優しい夜のうた

びぅむ

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第11章 神様は、いない

いつか僕を選んで

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祥子は、そんな梶原の優しさにほだされて、突き放せなかった。でも、長続きはしない。やがて、一緒に東京の大学に行って、そこで小沢俊一と会ったんだ。当時、俊一くんには丸山《まるやま》彩子《さいこ》さんという彼女がいたんだけど、すぐに別れたんだって。その後に2人が出会って、すぐに惹かれ合ったんだ。だけど、もちろんあの梶原が許すわけがない。話し合っても駄目で、泣いて訴えても駄目。で、ある日梶原がある一言を祥子に言ったんだ。

『もし、いつか小沢俊一が死んだり、別れたりしたら、その時は僕を選んでほしい』

祥子は、それを聞いて、初めて梶原に恐怖感を憶えたらしいよ。今更だけどね。そうして、二人は別れて、祥子は俊一くんと付き合った。趣味や意見が合うし、何より一緒にいて楽しかったみたいで、うちにも連れてきてくれた。このまま順調に進むって思ったのに、再び梶原が近づいてきたんだ。俊一くんの就職に、梶原が口を出してきたんだ。自分の親の会社ならコネを効かせてあげる、とかだったかな。魂胆は私には分かる。祥子を手元に置いておきたかったんだ。俊一くんの就職が梶原の会社に決まると、さすがに祥子が反対した。なのに、結局祥子もその会社に入ってしまった。揃いも揃って内定し、梶原はほくそ笑んだだろうよ。梶原が手を回したに違いないからね。そして、梶原は祥子たちに疑われないよう、見せ付けるように結婚した。
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