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第3章「帝国の賢者」
第6話「太平洋艦隊」
しおりを挟む「さぁ、征きましょう───愛しきアメリカ軍たちよ……」
海上で海風を受けながら次々に、アメリカ軍を呼びだすエミリア。
彼女は巨大戦艦の甲板の船首に立ち、両手を広げていた。
バサバサとマントが波打ち、海風が気持ちいい───。
視界は広く、眼下では白波が弾けている。
まるで空を飛んでいるかのようだった。
「あぁ、これが海──────……皆、海があるよ」
あの古い城で無残に殺された魔族と、両親と、ダークエルフ達を思い、そうっと話しかけるエミリア。
今のエミリアには、もう死霊と話すことはできないが、きっと感じることはできる。
彼らには、エミリアの声も届くかもしれない。
それでいい……。
『アンデッド』は去れども、エミリアは『アメリカ軍』とともにいる。
エミリアは呪印に魔力を送り込み、アメリカ軍を喚び出す。
ズズズズズズズ───ズザァ……!
すると、海を割るように巨大な魔法陣があらわれ、巨大な鉄板の様なものが進水してきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……! と、唸るような音ともに、顔出してきたのは巨大な船舶──。
そう。余りにも巨大。
そして、圧倒的であった。
そうとも。
海を割り、波をかき分けて来たのどっしりと海上に姿を見せたのは───。
ブゥゥン……!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!
アメリカ軍
Lv2:太平洋艦隊(WW2初期型:1942)
スキル:ヨークタウン級航空母艦
(艦載機、対空砲)
備 考:第二次大戦で活躍した海軍艦艇。
ダメージコントロールに優れる。
大戦初期に生産された空母だが、
非常に優れた性能を誇り、
大戦後期に進水した新型艦に匹敵。
そう、それは長大な飛行甲板を有する大型空母───ヨークタウン級であった。
ドルン、ドルン、ドルンドルン…………。
ドッドッドッドッドッドッドッ…………!
甲板には多数の艦載機が並び出撃の時を、今か今かと待っている。
「さぁ、もっとおいで───我が愛しのアメリカ軍よ」
ズズズズズズズズズズ……!
エミリアの背後と海上に、大量の魔法陣が現れる。
そこから、出るわ出るわ!!
ザザザザァァァァァア……!!
この世ならざる者を喚び出すという点では死霊術と同じだが、呼び出されるのはアンデッドではない───。
彼らはアメリカ軍だ。
次々と魔法陣が呼び出され、その奥から続々と海兵隊員が現れる。
アメリカ軍
Lv2:太平洋艦隊(WW2初期型:1942)
スキル:海兵隊歩兵
(機関銃、
小銃、
手榴弾)
海兵隊砲兵
(軽榴弾砲、
対戦車砲、
拳銃)
海兵隊戦車兵
(軽戦車、
短機関銃)
海兵隊工兵
(騎兵銃、
梱包爆薬、火炎放射器)
備 考:海兵隊は第一師団装備を基準。
ガダルカナル島攻略など、
数多の激戦を経験。精強な部隊。
着上陸戦のプロフェッショナル。
ゾロゾロと沸きだした大量の小型船舶と車輌。
なんと、海の上には上陸用舟艇に乗った海兵隊。
さらには水陸両用車両にのった海兵隊がエミリアの誘いに応じて集結していく。
そして、さらに、さらに、さらにと、艦艇を喚び出すエミリア。ダークエルフの彼女の魔力がそう簡単には尽きることはない。
「もっとおいで。もっとおいでなさい──」
ズザザザァァァァアアアアン……!!
アメリカ軍
Lv2:太平洋艦隊(WW2初期型:1942)
スキル:ノースカロライナ級戦艦
(主砲、副砲、対空砲、艦載機)
備 考:第二次大戦で活躍した海軍艦艇。
ダメージコントロールに優れる。
主に太平洋での作戦行動に従事。
高速航行により様々な任務に対応。
召喚されし、エミリアが乗船する艦と同系の───ノースカロライナ級戦艦。
それが4隻。
彼女が乗船する分を含めれば、5隻の巨大戦艦だ。
ノースカロライナ級戦艦5隻
ヨークタウン級航空母艦1隻
これで、術のレベルがたったのLv2だ。
当然ダークエルフのエミリアのこと───まったく魔力の減少を感じない。
ダークエルフの体質として、元々魔力は高いのだ。
だが、この質量。
いくらなんでも、死霊とは比べるべくもないのではないだろうか?
それとも、ルギアに呪印を書き換えられたとき、エミリア自身も変質したのだろうか?
もはや実態を知るものはいない。
死霊術の秘術は、魔族とともに消えてしまったのだから……。
ふふ。いやいや、構うものか。
愛しい、愛しいアンデッドのなれの果て───アメリカ軍。
それでいい。
それだけでいい。
私は彼らも愛して見せよう。
静かで、寂しくて、悲しいアンデッド。
それが、
喧しくて、陽気で、楽しいアメリカ軍であっても───。
(───あぁ。愛しのアメリカ軍。私の復讐の礎……)
死霊を愛し、米軍を愛する。
ゆえに、エミリアはたった一人で大量のアメリカ軍を率いるのだ。
(───遊弋している戦艦達との繋がりを感じとれるわ)
艦載機を満載し、出撃の時を今か今かと待っている空母との繋がりをも感じる。
そして、海上にいる海兵隊と、彼らが搭乗する多数の上陸用舟艇と水陸両用車両との繋がりをも感じる。
みんな私と繋がっている。
「さぁ、行こう……皆。あの先へと───」
うっとりとした目で見つめる先は美しく輝く世界国家の帝国───のその首都たる帝都だ。
海風を浴びつつ、エミリアは微笑む。
あぁ、楽しみだ。
あぁ、待ち遠しい。
あぁ、濡れる───!!
お前たちを地獄に叩き落とせる日が来るなんて、なぁんて嬉しいんだ。
さぁ、怯えろ。
さぁ、竦め。
さぁ、漏らすがいい───!!
我がアメリカ軍は一切容赦しない。
私のアメリカ軍は微塵も容赦しない。
丁寧に、親切に、優しくお前たちを冥府に送ってやろう。
そうとも、向こうで魔族が待っているよ。
みんな、お前たちの到着を───今か今かと待っている!!
さぁさ、超特急で送ってごらんに入れましょう───。
地獄への直行便。
その号砲こと、艦砲射撃は今、始まる!!
「目標───帝都」
『『『了解!!』』』
エミリアの命をうけ、アメリカ軍は攻撃準備行動を開始する。
空母は風上へと船首を向け、
戦艦はエミリアが乗船する一隻を除き順次開頭───船腹を帝都に見せる。
クゥィィィイイイン……!
───左舷砲戦用意ッ!!
さぁ、
聞け───。
さぁ、
見ろ───。
さぁ、
感じろ───。
そして、
「───跪き、伏して許しを乞えッ!!」
ウィィィィイイン……!!
4隻の戦艦が主砲の鎌首をもたげる。
ゴンゴンゴン……!
重々しい音と主に、巨砲が帝都を指向する。
その数4隻36門───!!
16インチ、約406mmの巨砲が帝都に食らいつかんとする。
「お前たちが望んだ魔族がやって来たぞ!!」
人を食らい、
人を焼き、
その悲鳴を楽しむ邪悪な魔族───!
平和の敵!
帝国の敵!
人類の敵!
それが魔族だ───!!
それが魔族だ───!!
「聞け、見ろ、感じろッ!! これが復讐の炎だッ!!!!」
一隻だけ帝都に向かって、驀進する戦艦に乗ったエミリアは、一人───船首に仁王立ち。
そして、復讐の炎を巻き散らかさんとする。
すぅぅ……、
「───撃てっぇええ!!」
───ッッズガン!!!!
16インチ砲が火を噴く!!
1隻当たり9門!
そして、4隻の一斉射で36門ッッ!!
これを食らって、生きて、無事で、五体満足で帝都にいられると思うなよ!!
ズガン! ズガン!
ズガガガガガガガガガガガガガガン!!!
海上を圧する長大な砲音!
離れた位置にいるエミリアでさえ鼓膜が破れるかと思ったほどだ。
ブワァァ!!───ザッァァア!! と、発射の衝撃波が海を伝い、半円に広がって小さな波を起こす。
真っ黒な砲煙が発生し、巨大な戦艦を覆いつくす。
そして、それは来た!!
───着弾の時は来た。
グゥオォォオオオオオ!!
空を圧する巨砲弾が、空気を割る轟音…………。
ッ!
ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ズドドドドドドドドドドドーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
大爆発!!
大爆発!!
もう一度言う、大爆発だ!!
砂浜が、
街が、
港が、
帝都が、
皇城が!!
人々が!!!!!
───木っ端みじんに吹っ飛んだ!!
──────────────────
※ アメリカ軍ステータス ※
アメリカ軍
Lv2:太平洋艦隊(WW2初期型:1942)
スキル:ヨークタウン級航空母艦
(艦載機、対空砲)
ノースカロライナ級戦艦
(主砲、副砲、対空砲、艦載機)
クリーブランド級軽巡洋艦
(両用砲、対空砲、魚雷、爆雷)
グリーブス級駆逐艦
(両用砲、対空砲、魚雷、爆雷)
ガトー級潜水艦
(魚雷、主砲、対空砲)
海兵隊歩兵
(機関銃、
小銃、
手榴弾)
海兵隊砲兵
(軽榴弾砲、
対戦車砲、
拳銃)
海兵隊戦車兵
(軽戦車、
短機関銃)
海兵隊工兵
(騎兵銃、
梱包爆薬、火炎放射器)
備 考:第二次大戦で活躍した海軍艦艇。
ダメージコントロールに優れる。
主に太平洋での作戦行動に従事。
海兵隊は第一師団装備を基準。
ガダルカナル島攻略など、
数多の激戦を経験
アメリカ軍
Lv0→合衆国陸軍(南北戦争型:1864)
合衆国海軍(南北戦争型:1864)
Lv1→欧州方面派遣軍(WW1型:1918)
大西洋艦隊(WW1型:1918)
Lv2→サハラ軍団(WW2初期型:1942)
太平洋艦隊(WW2初期型:1942)
(次)
Lv3→欧州派遣軍(WW2後期型:1945)
太平洋艦隊(WW2後期型:1945)
戦略爆撃軍(WW2後期型:1945)
Lv4→????????
Lv5→????????
Lv6→????????
Lv7→????????
Lv完→????????
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