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第3部 他殺か心中か
人形の家のプリンセス
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『何か…こうやってカメラの前で話すのって、芸能人になったみたいで恥ずかしいですね。え?子どもの頃ですか?
わたし、子どもの頃はシンデレラのお話が好きでした。舞踏会で王子様に見初められ、お姫様になるお話…女の子なら誰もが憧れるそんな物語を、わたしも憧れていました。
でも、こんなこと言ったら上から目線の嫌なやつって思われるかもしれませんけど、わたしは幼い頃から綺麗なドレスも持っていたし、お城とは言わないまでも、大きなお家に住ませてもらってました。わたしの家は高台にあり、アイボリーな三階建てのお家に遊びに来たお友達はみんなお城みたいと言ってくれました。ガレージにはかぼちゃの馬車ではありませんが、高級外車が並んでいて、運転手さんが行きたい所に連れて行ってくれます。パーティーに出かける時には、母がわたしに綺羅びやかなドレスを仕立てては着せてくれます。わたしはまるでドールハウスのお人形のようでした。
え?王子さま?初恋のお話ですか……?
あれは8歳の春でした。首相が開催する桜を見る会に参加した時のことです。桜の咲き誇る好天の日差しの中、正装をした大人たちが首相や有名人に挨拶をしようと列を作って並んでいます。わたしはあまりテレビを観ませんでしたので、あれが人気の俳優よなどと言われても分かりません。いい加減退屈をして母と離れて広い新宿御園を散策していた時でした。お庭の一角でわたしと同じ年くらいの子どもが周辺の木々の枝を集めて何やら寝殿造りのような建物を拵え、通りすがりの大人たちの感嘆を受けていました。わたしも立ち止まってそれを眺めましたが、その子は柔らかな春日に輝き、器用に木石を構築していく姿はまるで物語に出てくる王子さまのようでした。
やがてわたしを追いかけてきた母がわたしの見惚れている先を見て、
「あの方は椎原宗像、紫綬褒章を授かった方よ」
と教えてくれました。紫綬褒章の意味を尋ねると、
「すごおく偉い人って意味よ。美伽も将来あんな人のお嫁さんになってくれたらお母さん、嬉しいんだけどな」
と言います。母は男の子の後ろで倒木に腰掛けてにこやかにしている老人のことを言っているのでした。でもわたしはお嫁さんという言葉にひとり頬を赤らめました。
そんなことがあってから二年後にまたその少年と出会いました。わたしは小学校3年生でしたが、何とわたしのクラスにその男の子が転校して来たんです。そう、涼平、実はね、涼平がわたしの王子さまだったんです。
何か、暑いね。え?寒い?わたしだけ?暑いの……。涼平の話したからかな?こんな話するの、初めてなの。ううん、聞いて欲しい。ずっとね、誰かに聞いて欲しいなって思ってたの…。
涼平とはね、その後も中学と高校で同じクラスで卒業したの。わたしはずっと、涼平に片想いしてたけど、告白とかそういうのはしなかった。遠くから見てるだけ。
萌未の話をしなくちゃね。萌未の存在を知ったのは母の口からでした。母はわたしが物心ついた時から父の元に嫁いだことを後悔していました。父は多忙を理由に毎晩遅くに帰宅していましたが、それは北新地という土地で母以外の女性と享楽に耽っているのだと幼いわたしに母は言います。わたしは幼心に、そんな北新地という土地など無くなってしまえばいいのにと思ってました。父はわたしには常に優しく、わたしもお小言ばかり言う母よりは鷹揚な父の方が好きでした。なので、母から父が外に子どもまで作ったのだと聞いた時はショックでした。
その子とは小学3年生で同じクラスになりました。そう、涼平と萌未、小学校から同じクラスだったの。わたしね、萌未のこと一目見て好きになった。理屈は自分でも分かりません。その感情は、わたしにとっても不思議でした。
なので萌未が苛められている事実を知った時、とても心を痛めました。萌未は4年生で演劇部に入っていたのだけど、同じ部活の女の子たちが萌未の悪口を言っているのを聞き、自分のことのように腹が立ちました。なので主犯格と思われる子の後をつけ、わたしはその子を突き飛ばしました。その子は車に引かれました。わたしはその場から慌てて逃げ帰りました。
車が通ったことはアクシデントだったのでしょうか?いいえ、わたしはそんな可能性があることを知って、路地裏からその子を突き飛ばしたのです。犯罪だよね。帰って自分のしたことに震えました。でも同時に、わたしの心に何かを達成したという愉悦の炎が灯っているのも感じていました。
中学三年になり、同じクラスにまさかの萌未と涼平がいることに驚きました。萌未はわたしのせいでさらに孤立を深めていました。萌未が演劇部の子を突き飛ばしたんだって疑われてたんです。わたしは本当に卑怯でした。あの凶行はわたしがやったのだと名乗り出る勇気が無かったのです。なので同じクラスになったことは挽回のチャンスだと思いました。わたしは何とか萌未と話す機会を伺ってたのですが、萌未は孤独に慣れてしまったのか、他人を受け付けず、目に見えない防壁のようなものを彼女の周りに張り巡らしていました。ただ、わたしは気づきました。彼女の視線の先にはいつも、涼平がいるのです。
涼平のあの手つきの器用さは健在で、精巧に創った手作りのパズルをクラスで流行らせていました。わたしは自分の気持ちは押し殺し、萌未の手を取ってそのパズルを一緒に解こうと誘いました。萌未の心が少しだけわたしに向いてくれました。それはわたしにとってとても嬉しいことでした。
だけど、わたしはまた萌未にとって酷いことをしてしまいます。わたしは萌未を見るのと同じくらい、涼平のことも観察していました。彼は常ににこやかにクラスメートと接し、そんな穏やかな彼の周りにはいつも輪が出来ていましたが、わたしは彼の笑顔が偽物であると気づいていました。それは、わたしの笑顔と同じ質のものだったからです。わたしの心は涼平とシンクロしていました。
ある雨の日でした。萌未は涼平のパズルの一部品を無くし、クラスメートに責め立てられて校庭を探していました。わたしは萌未に寄り添い、一緒に雨の中を探しました。だけどわたしは知っていたのです。その姿を教室の窓から涼平が見ていることを。わたしは、萌未一人を舞台に立たせたくなくて、自分もその壇上に躍り出たのでした。
ね?ひどいでしょ?
わたしはいい子なんかじゃない、その思いとずっと葛藤してきました。でもわたしの周りの大人たちは、わたしが枠からはみ出ることを許しませんでした。
高校生になり、クラスの文化祭での演目がイプセンの『人形の家』という劇に決まったとき、そのヒロインにわたしが抜擢されました。資産家の夫に愛され何不自由なく暮らしていたヒロインがある出来事をきっかけに、実は自分が夫から人形のように可愛がられていただけで対等な扱いではなかったと気づき、クリスマスイブの日に家を出ていくというあらすじ。わたしはそのヒロインのノラに境遇がよく似ていると思いました。そしてその役には抵抗がありましたが、断ればクラスメートたちを失望させると思い、頑張って演じました。そんなわたしに力を与えてくれたのは、涼平が描いてくれたポスターでした。その絵の中ではわたしと思われる女性が一筋の涙を流しているのですが、その涙がわたしの気持ちを代弁してくれているようで、気持ちが軽くなったのでした。
え?また同じ高校に通うってすごい偶然?
違うの。わたし、涼平が行くからその高校を選んだんです。それは萌未に指示されてのことだったんですが、わたしにとっても嬉しい申し出でした。萌未はね、ずっと涼平のことが好きで、わたしをスパイとして涼平の側に送りこんだの。いじらしいでしょ?でもわたしも萌未に従うふりをして、本当は私立のお嬢様学校に通うところを、自分の意志で母に頼み込んで公立に行くことを強引に通したの。だからもう一度涼平と同じクラスになれたことは本当に嬉しかった。
どうして萌未の言いなりになるのかって?
中3の三学期、萌未のお父さんが亡くなり、お悔やみを言おうと萌未のお家に訪れたわたしに、萌未は言いました。彼女の不幸はわたしの幸せの上に成り立っているのだと。それはわたしにとって本当に悲しい言い分でしたが、萌未のお父さんが勤めていた大塚不動産という会社を調べてみると、社長は自殺とのことで驚きました。そして、その会社の所有する土地はわたしの父の会社に渡っていました。萌未の言うように、そこに因果関係があるのは明白でした。わたしはいつか萌未に、わたしたちは血の繋がりがをあるのだと打ち明けて、姉妹として仲良くしたいと思っていたのだけど、その事実はわたしにとって大きな障壁になりました。
わたしは萌未の気持ちを汲み、高校では涼平のことは見ないと決めました。そんなわたしの元に、拓也さんはやって来ました。そう、フジケン興業の専務の。拓也さんは始め、わたしの家庭教師として雇われたのでしたが、その横顔から見せる悲しげな眼差しが、わたしの寂寥とした心を捉えました。涼平のことを忘れようとしていたわたしは、拓也さんのことを男として意識するようになりました。そしてわたしの父母も拓也さんを気に入り、気が付くと拓也さんとわたしは婚約していました。後から分かったんですが、実は拓也さんの実家は母の実家である榎田家と姻戚関係にあり、叔父である榎田の勧めで拓也さんはわたしの家に入ることが出来たんです。結局、わたしは母の引いたレールの上に乗っていたのでした。
ここからのお話はちょっと、萌未とわたし、そして拓也さんと涼平の四人が入り混じって複雑になるのだけど…え?聞きたい?
んー……わたしもね、聞いて欲しいとは思っているの。でも一つ、約束して欲しい。蒼山さんは萌未とお友達なんでしょ?じゃあ、これからの話は萌未が聞いて、絶対に落ち込んだりしないっていう日が来るまで、彼女には内緒にしていて欲しいの。あなたたちはわたしの父や、榎田の叔父の不正をこれから暴くんでしょ?そうなるといろいろ世間も騒ぐと思うの。萌未も巻き込まれるかもしれない。そういう一連のことが落ち着くまで、内緒にしてて欲しい。判断はお任せします。約束ね』
わたし、子どもの頃はシンデレラのお話が好きでした。舞踏会で王子様に見初められ、お姫様になるお話…女の子なら誰もが憧れるそんな物語を、わたしも憧れていました。
でも、こんなこと言ったら上から目線の嫌なやつって思われるかもしれませんけど、わたしは幼い頃から綺麗なドレスも持っていたし、お城とは言わないまでも、大きなお家に住ませてもらってました。わたしの家は高台にあり、アイボリーな三階建てのお家に遊びに来たお友達はみんなお城みたいと言ってくれました。ガレージにはかぼちゃの馬車ではありませんが、高級外車が並んでいて、運転手さんが行きたい所に連れて行ってくれます。パーティーに出かける時には、母がわたしに綺羅びやかなドレスを仕立てては着せてくれます。わたしはまるでドールハウスのお人形のようでした。
え?王子さま?初恋のお話ですか……?
あれは8歳の春でした。首相が開催する桜を見る会に参加した時のことです。桜の咲き誇る好天の日差しの中、正装をした大人たちが首相や有名人に挨拶をしようと列を作って並んでいます。わたしはあまりテレビを観ませんでしたので、あれが人気の俳優よなどと言われても分かりません。いい加減退屈をして母と離れて広い新宿御園を散策していた時でした。お庭の一角でわたしと同じ年くらいの子どもが周辺の木々の枝を集めて何やら寝殿造りのような建物を拵え、通りすがりの大人たちの感嘆を受けていました。わたしも立ち止まってそれを眺めましたが、その子は柔らかな春日に輝き、器用に木石を構築していく姿はまるで物語に出てくる王子さまのようでした。
やがてわたしを追いかけてきた母がわたしの見惚れている先を見て、
「あの方は椎原宗像、紫綬褒章を授かった方よ」
と教えてくれました。紫綬褒章の意味を尋ねると、
「すごおく偉い人って意味よ。美伽も将来あんな人のお嫁さんになってくれたらお母さん、嬉しいんだけどな」
と言います。母は男の子の後ろで倒木に腰掛けてにこやかにしている老人のことを言っているのでした。でもわたしはお嫁さんという言葉にひとり頬を赤らめました。
そんなことがあってから二年後にまたその少年と出会いました。わたしは小学校3年生でしたが、何とわたしのクラスにその男の子が転校して来たんです。そう、涼平、実はね、涼平がわたしの王子さまだったんです。
何か、暑いね。え?寒い?わたしだけ?暑いの……。涼平の話したからかな?こんな話するの、初めてなの。ううん、聞いて欲しい。ずっとね、誰かに聞いて欲しいなって思ってたの…。
涼平とはね、その後も中学と高校で同じクラスで卒業したの。わたしはずっと、涼平に片想いしてたけど、告白とかそういうのはしなかった。遠くから見てるだけ。
萌未の話をしなくちゃね。萌未の存在を知ったのは母の口からでした。母はわたしが物心ついた時から父の元に嫁いだことを後悔していました。父は多忙を理由に毎晩遅くに帰宅していましたが、それは北新地という土地で母以外の女性と享楽に耽っているのだと幼いわたしに母は言います。わたしは幼心に、そんな北新地という土地など無くなってしまえばいいのにと思ってました。父はわたしには常に優しく、わたしもお小言ばかり言う母よりは鷹揚な父の方が好きでした。なので、母から父が外に子どもまで作ったのだと聞いた時はショックでした。
その子とは小学3年生で同じクラスになりました。そう、涼平と萌未、小学校から同じクラスだったの。わたしね、萌未のこと一目見て好きになった。理屈は自分でも分かりません。その感情は、わたしにとっても不思議でした。
なので萌未が苛められている事実を知った時、とても心を痛めました。萌未は4年生で演劇部に入っていたのだけど、同じ部活の女の子たちが萌未の悪口を言っているのを聞き、自分のことのように腹が立ちました。なので主犯格と思われる子の後をつけ、わたしはその子を突き飛ばしました。その子は車に引かれました。わたしはその場から慌てて逃げ帰りました。
車が通ったことはアクシデントだったのでしょうか?いいえ、わたしはそんな可能性があることを知って、路地裏からその子を突き飛ばしたのです。犯罪だよね。帰って自分のしたことに震えました。でも同時に、わたしの心に何かを達成したという愉悦の炎が灯っているのも感じていました。
中学三年になり、同じクラスにまさかの萌未と涼平がいることに驚きました。萌未はわたしのせいでさらに孤立を深めていました。萌未が演劇部の子を突き飛ばしたんだって疑われてたんです。わたしは本当に卑怯でした。あの凶行はわたしがやったのだと名乗り出る勇気が無かったのです。なので同じクラスになったことは挽回のチャンスだと思いました。わたしは何とか萌未と話す機会を伺ってたのですが、萌未は孤独に慣れてしまったのか、他人を受け付けず、目に見えない防壁のようなものを彼女の周りに張り巡らしていました。ただ、わたしは気づきました。彼女の視線の先にはいつも、涼平がいるのです。
涼平のあの手つきの器用さは健在で、精巧に創った手作りのパズルをクラスで流行らせていました。わたしは自分の気持ちは押し殺し、萌未の手を取ってそのパズルを一緒に解こうと誘いました。萌未の心が少しだけわたしに向いてくれました。それはわたしにとってとても嬉しいことでした。
だけど、わたしはまた萌未にとって酷いことをしてしまいます。わたしは萌未を見るのと同じくらい、涼平のことも観察していました。彼は常ににこやかにクラスメートと接し、そんな穏やかな彼の周りにはいつも輪が出来ていましたが、わたしは彼の笑顔が偽物であると気づいていました。それは、わたしの笑顔と同じ質のものだったからです。わたしの心は涼平とシンクロしていました。
ある雨の日でした。萌未は涼平のパズルの一部品を無くし、クラスメートに責め立てられて校庭を探していました。わたしは萌未に寄り添い、一緒に雨の中を探しました。だけどわたしは知っていたのです。その姿を教室の窓から涼平が見ていることを。わたしは、萌未一人を舞台に立たせたくなくて、自分もその壇上に躍り出たのでした。
ね?ひどいでしょ?
わたしはいい子なんかじゃない、その思いとずっと葛藤してきました。でもわたしの周りの大人たちは、わたしが枠からはみ出ることを許しませんでした。
高校生になり、クラスの文化祭での演目がイプセンの『人形の家』という劇に決まったとき、そのヒロインにわたしが抜擢されました。資産家の夫に愛され何不自由なく暮らしていたヒロインがある出来事をきっかけに、実は自分が夫から人形のように可愛がられていただけで対等な扱いではなかったと気づき、クリスマスイブの日に家を出ていくというあらすじ。わたしはそのヒロインのノラに境遇がよく似ていると思いました。そしてその役には抵抗がありましたが、断ればクラスメートたちを失望させると思い、頑張って演じました。そんなわたしに力を与えてくれたのは、涼平が描いてくれたポスターでした。その絵の中ではわたしと思われる女性が一筋の涙を流しているのですが、その涙がわたしの気持ちを代弁してくれているようで、気持ちが軽くなったのでした。
え?また同じ高校に通うってすごい偶然?
違うの。わたし、涼平が行くからその高校を選んだんです。それは萌未に指示されてのことだったんですが、わたしにとっても嬉しい申し出でした。萌未はね、ずっと涼平のことが好きで、わたしをスパイとして涼平の側に送りこんだの。いじらしいでしょ?でもわたしも萌未に従うふりをして、本当は私立のお嬢様学校に通うところを、自分の意志で母に頼み込んで公立に行くことを強引に通したの。だからもう一度涼平と同じクラスになれたことは本当に嬉しかった。
どうして萌未の言いなりになるのかって?
中3の三学期、萌未のお父さんが亡くなり、お悔やみを言おうと萌未のお家に訪れたわたしに、萌未は言いました。彼女の不幸はわたしの幸せの上に成り立っているのだと。それはわたしにとって本当に悲しい言い分でしたが、萌未のお父さんが勤めていた大塚不動産という会社を調べてみると、社長は自殺とのことで驚きました。そして、その会社の所有する土地はわたしの父の会社に渡っていました。萌未の言うように、そこに因果関係があるのは明白でした。わたしはいつか萌未に、わたしたちは血の繋がりがをあるのだと打ち明けて、姉妹として仲良くしたいと思っていたのだけど、その事実はわたしにとって大きな障壁になりました。
わたしは萌未の気持ちを汲み、高校では涼平のことは見ないと決めました。そんなわたしの元に、拓也さんはやって来ました。そう、フジケン興業の専務の。拓也さんは始め、わたしの家庭教師として雇われたのでしたが、その横顔から見せる悲しげな眼差しが、わたしの寂寥とした心を捉えました。涼平のことを忘れようとしていたわたしは、拓也さんのことを男として意識するようになりました。そしてわたしの父母も拓也さんを気に入り、気が付くと拓也さんとわたしは婚約していました。後から分かったんですが、実は拓也さんの実家は母の実家である榎田家と姻戚関係にあり、叔父である榎田の勧めで拓也さんはわたしの家に入ることが出来たんです。結局、わたしは母の引いたレールの上に乗っていたのでした。
ここからのお話はちょっと、萌未とわたし、そして拓也さんと涼平の四人が入り混じって複雑になるのだけど…え?聞きたい?
んー……わたしもね、聞いて欲しいとは思っているの。でも一つ、約束して欲しい。蒼山さんは萌未とお友達なんでしょ?じゃあ、これからの話は萌未が聞いて、絶対に落ち込んだりしないっていう日が来るまで、彼女には内緒にしていて欲しいの。あなたたちはわたしの父や、榎田の叔父の不正をこれから暴くんでしょ?そうなるといろいろ世間も騒ぐと思うの。萌未も巻き込まれるかもしれない。そういう一連のことが落ち着くまで、内緒にしてて欲しい。判断はお任せします。約束ね』
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