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3.彼を好きになった理由
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帰宅すると両親から婚約解消を受け入れたことを聞かされた。二人は憤りを露わにしながらも私を心配してくれた。そして婚約継続にできなかったことを謝られた。私は弱弱しく首を横に振った。
両親に責任はない。スコットに振られた私が悪いのだ。両親は詳しい話をしたそうだったけれど、精神的に限界だったので明日にしてもらい部屋で休むことにした。
ベッドに横になると真っ白な天井を眺めてぼそりと呟いた。
「好きだったのに、侯爵家の料理人が作る絶品チーズケーキ。でももう食べられないのね。どうせなら食べてから打ち明けてくれれば、最後に味わえたのになあ」
それだけが心残り……。私としたことが食べずに帰宅してしまった。スコットの発言の衝撃にケーキのことは頭から吹っ飛び忘れていた。ああ……アイスはドロドロに溶けてしまっただろうな。
ベイリー侯爵家の料理人はチーズケーキ作りに魂と人生を捧げていて、たくさんの種類のチーズケーキを開発していた。
ぐにゃりと私の視界が歪み頬に冷たいものが流れる。ハラハラと止まらない。
(この涙は断じてスコットに振られたからではない。ベイリー侯爵家のチーズケーキが二度と食べられなくなった悲しみの涙!)
スコットが……あんな人だと思わなかった。優しくて誠実な人だと思っていたのに、自己中の最低なクズ男だった。
予想外だったのはベイリー侯爵が婚約解消を許したことだった。侯爵は常識人だと思っていたのでショックは大きい。私は捨てられた側になるが、捨てた側も白い目で見られる。結婚式目前での婚約解消はどうあっても醜聞になるのに、息子の望みを優先した。でもよくよく考えればあり得る話だった。
ベイリー侯爵夫妻は長く子供に恵まれず、夫人は幾度かの流産の末にスコットを授かった。歳を取ってから生まれた待望の息子。目に入れても痛くない。愛情を注ぐ大切な一人息子のためなら、王命に逆らうこと以外ならきっと受け入れるだろう。
侯爵夫妻は誠実な人だけど、社交界では親ばかで知られている。スコットは甘やかされていた。基本的にベイリー侯爵家の人たちは過保護で、スコットが望みを口に出す前に察して動く。
たとえば二人でお茶をしている時、肌寒そうに彼が体を震わせると、すぐに侍女が暖炉をつけて上掛けを差し出す。咳をすれば喉にいいお茶が給仕される。心配して医者が手配されることもあった。ちょっとやりすぎのようにも思えるが侯爵家の人間は真剣だった。スコットを有能な使用人たちが一丸となって守っていた。
スコットに甘えた考え方のあるところについては残念だなと感じたが、それよりも高位貴族にありがちな高圧的な態度を取らないことのほうが重要に思えた。
私がスコットを好きだと思うようになったのには理由がある。
私は学生時代にクラスでちょっとした陰口を言われていた。
原因は入学して最初の自己紹介で「趣味は計算をすることです!」と発言したこと。事実なので自分ではおかしいと思っていなかったのだがそれは失敗だった。他の女子生徒の趣味は読書や刺繍なのに「計算!?」と引かれた。
私の趣味が計算なのは、父の趣味が計算だったからだ。子供の頃に父と遊ぶ時は必ず一緒に計算をしていた。最初は家にある物の数を数えて合計を出すところから始まった。その次はソファーの長さを測り面積を計算する、窓の大きさを測り面積を計算する……思い返せば独特な遊びだが、それが日常だった。
そして計算が解けたら肩車をしてもらう、本を読んでもらうといった感じで、計算を解くことは遊びでありご褒美でもあり、そのまま趣味になった。
私はこの時までみんなもこの遊びをしていると思っていた。初めて自分の常識は他人の非常識だったことを知ったのだ。
趣味のおかげか私の成績は良かったのだが、同じクラスの男子生徒たちにはそれが面白くなかったらしい。自分より成績のいい私が目障りだったようだ。
気付くと私は男子生徒たちから「がり勉女」と揶揄されるようになった。嫌な気持ちになった。でも悪いことはしていないので堂々としていたのだが、それが癪に障ったのだろう。日常的に面と向かって言われるようになった。言い返したら負けだと相手にしなかったが正直悔しかった。
きっとスコットは噂でそのことを知っていたと思う。でもスコットに馬鹿にされたことはなかった。そしてそんな私を好きだと告白してくれたことがどれほど嬉しかったか。
私たちの年代は女の子供が多い。学園全体の三分の二が女子生徒で男子生徒が少ない。少ないおかげで男子生徒は女生徒からからチヤホヤされている。それは身分が低い男子生徒もだ。だから男子は基本的に尊大に振る舞う人が多い。自分たちが女性を選んでやる立場だという意識があるのだろう。
ちなみに男子生徒が少ない理由なのだが、この国には私より三歳年上の王太子殿下がいらっしゃる。殿下が誕生した後に、貴族たちにベビーブームが到来した。もちろん思惑があってこその出産ラッシュ。男子が生まれれば殿下の側近に、女子が生まれれば妃にしたいという野心によるもの。ただ、性別は誰にも選べない。結果的に女の子が多く生まれてしまったのだ。
私が学園に入学した頃に王太子殿下が、オルブライト公爵令嬢アイリーンと婚約を結んだことで、殿下の婚約者になれないと分かり慌てて婚約者探しをする令嬢が増えた。
学園は本来学び舎なのだが婚約者が決まっていない女性の婚約者探しの場と化していた。私は陰口のこともあり婚約者は学園卒業後にお父様に探してもらうつもりでいた。今思えば卒業後のほうが増々相手が見つけにくくなるのに、そこまで思い至らなかった。でもそんな時にスコットに告白されて思わぬ幸せを手に入れた。
男子たちから蔑まれる私を好きになってくれた恩返しも込めて、彼の役に立ちたいと、支えたいと思った。ベイリー侯爵家の家庭教師は厳しかったが、スコットのためならいくらでも頑張ろうと思えた。
スコットは大事な場面でうっかりミスをすることがある。人の名前を間違えて呼んだことがあった。
他には……オルブライト公爵令嬢アイリーン主催のお茶会に二人一緒に招かれたときのこと。その場には他にも数人の高位貴族の子息や令嬢が婚約者同伴で呼ばれていた。そう! これはただのお茶会ではない。社交という名の戦いでもある。
アイリーンは王太子殿下の婚約者なので、みんな彼女のご機嫌を取るために必死だった。スコットもそれを意識して頑張っていた。スコットは出されたお茶を誉めてアイリーンの心証を良くしようとしたのに、肝心のお茶の名前を間違えた。ちょっとの言い間違えではなくまったく別の茶葉の名前を言ってしまったのだ。出されたお茶は異国の珍しい物を公爵家が独占的に輸入して販売している特別なもので、社交界に絶賛宣伝中。
間違えるのは大変よろしくない。そもそも招待客が招待してくれた家の情報を正確に把握できていないことは落ち度だ。私はスコットが間違えた瞬間、わざと大きなくしゃみをかぶせて誤魔化し、正しい茶葉を言って誉めちぎり乗り切った。 強引な自覚はあるがやむを得ない。
(あのくしゃみで私の品位が下がったのは痛恨の極みだったけれど、スコットの役に立てたと嬉しかった)
スコットは私の必死の訂正に「あっ!」と動揺を顔に出していたが、それは見なかったことにした。動じずにいて欲しかったが彼の素直なところは美点だと思うことにした。
アイリーンは状況を理解していたように思う。でもそこには触れずに笑顔で流してくれた。彼女が追求すれば他の貴族たちも、それに乗じてスコットを馬鹿にしただろう。蹴落とす絶好のチャンスなのだから。本当に助かった。私は心からアイリーンに感謝した。
私は一緒に過ごすうちにスコットのそんな失敗すら可愛いと思えていた。完璧な人はいない。私だって間違える。だからお互いに欠点を補い支えあえればいい。でもそれは私の独り善がりな考えだった……。
(もしかしたらスコットを支えることで自分が優位に立っていると思っていたのかしら? それを感じ取ってスコットは私を好きになれなかったのかな)
とにかく私との婚約はスコットにとって不本意なものだった。知ってしまえばスコットを可哀想だと思う。だけど――好かれていると信じ幸せな未来を想像していた私はあまりにも滑稽だ。
両親に責任はない。スコットに振られた私が悪いのだ。両親は詳しい話をしたそうだったけれど、精神的に限界だったので明日にしてもらい部屋で休むことにした。
ベッドに横になると真っ白な天井を眺めてぼそりと呟いた。
「好きだったのに、侯爵家の料理人が作る絶品チーズケーキ。でももう食べられないのね。どうせなら食べてから打ち明けてくれれば、最後に味わえたのになあ」
それだけが心残り……。私としたことが食べずに帰宅してしまった。スコットの発言の衝撃にケーキのことは頭から吹っ飛び忘れていた。ああ……アイスはドロドロに溶けてしまっただろうな。
ベイリー侯爵家の料理人はチーズケーキ作りに魂と人生を捧げていて、たくさんの種類のチーズケーキを開発していた。
ぐにゃりと私の視界が歪み頬に冷たいものが流れる。ハラハラと止まらない。
(この涙は断じてスコットに振られたからではない。ベイリー侯爵家のチーズケーキが二度と食べられなくなった悲しみの涙!)
スコットが……あんな人だと思わなかった。優しくて誠実な人だと思っていたのに、自己中の最低なクズ男だった。
予想外だったのはベイリー侯爵が婚約解消を許したことだった。侯爵は常識人だと思っていたのでショックは大きい。私は捨てられた側になるが、捨てた側も白い目で見られる。結婚式目前での婚約解消はどうあっても醜聞になるのに、息子の望みを優先した。でもよくよく考えればあり得る話だった。
ベイリー侯爵夫妻は長く子供に恵まれず、夫人は幾度かの流産の末にスコットを授かった。歳を取ってから生まれた待望の息子。目に入れても痛くない。愛情を注ぐ大切な一人息子のためなら、王命に逆らうこと以外ならきっと受け入れるだろう。
侯爵夫妻は誠実な人だけど、社交界では親ばかで知られている。スコットは甘やかされていた。基本的にベイリー侯爵家の人たちは過保護で、スコットが望みを口に出す前に察して動く。
たとえば二人でお茶をしている時、肌寒そうに彼が体を震わせると、すぐに侍女が暖炉をつけて上掛けを差し出す。咳をすれば喉にいいお茶が給仕される。心配して医者が手配されることもあった。ちょっとやりすぎのようにも思えるが侯爵家の人間は真剣だった。スコットを有能な使用人たちが一丸となって守っていた。
スコットに甘えた考え方のあるところについては残念だなと感じたが、それよりも高位貴族にありがちな高圧的な態度を取らないことのほうが重要に思えた。
私がスコットを好きだと思うようになったのには理由がある。
私は学生時代にクラスでちょっとした陰口を言われていた。
原因は入学して最初の自己紹介で「趣味は計算をすることです!」と発言したこと。事実なので自分ではおかしいと思っていなかったのだがそれは失敗だった。他の女子生徒の趣味は読書や刺繍なのに「計算!?」と引かれた。
私の趣味が計算なのは、父の趣味が計算だったからだ。子供の頃に父と遊ぶ時は必ず一緒に計算をしていた。最初は家にある物の数を数えて合計を出すところから始まった。その次はソファーの長さを測り面積を計算する、窓の大きさを測り面積を計算する……思い返せば独特な遊びだが、それが日常だった。
そして計算が解けたら肩車をしてもらう、本を読んでもらうといった感じで、計算を解くことは遊びでありご褒美でもあり、そのまま趣味になった。
私はこの時までみんなもこの遊びをしていると思っていた。初めて自分の常識は他人の非常識だったことを知ったのだ。
趣味のおかげか私の成績は良かったのだが、同じクラスの男子生徒たちにはそれが面白くなかったらしい。自分より成績のいい私が目障りだったようだ。
気付くと私は男子生徒たちから「がり勉女」と揶揄されるようになった。嫌な気持ちになった。でも悪いことはしていないので堂々としていたのだが、それが癪に障ったのだろう。日常的に面と向かって言われるようになった。言い返したら負けだと相手にしなかったが正直悔しかった。
きっとスコットは噂でそのことを知っていたと思う。でもスコットに馬鹿にされたことはなかった。そしてそんな私を好きだと告白してくれたことがどれほど嬉しかったか。
私たちの年代は女の子供が多い。学園全体の三分の二が女子生徒で男子生徒が少ない。少ないおかげで男子生徒は女生徒からからチヤホヤされている。それは身分が低い男子生徒もだ。だから男子は基本的に尊大に振る舞う人が多い。自分たちが女性を選んでやる立場だという意識があるのだろう。
ちなみに男子生徒が少ない理由なのだが、この国には私より三歳年上の王太子殿下がいらっしゃる。殿下が誕生した後に、貴族たちにベビーブームが到来した。もちろん思惑があってこその出産ラッシュ。男子が生まれれば殿下の側近に、女子が生まれれば妃にしたいという野心によるもの。ただ、性別は誰にも選べない。結果的に女の子が多く生まれてしまったのだ。
私が学園に入学した頃に王太子殿下が、オルブライト公爵令嬢アイリーンと婚約を結んだことで、殿下の婚約者になれないと分かり慌てて婚約者探しをする令嬢が増えた。
学園は本来学び舎なのだが婚約者が決まっていない女性の婚約者探しの場と化していた。私は陰口のこともあり婚約者は学園卒業後にお父様に探してもらうつもりでいた。今思えば卒業後のほうが増々相手が見つけにくくなるのに、そこまで思い至らなかった。でもそんな時にスコットに告白されて思わぬ幸せを手に入れた。
男子たちから蔑まれる私を好きになってくれた恩返しも込めて、彼の役に立ちたいと、支えたいと思った。ベイリー侯爵家の家庭教師は厳しかったが、スコットのためならいくらでも頑張ろうと思えた。
スコットは大事な場面でうっかりミスをすることがある。人の名前を間違えて呼んだことがあった。
他には……オルブライト公爵令嬢アイリーン主催のお茶会に二人一緒に招かれたときのこと。その場には他にも数人の高位貴族の子息や令嬢が婚約者同伴で呼ばれていた。そう! これはただのお茶会ではない。社交という名の戦いでもある。
アイリーンは王太子殿下の婚約者なので、みんな彼女のご機嫌を取るために必死だった。スコットもそれを意識して頑張っていた。スコットは出されたお茶を誉めてアイリーンの心証を良くしようとしたのに、肝心のお茶の名前を間違えた。ちょっとの言い間違えではなくまったく別の茶葉の名前を言ってしまったのだ。出されたお茶は異国の珍しい物を公爵家が独占的に輸入して販売している特別なもので、社交界に絶賛宣伝中。
間違えるのは大変よろしくない。そもそも招待客が招待してくれた家の情報を正確に把握できていないことは落ち度だ。私はスコットが間違えた瞬間、わざと大きなくしゃみをかぶせて誤魔化し、正しい茶葉を言って誉めちぎり乗り切った。 強引な自覚はあるがやむを得ない。
(あのくしゃみで私の品位が下がったのは痛恨の極みだったけれど、スコットの役に立てたと嬉しかった)
スコットは私の必死の訂正に「あっ!」と動揺を顔に出していたが、それは見なかったことにした。動じずにいて欲しかったが彼の素直なところは美点だと思うことにした。
アイリーンは状況を理解していたように思う。でもそこには触れずに笑顔で流してくれた。彼女が追求すれば他の貴族たちも、それに乗じてスコットを馬鹿にしただろう。蹴落とす絶好のチャンスなのだから。本当に助かった。私は心からアイリーンに感謝した。
私は一緒に過ごすうちにスコットのそんな失敗すら可愛いと思えていた。完璧な人はいない。私だって間違える。だからお互いに欠点を補い支えあえればいい。でもそれは私の独り善がりな考えだった……。
(もしかしたらスコットを支えることで自分が優位に立っていると思っていたのかしら? それを感じ取ってスコットは私を好きになれなかったのかな)
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