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第3部 他殺か心中か
水の幻影
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藤原健吾は土手に腰を下ろし、目の前の鉄橋を渡る電車をぼうっと眺めていた。会社に出社したのはいいが、何も手をつける気になれなかった。やるべきことは山積しているような気はするが、本当にやるべきことなど何も無い気もした。自分がやらなくても、きっと誰かがやってくれる。ふらふらと会社を出る時に後ろから声がかけられた気もしたが、気がつくと本社のある池橋市の西端の、県境の河まで来ていた。
冬の弱々しい陽光を反射させ、キラキラと煌めく川面を見ると、自然と涙が溢れてくる。娘の美伽は四日前、冷たい川底に沈んでいたのだ。
警察署に呼び出されて娘の変わり果てた姿を見た時は信じられなかった。目の前の遺体が自分の娘だと分かってくると、恐ろしいことが現実に起こってしまったのだという実感が次第に身体を小刻みに震わせた。あの美しかった黒髪も水に濡れてほつれて傷み、天使のように清楚で美しかった顔からは完全に生気が抜けて生きていた頃の色を失っていた。
隣りに同じように宮本が身体を冷たくして横たわっているのを見た時、これは大力の報復なのだと悟った。健吾はその場で泣き崩れ、そこからはもうはっきりとした記憶が無い。あの日以来ずっと、何も手がつかずに臥せっている。お通夜とお葬式をしてやりたくとも、娘の遺体はまだ帰ってきていない。
妻の美沙子も同様に抜け殻のようになり、元々少なかった夫婦の会話も皆無となって、ついに一昨日には実家に帰ってしまった。広い家に一人でいるのも虚しく今日は会社に出てみたはいいが、結局何も手につかず気がつけば川辺りで座っている──。
自分はこの数十年、何をやってきたんだろうと思う。会社を立ち上げ、大きくし、財を成して新地の女に現をぬかし、気がつけば一番大事なもんを失った。
俺は結局、この水に写った街のように、ただの幻を追いかけてきたのではないか……?
結局気がついた時には、何にも残らへんかった───!
健吾はそんな思いに囚われ、吹付けのコンクリートに突っ伏して泣いた。ザラザラとした無機質な冷たさだけが頬に伝わっていた。
ふと、土の香りの中に懐かしい匂いを嗅いだ。と、同時に、艶めかしい白い肌の柔らかい感触が蘇る。これは風が運んだ記憶……いや、この街が発する、この街特有の匂いが引き金となり、昔の記憶が蘇っているのだ。
あれは綺麗な人やった……
健吾は幼少の頃、母親の目を盗んでよくその離れを訪れた。健吾の家は鎌倉時代から続く由緒正しい酒問屋で、その問屋の奥に広がる母屋敷から長い廊下を伝って歩くと、南の端でその離れに行き当たった。健吾は縁側からそっと襖を開けて中を覗く。薄暗い和室の真ん中で、その人はまるであの世から湧いて出た亡霊のように、ぼうっと白く浮き上がって見えた。
「坊、ようおいでなさった。ささ、こっちおいで」
部屋の中から見ればきっと自分の姿は外からの日差しに照らされてくっきりと黒い影を襖に落としていたのだろう、決まって彼女は健吾が近づくとその気配を察して部屋に招き入れた。
甘い匂いに引き寄せられて彼女の側に行くと、いつも大きな飴玉を口に放り込んでくれる。ほっぺたを膨らませながら頬張ると、そのほっぺを華奢な白い手が果物を包むように撫でる。健吾は猫のように喉を鳴らしながら、目を細めてその所作に身を預けた。
心地よい、至福の時。
健吾はいつも薄目を開け、彼女の和装が少しズリ落ちて見える真っ白い鎖骨、そしてそこからふくよかに盛り上がった谷間を覗き見ていた。
彼女の名前は琴菊。
健吾は血の繋がらないその祖母の名前をそんな源氏名でしか思い出せない。戦後間もなくして亡くなった祖母の後添えに、祖父が京都の花魁であった琴菊を身請けし、鎌倉の世から続く造り酒屋を仕切る問屋に続く屋敷に住まわせたのだ。
父や母はその祖父の再婚には反対だったようで、祖父は仕方なく琴菊を母屋ではなく離れに住まわせた。間もなく年が二桁になろうとしている健吾に取って、母よりもかなり若く見える彼女はまるで異界から来た妖怪のように思われ、早春の疼きを感じさせる存在だった。
見つかればこっ酷く叱られる行為だったが、健吾は毎日のように朝起きれば人目を忍んで琴菊の部屋の襖を覗いた。琴菊はそんな健吾を目を細めて招き入れ、飴をくれたり、時には三味線を引くなどしてもてなしてくれた。
だがそんな日々は長くは続かなかった。琴菊はおそらく京都で芸姑をしている時に知り合ったのであろう男と駆け落ちをした。
『この度、誠に勝手ながらお暇致したく、旦那様には大変お世話になりんした』
そんな簡単な一筆がしたためられた紙がただ一枚残されていた。祖父が後生大事に机にその手紙を仕舞っているのを、健吾は盗み見たことがある。屋敷が取り壊されると同時に、どこかに行ってしまったが。
その元花魁の祖母がいなくなってからの祖父の落胆ぶりは凄まじく、祖母を当てど無く探す放蕩の旅の末に癌を患って亡くなった。祖父が亡くなると同時に、戦後復興景気に湧く日本に反して、軒を連ねていた造り酒屋は次第に数を減らしていき、やがて商売が立ち行かなくなって問屋もろとも健吾の家は没落していった。
父が酒問屋を畳んだ後、健吾は残った財産で勉学に励み、池橋に小さな工務店を開いた。地道な仕事だったが、それでも工務店にはそりなりに顧客がつき、生活はそれなりに成り立っていた。
そんな健吾の店にあの男がやって来たのは、健吾の年が三十路になろうかという頃だった。綺羅びやかなスーツを身に纏ったその男は、もっと手広く商売をしないかと健吾に持ちかけた。
年の程は健吾とそんなに違わないように見えた。
男が言ったことはこうだった。こちらの指定した物件の内装を手掛けてくれたら相場の二倍を払う、その代わり条件として、物件の詮索は一切しないこと。
条件としては悪くは無かったが、別段生活に困っていなかった健吾はその怪しい申し出に二の足を踏んだ。二つ返事で引き受けるには、男の風貌が世間一般とはかけ離れて見え、その眼光には危険な匂いを放っていて、健吾はその男と深く関わることを躊躇した。
今思えば、男は自分の言いなりになる業者を探していたんだろう。無名で細々とやっていた健吾の店は男の格好の標的だった。
男は健吾が二の足を踏んでいると知ると、彼を北新地に誘った。
「藤原はんはどんな女が好みです?よりどりみどりでっせ!」
男が連れて行ってくれたのは北新地の中でも一等高級なクラブだった。豪奢な内装を施された広いホールに、いくら金が注ぎ込まれているかは、本職の健吾にはよく分かった。地元の小さなスナックしか知らなかった健吾は、ただただ気後れして目を白黒させていた。
もしそこで、彼女と出会わなければ、健吾はこの日のことを貴重な経験をさせてもらったと懐かしく振り返るのみでその後も平坦な日々を送っていただろう。その時健吾の隣りに着いたホステスは、琴菊に瓜二つだったのだ。
「富士子です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた彼女の肌は絹のようにきめ細やかで、着物ではなかったが、スーツから見える胸元の開いたドレスからははち切れんばかりの真っ白な双丘がくっきりとした谷間の黒線を走らせていて、健吾はあの子どもの頃の幻想を思い出して又間を疼かせた。
「こちらこそ、よ、よろしくお願いします」
顔を紅潮させ、おどおどと頭を下げた健吾に、富士子はクスッと笑った。
「おお!藤原はんは富士子が気に入ったようでんなあ!よっしゃ、富士子、この藤原はんはな、ワシの大切な人やから、これからあんじょうしたってや!」
豪気に笑う男を前に、健吾はもう夢見心地になっていた。富士子は大人しい性格のようで、口数こそ少なかったが、さり気なく手を握られると、健吾は胸を高鳴らせ、キタのクラブの初体験を満喫した。
それが健吾の北新地デビューのきっかけであり、健吾を北新地に連れ出したその男こそ、後の神代組の大幹部となる大力誠治だった。
冬の弱々しい陽光を反射させ、キラキラと煌めく川面を見ると、自然と涙が溢れてくる。娘の美伽は四日前、冷たい川底に沈んでいたのだ。
警察署に呼び出されて娘の変わり果てた姿を見た時は信じられなかった。目の前の遺体が自分の娘だと分かってくると、恐ろしいことが現実に起こってしまったのだという実感が次第に身体を小刻みに震わせた。あの美しかった黒髪も水に濡れてほつれて傷み、天使のように清楚で美しかった顔からは完全に生気が抜けて生きていた頃の色を失っていた。
隣りに同じように宮本が身体を冷たくして横たわっているのを見た時、これは大力の報復なのだと悟った。健吾はその場で泣き崩れ、そこからはもうはっきりとした記憶が無い。あの日以来ずっと、何も手がつかずに臥せっている。お通夜とお葬式をしてやりたくとも、娘の遺体はまだ帰ってきていない。
妻の美沙子も同様に抜け殻のようになり、元々少なかった夫婦の会話も皆無となって、ついに一昨日には実家に帰ってしまった。広い家に一人でいるのも虚しく今日は会社に出てみたはいいが、結局何も手につかず気がつけば川辺りで座っている──。
自分はこの数十年、何をやってきたんだろうと思う。会社を立ち上げ、大きくし、財を成して新地の女に現をぬかし、気がつけば一番大事なもんを失った。
俺は結局、この水に写った街のように、ただの幻を追いかけてきたのではないか……?
結局気がついた時には、何にも残らへんかった───!
健吾はそんな思いに囚われ、吹付けのコンクリートに突っ伏して泣いた。ザラザラとした無機質な冷たさだけが頬に伝わっていた。
ふと、土の香りの中に懐かしい匂いを嗅いだ。と、同時に、艶めかしい白い肌の柔らかい感触が蘇る。これは風が運んだ記憶……いや、この街が発する、この街特有の匂いが引き金となり、昔の記憶が蘇っているのだ。
あれは綺麗な人やった……
健吾は幼少の頃、母親の目を盗んでよくその離れを訪れた。健吾の家は鎌倉時代から続く由緒正しい酒問屋で、その問屋の奥に広がる母屋敷から長い廊下を伝って歩くと、南の端でその離れに行き当たった。健吾は縁側からそっと襖を開けて中を覗く。薄暗い和室の真ん中で、その人はまるであの世から湧いて出た亡霊のように、ぼうっと白く浮き上がって見えた。
「坊、ようおいでなさった。ささ、こっちおいで」
部屋の中から見ればきっと自分の姿は外からの日差しに照らされてくっきりと黒い影を襖に落としていたのだろう、決まって彼女は健吾が近づくとその気配を察して部屋に招き入れた。
甘い匂いに引き寄せられて彼女の側に行くと、いつも大きな飴玉を口に放り込んでくれる。ほっぺたを膨らませながら頬張ると、そのほっぺを華奢な白い手が果物を包むように撫でる。健吾は猫のように喉を鳴らしながら、目を細めてその所作に身を預けた。
心地よい、至福の時。
健吾はいつも薄目を開け、彼女の和装が少しズリ落ちて見える真っ白い鎖骨、そしてそこからふくよかに盛り上がった谷間を覗き見ていた。
彼女の名前は琴菊。
健吾は血の繋がらないその祖母の名前をそんな源氏名でしか思い出せない。戦後間もなくして亡くなった祖母の後添えに、祖父が京都の花魁であった琴菊を身請けし、鎌倉の世から続く造り酒屋を仕切る問屋に続く屋敷に住まわせたのだ。
父や母はその祖父の再婚には反対だったようで、祖父は仕方なく琴菊を母屋ではなく離れに住まわせた。間もなく年が二桁になろうとしている健吾に取って、母よりもかなり若く見える彼女はまるで異界から来た妖怪のように思われ、早春の疼きを感じさせる存在だった。
見つかればこっ酷く叱られる行為だったが、健吾は毎日のように朝起きれば人目を忍んで琴菊の部屋の襖を覗いた。琴菊はそんな健吾を目を細めて招き入れ、飴をくれたり、時には三味線を引くなどしてもてなしてくれた。
だがそんな日々は長くは続かなかった。琴菊はおそらく京都で芸姑をしている時に知り合ったのであろう男と駆け落ちをした。
『この度、誠に勝手ながらお暇致したく、旦那様には大変お世話になりんした』
そんな簡単な一筆がしたためられた紙がただ一枚残されていた。祖父が後生大事に机にその手紙を仕舞っているのを、健吾は盗み見たことがある。屋敷が取り壊されると同時に、どこかに行ってしまったが。
その元花魁の祖母がいなくなってからの祖父の落胆ぶりは凄まじく、祖母を当てど無く探す放蕩の旅の末に癌を患って亡くなった。祖父が亡くなると同時に、戦後復興景気に湧く日本に反して、軒を連ねていた造り酒屋は次第に数を減らしていき、やがて商売が立ち行かなくなって問屋もろとも健吾の家は没落していった。
父が酒問屋を畳んだ後、健吾は残った財産で勉学に励み、池橋に小さな工務店を開いた。地道な仕事だったが、それでも工務店にはそりなりに顧客がつき、生活はそれなりに成り立っていた。
そんな健吾の店にあの男がやって来たのは、健吾の年が三十路になろうかという頃だった。綺羅びやかなスーツを身に纏ったその男は、もっと手広く商売をしないかと健吾に持ちかけた。
年の程は健吾とそんなに違わないように見えた。
男が言ったことはこうだった。こちらの指定した物件の内装を手掛けてくれたら相場の二倍を払う、その代わり条件として、物件の詮索は一切しないこと。
条件としては悪くは無かったが、別段生活に困っていなかった健吾はその怪しい申し出に二の足を踏んだ。二つ返事で引き受けるには、男の風貌が世間一般とはかけ離れて見え、その眼光には危険な匂いを放っていて、健吾はその男と深く関わることを躊躇した。
今思えば、男は自分の言いなりになる業者を探していたんだろう。無名で細々とやっていた健吾の店は男の格好の標的だった。
男は健吾が二の足を踏んでいると知ると、彼を北新地に誘った。
「藤原はんはどんな女が好みです?よりどりみどりでっせ!」
男が連れて行ってくれたのは北新地の中でも一等高級なクラブだった。豪奢な内装を施された広いホールに、いくら金が注ぎ込まれているかは、本職の健吾にはよく分かった。地元の小さなスナックしか知らなかった健吾は、ただただ気後れして目を白黒させていた。
もしそこで、彼女と出会わなければ、健吾はこの日のことを貴重な経験をさせてもらったと懐かしく振り返るのみでその後も平坦な日々を送っていただろう。その時健吾の隣りに着いたホステスは、琴菊に瓜二つだったのだ。
「富士子です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた彼女の肌は絹のようにきめ細やかで、着物ではなかったが、スーツから見える胸元の開いたドレスからははち切れんばかりの真っ白な双丘がくっきりとした谷間の黒線を走らせていて、健吾はあの子どもの頃の幻想を思い出して又間を疼かせた。
「こちらこそ、よ、よろしくお願いします」
顔を紅潮させ、おどおどと頭を下げた健吾に、富士子はクスッと笑った。
「おお!藤原はんは富士子が気に入ったようでんなあ!よっしゃ、富士子、この藤原はんはな、ワシの大切な人やから、これからあんじょうしたってや!」
豪気に笑う男を前に、健吾はもう夢見心地になっていた。富士子は大人しい性格のようで、口数こそ少なかったが、さり気なく手を握られると、健吾は胸を高鳴らせ、キタのクラブの初体験を満喫した。
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