君につづく道〜禁断の13〜

びぅむ

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第9章 再会の取調室

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でも、雪子のことも好きになったのか、部屋にある西片の写真に混ざって、雪子の写真まで見つかったって。坂井さんはそれを全部処分して、接近禁止令を出して、木村を何処か田舎に送り込んだ。精神的にもおかしいから、見張りも付けてる。それで、雪子の身が安全になって安心して、その後東京の端っこに異動したんだ。でも、今、またこっちに戻ってきてる」

滋の言葉に、私は終始驚いて動けなかった。そんな様子を見て滋はフッと微笑んだ。

「本当に好きならさ、こんなことも、時間も、距離も、仕事も、環境も、全部乗り越えてみせろよ。俺、坂井さんと一緒にいる雪子、かわいいと思うぜ」

珍しく滋がそんなことを言うなんて。そう思うと、やっと私は我に返って改めて滋を見つめた。

「女の顔してる。俺にも早くそんな顔見せてくれてたら、もしかして好きになったかもしれなかったぞ」

「な、なに言ってるのよ!」

恥ずかしくなってきて、思わず顔を背けた。

「ま、お前が俺の初恋の女だったからな。ガキの頃の話だけど。でも、今は大事な友達だと思ってる。男女の友情は成立するって世間に証明してみせようぜ!」

滋は無邪気にそう言って、右手でガッツポーズをした。滋は、昔から変わらず、いつでも優しいよね。そんなことばを聞いたら、普通なら好きになるのかもしれない。だって、私も初恋は滋だったんだから。
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