上 下
84 / 113
Chapter_3:機械工の性

Note_68

しおりを挟む
 暗闇の奥を端末の光で照らして進む。乾いた階段を一段ずつ降りる。砂が光を反射して、結晶が星のように点々と煌めく。

 【ミカエラセラピー】の建物の地下、レオ達はある男と共に、地上での機械霊の襲撃から避難している。男は扉を開け、自分の荷物を机に置いた。

 レオ達も中に入る。ライラを椅子に座らせ、背もたれにクッションを敷いた。

 男は事情を聞く。


「……あんたら旅人か?こんなとこに用事なんて、物好きもいるもんだな。」

「別にいいだろ。救助要請が出たから来たまでだ……それより助かった。あんたの名前は?」

「俺の名はロック。セブンス先生の付き人だ。シェルターの人間に殺されかけたが、機械霊のおかげで命拾いした。」


 それぞれ自身の名を名乗る。


「レオだ。【タイタン号】のリーダー。」

「……ディオンです。」

「ライラよ。」


 “ディオン”はサドの偽名である。一応、サドだけは偽名で通す。それよりも彼はロックに頼んだ。


「ロックさん、あの……」

「おう、何だ?」

「ライラさんの義足、予備の分はありますか?」

「……種類は?」

「下腿義足の【R-O-P】です。色は特注品オーダーメイドの非売品らしいです。」


 ロックは頭を掻き毟った。


「あ~、悪ィ。別だったわ。多分だけど先生が持ってるから、少しここで寛いでくれ。俺は物を取ってくるから。」


 ロックは奥の部屋に入る。表に出るのも危険であり、しばらく留まることになった。

 その内に、3人は情報を整理する。


「暇な内はマークⅢの解析について、まずはここでまとめておこう。」


 レオが仕切り、サドが端末を取り出す。


「……結論から言うと、生物兵器の解析には宇宙の歴史を紐解く必要があるらしい。詳細についてはマークⅢからお願いするよ。」


 端末からマークⅢを映し出す。


「話していいぞ。」

『ではお言葉に甘えて……

惑星が保有するデータによりますと、兵器のルーツとしましては約23万年前の戦争に使われた物と存じます。実戦投入もされていますが、生物兵器の高度化や連合による禁止条約により、歴史から姿を消した兵器となります。

しかし、惑星連合から法律が施行されて以降は後継の兵器等の存在が不明となり、その子孫を追究することが困難となっております。

未知の合成物質によって構成されており、論文データも見当たらず、解明には多くの時間がかかります。』


 惑星のデータベースに存在しない、秘密裏に行われた科学研究のようだ。

 次にレオは、ライラの発言について深掘りしていく。


「さっき“授業で聞いたことがある”って言ってたよな。もう少し詳しく教えてくれ。」


 ライラは少し間を置いてから、思い当たることを話した。


「……歴史の授業で小耳に挟んだことよ。火星に入る際に、予防の為のワクチンを打たなきゃならないの。

その原因の一説に、“旧時代の生物兵器による影響が今にも及んでいる”って言ってた。今でもワクチンの副作用が酷くて、開発が秘密裏に進んでいるんだって。

火星の人達は普通に過ごしていて、でも外部の人達は兵器に適応できずに苦しむ……最悪、命を落とす可能性もあるの。だから、ワクチン開発に今でも力を入れてるらしいの。」


 レオは呆れ顔でサドと一緒に反論を呈する。


「……本当に進んでんのか?23万年かけてんだぞ。絶対に特効薬の1つぐらいできてんだろ。」

「そうですよ。火星で有名になった地方病なら、早急に対策室を立てているはずです。研究論文もたくさん出て、免疫以外の駆除もできるはずです。」

「私だって専門外だし……でも、思い当たることを話しただけ。今は勿論、生物兵器って禁止されているし、それぐらいしか思い浮かばないの。

……それに、これは宇宙で有名な話なの。レオちゃんとサド君は知らなかったの?」


 レオは知らん顔して停止し、サドも残念ながら首を横に振って示した。外惑星の疫病ならなおさら、頭の中にすら入っていない。

 そもそも姉弟もライラも、医学に精通していない。個人で勝手に考えるだけ無謀である。


「んじゃあマークⅢ、火星の病について調べておいてくれ。それならできるか?」

『情報提供ありがとうございます。やってみます。』


 また時間を取ることになる。ロックが戻ってきた。アイスバーを取ってきたようだ。


「先生はまだ来ないか?」

「来てないです。」

「そうか、ならこれでも食べて待ってくれ。そろそろ来るはずだと思うんだが。」

「ありがとうございます!」

「さんきゅ。いただくぜ。」


 サドがライラの分を手渡しし、4人で間食を摂る。

 レオがロックに訊く。


「1つあんたに聞きたいことがある。」

「何だ?言っとくけど、俺は医学ダメダメだから無駄だぞ。もし聞きたいなら先生に会ってからにしてくれ。」

「そうなのか……ならあんたはどうして、その先生と一緒にいるんだ?」


 質問を変えて、素性を割り出してみる。ロックは快く答えた。


「そりゃあセブンス先生が、この星の医療において最先端を独走していたからだ!

【エンドレスコロニー】の最高峰の病院にて、院長候補に挙がった方だからな!偉業は数えても数え切れない。」

「……道理で外が騒がしいと思ったら、外から来てたのか。」

「「「!?」」」


 出入り口の前に、色白黒毛の美麗な青年が立ち止まっていた。ロックの話を傍らから聞いたようだ。


「人の素性を、赤の他人に話すな脳筋。」


 ロックは反論する。


「先生が凄いのは事実です。あなたの偉業はあなたの物です。あの論文の出来は、他の奴らにできねぇ根拠があります。俺はそれを知っているつもりで付いてきたんです!」

「神格化されるほど、俺は偉くない。つまらねぇ妄言をすんじゃねぇよ。」

「いい加減にしてください!先生は他の奴らにハメられたんだ!」

「もう、やめておけ。無い物を叫ぶほど虚しいものはない。」


 セブンスは奥の部屋へと入ろうとした。サドはすぐに呼び止める。


「あの、セブンス先生!」


 セブンスは無言でサドの方に振り向く。


「この方の義肢が、機械霊の攻撃によって溶かされたんですが……」

「種類は?」

「【R-O-P】です。」

「“P”じゃなく、“V”で我慢しろ。逃げ切るためだ。奥の部屋に来い。」


 セブンスは先に入っていった。ライラは自分のアイスを一気に食べる。突如として頭に突き刺さる感覚が襲った。


「……取りあえず、行きましょう。」

「うう……」


 ライラを担いで奥の方へ連れて行った。



 セブンスは、自身が監禁された場所を有効活用して、診察兼手術室として部屋を整えていた。ロックと交代で外の見張りをやっている。

 新しい施術用の手袋をはめる。引き出しから包装された物を手にし、義足を中から取り出す。タイプの異なる物について、接合部に合うか確かめる。


「失礼。」


 下腿義足を取り外し、接合部を目視で確認する。タイプは異なるが、同様の接合部で代替可能な部類にある。

 早速ライラの右脚に装着させた。セブンスが手を離すと、ライラは立ち上がろうとした。

 しかし異なるタイプだからか、若干適応できずに転びかける。


「“P”からグレードダウンしたんだ。少し座って慣らしてから動き回ったほうがいい。」

「あ、ありがとうございます。ええと……」


 ライラは手を出すが、セブンスは拒否した。


「【セブンス・メシエ・ケプラー】、厚生医院直属の医師だ。すまないが握手はできない。両腕とも刺客にやられて、医療用に仕立ててくれた。許してくれ。」

「そ、そうですか。」

「……あと少し遅かったら、病に侵されるところだったぞ。」

「ええ!?それ先に言ってほしいですよ!」


 ライラは唐突な発言に驚愕した。


「先に言ったら暴れるだろうが。

それより、お前達がこんな所にやってきた理由の方が重要だ。自ら危険に飛び込むほど、怖いもの知らずというわけでもあるまい。」

「救助要請がかかってきたんです。この街から、信号を受け取ったんですよ。それで助けるために……」


 ライラの言葉に、セブンスはため息をつく。


「馬鹿な奴らだ。緊急信号の意味を知らないとはな……」

「そんなものあるんですか?砂漠のパイロット達が助け合うために、この信号はあるんじゃないんですか?」


 ライラの日和見な疑問に、セブンスは心底呆れてしまった。


「……緊急信号の用途は、基本として敵を見つけたときに使うのが普通だ。機械霊や賊とかに襲われたときに出す。ヒーロー気取りの奴が集まって来るんだろう。

だが、その信号は同時に“ここは危険な場所だから近づくな”とも取れる。そもそも機械霊は一般人が立ち向かうような相手じゃない。普通は政府を味方に付けて、初めて挑める勢力だ。

だから、大半は逃げ切るために信号から離れる。一般人の腕前じゃ無謀だからな。ここのパイロットも、みんな無様に逃げた。」

「……悪いが、機械霊狩りが私らの本業だ。」


 レオが脇から反論する。セブンスは彼女の素性について尋ねた。


「その身なりだと、政府の人間じゃないな。まさかレジスタンスとは言うまい。」

「何も……巨大機体を使って旅してるだけだ。」


 レオは事実をはぐらかした。野郎2人を味方と分かったわけではなく、信用できなかった。


「私らがここに来たのは、失った枠を埋めるためってのもある。でも安易にやるつもりはない。裏切りで多く引き抜かれたからな……

ただ、本当の目的は機械霊を倒して上質な素材を手に入れることだ。先を目指すために、私らは機体を強化しなきゃならねぇ。」


 セブンスはレオを問い詰めようとした。


「ただ強くなりたいなら、あの敵はやめておけ。たとえ巨大機体を持っているとしても、尊厳ごと解体バラされて終わりだ。

その手法なら、もっと賢い手がある。小さいものから段階を積んでやっていくものだ。

……強くなりたいだけなら、いくらでも時間はあるだろう。なのに焦る必要があるのか?」

「あるさ……」


 レオは文句をつけるセブンスに、一言だけで返した。セブンスは追及する。


「何のために?」



「……政府を討つためだ。」



…セブンスは止まった。その一言を耳にして、彼女の正気を一度だけ疑う。しかし、レオは大敵の名に怯むことなく、自分の意志を彼に伝える。


「今、政府が狙っているのは私の身内だ。貴族の罪を負わされて、この世界の“邪悪”として居場所を奪われちまった。あらがっても奴らに勝つのは困難を極める。

……あいつらを打ち破るぐらい、強い機体で挑むんだ!」


 レオの強い意志は…セブンスの顔に笑みを浮かばせた。

 彼女の話は続く。


「だから教えてくれ。上で待ち構えている機械霊について……この街の惨状についてな。」

「………。」


 セブンスはレオの目を見て確かめる。彼女の目は真っ直ぐな視線を向けていた。その信念に偽りは無い。


「……学んでおけ。奴らに対抗するならな。お前達と敵対する以上、エンダー家なら容赦なく使ってくるだろうからな。」


 セブンスは紙の資料を出し、瓶に詰められた錠剤と、カップに詰められた軟膏なんこうを3つほど用意する。

 レオが手に取り、3人で資料を閲覧する。


「これは……」

「このシェルターの“地方病”について調べた研究内容だ。正体不明の新種。だが、由来は火星から来たものと考えられる。症状や被害がほとんど一致しているようだ。

ゴム・合金問わずに義肢や機体を汚染し、表層を溶かしていく。液体に浸せば、さっきのように完全に溶けていく。無論、人の肌に触れても危険だ。【黄痕おうこん】と呼ばれるまだら模様が浮き出てきて、肉体の腐食が始まる。

……それを打ち消す軟膏と、予防する錠剤を俺達は開発した。既に治験は済ませた。効果は保証する。」

「“俺達”?他に人がいんのか?」

「そうだ。医院を見捨てた俺を、許してくれた彼らには頭が上がらない。」

「先生を見捨てたのは、医院を仕切ってた貴族達です。あなたが見捨てたなんて、誰が信じられるのですか?」


 ロックが後押しするが、セブンスは耳もくれなかった。


「不足したなら、レジスタンスキャンプ経由で補充させておく。キャンプのリーダーに俺の名を出して話しておいてくれ。」

「分かったよ。」


 レオは了承した。

 疫病の内容としては、火星由来の病であり、飛沫・空気による発症が主な要因となる。また気体のまま触れても影響を受けることがあるらしい。

 火星において、多くのワクチンが作られたものの、今の主流は効果と持続が評価された【メシアグループ】のワクチンであった。しかし、副作用に関しては未だ死者が出るほどには危険であった。

 しかし、多くの企業がそれを超える特効薬を作り上げ、利権にすがろうと秘密裏に開発を進めている。その開発データから、更に抗体への耐性を持つ病原菌が現れたようだ。


「……これぐらいなら、論文を辿れば行ける気がするもんだがな。既に同じ論文が出てんじゃねぇのか?」

「いや、それはない。」

「えっ、それってどういうことですか?」

「連合のデータベースを見せてもらったことがある。だがワクチン開発に関する論文は、企業によって引き抜かれたらしい。

通常は連合の機関に論文を渡すものだが、その“特許権”を握れば、連合にも勝る莫大な利権を得られる。無論、研究も秘密裏に行われるだろう。連合のデータベースに残らないまま、開発は続いていく。

だから、連合も薬品の後取りを掴めない。未完成のまま今でも使われている。」


 3人は机の上に用意された薬剤を見て、躊躇いそうになった。すぐにセブンスが補足を入れる。


「安心しろ。今から渡すのは、俺がここで3年ほど研究して作ったものだ。さっき渡した資料の延長で、人工惑星がそれを貫通するよう独自に研究された猛毒……

それに打ち克つ薬品を、俺はこの場所で開発を進めている。試料が湯水のように湧き出てくるからな。

俺からは以上だ。ここまでやったんだ。無傷で勝ってもらわなければ困る。質問がないなら、後は行っていいぞ。」


 セブンスの説明を最後まで聞き、レオは彼に質問する。


「……そもそもの話になるけど、あんたは政府と敵対している立場ってことか?」

「技術を買われて正式に雇用された。多くの論文も出した……だがおおやけにされたその論文から俺の名はすべて消され、院から追い出された。

今はフリーだ。」


 レオは最後の一言で、一気に踏み出す。


「……私らと一緒に来てほしい。あんたがいてくれれば、惑星中の病に対処できる。今の私達は【タイタン号】を使って移動している。この辺境の場所じゃなく、中央まで連れて行ってやる。院の奴らも意表を突かれるだろうよ。」

「「「………。」」」


 レオだけでなく、サドやライラも彼の手腕を見込んでいた。ロックも彼の復帰を願っている。セブンスの旅立ちを、皆は祝福するだろう。

 セブンスは答えた。



「いや……」



 レオは顔色を変えた。セブンスは理由を言う。


「……まだやるべきことがある。」

「先生……。」

「この街の奇病は進化し続ける。そのサンプルを取って、また新しい薬品を作れなきゃ、機械霊に遅れを取る。この【バイオ物質】の3世代先を見通せなきゃ、政府関係なく人類は終わりだ。

……俺はここで研究を続ける。代わりに遠くからサポートする立場に立つ。薬品はキャンプで受け取ってほしい。

それでお前らが死ななきゃ、医者冥利に尽きる。」


 セブンスの答えに、ロックが心配する。


「先生……」

「今、中央に復帰したところで、この研究も奪われるのが関の山だ。戻るとしても、奴らを倒してからだ。」


…レオは傾聴し、立ち上がった。


「そうか。分かったよ。」

「レオ、大丈夫なの?セブンス先生は貴重な才能を持つ、お医者さんなのに……」

「基本的な病はマークⅢに任せる。この手の医師は前線に放置するより、隠して対抗できる薬を作らせた方がいい。」


 セブンスは頷く。

 スカウトを諦め、この部屋から出ていく。サドは錠剤と軟膏を袋に詰めてから、ライラに手を差し伸べる。


「大丈夫、私一人で行けるから。先に行ってて。」

「……足下、気をつけてくださいね。」


 サドも先に向かう。

…ただ一人残るライラは、下を向いて悔やんでいた。セブンスはすぐに気づく。


「2人とも先に行ったぞ。行かないのか?」

「いえ、その……」


 彼女の自信は、完全に消えていた。


「……元々、2人を守るために彼らと一緒にいたんです。でも旅を続けるうちに、自分が役に立っているか……疑問に思ったんです。」

「………。」

「私達を守ってくれた2人の役に立ちたかった。実際はロボも操縦できずに、賊に怯えて立ち向かうこともできなかった。今だって皆さんの足を引っ張るばかり。

セブンス先生みたいに、2人を助けられるような人になりたい……なりたい……です。今の情けない自分が、許せないんです……。」


 ライラは手を震わせた。同時に涙も落として、自分自身に憤っていた。

 セブンスは間を置いて言う。


「……別に、遠くから支援すればいい。」

「やっぱり、私は……」


 セブンスはロックに目配せする。


「それなら~……答えは1つだな!」


 ロックはライラの横に、ライフル型の武器を置いておいた。優雅な彼女には似合わぬ、物騒な武器ではあった。

 だが、セブンスとロックが言いたいことは、別にあった。


「先生はお前を責めてるつもりはねぇけど、ウジウジした奴は嫌いなんだ。

遠くから支援する……つまり、遠距離武器を利用して2人を助けてみればいい。無理に殴り合いたいわけじゃない、生き残りたいが、2人を助けたい……答えはおのずとそうなる。」

「ロックさん……」


 セブンスも助言を少し与える。


「敵の弱点を見極めて、次は自分で銃と弾丸を用意することだ……それ持って、さっさと守ってやれ。」


 ライラは武器を手に持つ。光線銃のような拳銃より、大きく砲身の長いライフル型の武器だ。【AIシャープレーザー】。AIによる補正で狙いをつけ、鋭いレーザーで敵を貫く。

 ライラは手に持ち、過去の2人の発言が彼女を止めに入る。



『あなたを巻き込ませたくない。もし大事に見舞われたら……僕は……リンに合わせる顔がありません。』

『未練は無いな?』



(レオちゃん……サド君……私、決めたよ……2人を守るために戦う……また2人のとなりで戦いたい!)


 ライラは立ち上がり、扉の前に駆け込む。退室する前にセブンス達の方に振り向く。


「ありがとうございました!」


 セブンスは鼻で笑い、ロックは即座にサムズアップで激励する。

 ライラが部屋から出ていき、ロックは気を楽にした。セブンスはすぐに連絡を入れる。


「セブンスだ。【タイタン号】は……政府の手に落ちてねぇ。」


_____


 3人が表に出ると、彼らを見つけた小型機がすぐに乱射しようとする。カメラは3人が逃げるところを狙う。

…突如として飛翔体は撃ち落とされる。飛沫が散ることなく、ゆっくりと地上に落ちていく。

 その謎に2人は立ち止まり、後ろを振り向く。ライラが撃ち抜いてくれた。機械霊による通報を免れた。

 ライラはこちらに笑顔を向けた。





 3人は無事、他の機械霊に狙われることなく出ていった。タイタン号に戻り、【ミカエラセラピー】を後にする。

 右脚が馴染む。司令室でライラはソファに座っている。託された武器を手に、彼女は自信を持って、姉弟を守ることを再び心に誓った。


しおりを挟む

処理中です...