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第44話「俺に突っ込めぇぇええ!」
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ドゥン………………!!
ここで初めて、九七式中戦車の主砲が火を噴いた!
ティーガーの様な、長大な砲身が突き出し敵を睨み付けているわけではないが、それでも57mm!!
砲塔から、申し訳程度に突き出した砲身かれ飛び出た榴弾が男爵軍をぶっ飛ばす!
「ぎゃあああ!!」
「ひ、火を噴きやがった!!」
ドカーーーン!! と隊列中央で爆発する砲弾!
「「「ぎゃあああああ!!」」」
爆発に巻き上がる男爵軍!
『行けるぞッ! ミィナ、再装填だ! 急げッ!』
「う、うん! えっと、うーーーんと、」
あ、そ、そうか!
ミィナはこの戦車自体初めてだ。
そのままでは勝手がわからないのだろう。
『───予備の弾は砲塔後部と足元に砲弾が積載されている。取り出しやすい奴を選べ───あ、榴弾だぞ?! 先端が盛り上がって金色のやつだ!』
「あうあう…………こ、これかな?」
ギッシリと詰め込まれた砲弾の装填は容易ではないらしい。
およそ人間の使い勝手を考慮されていないそれは、ミィナには大変作業だったようす。
砲弾は軽いはずなのに、彼女は汗でびっしょりになっている。
車内にはミィナの匂いがムワリと充満していた。
「ふぅふぅ…………、そ、装填はどうやるの?!」
『閉塞器の傍にレバーがある! それを勢いよく倒せ! 薬莢が転がり落ちるから、触るなよ!』
発射直後の薬莢は、無茶苦茶熱いのだ。
「う。うん!!」
───カシンッッ!!
小さなで一生懸命閉塞器開放レバーを下げると、砲塔後部から撃ち殻薬莢が転がり落ち、車内に落ちる。
カランカラーーン!
コイツの整頓はあとだ。
『よし、砲塔後部のガイドレールに砲弾を乗せろ! そう、そこだ───』
ミィナが慎重に57mm榴弾を装填している。
こいつは250gの炸薬を装填した九〇式榴弾。
爆発に特化した砲弾で、男爵軍のあらゆる兵科を撃ち砕けるだろう。
「中にいれるよッ!!」
『入れろぉぉぉおお!!』
俺の穴に突っ込むんだ!!
「えーーーい!!」
ガシャン!!
『ミィナ!! しっかり奥まで入っていないぞ! コイツは締まりが悪くなるぞ?!』
───閉塞器のね?!
「ええ? あ、締まりが悪いよぉぉおお!」
発砲直後のため、煤がこびりついているのだろう。
本来なら腕力で押し込めるのだが、ミィナにそれを望むのは酷だ。
チハは、ティーガーⅠと違ってこの辺の作りが甘い……甘すぎる!!
『もっと、押し込め!! ガンガンに突けぇぇぇえ』
俺の穴にねじ込めぇぇぇええ!
グリグリとかき回せぇぇえ!!
「えーーーーーーい!!」
グリグリとミィナにかき回される感覚!
ようやく、砲弾が全て装填しきると、
『これで締まるはずだ!! 締まり具合を確かめろ、ミィナ!』
「了解♪」
ガキン!! と閉塞器のレバーを押し上げると、今度はしっかりと閉塞できた!
「締まった! 締まりがいいよ、アルガスさん!」
『よくやった!! 今の感覚を覚えておけ──────ここからは、連射するぞ!!』
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「「「ぎゃあああ!!」」」
『再装填ッ』
「はーい♪」
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「「あぎゃぁぁぁあ!!」」
『再装填ッ!』
「うん♪」
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「あーーーれーーーー!!」
ん……?
男爵軍の様子が……!?
「魔法使いめ……! 総員、対魔法戦闘容易ッ!! 固まるな、散れッ!」
先ほどまで、いい様に撃たれまくっていた男爵軍だが、ここで隊形変換。
アルガスの砲撃を魔法と認識して、対魔法戦に移るらしい。
こ、これは、まずい!!
「密集するな! 良い的だぞ! 奴は正面にしか攻撃できんらしい」
ち……!
さすがに、主砲だけではこけおどしにしかならんか!
『ならば機銃で───!』
男爵はそれなりに優秀なのだろう。
多数の遺棄死体の中、騎馬を巧みに操りアルガスの射線から逃れつつ兵を指揮していた。
練度の高い男爵軍は、すぐに男爵の意を酌んで密集隊形から散兵戦術に切り替える。
個々の動きが重視され、衝撃力と防御力に欠けるが、被害を局限できる陣形だ。
もしアルガスに兵力があれば、その隙に蹂躙できるのだが、アルガスにあるのは中戦車一両のみ!!
しかも────……。
『な?! ち、チハの機銃は、ど、同軸機銃じゃないのか? な、なんでこの戦車、機関銃が砲塔の後についているんだよ?!』
主砲発射の遅れを補うため機関銃で薙ぎ払ってやろうと思ったが、なぜか九七式中戦車の機関銃は後方についている。
これでは前方が狙えない!
やばい、主砲の代わり足りえないぞ?!
『く、くそ!!』
だが、男爵軍はアルガスを包囲している。
後方に撃っても当たるはず!!
ダラララララ!
ダララララララララララ!!
主砲で男爵軍を蹴散らしつつも、後部の車載機関銃を撃ちまくる。
しかし、意識が前と後ろに分散され、タダでさえ悪くなっている命中率がドンドン下がる、その上────!!
ダラララ…………カシャン!!!
『た、弾切れ?! こ、この機関銃どうなってんだよ?!』
ここで初めて、九七式中戦車の主砲が火を噴いた!
ティーガーの様な、長大な砲身が突き出し敵を睨み付けているわけではないが、それでも57mm!!
砲塔から、申し訳程度に突き出した砲身かれ飛び出た榴弾が男爵軍をぶっ飛ばす!
「ぎゃあああ!!」
「ひ、火を噴きやがった!!」
ドカーーーン!! と隊列中央で爆発する砲弾!
「「「ぎゃあああああ!!」」」
爆発に巻き上がる男爵軍!
『行けるぞッ! ミィナ、再装填だ! 急げッ!』
「う、うん! えっと、うーーーんと、」
あ、そ、そうか!
ミィナはこの戦車自体初めてだ。
そのままでは勝手がわからないのだろう。
『───予備の弾は砲塔後部と足元に砲弾が積載されている。取り出しやすい奴を選べ───あ、榴弾だぞ?! 先端が盛り上がって金色のやつだ!』
「あうあう…………こ、これかな?」
ギッシリと詰め込まれた砲弾の装填は容易ではないらしい。
およそ人間の使い勝手を考慮されていないそれは、ミィナには大変作業だったようす。
砲弾は軽いはずなのに、彼女は汗でびっしょりになっている。
車内にはミィナの匂いがムワリと充満していた。
「ふぅふぅ…………、そ、装填はどうやるの?!」
『閉塞器の傍にレバーがある! それを勢いよく倒せ! 薬莢が転がり落ちるから、触るなよ!』
発射直後の薬莢は、無茶苦茶熱いのだ。
「う。うん!!」
───カシンッッ!!
小さなで一生懸命閉塞器開放レバーを下げると、砲塔後部から撃ち殻薬莢が転がり落ち、車内に落ちる。
カランカラーーン!
コイツの整頓はあとだ。
『よし、砲塔後部のガイドレールに砲弾を乗せろ! そう、そこだ───』
ミィナが慎重に57mm榴弾を装填している。
こいつは250gの炸薬を装填した九〇式榴弾。
爆発に特化した砲弾で、男爵軍のあらゆる兵科を撃ち砕けるだろう。
「中にいれるよッ!!」
『入れろぉぉぉおお!!』
俺の穴に突っ込むんだ!!
「えーーーい!!」
ガシャン!!
『ミィナ!! しっかり奥まで入っていないぞ! コイツは締まりが悪くなるぞ?!』
───閉塞器のね?!
「ええ? あ、締まりが悪いよぉぉおお!」
発砲直後のため、煤がこびりついているのだろう。
本来なら腕力で押し込めるのだが、ミィナにそれを望むのは酷だ。
チハは、ティーガーⅠと違ってこの辺の作りが甘い……甘すぎる!!
『もっと、押し込め!! ガンガンに突けぇぇぇえ』
俺の穴にねじ込めぇぇぇええ!
グリグリとかき回せぇぇえ!!
「えーーーーーーい!!」
グリグリとミィナにかき回される感覚!
ようやく、砲弾が全て装填しきると、
『これで締まるはずだ!! 締まり具合を確かめろ、ミィナ!』
「了解♪」
ガキン!! と閉塞器のレバーを押し上げると、今度はしっかりと閉塞できた!
「締まった! 締まりがいいよ、アルガスさん!」
『よくやった!! 今の感覚を覚えておけ──────ここからは、連射するぞ!!』
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「「「ぎゃあああ!!」」」
『再装填ッ』
「はーい♪」
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「「あぎゃぁぁぁあ!!」」
『再装填ッ!』
「うん♪」
ドゥン!!
ドカーーーーーーン!!
「あーーーれーーーー!!」
ん……?
男爵軍の様子が……!?
「魔法使いめ……! 総員、対魔法戦闘容易ッ!! 固まるな、散れッ!」
先ほどまで、いい様に撃たれまくっていた男爵軍だが、ここで隊形変換。
アルガスの砲撃を魔法と認識して、対魔法戦に移るらしい。
こ、これは、まずい!!
「密集するな! 良い的だぞ! 奴は正面にしか攻撃できんらしい」
ち……!
さすがに、主砲だけではこけおどしにしかならんか!
『ならば機銃で───!』
男爵はそれなりに優秀なのだろう。
多数の遺棄死体の中、騎馬を巧みに操りアルガスの射線から逃れつつ兵を指揮していた。
練度の高い男爵軍は、すぐに男爵の意を酌んで密集隊形から散兵戦術に切り替える。
個々の動きが重視され、衝撃力と防御力に欠けるが、被害を局限できる陣形だ。
もしアルガスに兵力があれば、その隙に蹂躙できるのだが、アルガスにあるのは中戦車一両のみ!!
しかも────……。
『な?! ち、チハの機銃は、ど、同軸機銃じゃないのか? な、なんでこの戦車、機関銃が砲塔の後についているんだよ?!』
主砲発射の遅れを補うため機関銃で薙ぎ払ってやろうと思ったが、なぜか九七式中戦車の機関銃は後方についている。
これでは前方が狙えない!
やばい、主砲の代わり足りえないぞ?!
『く、くそ!!』
だが、男爵軍はアルガスを包囲している。
後方に撃っても当たるはず!!
ダラララララ!
ダララララララララララ!!
主砲で男爵軍を蹴散らしつつも、後部の車載機関銃を撃ちまくる。
しかし、意識が前と後ろに分散され、タダでさえ悪くなっている命中率がドンドン下がる、その上────!!
ダラララ…………カシャン!!!
『た、弾切れ?! こ、この機関銃どうなってんだよ?!』
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