実話体験~成功哲学のウソホント~

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第十話~社長の暴走2~

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社長の暴走は続いた。
LEEDという海外の建物評価を取るということで、改装の設計を依頼したのは社長と親交があるという人で、頼むのは良いが、エントランスにはヤクザの事務所にありそうな黒い革張りのソファーが置かれ、誰が見てもセンス悪すぎと口を揃えて言った。

座り心地も最悪で、座ると思いのほか沈むからお客との商談には使いにくくてしょうがない。

社長は昔からデザインのセンスが無くて、設備の会社に就職したと離していたが、まさにその通りだった。

デザイン力が無いと言うことは物の形や色が空間に合うかどうかなどを見る力、受け取る力がないということだ。

しかも、今回はデザインだけでなく、使い心地も最悪だから、社長の考えを理解できない社員が増えた。

哲も正直、今回ばかりは社長の馬鹿さ加減に少しあきれた。

また、部署名をしょっちゅう変え、社内を混乱させた。

昇進試験は条件が出され、係長には2級建築士が必須となり、課長には1級建築士が必須と発表された。

哲はもともと2級建築士を持っていたし、勤続年数6年目には1級建築士の学科を合格していて、後は製図の実施試験のみだったので、課長は難しいとしても来年は係長は間違いないと思っていた。

仕事も工程管理者として毎年、目標売上が100%達成することも何度もあったからだ。

会社の給与体系も発表された。
理由は将来設計がしやすいようにだ。
内容は35歳までは年間1000~2000円の年齢による昇給があるが、それ以降は昇進しないと昇給しない。

しかも、昇進による昇給は主任は月2万だが、係長は月3万とかなり大きい。

ということは、始めの昇進試験の対象者が年輩の人ばかりだったのが少し理解できた。

しかし、追試があったことについては、哲は納得していない。

モヤモヤしながら仕事を続けて、2代目の社長が社長として就任した2年目、つまり哲は勤続年数7年目の6月にさらなる衝撃が走った。

2年目の昇進は社長自身が出した昇進条件は無関係で秘密裏に行われた。

しかも、昇進対象者となった一人になんとあの靖が選ばれていたのだ!

靖はネットサーフィンしてるし、仕事は普通だ。仲間からの信頼もそんなにあるわけではない。

それなのに選ばれたことに大半の社員が不思議がった。

それに靖は2級建築士も持っていなかったが、係長になった。

発表された昇進条件とは違う。

さらにさらに、社長はこの年、各個人の売上ランキングを発表するも昇進には関係ないとはっきり言ったが、なんとなく売上が良かった人が昇進しているような傾向もあるが、靖のようにそうでもない人が昇進していたので、もはや訳がわからなくなった。

哲の中で何か糸が切れたような音がした。

「社長は相当な馬鹿だ。」

頑張ってやって、成果を出しても評価されない。頑張るのはやめよう。

哲は素直にそう思った。
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