実話体験~成功哲学のウソホント~

fenix

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第九話~社長の暴走1~

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哲が入社して、6年目に社長が交代となった。
ついに東京に逃げた社長の2代目だった男が哲がいる高崎の会社も合わせて高崎と東京の両方の社長となったのだ。
(第三話参照)

それから6月に、昇進試験が行われることとなった。
どうやら、今後は年に一回に必ず昇進試験を行うようになるようだった。

最初の年は、全員を対象に試験を行うと部長から伝えられた。

早速、試験の課題が発表されるも内容はかなり難しい。大学でも勉強したことないような内容ばかりで、レベルは大学と大学院の間くらいになるだろうか。

問題の傾向は建築環境なのだが、建築環境系の学科の大学を卒業した哲でさえ、ほとんど分からないような課題だった

しかも、ほとんど今やっている仕事と直接は関係のないものばかり。

「誰がこんな問題解けるんだよ…」

周りに聞いても、分かる人などまずいない。仕事で帰ってから勉強する暇などない人だっているだろう。

哲は少し考えた。

「なるほど、これは問題を解かせようとしているんじゃない。今後の試験のために皆がどれだけ解けるか平均を出そうとしているんだ!」

そう勘が働いた。

しかし、何事も一生懸命やる哲は大学の教科書を引っ張り出して、課題と合っている科目を勉強しておいた。

後日、一斉に試験が行われたが、やはり分かる問題は少ない。とにかく問題を解き、制限時間内に最後の一問だけ解けなかったが、なんとか終わらせた。

100点は取れないとしても、そこそこ問題は出来たし、何より会社への貢献度は他の人より絶対良いと確信していた哲は心に余裕があった。

その後、問題に対する解答も得点も知らされないまま、社長からこんなメールが全員に届いた。

「昇進対象者は再試験を行うので、よく勉強しておくように。」

哲は頭のてっぺんに見事に「?」が漫画のように浮かんだ。

何を言っているんだろうか。試験は既に終わったし、よく出来た人が昇進するのではないだろうか。

仮に、昇進させたい人を秘密裏に昇進させればいいのだが、こんなメールを送ったら、出来レースであることがバレバレじゃないか。

再試験の知らせは哲には来なかった。
住宅部で昇進したのは役職が付いてない社員ばかりで、会社への貢献度は哲より低い人達ばかりだ。

それにより、15人くらいの部署に主任が8人いるというなんともよくわからない組織になった。

再試験の知らせが来なかった哲はひどくがっかりした。

だが、今回の昇進対象者が年輩の人という傾向があったのでまだ我慢できた。

しかし、他の部署も同じようなことになっていて、怪しく思った先輩社員の一人が社長と対話したようで、社長が何を考えているのか分からないと言い残し、退職した。
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