携帯に電話するように頼んだ。
『知らないおじさんが、家の外にいるの。美夜を見てる。怖いよ。すぐにここに来て』
と祥子に言うように頼むと、美夜はすぐに祥子に電話をしただろう。まぁ、美夜には、その願いを聞いてくれたら、二度と叩いたりしないって約束をしたからな。祥子はすぐに車を発進させると、スピードを上げて車道に飛び出した。だが、カーブを曲がり切れなくて対向車と激突し、車は大破。そう。……あの、事故だ……」
梶原はそう言いながら、私の髪を撫でた。
私はガクガクと震えが止まらない。
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