勇者に捨てられた死霊術士~彼女が最強に這い戻るまで~

LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定

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第2章「終わりの始まり」

第6話「リリムダ壊滅」

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 ───貰ったぁっぁあ!!

 黒衣の兵の死角からの奇襲。
 完全に不意を突いたその一撃はエミリアの急所を抉る……はずだった。

「あら?」

 どちら様かしら?


 ──ブン!!


 空を切る一撃。
 真っ直ぐにエミリア目掛けて振り落とされたその一撃を、危なげなく躱す。

「ぬ、ぬぅ、やるな! 小娘ぇ!!」
 第二撃をくわえようと、鎧の───郊外に駐屯していた帝国兵が構える。

(……ふぅん?)
 郊外にいた連中よね?
 こいつら、いったいどこから……?

 見れば、装甲艦が食い込んでいる水門の裏から続々と乗り込む帝国兵の姿が見えた。

 いつの間にか水門の裏に回り込んでいた帝国軍が、乗り移ってきたのだ。
 どうやら、住民が抗戦ラインを強いている間に、連中は水門の裏に潜み機会を窺っていたのだろう。

 水上と陸上では勝負にならないと踏んでいたようだ。

(ち……。一気に殲滅しそこねたか)
 さすがは正規軍といったところ。

 まぁ、いいわ。
 接舷上陸戦とはちょっと違うけど───。

「───みんなオールメン白兵戦レディフォ用意ッ メィメー!」

 エミリアは素早く下達すると、海兵隊に帝国軍を排除させる。

 その間に、エミリアは目の前のコイツを仕留めることにッ!

「───飛び道具ばかり使いおって、この卑怯者が!!」

 バサリとマントを翻す帝国兵。
 それを見て、少しだけ驚いたエミリアの顔。
 どうやら一番槍のこの男、……なんと指揮官らしい。

 他の帝国兵より、少しだけ豪華な意匠の鎧に勲章が輝いている。

「指揮官率先───将校の鏡ね。惚れそうだわ……うふふふ」

 ───恐らく、魔族との実戦経験がある部隊。魔族討伐戦争に参加していた連中だろう。
 そいつは多数の兵を背後に従え、一人エミリアと斬り結んでいる。

「ほざけッ! 貴様……見ていたぞ、これまでの狼藉三昧! そして、知っているぞ!」

 あーそー。

「───貴様は元死霊術士のエミリアだな! 降伏し、飼いならされていると聞いたが……魔族の地にいた他の兵はどうした!?」

「聞いてどうするの? 足りない頭で考えなさい」

「んなっ?!」

 偉そうに出てきて、何様なんだか。

「お話は終わり? じゃ、ご機嫌よう──」

 優雅に一礼し、

 ……───スパァァン!!

 と、脚線美を見せる様に鋭い廻し蹴りを───……止めた?!

「く……」

 ガシリと掴んだその手。
 人間にしては力強いそれ───。

「は、放せ!」
「ぬかせ! このまま引き裂いてくれようかッ」

 ギリギリギリ……!

 本当に引き裂かんばかりの勢いで、エミリアを組み敷こうとする指揮官。

「売女のくせに、調子に乗った罰を食わせてやらんとなぁぁぁあ、ぐははははは!!」

 ふ…………。

「そういう割には、力がこもってないんじゃない? ふふふ……私が欲しいの───?」

 なら、

「くれてやる!!」

 掴まれた足をそのままに、エミリアもう片方の足で指揮官の顔をサンドする。

「ぐあ!!」

 そして、そのまま体を振り子のように振り回し、勢いを付けて回転をくわえた。

 全身のバネ。
 そして、柔軟性。
 
 さらには、遠心力を使った足だけの投げ技ッ!!

 どんな時でも、戦う術を捨てない────それがダークエルフの生き方だ!!

 死ね!! 帝国兵よ!

「ぐおおぉおおおお?!」

 グルン! と指揮官の身体が浮かびあがり、空中で振り回され──────……!!

 投げ技のぉぉぉお、フランケンシュタイナぁぁぁあああーーーーーーー!!

「ひぃぃぃいいいいい!」


 ズドォォオオオオン!!!…………ぷち。


 次は、
「───お前らだ!!」

 グチャ……と、潰れた指揮官を無視して、エミリアは立ち上がると乗り込んできた帝国兵を指さす。

 撃てぇぇえファイアァァ!!

『『『『『了解ッラジャー!』』』』』

 パン……………!

 パンパンパンパンッパッパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!
 バババババババババババババンッババババババババッババババババババババ!!

「ぎゃあ!」
「うぎゃぁぁあ!!」

 装填ロード発射ショット再装填リロード発射ショット再装填リロード発射ショット!!

 乗り込めば勝てると思ったか?
 一見動き無さそうな船上だが、ここは不安定な水の上!!

 慣れない場所で戦う貴様らと、水の上で戦う専門家プロフェッショナル────。

 彼らは、
 我らは、
 私は!
海兵隊だぞウィーアー マリーン!!」

「「「ぎゃあああああああ!!」」」

 あっという間に殲滅された帝国軍。
 死体が揉んどり打って川に沈んでいく。

 僅かばかりいた生き残りは、まだ水門の裏にいて乗り込むタイミングを図っていた連中だけだ。

(チ……! 思ったより水門突破に手こずる───これは逃げられるわね)

 実際、水門の裏にいた帝国兵は、あっという間に指揮官を含め殲滅されたことをうけ、急速に戦意を低下させていた。

 乗り込むどころではなく、気配が徐々に遠ざかっていく。

 いま、情報を持ち帰られるのは面白くないが……。
 仕方がない。いずれ帝国相手に、エミリアとアメリカ軍だけで喧嘩を売るつもりなのだ。
 
 エミリアが暴れまっているのが露見するのは、時間の問題だろう。

 ……まぁ、いい。

 それよりも、
「さて、皆さま──────」

 ジロリと、睨む先には怯えるリリムダの住人達。

 フルフルフルと、首を振ってヤメテヤメテと懇願する。

 うふふふ、
「……ここは、良い街ですね───。風光明媚で、水が豊かで、そして住民たちが、」

 そして、
 ギギギギギギギギギ、バリ!!

 遂に水門が破れて装甲艦が街を出る。

 そして、行き掛けの駄賃とばかりに両舷砲を住民に向けた。

 エミリアは、射撃用意の手を振り上げて───……。

「───とても静かな街・・・・・・・

 だから、さようなら。
 どうか、お元気で。

 ───振り下ろしたファキン ファイア


 ズドン、ズドン、ズドン、ズドン!!!

 ぎゃあああああああああああああ!!!




 こうして、リリムダの街は殲滅された。
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